- 公開日:2026年03月24日
データセンター選びは「立地」で決まる?重視すべき選定ポイント
近年、データセンターの用途が広がるなか、選定のうえで「立地」は重要性を増しています。従来のシステム運用に加え、事業継続計画(BCP)の観点やクラウド/AIなど最新プラットフォームの基盤としても活用が進み、システムやサービスに求められる運用要件が高まっているためです。その結果、サーバをどこに置くかの判断が、これまで以上に重要な課題となっています。
本記事では、データセンターの立地が重要視される理由や立地選定時に確認すべきポイント、地域別の特性と立地に関する構成例を具体的に解説します。
なぜ?データセンター選びで"立地"が重要視される理由
データセンターの立地は、選定においてどのような意味を持つのでしょうか。運用要件の高まりを踏まえると、これからのデータセンターで重要になるのは「サービスを止めない(事業を継続する)」「通信品質を確保する」という2つの観点です。そして、これらの要件に影響を与えるのが「立地」です。
そこで本章では、この2つの観点から立地が重要視される理由を整理します。
1. 事業継続(レジリエンス)に直結する
データセンターの立地は、地震・津波・洪水といった自然災害の発生時に、サービスを継続できるかどうかを左右する重要な要素です。
地震や津波、河川の氾濫による浸水といった自然災害のリスクは、立地によって大きく異なります。災害により建物自体が被災するリスクに加え、広域停電や通信障害などもシステム停止のリスク要因になります。
地域選びやインフラの独立性の確保が、事業継続の鍵となります。
2. アクセスポイントとの距離が通信品質を左右する
データセンターと、主要なキャリア局舎、インターネットエクスチェンジ(IX:インターネット相互接続点)、そして海底ケーブルの陸揚げ点との距離は、通信の「品質」や「遅延」に影響する重要なポイントです。
これらの接続点に近い立地ほど、ネットワーク経路を短く取りやすく、遅延を抑えた安定した通信につながります。特に、主要IXや海底ケーブルの陸揚げ点の近傍では、複数経路・多キャリアで冗長性を確保しやすく、障害時の迂回や復旧の面でも有利になります。
また、主要ユーザーやIXに近い立地は、低遅延で高品質な顧客体験を生み出します。配信サービスやリアルタイムアプリケーションを提供する企業にとって、レスポンスタイムの短縮は、顧客満足度やSLA(サービス品質保証)達成率の向上に直結する重要な要素のひとつです。
加えて、特定地点の障害や混雑の影響を受けにくくするには、拠点を地理的に分散して通信経路に冗長性を持たせることも重要です。さらに、複数都市に拠点を配置することにより、ピーク時や障害時のトラフィック再配分が迅速に行え、サービスの安定性を高めることが可能になります。
IXについて、詳しくは以下の記事をご覧ください。
関連記事:インターネットエクスチェンジ(IX)とは?通信の安定性と高速化を支える仕組みを解説
データセンターの立地選定時に注目すべき3つのポイント
実際にデータセンターの立地を選定・評価する際、特に注目したいポイントは次の3つです。
1. 自然災害リスク
データセンターの立地を選定する際、最優先で注目すべきなのが自然災害リスクです。
活断層との距離、地盤の強固さ、洪水・土砂災害のリスクを、国土交通省や地方自治体が公開するハザードマップなど、専門機関のデータを基にチェックしましょう。
重要なのは、建物単体の耐震性だけでなく、周辺インフラの脆弱性もセットで評価することです。
例えば、建物自体は堅牢でも、周辺道路が液状化で使用不能になったり、近隣の変電所が浸水したりすれば、データセンターの稼働継続は困難になります。"地域全体"のリスクプロファイルを把握することが重要です。
2. 主要拠点からの距離
主要拠点からデータセンターまでの距離は、通信品質と、災害時の対応力を左右する重要な要素と言えます。
まず考えたいのが、レイテンシ(通信遅延)への影響です。
応答速度の改善は、低遅延で高品質な顧客体験を生み、SLA達成率の向上にもつながるというメリットがあります。特にリアルタイム性が求められるシステムの場合は、この差が業務品質に影響を与えます。
一方で、災害時のリスク分散を考えると、本社から適度な距離を保つことも重要です。バックアップ用のデータセンターを本社と同じ都市圏内に置くと、両方が同時に被災する恐れがあるためです。
本社とは物理的に異なる経路を使用した通信回線を確保することで冗長性を高め、事業継続性とパフォーマンスの両立を目指すことができます。
3. アクセスのよさ
障害時の迅速な対応を考えると、データセンターへの物理的なアクセスのしやすさも見逃せません。
