サポート終了まで残り半年...どうする?Windows Server 2008 / R2のリプレース先

サポート終了まで残り半年...どうする?Windows Server 2008 / R2のリプレース先
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待ったなし、迫る「EOS」の期日

もはや待ったなしの状況だ。マイクロソフトは、多くの企業のサーバに搭載されているWindows Server 2008/R2についてサポートの終了(End Of Support:EOS)を宣言しており、その期日が2020年1月14日に迫っている。

2018年12月時点のMM総研の調査結果に基づくマイクロソフトの推計では、稼働中のWindows Server 2008は約47万5300台で、EOS時点では約17万3800台(R2含む)が残存すると見られており、今後さまざまな大規模国際イベントの開催を控え、セキュリティ攻撃の増加が懸念されている。

(図1:Windows Server 2008/R2の稼働状況の推測値(出典:日本マイクロソフト))

EOS後は一切のサービスが終了、待ち受けるリスク

マイクロソフトのライフサイクルポリシーでは、メインストリームサポートと延長サポートの期間が定められている。
メインストリームサポートで提供されているサービスは、仕様変更や新機能のリクエスト、セキュリティ更新プログラムリリース、セキュリティ関連以外の修正プログラムリリースやライセンスプログラムおよびその他の無償サポート、時間制有償インシデントサポートがある。そして、延長サポート期間に入るとセキュリティ更新プログラムサポート以外はサービスが終了する。

Windows Server 2008は、すでにメインストリームサポートが終了して追加の延長サポートの期間に入っているが、その延長サポートも残り半年というわけだ。
EOS後は一切のサービスが終了する。もちろんセキュリティ更新プログラムも配布されなくなり、システムがサイバー攻撃などのリスクに晒されることになる。セキュリティリスクを回避するには、自社の状況に合わせてサーバOSを移行するなどの対応を取るしかない。

オンプレミスでの移行で有力候補となるWindows Server 2016

仮にオンプレミスからオンプレミスへ移行する場合、まず考えられる対応が、Windows OSの後継バージョンへのアップグレードである。多くの場合、新サーバに新OSを入れ、旧サーバからデータやアプリケーションを移行するといった対応を取ることになるだろう。
通常、リリース直後のOSは機能上やセキュリティ上のバグが検出されていない場合があり、一定のリスクをはらんでいるため、アップグレードの候補から外される。さらに、マイクロソフトのサポートライフサイクル上で、EOSまで余裕のあるOSを選択するとなると、メインストリームサポート終了が2022年1月11日で、EOSが2027年1月11日のWindows Server 2016が候補として挙がってくる。

Windows Server 2016は、リリースから約3年が経過し、動作が安定しているという点が大きな魅力である。また、管理者のコントロールが強化されたWSUS(Windows Server Update Services)やセキュリティ脅威の自動検知および修復機能を備えたWindows Defender Advanced Threat Protection(Windows Defender ATP)など、いくつかの改良点や新機能も導入されている点や、Windows 10との親和性、EOSまでの長いサポート期間といった要素も、Windows Server 2016への移行を促すポイントとなるだろう。

なお、マイクロソフトは、2018年10月から最新サーバOS「Windows Server 2019」の一般提供を開始している。Windows Server 2019は、Windows Server 2016と比較して、機能強化や新機能の導入がなされているが、一部の機能は高価な「Datacenter Edition」を選択しなければ利用できないため、注意が必要だ。
とはいえ、Windows Server 2016ではWindows用の「シールドされた仮想マシン」が導入されたが、Windows Server 2019ではシールドされた仮想マシンがLinuxにも対応するようになった。これは規制の厳しい業種の企業などにとっては、大きな利点となるだろう。また、メインストリームサポート終了日は2024年1月9日、EOSは2029年1月9日と、EOSまで余裕があるのもありがたい。
まだリリースされたばかりのOSではあるが、状況次第では、Windows Server 2019への切り替えを検討する価値はあるだろう。

クラウド移行を検討するケース

その一方で、オンプレミスで移行を実施しようとすると、どうしても物理サーバの手配などでコストと期間を要してしまう。また、無事サービスインしたとしても、サーバのハードウエア障害への対応など、管理コストもかかることになる。
この点、IaaSなどのサービスを利用してクラウドにシステムを移行すれば、物理サーバ手配の手間や管理コストを避けられる。システムのセキュリティ要件などで問題がないようであれば、このタイミングでクラウドへの移行を検討するのも一つの手と言えるだろう。

そこでマイクロソフトでは、Windows Server 2016へのリプレースに伴い、EOSをまもなく迎えるWindows Server 2008/R2に対して、Microsoft Azureに移行すれば無償でセキュリティ更新プログラムをさらに3年間利用できるという内容の特別キャンペーンを打ち出している。アプリケーションなどの対応のめどがたたない管理者にとっては、3年間の猶予を得られるのは大きい。
また、日本マイクロソフトでは、Windows Server 2008/R2から最新バージョンなどへの移行支援をする「マイクロソフトサーバー移行支援センター」をパートナー各社と共同設立しており、サポート体制を整えている。

なお、マイクロソフトでは、Windows Server 2008/R2の移行先として、オンプレミス3種類とクラウド4種類の合わせて7種類を示している。このあたりは、移行前に自社システムの状況を確認し、どの部署で、どのようなサーバが、どのような目的で使われているのかを調べた上で、適切な移行先を選択すると良いだろう。

(図2:Windows Server 2008/R2の移行先)

またWindows Server 2008は、社内用サーバとして利用されているケースも多いことから、自社専用のクラウド環境を準備できるプライベートクラウドも移行先候補の一つとなるだろう。プライベートクラウドは、自社設備内にクラウドリソースを設置して使用するオンプレミス・プライベートクラウドと、クラウド事業者が自社の設備資産を占有型としてセキュアに提供するホステッド・プライベートクラウドに分かれるが、システム構成のカスタマイズ性を重視するのであれば後者となる。

また、ホステッド・プライベートクラウドは、自社でハードウエアを保持する必要が無くなるため、ハードウエア保守対応のコスト削減にもつながる。サーバリソースの準備や新規回線の敷設といった作業もクラウドサービスを提供する業者に任せられるため、システムの業務運用などに人的リソースを集中投下することも可能となる。
仮想的に分割された区域には専用線やVPNでアクセスするため、外部と通信する必要はなく、従来のパブリッククラウドにはなかったセキュアな運用がある程度担保されているのも特徴だ。

そのような点から、今回のEOSを契機に、オンプレミスからプライベートクラウドへと移行する企業も少なくないだろう。ただし、クラウドへの移行には、業務アプリケーションの動作確認や、IPアドレスなどの各種設定変更が必要となる。そのため、ある程度の移行ノウハウが必要になるということは頭に入れておくべきであろう。

EOSは新システムを導入するチャンス

Windows Server 2008/R2のEOSは、管理者にとってシステムの棚卸を行うチャンスであり、新システムの導入にチャレンジする機会にもなる。
Windows OSの後継バージョンへアップグレードするか、Microsoft Azureを導入するか、それ以外を選択するか。いずれにしても、自社システムに求められる要件をいま一度把握し、組織の規模やランニングコストを鑑みつつ、来るべきEOSにしっかりと備えていきたい。

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著者 OPTAGE for Business コラム編集部

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