2026年5月、当社は米国マイアミで開催された「Digital Asset Yield Summit(DAYS)」および「Consensus 2026」に参加し、デジタル資産市場の最新動向を調査しました。
今回の視察で特に印象的だったのは、デジタル資産市場の議論が「投機」から「金融インフラの実装」へ移っていたことに加え、現職の上院議員や政府高官が登壇し、規制法案の成立見通しまで語るなど、政策と業界が近い距離で動いていることを肌で感じられた点です。

Consensus 2026会場

約2万人が参加したConsensus 2026会場。展示会のような賑わいと、金融機関・規制当局による実務的な議論が同居していました。

現地で感じた3つの変化

1. ステーブルコインは「金融インフラ」として語られていた

会場では、Visa、Mastercard、PayPal、Stripeなどの既存大手に加え、CoinbaseやCloudflareなども含め、ステーブルコインやAI時代の決済基盤に関する議論が活発に行われていました。ステーブルコインは単なる暗号資産ではなく、送金・決済・資金管理を支える実務インフラとして位置づけられており、企業決済やクロスボーダー送金、AIエージェント向けのマイクロペイメントなど、具体的なユースケースが前面に出ていました。

決済系ブースの様子

決済系ブースの様子

2. 議論の中心は「ウォレット導入」から「どう運用するか」へ

今回の視察で最も強く感じたのは、会場全体で「Web3」という言葉そのものが後景化し、機関投資家・金融機関・監査法人・コンプライアンス実務家が議論の中心に立っていたことです。セッションでは、カストディ分離、監査可能性、権限統制、規制対応、Travel Rule、AML/CFTといった、金融機関が実際に運用する際の論点が繰り返し取り上げられていました。デジタル資産市場は、実験段階から金融市場としての制度設計・運用設計の段階へ移っていることを現場で確認できました。
また、現職の上院議員が登壇した規制セッションでは、法案の成立時期や「倫理規定がなければ法案は成立しない」といった実務レベルの議論まで交わされており、政策と市場が同時に動いていることを実感しました。

上院議員が登壇した規制セッション

上院議員が登壇した規制セッション

3. AIとデジタル資産の接点が一気に実装寄りになっていた

AI関連では、AIエージェントが自律的に支払い・購入・契約を行う「agentic commerce」や、HTTP 402を活用した課金標準「x402」など、実装を意識したテーマが目立ちました。AIを単なる分析ツールとしてではなく、支払いの主体・利用者として扱う発想が強く打ち出されており、金融機関にとっても今後の決済設計や認可設計に影響する可能性があると感じました。
Cloudflareのセッションでは、「HTTP 402」が既に1日10億回利用されているとの紹介もあり、AI時代の決済基盤が実証段階ではなく、実利用フェーズへ進みつつあることを感じました。

日本の金融機関への示唆

今回の視察では、海外ではビットコインを「デジタルゴールド」「制度資産」として捉える議論が主流となっており、日本で依然根強い「投機対象」という認識との違いを強く感じました。また、海外市場では「導入できるか」ではなく、「安全に運用できるか」を前提とした議論が進んでいることも印象的でした。当社では、今後も海外の最新動向を取り込みながら、日本の金融機関に適したWeb3活用をご支援してまいります。