CMSを導入・運用するにあたって、知っておきたいこと

CMSを導入・運用するにあたって、知っておきたいこと
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Webの新着情報発信は、CMS導入により自社内で処理

今や自社サイト(ホームページ)を開設している企業は、かなりの数にのぼるでしょう。自社の紹介や商品訴求、さらにはリクルート等、さまざまに活用されていることと思います。

かつてサイトを制作しようと思えば、HTML(Hyper Text Markup Language=ページを記述するための言語)、CSS(Cascading Style Sheet=レイアウトやスタイルを指定するための言語)といったサイト制作についての知識、制作技術を持ったプログラマーやWebデザイナーに外注することが多かったのではないでしょうか。

しかし近年、このような専門知識がなくともテキストの更新や画像のアップロードが行え、Webサイトの更新ができるようになりました。そのためのシステムを「コンテンツ・マネジメント・システム(Contents Management System)」、略して「CMS」といいます。このCMSを使えば、ブログやSNSをアップする程度の操作性で作業できるため、新着情報の更新などを自社内で処理している企業も増えています。

また、処理を自社で行うことで多くのメリットが生まれました。まず、必要な情報をタイムリーに発信できる点。次に新製品などの重要な秘匿情報が外部に漏れるリスクを低減できる点。そして外注費用を抑えられる点などが挙げられます。

いいことずくめとも思えるCMSですが、当然ながら導入・運用するにあたっては注意すべきことがあります。導入後すぐにWebの閲覧数が上がるということもありません。せっかくのシステムをうまく運用するためには、どうすればいいのか・・・今回はCMSを上手に活用するためのポイントを解説したいと思います。

CMS運用は、簡単!しかし導入には専門的知識を持つ人材が必要

先に少し書きましたが、CMSはWebサイトの更新が、ブログやSNSに記事を投稿する感覚で行えます。ブラウザ上で作業用Webページにアクセスし、文字入力や表示させたい画像を指定し、「更新」操作を行えば、文字や画像が自動的にレイアウトされ公開されます。

つまりパソコンでメール送受信や「Word」などのワープロソフトを使う程度のスキルがあれば、ほぼ誰でも操作できます。

しかし、当たり前ですが「誰もが簡単に操作できる」から、「Webに対する知識や技術がなくてもいい」というわけではありません。特に「Webサイト制作や更新を自社スタッフで処理し、その分、外注費を抑えたい」という要望をお持ちの場合、専門的な知識・技術を持つ従業員は不可欠となります。そういった従業員がいることで、目的に対し要件をしっかりと定義した、サイト制作や更新を行うことができるからです。

また自社にとって効果的な運用を図るには、その運用に適したCMSの構築が必要となります。この初期的な作業においては、Web制作会社やソフトウエア開発会社などに依頼する場合がありますが、その際、それらの外注先としっかりと打ち合わせできるよう、Webマーケティング面を含め十分な知識を持っている担当者がいた方が、作業がスムーズに進みます。

自社に最適なWeb運用を図るためにも、外注先企業にしっかり指示できる人材が必要です。

「WordPress」「Drupal」など、オープンソースの使用についての課題は?

さて、ひと口にCMS導入といっても、いくつかの方法があります。大きくふたつに分けられますが、ひとつは「WordPress」「Drupal」など、一般公開されているオープンソースを使って構築する方法。もうひとつは自社だけの独自のCMSを開発する方法です。

オープンソースとは、ソースコードが商用、非商用を問わず誰でも無料で利用、頒布することが許諾されているソフトウエアのことです。オープンソースの代表格ともいえる「WordPress」は、もともとブログ構築用のソフトとして生まれ、今や世界中で広くWebサイト制作ソフトとして活用されています。同時に多くの人の手によってソフトの修正や向上が加えられており、テンプレート類も豊富に揃っています。ただ、使いこなすためには、ある程度の専門的な知識が必要となります。
またWordPressに匹敵する人気を持つ「Drupal」は、一般的にWordPressに比べカスタマイズがしやすく複雑なプロジェクトの処理に優れているといわれています。そういう点では、WordPressよりも企業などでの使用に適しているでしょう。