現地対応が必要な場面で、保守要員が速やかに到着できるかどうかは、障害復旧時間に直結します。データセンターへの距離や、移動手段の確保しやすさを確認しておきましょう。
また、災害時の交通遮断を想定し、複数の輸送経路(鉄道・道路)や代替交通手段がある地域を選ぶことで、現場到達の確率はさらに高まります。
災害時のリスク分散と日常の運用効率、この両面から、バランスの取れた距離感を見極めることが大切です。
都市型?郊外型?国内データセンターの地域別立地特性
国内でデータセンターを選定する際、エリアごとの特性は、災害リスク対策や安定運用の面において重要な判断材料となります。
ここでは「北海道・東北」「関東」「近畿」「中国・四国」「九州・沖縄」という5つの地域区分で、それぞれの災害リスクなどの特徴を比較してみましょう。
北海道・東北地方
寒冷な気候を背景に、安定運用を重視する際の候補になることのある地域です。
特に年間を通して涼しい北海道では、自然冷却(フリークーリング)を活用した安定運用の観点で検討されることがあります。
一方、東北地方は首都圏に近い立地を活かしつつ、BCPの観点から分散先として候補に挙がることがあります。
仙台や福島(白河)ではすでに複数のデータセンターが稼働しており、AI向けGPUサーバに対応した最新施設も登場しています。さらに、2025年10月には東北電力・NTT東日本・日本政策投資銀行が誘致に向けた協力協定を締結するなど、今後の開発加速が期待されています。
ただし、両地域とも冬季は積雪や路面凍結によりアクセスが困難になるリスクを抱えており、アクセスルートの確保や緊急時の対応計画が特に重要になるエリアでもあります。
参考:日本経済新聞 電子版「東北電力、NTT東・政投銀と協力協定 データセンター誘致めざす」
関東地方
データセンターの立地が国内で最も集中している地域であり、立地面積ベースでは全体の約6割強を占めます。IXやビジネス拠点への近接性が最大のメリットです。
利便性とパフォーマンスは高い一方、首都直下地震などの地政学的リスクがあるため、災害対策の徹底が求められます。また、関東圏は富士山噴火による広域インフラ停止も想定すべきです。主要データを関東に置く場合は、遠隔地へのバックアップも視野に入れておく必要があるでしょう。
参考:総務省・経済産業省「第7回 デジタルインフラ(DC等)整備に関する有識者会合(第7回事務局説明資料)」
近畿地方
関東に次いで、国内で2番目にデータセンターの集積が多い地域です。
IXに加え、国内外の通信事業者やAI・メガクラウド事業者などが日本の第2リージョンとして開設しており、通信インフラが充実しています。その距離を活かした関東圏のバックアップ拠点としての需要が高いのが特徴です。
地理的分散とアクセス性のバランスが取れた立地だと言えるでしょう。
一方で、南海トラフ地震の想定影響範囲でもあり、大阪湾岸部の津波・高潮・液状化、河川氾濫のリスクも顕在化しているため、これらのリスクを踏まえた災害対策がなされているかの確認が重要です。
参考:総務省・経済産業省「第7回 デジタルインフラ(DC等)整備に関する有識者会合(第7回事務局説明資料)」
中国・四国地方
強固な地盤とされるエリアを有し、BCPのバックアップ拠点として検討されることがある地域です。地震リスクの見立ては地域内でも差があり、エリアごとの前提要件の整理が必要です。また、南海トラフ地震の影響も考慮すべきエリアが含まれるため、地域内でも想定リスクの違いを踏まえた立地選定が重要です。
一方で、台風や豪雨による水害リスクも考えられるため、洪水・土砂災害・津波などに関する情報をハザードマップで確認し、リスクをコントロールする必要があります。
九州・沖縄地方
九州・沖縄地方は、アジア諸国へのゲートウェイとしての地理的優位性が際立つエリアです。
国際海底ケーブルの陸揚げ点が複数あり、アジア太平洋地域との通信において低遅延を実現しやすいため、特にグローバル展開を視野に入れる企業にとって大きな魅力があると言えます。
加えて沖縄は、地震発生頻度の低さという独自の強みを持つエリアです。台風対策は必要ですが、地殻変動リスクを分散したいBCP戦略では有力な選択肢となるでしょう。
ただし両地域とも、首都圏・関西圏と比べると、運用面での次のような課題が残る点は考慮が必要です。
- データセンター専門の保守要員やネットワークエンジニアの現地確保が難しく、障害対応や機器交換に時間がかかる恐れがある
- アジア向けの国際通信では低遅延を実現できる一方、国内の主要IXが集中する東京・大阪への接続では物理的な距離が生じ、国内向けサービスのレイテンシは首都圏・関西圏の拠点より大きくなる傾向がある
九州・沖縄地方は、国際通信の拠点候補として魅力がある一方、国内サービス運用ではアクセス性や保守体制も含めた全体設計が求められます。
