こんなのも、アリ?当世 “ユニーク社員研修” アラカルト

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ついに登場!男女間のトラブルに備えた「ハニートラップ研修」

「ハニートラップ」という言葉を、お聞きになったことがあるかと思います。直訳すれば「甘い罠」ですね。魅力的な異性と出会い、いい気になっていると後で酷い目にあうというやつ。
よくあるパターンが、某国政府高官がトラップを仕掛けられ、ピロートークで国家機密をペラペラ漏洩させてしまう・・・といったものです。

なぜ「ハニートラップ」について書いたかと言うと、最近少し話題になったのでご存知かもしれませんが、「ハニートラップ研修」なるものが登場したからです。
映画や小説でもあるまいし、さすがに国家機密や企業機密漏洩まで行かないとしても、トラブルによって金銭を要求され、結果的に企業や家庭にまで影響を及ぼすようなことがあってはならないと、このような研修を行う企業もあるのだとか。

そういえば、もうすぐ4月。新入社員に向けて研修を行う企業も多いことでしょう。研修プログラムの策定で頭を悩ませている担当者もいるかもしれません。
今回のメールマガジンでは、考え疲れた頭を少し休めていただくため、最近のちょっとユニークな研修をいくつか、ご紹介しましょう。

行きあたりばったりの行程の中で学ぶ、「ダーツの旅」研修

ダーツの旅

まず最初にご紹介するのは「ダーツの旅」。
ご覧になった方もいるかもしれませんが、日本地図にダーツを投げ、ダーツが刺さった場所(市町村)に芸能人が行って、地元の人々と触れ合うというテレビ番組のことですね。何とこれを社員研修でやっているのが、小売り向け卸商社である株式会社ラクーン。その名も『社長と行く 1泊2日 ダーツの旅』!「社長と行く」というのが、なかなか"ミソ"ですね。

入社式後、新入社員代表が日本地図にダーツを投げて行き場所を決め、そこに社長と新入社員たちが向かいます。宿の予約や交通の手配などは、新入社員がその場で手分けして担当。入社式後、だいたい2時間程度で出立するそうです。ハプニング続出、ほとんど行き当たりばったりの旅の中で、新入社員たちは自ら研修旅行を組み立てていかねばなりません。
そして夜、宿では社長が会社創立時の思い出や起業までの決意、企業風土などを語ることで、新入社員に、ラクーン社の社員としてのDNAを受け継がせていくのです。

「ダーツの旅」という偶然性を活かし、新入社員にプロジェクト(この場合は社長との旅行)の企画と運営の実地訓練をさせる・・・なかなか実践的な研修かもしれません。

人を笑わせ納得させるプレゼンテーションを。「漫才研修」

社長が「一流のビジネスマンは、一流の芸人であれ」という持論を持つことからスタートしたのが、中古車・バイク用品を扱う株式会社アップガレージの「漫才研修」。1日でオリジナル漫才を作り上げるという内容です。
お笑いタレント養成学校の講師がレクチャーを担当し、いわゆる"漫才のネタ"を考えます。そして自分たちで作ったネタを、社員の前で自ら披露するという研修です。
笑いは時として、ビジネスを円滑に進める作用があります。そこで笑いのツボを考えることで、ビジネスをスムーズに進めるコツを学ばせます。
また、人を笑わせ納得させる漫才ネタを創作するということは、考えようによっては究極のプレゼンテーションと言えるかも。ユーモアを学ぶだけでなく、しっかりとしたプレゼン技術の習得にも役立ちそうですね。

漫才

管理職が部下の子育てを体験する「育児体験研修」

研修といえば、なにも新人研修に限ったことではなく、中堅社員に対する管理職研修などもあります。そんな管理職研修でもユニークなのが、「育児体験研修」。
東京都の某情報サービス会社は社員の約6割が女性で、小さなお子さんを育てながら働いている人も多いそうです。しかし保育園のお迎えなどで時間が制限されたり、お子さんが病気になって急に休まねばならなくなたったりと、上司や同僚、家族といった周囲の理解がなければ、なかなか仕事に没頭しづらいのが現実。実際、このような状況でキャリアを諦めた女性社員は、決して少なくありません。

また、特に上司が独身の男性などの場合、部下である子育て中の社員にどう対処したらいいか分からず悩む、ということも多いのです。そこで同社では、上司である管理職が女性社員に変わって子育てを行うという研修を企画・実施しました。

夕方になると、女性社員に代わり上司が保育園に子どもをお迎えに行き、食事やお風呂の世話をするというものです。夜、仕事を終え帰宅した女性社員にバトンタッチ。女性社員は夜まで仕事に没頭でき、上司は、子育てと仕事を両立しようとする女性社員の大変さを、身をもって体験できるわけです。それによりチーム全体で効率的に働こうとする意識が芽生えて、「働き方改革」にもつながったそうです。

実際に、このような研修を行うには、クリアせねばならないハードルがかなりあり、簡単には実施できないかもしれませんが、非常に面白い試みだと思います。

育児体験

実際に子育てして、初めてわかることも多いのだとか。
(写真はイメージです)

今日的テーマと普遍的テーマの組み合わせで「研修」は加速する

冒頭で紹介した「ハニートラップ研修」は、現代のようなコンプライアンスが重視される時代においては、企業のリスク回避という点で必然的なテーマと言えるでしょう。そういう意味ではこれからも「会社の宴会でのお酒のすすめ方・いただき方」や「部下を不快にさせず仕事を頼む方法」といった研修が登場するかもしれません。いや、すでにあるかも・・・。
「育児体験研修」も、同様に非常に今日的なテーマといえます。男女雇用機会均等法が施行されて32年、少しずつですが子育てしながら仕事に邁進できる環境が整いつつあるような印象も受けます。時代の変化に、一人ひとりの意識をマッチさせる必要があります。

一方、「社長と行くダーツの旅研修」は、急に決まった行き先にどのように対応するか、という仕事の根本に通じるスキルを、実践的に身に付ける研修です。また「漫才研修」は、笑わせるネタを考え披露することによるセルフプロデュース力、プレゼンテーション力を身に付ける研修となっています。つまり会社が社員に求める能力を磨くという、「研修」の永遠普遍のテーマでもあり、まさに研修の王道と言えます。ただ手法が目新しいだけです。
会社の研修は、このように今日的なテーマと普遍的・王道的なテーマが絡み合いながら、これからもどんどん進化を遂げていくでしょう。

皆さまの中には、社内研修に携わっておられる方もいるかと思います。研修は必ずしもユニークである必要はありませんが、社員の興味やヤル気を引き出すために、今回挙げた研修例をちょっと参考にされてみてはいかがでしょうか。

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著者 OPTAGE for Business コラム編集部

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