ご存じですか?車の運行管理の重要性が高まっています!

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レースカー並みの遠隔運行管理システムが、業務車両や一般市販車にも?

「F1グランプリ」というと、あの"♪ジャジャン!ジャジャンジャジャン!ジャジャン!"というテーマソングが頭に鳴り響きますね。世界最高速レベルの自動車を極限状態で操りながら、コンマ01秒の速さを争う自動車レースです。近年のカーレースは最先端ICT技術の実験場とも呼べるほどのもので、レーシングカーの走行状態はもちろん、ドライバーの一挙手一投足までもがリアルタイムでピット(競技車の整備やレース管理を行う場所)のスタッフに伝わるようになっており、各チームとも、そのデータからレース戦略を立てているのです。

レースカーほどでないとしても、近年の市販車もまたハイテク技術の塊といってもいい存在です。走行状態はコンピューターによって管理され、運転席のディスプレイにはさまざまな情報が表示されます。そこに最先端の通信技術が加わり、離れた場所からでもしっかりと自動車の運行管理を行う時代になりつつあります。

自動車と通信技術との結びつきは、「カーナビ」の登場が最初と言えるかもしれません。次に高速道路の料金管理システムである「ETC」も、車と通信テクノロジーが融合したものです。
これらの技術をベースにし、いずれレースカー並みの走行データが、運転者以外の人に把握、管理される時代がやってくるかもしれないのです。

レーシングドライバー並みに、あなたの運転状況が分析される日がくるかもしれません。

高齢者の運転・運行をしっかり管理し、事故を未然に防ぐ

なぜ、遠隔からの自動車運行管理が必要なのか、それには大きくわけて、2つの要因が考えられます。ひとつは、社会的な問題となってしまった感がある「高齢者の運転」。

ブレーキとアクセルの踏み間違いによる事故、高速道路の逆走などは今や日常茶飯事といってもいいほど。行政は「運転免許の返納」をアピールしていますが、「車がなくては生活できない」という方も多く、なかなか難しい問題でもあります。現在、免許更新時75歳以上になる人は「高齢者講習」に加え「認知機能検査」を受けなくてはなりません。一方、自動車メーカー側でも急発進停止など運転サポート機能を充実させてきましたが、それでも対策としては充分とは言えません。例えば認知症が急速に進行し、一人でふらりと車で出かけてしまう・・・ということも考えられるのです。その対策として注目されてきたのが、遠隔で自動車の運行管理ができるシステム。このシステムがあれば、高齢者の車が今どこを走っているのかがすぐに把握でき、事故防止につながると期待されています。

また将来的に細かな運転状況も記録できるようになると、急ブレーキや急発進などの有無から無理な運転をしていないか、アクセルとブレーキの踏み間違いを誘引する可能性はないか等を、事前に検討できるようになります。「歳をとっても、運転には自信がある!だから大丈夫!」と主張する高齢者は多いと思いますが、具体的なデータを元に家族で運転適性について話し合うことで充分な注意を促したり、場合によっては免許返納を決意させるきっかけにできるかもしれません。

ドライバーの運転適性確認、配車の効率化など、業務車両でも絶大な効果

遠隔からの自動車運行管理が必要なもうひとつの要因は、業務車両のスムーズな運行管理を行うことによる「安全対策」「業務改善」および「渋滞対策」です。

業務として使われる自動車というと、旅客用のバスやタクシーなどから物流用のトレーラーやトラック、軽トラまで、さまざまな用途のものがあります。ドライバーは企業の一員、業務の一環としてそれらの車を運転する訳ですから、ある意味、通常以上にしっかりとした運転・運行が求められます。

遠隔運行管理システムなら、ドライバーの「運転傾向」というものが詳細に把握・分析できるので、安全指導に結びつけられるようになります。例えば「渋滞でイライラした動作が見られる」「アクセルの踏み込みが急」など、本人も自覚していない運転傾向を明らかにすることで、事前に指導するのはもちろん、無線やメールなどで都度、警告を発して注意を喚起できるようになります(このあたりの効果は、高齢者向けと同じですね)。

また業務面では、車両位置が瞬時にわかるため配車がスムーズにできたり、車両の稼働実績を分析することで、適正な車両保有数を導き出しムダを排除できるなど、業務の効率化を促進できます。さらに、交通渋滞データなどと併せて活用することで、渋滞する道を回避できるなどの効果も考えられます。

ICT技術が可能にした渋滞緩和策、政府や自治体がこぞって推進

「渋滞緩和・解消」については、現在、政府の大きなテーマにもなっています。その理由は、渋滞による経済損失が1年で約12兆円(国交省資料より)と試算される点。そして渋滞緩和により、車のCO2排出量を抑制したいという考えからです。そこで国土交通省は昨年度より、ICT技術を使った社会実験をスタートさせました。

次世代ETC規格である「ETC2.0」を搭載した自動車と路側機との通信により得られた情報をベースに、AIカメラや高度化光ビーコンを活用して得られたデータ等から多角的に道路状況を把握。過去の渋滞を学習・分析したAIが予測を行い、信号制御、交通規制を行うことで、渋滞の解消を目指すという試みです。現在、神戸や軽井沢などの観光地で実験が進んでいます。またこのような渋滞緩和の社会実験は、政府主導だけでなく奈良や名古屋など自治体単位でも試みられています。

これらの社会実験が意欲的に取り組まれるようになったのは、ICT技術が進化し、自動車の遠隔管理が比較的、容易に構築できるようになったからでもあります。従って、技術が進化するのに合わせて、新たな渋滞緩和の試みもなされることでしょう。

渋滞は人をイライラさせます。渋滞緩和でイライラも緩和できれば、
事故を起こすリスクが下がるかもしれません。(画像はイメージです)

企業の責任として、社用車の運行管理が求められる時代

ひところ「見える化」という言葉が流行りましたが、ここでご紹介した遠隔運行管理システムは、業務分野においてはまさに、業務車両の使用状況や運転の仕方の「見える化」に他なりません。「見られる方=社員」にとっては、自分の行動が"丸裸"にされるわけですから、あまり気持ちのよいものではないかもしれません。

ただ業務時間中における社員の行動の「見える化」は、企業のコンプライアンスとガバナンスが重要視される時代においては、当然のことといえます。ましてや企業名の入った社用車やトラックを運用している場合、会社の看板が走っているのと同じことですので、ドライバーが交通ルールやマナーに則った運転を行っているかどうかをしっかり管理することは、会社の責任問題でもあるわけです。

かつてこのような遠隔運行管理システムを導入しようとした場合、膨大な費用や手間が必要で、大手の企業しか導入できませんでした。しかし、最近では、高速通信時代の到来により、低価格で手軽に構築できるシステム、サービスがたくさんできています。
社用車や運搬車両を保有されている企業では、ぜひ一度、このようなシステム、サービスの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

◎製品名、会社名等は、各社の商標または登録商標です。

社用車は、会社の看板。企業には、しっかりとした運行管理が求められます。
(画像はイメージです)

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著者 OPTAGE for Business コラム編集部

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