どこまで進むオフィスのIT化。その最前線を探る

どこまで進むオフィスのIT化。その最前線を探る
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オフィスのIT化が始まって20年、これからどうなる?

インターネットが私たちにとって馴染みあるものとなってから、かれこれ20年以上になろうとしています。家庭はもちろんオフィスにも、インターネットを軸としたIT化がはじまり、ビジネスにも変革をもたらしました。

個人が自分のデスクでパソコンを使いネットやメールを閲覧し、社内LANの構築によるデータの共有化が、クラウドコンピューティングの先駆けとなりました。そして2010年に入ると、スマートフォン、タブレットを中心にモバイルシフトが急激に進展。またフェイスブックやツイッター、インスタグラムなどのSNSの普及で、さまざまなコンテンツが共有、拡散できるようになりました。

この流れを見て行くと、当初のオフィスのIT化が「会社」というパッケージにおける技術革新であったのに対し、ここ数年は個人レベルにまでその革新の波が押し寄せてきていると言えるでしょう。先月の本コラム「躍進するAI&ロボット!これは救世主か、それとも・・・」で、雑用的な仕事を人間に代わって処理してくれる、アプリ型ロボット「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)」についてご紹介しました。これらもまた、最新式のオフィスIT化の姿です。

今月は、このようなオフィスIT化の最新事情をご紹介しましょう。

有能な秘書として機能するかも! AIスピーカー

ひと頃、AIスピーカー(スマートスピーカー)が話題になりました。AIスピーカーとは、対話可能なAIアシスタント搭載のスピーカーのこと。一昨年あたりの流行語にもなりました。テレビではまだCMが放送されていますので、相変わらず人気は高いのだと思われます。このAIスピーカーをビジネスに利用しようという試みが、すでになされています。

Amazonでは、「Alexa for Business」をリリースし、2017年から一般提供をスタートさせています。できる機能としては、「スケジュール管理」「ToDoリスト管理と処理」「リマインダー」「電話をかける」「会議の設定」などです。
TVコマーシャルから想像するに、「アレクサ、会議室予約して!」などと語りかけながら使用するようですが、ここまでやってくれたら、有能な秘書を一人、抱えているのと同じかもしれません。

対応できる作業領域は、アプリの開発とともにどんどん広がっていくわけですから、いつでも発展途上にあるとも考えられます。しかし日本のオフィス事情を考えれば、みんながAIスピーカーを使いだしたら、うるさくてしかたがないかもしれません。アレクサが別のアレクサの声に反応する・・・なんてことが起こるかもしれませんね。

オフィスにAIスピーカーの人工合成音声が響く日は、果たしてくるのか!?

外出先でも常に寄り添ってくれる部下、AIアシスタントサービス

秘書的な作業を処理させるなら、別にスピーカー型でなくてもよい訳ですよね?そこでご紹介したいのが「AIアシスタントサービス」です。例えばスマートフォンにインストールしたアプリを使い、音声で会話しながら様々な業務を処理させるものです。あなたの指示をAIが理解し、Webコンテンツや社内サーバなどから必要な情報を入手し、処理していくのです。

現在でもアップルの「Siri」など音声応答できる機能がありますが、それをビジネス用にもっと先鋭化させたものと捉えると、わかりやすいかもしれません。

AIアシスタントサービスなら、外出先や移動中でも必要な時に指示を出して作業処理できるので、生産性の向上にもつながります。AIは優れた学習機能を持っているので、使いこめば使い込むほど、あなたの「やり方」に都合よくパーソナライズしていけるのです。まさにかゆい所に手が届くアシスタント、部下になってくれます。

あなたの要望に対し、さまざまなところから回答を見つけ出してくれます。

遠くの仲間と資料を共有しながら、ちょこっと相談。「Web会議」

「会社」という集団組織で働く以上、打ち合わせは欠かせません。そこで大いに役立っているのが「Web会議」。先にご紹介したAIスピーカーやAIアシスタントサービスが、個人の業務改善を通じて会社全体の効率化アップを図るのと異なり、チーム作業の効率化を図るものです。
Web会議とは、インターネット回線を使い、遠くは離れた人同士が、カメラやマイクを使い、実際に目の前で会話しているように、議論ができるシステムです。

「そんなの、前からあったよね」という方もいるでしょう。実際、たとえば「テレビ会議システム」のように本社と地方の支社の会議室をつないで、会議を行うシステムはありました。ただ、その場合、会議室にカメラやスピーカー&マイクシステムを設置するなど、かなり大がかりな設備が必要でした。しかしWeb会議の場合、パソコンやタブレットのカメラとディスプレイ、インターネット回線を使って行うため、大規模な設備は必要ありません。やろうと思えば、今すぐにでもできる、それほど簡単なシステムでもあります。

もうひとつのポイントは、Web会議の主な利用目的は、データの共有であるということです。たとえば、PPTのデータを共有しながらプレゼン戦略を練る。あるいは3次元のCADデータを共有しながら設計図面の修正を行う、といった場合に、Web会議は有効です。そういうパーソナルに使いこなせるという意味では、「Web会議」というより「Web相談」と言った方が、適切かもしれません。

Web会議を活用すれば、打ち合わせのための移動時間や交通費の削減、テレワークの促進といった効果も期待できます。「働き方改革」に伴い、時間や場所に縛られない働き方が広まりつつある中、こうしたサービスの活用は今後さらに促進されるでしょう。

10年後、私たちの仕事はどうなっているのだろう?

加速度的にスマート化が進行する時代。あと10年もすれば、私たちの仕事は一体、どんな風になっているのでしょうか。私たちの代わりにAIやロボットがデスクに座っているのでしょうか。
つい最近、「日経XTECH(クロステック)」に以下のような記事が掲載されました。

「AIやロボットが単純な定型業務を代替した結果、新事業の構想を練る、社内外のトラブルに対応する、人材マネジメントを進める、といった難しい仕事が残ることになる。どれも非定型の業務であり、複雑で曖昧な問題への対応が求められる。こうした問題の複雑さをVUCA(Volatility:変動的、Uncertainty:不確実、Complexity:複雑、Ambiguity:曖昧)と呼ぶ」

日経XTECH 「AIで激変!2030年のオフィスと組織(2019年2月14日掲載)」より

IT化は確かに便利ですが、それにより人間がするべき仕事の質が変わることが考えられます。別の言い方をすれば、日経の言う「VUCA」に対し、しっかりと対応できるようにしておく、あるいは対応できる人材を育てることが急務となっています。「IT化で、楽になったなぁ」と油断していると、本当にAIに仕事を奪われるかもしれません。ある程度仕事をAIに任せて、時間的なゆとりができたら、新しい時代に備えた勉強をしておかねばなりませんね。みんなで頑張りましょう!

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著者 OPTAGE for Business コラム編集部

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