- 公開日:2019年09月25日
安全な環境下での「テレワーク」が、会社の魅力を高める!?
「働き方改革」を本当の意味で実現する、有効な一手はあるか?
「働き方改革関連法」が施行されて、すでに半年。あなたの会社では、何か変化があったでしょうか。「働き方改革」でも話題となりやすいのが、「時間外労働」と「有給休暇」だと思います。特に時間外労働については、上限が厳しく取り決められ、遵守するためにいろいろ苦心されている会社も多いことでしょう。
一方で隠れ残業やサービス残業がより巧妙化したり、「残業時間に上限ができたので、残業手当が減って家計が苦しくなる」という社員側からの声も聞かれます。労使共に万々歳とは言い切れない点が、この問題の深刻さを表しているのではないでしょうか。ひょっとすると、「働き方改革」で問われていることは、単に残業や有休といったことではなく、「会社で働く」ことの意味なのかもしれません。
雇用関係をごく単純に言うと、「社員の時間を会社が買う」ということになります。就業時間が午前9時から午後6時までだとすると、社員の休日以外のその時間帯を会社が拘束して仕事をさせ、その代わりに給料を払うのです。そして、その時間帯はまず、会社に居ることが求められます(営業、出張、出向など会社に居なくてよい場合もありますが)。このような構造自体が、やがて変わる可能性があります。
社員が会社というひとつの場所に集まって仕事をするのではなく、異なったさまざまな場所で仕事をする、つまり「テレワーク」が、問題解決のひとつの方法かもしれないのです。
知らないうちに、もうかなりの方が「テレワーク」を体験済み
「テレワーク」というと、出社しないで自宅などで仕事をすることだと思いがちですよね?
一般社団法人日本テレワーク協会によると、「テレワークとは、情報通信技術(ICT = Information and Communication Technology)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のこと」とされていますので、確かに在宅や社外での仕事のようにも思えます。
しかし上記日本テレワーク協会のサイトには「テレワークは大きく3つに分けられる」とあり、以下が紹介されています。
(1)在宅勤務
自宅に居て、会社とはネットや電話、FAXで連絡をとる働き方
(2)モバイルワーク
顧客先や移動中に、パソコンや携帯電話を使う働き方
(3)サテライトオフィス勤務
勤務先以外のオフィススペースでパソコンなどを利用した働き方。会社専用の社内LANがつながるスポットオフィス、専用サテライト、数社の共同サテライト、レンタルオフィスなどの施設が利用される。
(2)や(3)は、すでにあなたの会社でも行っているのではないでしょうか? 営業で外回りの最中、LTEを使ってモバイルパソコンで会社のサーバにアクセスする、あるいは出張した支社から社内LANに接続して仕事を行う・・・今や、ごく普通の光景ですね。すでに私たちの多くは、「テレワーク」に足を踏み入れていると言えるのではないでしょうか。
これをさらにもう一歩進め、場所(会社)と時間(就業時間)にこわだらない就労を前提とした雇用関係まで広げてもいいかもしれません。
テレワークを導入する際に、どんな点が問題となるか
ところで「テレワーク」に似たものに、「ノマドワーカー」があります。「ノマド」は「遊牧民」という意味で、自分のオフィスを持たず、カフェや行った先などで仕事をする人をいいます。会社外で仕事をする点で共通していますが、「ノマドワーカー」は一般に個人事業主やフリーランサーを指すことが多く、会社員が会社外で仕事をする「テレワーク」とは別のものとして考えられることが多いようです。
「テレワーク」にしても「ノマド」にしても、このような働き方のスタイルが可能になったのは、高度なICT技術が確立したからに他なりません。ネットでつながっていると、会社外でも社内にいるのと同様な環境で仕事ができますし、今やWeb会議システムを使えば、遠方にいる社員と顔を合わせて打ち合わせすることも簡単です。
しかし、そんな便利な時代だからこそ、注意しなければならないことがあります。ひとつは「セキュリティ」の問題。もうひとつは、テレワーク用端末をどうするかという問題です。