【業種・目的別】データセンター立地の最適解は?2つの構成例
業種や目的によって、最適なデータセンターの立地選定は異なります。
ここではよくある2つのケースをピックアップし、望ましいデータセンターの立地や構成の例をご紹介します。
EC・メディア企業:都市×郊外のハブ・スポーク構成
ECサイトやメディア企業では、ページ表示のわずかな遅延が離脱率や売上に直結し、またセール時や話題拡散時にはアクセスが急増する可能性があるため、「低遅延」と「拡張性」の両立が求められます。この両立に有効なのが、都市部の拠点(ハブ)と郊外の拠点(スポーク)で役割を分ける「ハブ・スポーク構成」です。
ハブとなる都市部の拠点はIX・CDN(コンテンツ配信ネットワーク)の近くに配置し、フロントエンド処理やキャッシュ処理など、ユーザーからのリクエストに素早く応答する役割を担います。一方、スポークとなる郊外の拠点は、アクセス集中時の処理負荷を支える役割を担います。
このように分担することで、ユーザーが直接触れる画面では快適な表示速度を維持しつつ、アクセス増加時にも安定した処理を継続しやすい構成を実現できます。
ポイントは、ハブとスポーク間の回線を物理的に異なる経路(異ルート)で確保することです。それにより、1本の回線経路に障害が起きても、残る別経路で通信を継続できるようになります。
合わせて、障害時にトラフィックをどう再配分するかのルールを事前に定義しておけば、一方の拠点に問題が発生しても、もう一方が即座に処理を引き継ぐ体制を整えられます。
海外展開企業:国際リージョン分散と法域対応
グローバルに事業を展開する企業では、大きく2つの観点からデータセンターの立地戦略を考える必要があります。1つは、各国・地域の法規制に対応するために個人データをその域内で保持・処理する「法域内保持」。そしてもう1つは、海底ケーブルの陸揚げ局やIXに近い立地を選ぶことで、海外拠点間や海外ユーザーとの通信遅延を抑える「国際通信の最適化」です。
法域内保持が求められる背景には、GDPR(EU一般データ保護規則)やCCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)といった法規制の存在があります。これらの規制では、個人データは域内での処理を原則とする考え方が示されています。
そのため、主要顧客圏ごとにリージョン(物理的に独立したデータセンターを設置している地域・拠点)を1か所以上分散配置し、各国の法域要件を満たす立地戦略が求められます。
同時に、国際間の通信遅延を最小化するには、海底ケーブルの陸揚げ局やIXに近い立地を選ぶことも重要です。
日本では関東と関西に陸揚げ局が集中しているため、この2地域が国際通信の主要拠点となっています。加えて、北海道や九州など、アジア・北米方面への海底ケーブルルート上に位置する地域も、接続先によっては通信経路を短縮できる拠点候補になるでしょう。
各リージョン内でも、場所を分けた複数のデータセンターを用意し、利用者のアクセスを最も近い拠点に自動的に振り分けることで、通信距離を抑えられる拠点からサービスを提供できます。
これにより、規制適合(越境移転制約回避)に配慮しつつ、国際レイテンシの低減を図れます。
まとめ
データセンターの立地は、「サービスを止めない(事業を継続する)」「通信品質を確保する」を同時に実現するための土台です。また、立地の選定や評価では、災害リスクに加えて、主要拠点からの距離とアクセスのよさが重要です。
自社の事業特性に合わせ、これらをどのように組み合わせるかが立地設計の要点であり、企業の長期的な社会的信頼を支える基盤となります。こうした考え方のもと、日常運用の機動力を高める選択肢の一つが、都心近接のデータセンターです。
「オプテージ曽根崎データセンター(OC1)」は、日本国内第2のデータセンター集積地である大阪の都心部に位置し、高い利便性を誇るデータセンターです。
OC1は大阪の都心部、堂島・心斎橋エリアに近接した位置にあり、メガクラウドやIXのアクセスポイントへの接続性を確保しています。梅田から徒歩約12分、新大阪駅から車で約15分以内というアクセス性により、現地対応が必要となる場面でも対応を進めやすく、平常時のメンテナンスや機材搬入に伴う移動負担も抑えやすい立地となっています。
さらに、主要ベンダーの保守拠点が近接しているため、障害発生時の復旧対応を迅速に進めやすい環境です。30年近くのデータセンター運用の実績を持つサービスオペレーションセンターが、24時間365日体制でサポートを提供しており、緊急時の現地作業を含む対応から日常のオペレーションまで、安定した運用体制を確保しています。
立地条件と運用効率の両立を重視したい時は、ぜひOC1のご利用をご検討ください。
◎製品名、会社名等は、各社の商標または登録商標です。
