仕事のミライを切り拓く「フューチャー・オブ・ワーク」とは

仕事のミライを切り拓く「フューチャー・オブ・ワーク」とは
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ポスト・コロナ時代の「働き方」は、どうなっていくのか、その答えは?

昨年の4月1日より一部施行された「働き方改革関連法案」は、大企業のみならず中小企業においても、これまでの働き方を大きく見直す契機になったといえるでしょう。ただ「働き方改革」の本来の定義、目的は、『働く人びとが、個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、自分で「選択」できるようにするための改革』(厚生労働省による定義)であるにも関わらず、いくぶん「労働時間や有休について、法律で規定されたから否応なく取り組まざるを得なかった」という側面もあったかもしれません。

そして法案施行から1年を迎えようとしていたタイミングで、私たちは「新型コロナウイルス」という未曽有の事態に見舞われたわけです。

いわゆる「3密」を避けるため、企業においては否応なくテレワークや時間差出勤、交代出勤などといった、今までにない「働き方」を求められるようになりました。実際にテレワークなどの措置が取れなかった企業でも、大きな意識の変化があったはずです。

このような時代に注目したいワードに「フューチャー・オブ・ワーク」があります。直訳すると「仕事の未来」。さて、「フューチャー・オブ・ワーク」とは何なのか、どうして注目されているのか・・・。少し解説してみたいと思います。

従来の「働き方改革」を超える、フューチャー・オブ・ワークの概念

フューチャー・オブ・ワークという概念は、アメリカの経営コンサルタント、組織理論家でもあるMITスローン経営大学院のトマス・W.マローン教授が2004年に出版した書籍『フューチャー・オブ・ワーク』に始まります。企業におけるこれまでの働き方が「命令と管理」から「調整と育成」へと変化することを提唱したものです。個人の自由、創造性、価値観を核とした新しい組織の在り方を訴え、21世紀型組織戦略として注目されました。書籍発表からすでに15年以上経過していますが、仕事の現場に高度なICTやAI技術が浸透し「働き方」にも大きな変革が起こりつつあることから、この数年、改めて注目されてきたものです。

このように書くと、「要するに新しいIT機器を使って、仕事を効率化させるということ」、あるいは「仕事の効率化により労働者の満足感を向上させること」とお思いになるかもしれません。確かにそういった一面もあります。しかしフューチャー・オブ・ワークが目指すものは、もっとダイナミックな労働環境の革新にあります。それは、単に作業の効率アップや従業員の満足感・生きがい作り等にとどまらず、労働環境や企業の意識をダイナミックに変革し、「企業が持続可能な競争優位性を獲得するための考え方」を持つことです。このことが、フューチャー・オブ・ワークは「働き方改革」を超えるものであるとされる理由なのです。

フューチャー・オブ・ワークでは特に、以下の3つの要素においてデジタルによる情報技術の変化、つまり「DX(デジタルトランスフォーメーション)」が不可欠とされます。その3つの要素とは・・・
(1)    ワークカルチャー
(2)    ワークスペース
(3)    ワークフォース
次章では、この3つの要素について、解説していきたいと思います。

3つの「ワーク」でのDX推進が、フューチャー・オブ・ワークに不可欠

「ワークカルチャー」とは企業風土や組織文化を指します。長年にわたってその企業が作り上げていた慣習の中には、これからも守るべきこと、守りつつ変えていくもの、変えなくてはならないものがあります。IT化によって以前では不可能だったことが可能になると、「守るべき」ものの範囲や定義も変わるはずです。それらを見極めて企業風土や慣習さえも変革する必要があるでしょう。

「ワークスペース」は、働く場所、つまり「職場」ということになります。これは新型コロナ禍でテレワークが注目されたように、会社の事務所や現場だけが職場となるわけでなく、時にはあらゆる場所が自分の「仕事場」となる可能性を示しています。これを可能にしたのも、インターネットなどIT技術の発達があったからに他なりません。

「ワークフォース」とは労働力のこと。次の章で詳しく述べますが、日本においてはこれからさらに、労働力の不足が問題になってきます。IT化や自動化によって、従来は人が行っていた作業をRPAやAIに行わせることは当然ですが、「フューチャー・オブ・ワーク」においてはRPAやAIの労働力化に加え、さらに流動的な人材起用により柔軟に対応していくことを目指します。