まずセキュリティの面では、会社内ほどセキュリティが徹底されていない個人家庭や街中のネットワークを利用することによるサイバー攻撃の被害が懸念されます。それに加え、街中でパソコンの画面を開きっぱなしにして、誰にでも見られる状態にしてしまう・・・そんなヒューマンエラーも考えられます。
さらに総務関連の方にとっては、社員に携帯させるテレワーク端末の手配が、頭の痛い問題ではないかと思います。テレワークでは特に、セキュリティ対策が万全で、持ち運びにも適した機器を社員に提供する必要がありますが、それらの管理にしても、かなりの手間とコストが発生するからです。そういう面でも、導入はそう簡単な問題ではないかもしれません。
閉域ネットワークの活用や、セキュリティ意識の徹底で安全性を高める
しかしこういった課題から、「だからテレワークって危険なんだ」「当社ではテレワークは認め難い」と早計に決めてしまうのは、ちょっともったいないかもしれません。なぜなら「テレワーク」自体は、社員にとっては極めて魅力的な働き方と捉えられるからです。そんな働き方を導入している企業は、就活や転職活動を行っている人を引き付け、より良い人材確保につながる可能性があります。
まずネットワークのセキュリティ問題については、過去の記事でもご紹介していますが、リモートでもSIMカードと閉域ネットワークを組み合わせることで、セキュアな通信環境を構築する方法があります。
(参考記事:リモートアクセスをセキュアに、VPNで実現するモバイルワーク)
また、セキュリティは何もサイバー攻撃に限ったことではありません。まず使う人の意識として、多くの人がいる場所で画面を見られる状態にしない、画面ロックする習慣を付けるといった意識の徹底を図ります。その上で「のぞき見防止フィルター」を使ったり、盗難防止用のグッズを用いるなど、使用時におけるセキュリティ対策をルール化するようにしましょう。このようなセキュリティ体制を構築することで、テレワークも安全な環境下で推進できるのです。
2つ目の課題としてあげたテレワーク端末の管理については、今、非常に注目されているPCLCM(パソコンライフサイクル管理)サービスなどの利用を検討してはいかがでしょうか。PCLCMとは、パソコンの調達から運用・回収までの一貫した業務をトータルで支援するサービス。機器の置き換えに対する手間やコストなど、企業にとって大きな負担となる管理業務のアウトソーシングが可能になり、総務やIT部門の担当者の負担を抑えながらテレワーク導入を進めることができるのです。
働き方について、社員にも"選択肢"がある。>それが会社の魅力につながるのかも
「テレワーク」が労働時間規制から外れやすいことから、「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」を想起される方がいるかもしれません。「高プロ」が、長時間労働を黙認するものとして批判があることは事実です。従って「テレワーク」も、四六時中、労働可能環境にあるものとして批判を受けることもあるでしょう。しかし重要なのは、さまざまな「働き方」から社員が自分に適合したものを選べることではないでしょうか。
企業は、全社員が同じ目標に向かって邁進する営利追求の組織です。そのためには規制もあれば、個人を縛るルールがあっても然るべきだと思います。しかし、その規制の範囲内で、
・毎朝定時に会社に行き、就業時間中、しっかりと働くという道
・時間や場所に縛られずテレワークを行い、実績をあげるという道
・高度プロフェッショナル契約をする道
など、社員が自分に合った「働き方」を選べる会社が、非常に魅力の高い会社になっていくのではないでしょうか。
私たちが今行っている「働き方」というものは、今まで延々と続いてきた歴史の上に成り立っています。それを変えるのは並大抵のことではありません。だからこそ、「働き方改革」が叫ばれている今、「テレワーク」など、会社の新しい施策となるシステムの可能性について、考えていただく意味があるのではないかと思います。
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