今、学校が変わりつつある!ICTが拓く「授業革命」

今、学校が変わりつつある!ICTが拓く「授業革命」
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今や「生徒ひとりにPCやタブレットが1台」が当たり前の時代に

つい3か月ほど前のことになりますが、筆者は別の要件である公立小学校を取材しました。その学校は設立6年目ということで施設はまだまだ新しく、しかも校舎は大きな吹き抜けがあったり、天窓から燦々と陽の光が注いでいたり、今まで抱いていた学校のイメージを大きく超えるものでした。

学校の中を巡っていると、やがてコンピュータ室の前に来ました。そこには数多くの最新タブレットと、タブレットに接続されたキーボード、マウスが見えました。「さすが、新しい学校ですね!」と私が言うと、案内をしてくださっていた校長先生が、「いやいや、こんなのは今や当たり前でしょう」と笑いながらおっしゃいました。

そうか、当たり前なのか・・・。個人的な話で恐縮ですが、私の子どもが小学校を卒業してからも、もう5年以上経ちます。その間、随分と授業におけるICT活用は進んでいたようです。学校でICT技術を活用し、子どもたちの興味を掻き立てる授業・・・、あまり勉強が好きでもなかった筆者にとって、とても興味のある内容です。ということで、今回は、学校の授業とICTについてお話したいと思います。

ニュース番組の手法を分析し、自分たちでニュースを作る授業

先にも書いた通り、学校の授業における「ICT活用」というと、教科書や副読本に加えタブレットやPC、大型テレビを使う授業が普通ではないかと思います。もちろんそれで、充分、意味があることだと思います。でも、ここでご紹介する限り、もう少し内容的に"面白い"授業がないのかな~と思っていたら、ありました!とある学校での6年生の取り組み。テーマはズバリ、「ニュース番組を作ろう」。

どんな授業かというと、テレビのニュース番組を録画し、生徒みんなで見て研究します。何を研究するのかというと、ニュースそのものではなく、テロップ(字幕)の出し方やシーンが変わる時の画像処理の方法、さらにはアナウンサーの話し方などについて。そして、充分に(子どもなりに)分析した後、なんと自分たちでニュース番組を作り、PCを使って編集させるのだそうです。その際、自分たちが分析した"ニュース番組のやり口"をなぞって、番組を作るそうです。楽しそうですね!

この授業が注目すべきなのは、AV機器を使ったニュースの撮影とPCによるビデオ編集という操作面でのICTスキル向上を目指すとともに、"ニュース番組というコンテンツを編集し制作する"というソフト面でのスキルを身につけさせようとしている点にあります。

出来上がったニュース番組は、学校で放映するだけでなく、地域のネットで放映するなども検討されており、子どもたちにとっても忘れられない授業になったのではないかと思います。

「遅延映像表示」を使い、走った後にすぐフォームなどをチェック

ICT技術は、体育の場でも活用されています。

「遅延映像表示装置」というものを、ご存じでしょうか。難しそうな言葉ですが、早い話がDVDレコーダーの「追っかけ再生」つまり、録画しながら再生する機能を使い、撮影した動画を任意の時間に遅れて再生できるようにしたものです。

体育のハードルの授業で、自分が走った後、液晶ディスプレイに映った遅延映像によってフォームなどを確認させるというものです。「遅延映像表示装置」がなかった時代に同じことをやろうと思えば、1組が走るたびに録画を停止。さらに最初まで巻き戻して再生。1組のみんなで確認し終わってから、2組スタート、録画・・・。まぁこれではいくら時間があっても、足りませんね。「遅延映像表示装置」があって、ほぼ自動で映像再生できるため、走り終わった子どもはすぐに自分の走りを確認し、次の実走に生かせるわけです。

冒頭にも書きましたが、「追っかけ再生」自体は家庭用のDVDレコーダーにも装備された機能。「ICT技術」といえば難しそうに思えますが、今ある先進の機器(たとえそれが家庭用であっても)を工夫しながら使えば、充分に先進ICT授業が行えるという好例だと思います。

ICTを使った授業は、生徒に新しい「認識の世界」を与えるかもしれません。

全員の答えを、みんなで見る。そこから議論を始める授業

ICT教育支援ソフトのひとつに、生徒たちが手元のタブレットに入力した内容(答えなど)が、教師のPCに一覧で表示され、教師は誰がどのような答えを書いたのかが瞬時にチェックできる、というものがあるのですが、それを一歩進めた授業例をご紹介しましょう。とある小学校では、本来、先生だけが見られる全員の入力(解答)内容をプロジェクターに投影し、生徒みんなが一緒に見られるようにしました。

ここで教師が生徒に、例えば国語の文章読解で、登場人物の心理状態をくみ取る・・・といった、なかなか答えがすぐに出しづらかったり、正解がひとつではないような問題を出します。生徒はお互いの解答を見てディスカッションしながら、より深く物語を読み込むようになったといいます。

この授業などは、ICTをそのまま活用しただけでなく、今までにはできなかったような授業を教師が"開発"した好例かと思います。道具は使い方次第で、もっともっと活用できるのです。

現代に不可欠な「情報モラル」を身につけさせるツールにも活用

最後に、「ICT時代」を生き抜くための授業として、こんな事例もあることをご紹介しておきましょう。「ICT技術」を使った例といえるかどうかは微妙ですが、ICT時代だから必要な授業かもしれません。それはネットにおける「情報モラル」の問題。SNSやメールを使ったイジメ、ワンクリック詐欺、チェーンメールなどさまざまな問題があります。このような環境の中でも、しっかり対応できるような教育が始まっています。

PC画面上に「仮想携帯電話」を表示し、教室内で友人とメールを出し合います。その時入力した言葉で、相手に誤解を与えるような表現はないか、といった点を教師と生徒で話し合い、チェックします。また、自分が撮った画像などを送りますが、それが携帯の利用料金にどう影響を及ぼしているかシミュレーションして教えるなど、今や子どもたちにも身近な存在になったスマホや携帯が、実は人を傷つける道具になったり、保護者が利用料金を払っているということを実感させるようにしています。

技術だけが発達するのではなく、それらをしっかり使いこなし、本当の意味で「便利で快適なツール」として使いこなせるような教育は、これからも進んでいくでしょう。

現在、全国学校で取り組んでいるICTを活用した授業は、従来のような受け身の「教える授業」から、「生徒自ら取り組む授業」に変わりつつあります。これはまさに「授業革命」といえるかもしれません。そして、このような教育を受けた子どもたちも、あと10年ほどもすれば、あなたの会社に入ってくるかもしれません。その時、ICT活用スキルも情報モラルも、後輩に負けないよう、私たちも勉強していきたいですね。

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著者 OPTAGE for Business コラム編集部

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