世界中で使われている「WordPress」や「Drupal」ですが、このようなオープンソースの場合、脆弱性が発見されやすく悪意を持つ者の標的になる可能性があります。そして「無料」で使えるだけに、利用においてはあくまで自己責任となりますので、「無料でできるし簡単そうだから、何とか自社で構築しよう」などと、安易に取り組むのは危険です。

企業の場合、やはりセキュリティや効果的なWeb活用を考えても、独自開発する方が適していると考えられます。もっとも「独自開発」といっても、一から開発している企業はあまり多くなく、先に紹介した「Drupal」などのオープンソースのソフトウエアや、有料で提供されているソフトウエアを使用し、要望に応じてカスタマイズを加えていくケースが多いのではないでしょうか。その場合、企業はソフトウエア開発会社などの外注先企業に月額の利用料などを支払う必要がありますが、その分セキュリティやサポートを保証してくれるので、自社Webサイトを安心して任せることができます。

では次に、構築にあたってはどんなポイントを押さえておくべきかをご説明したいと思います。

自社Webサイトで何をしたいのかを、必ず明確にしておくこと

CMSに限らず、自社でWebサイトを展開する際に最も重要なことは、「サイトの運営によって何を達成したいのか」、つまりコンバージョンを明確にすることです。

一般に企業サイトの主たる目的としては、

①自社の商品やサービスのアピール

②企業イメージの向上

③EC(自社商品のネット販売など)

④リクルート

⑤投資家に向けたIR情報の発信

などがあります。

もちろん上に挙げた5つのポイント全てで成果を挙げたいという思いもあると思いますが、まずは優先順位を付け、外注をする場合には、目的をしっかりと外注先企業に伝える必要があります。

外注先企業ではその要望を元にソフトをカスタマイズし、目的を達成するのに適したWebサイトを構築してくれるはずです。またCMSの入力画面なども、目的に合わせた操作性を追求してくれるでしょう。

一度構築したからといって、CMSは決して不変ではない

社会が時代に合わせて変化していくように、Webサイトの世界も変化していきます。IT技術は日進月歩で発展しており、昨日までできなかったことが、今日、突然可能になることもありえます。それに加え、インターネットに対峙する人間の心理も変化していきますし、企業側のWebサイトに求める成果が変わることも考えられます。つまりせっかく構築したCMSも、いつかは陳腐化します。CMS、というよりインターネットの世界は、ある種「生き物」のようなものだと考えておいた方がいいかもしれません。

また、実際に運用して「初めてわかった」という問題が出てくる可能性もあります。アクセスログの解析などによって、閲覧者(お客さまなど)が予想外の反応を示すことも考えられます。このようなケースを想定して、外注企業とは初期の段階で、どこまで機能拡張や改修が可能なのかを考えておかねばなりません。決めたことはしっかり書面として残し、後々、齟齬をきたさないようにしておく必要もあるでしょう。

しかしCMSの拡張、改変以上に留意していただきたいのは、人材の育成です。CMSでWebサイトの更新が手軽にできたとしても、それで目的が達成したわけではありません。企業としてしっかりとした成果が上がらねば、Webサイトを展開する意味はないといえるでしょう。

そのためにもマーケティング面も含め、Webをしっかり理解できる人材を育成する必要があります。自社に適正人材がいなければスカウトすることも考えた方がいいかもしれません。

CMS構築を依頼する外注先企業には、このような人材育成の面も含めて自社の課題、Webサイトで達成したい成果を明確に伝え、パートナーとして共に目標に向かって進んでもらえるようにしましょう。

◎製品名、会社名等は、各社の商標または登録商標です。

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著者 OPTAGE for Business コラム編集部

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