これらの3つの要素は、それぞれが独立したものではなく、相互に関連し合うことでフューチャー・オブ・ワークを切り拓いていきます。例えばテレワークの推進(ワークスペースにおける革新)で、現在、能力があるのに家庭の事情により働き方に制限のある人材が起用できるようになり、労働力不足の解消と作業のクオリティアップにつなげられます(ワークフォースにおける革新)。それが企業に新しい風をもたらし、対外的には「魅力ある企業」としてアピールでき、他社に対し競争優位性を獲得することにつながるのです(ワークカルチャーにおける改革)。ここに「フューチャー・オブ・ワーク」の本質があると思います。

フューチャー・オブ・ワークには、この3つの要素におけるDXの推進が不可欠です。

労働力不足への対策にフューチャー・オブ・ワークの考え方が求められている

フューチャー・オブ・ワークが注目されるもう1つの理由に、労働力の不足という問題があります。特に少子高齢化が加速する日本においては、GDPを引き下げる要因にもなっています。マッキンゼー・グローバル・インスティチュート(MGI)の調査によると、生産年齢人口の減少は2030年までのGDP成長率を0.9%押し下げていくと予測されています。

しかし、このような労働力不足が叫ばれる一方で、あと20年ほどすれば日本の労働人口のうち49%ほどの職業が、AIやロボティクスにとって代わられる、つまり人から職業を奪うようになるということが、ひところさかんに話題となりました。これはどう考えるべきでしょうか?

どちらも「働き方」における考え方が、旧来のままであることに起因していると考えられます。ワークフォースを「人」として捉える考え方、AIやロボティクスを「人の代替」として捉える考え方にとらわれているのです。フューチャー・オブ・ワークで重要なのは、AIやロボティクスを人の代替品として考えるのではなく、協働し人の作業を補足・補完していくものと位置付けることです。また場所や時間など柔軟な働き方を提示することで、今よりも多才な人材登用が可能となります。

MGIの調査では、GDP成長率の低下をカバーするには、労働効率を現在の2.5倍に高める必要があるといいます。もちろん人間の努力だけでできるものではありません。労働力としてAIやロボティクスを活用していくことで、初めて達成できる数値なのです。

フューチャー・オブ・ワークを可能にする、現在のIT技術

冒頭でフューチャー・オブ・ワークを「企業が持続可能な競争優位性を獲得するための考え方」であると説明しました。持続可能な競争優位性を獲得するために必要なことは、優秀な人材の獲得と育成、働く人に都合のよい場所と時間での労働、そして事務処理など日常業務の自動化にあります。ではそのための具体的なIT技術として、現在はどのようなものがあるのでしょうか。

日常業務の自動化においては、パソコンにインストールして使えるソフトウエア型ロボット「RPA」があります。それまで人力で行っていた単純な事務作業を、24時間365日、自動で処理できます。現在も、単純な作業に追われている従業員は多いと思います。営業や製造などの仕事を終えてから残業で事務書類を作成している方もいるでしょう。そんな作業がなくなるだけでも大きな助けとなるはずです。

また、働く人に都合のよい場所と時間での労働環境を実現するには、ネットワークによる情報共有が必要となります。これらには、すでに利用された方もいるかと思いますが、Zoomや、Office 365でのチームコラボレーションのハブとして作成されたMicrosoft Teamsなどの活用があります。もちろん大前提としてセキュリティ対策が欠かせませんが、これについてもセキュリティの優れたクローズドネットワークやクラウドサービスがあり、フューチャー・オブ・ワークを推進するベースはそろっているといえます。

企業を変えるという意志で、新しいIT技術を活用していくことが重要

フューチャー・オブ・ワークの本格的な取り組みは、今始まったばかりだといえます。具体的なカタチは、まだまだ見えてこない部分もあります。ただ考え方として、これからの企業競争における優位性を獲得するには、先にも述べた通り「優秀な人材の獲得と育成、働く人に都合のよい場所と時間での労働、事務処理など日常業務の自動化」が不可欠となります。それを高度なIT技術によって実現していくことがフューチャー・オブ・ワークだといえるでしょう。

IT技術は日進月歩で進化しています。昨日まで不可能だったことが、明日、可能になるかもしれません。専門家でない限り、未来のIT技術予測はなかなか難しいものがあります。しかし「企業を変革する」という強い意志のもと、新しく生まれた技術をいかに活用すべきか常に考えることが、これからますます必要になってくるのではないでしょうか。

これからも企業としての生き残りを考えていくなら、今回ご紹介した「フューチャー・オブ・ワーク」という視点から、ミライを構想してみてはいかがでしょうか。

◎製品名、会社名等は、各社の商標または登録商標です。

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著者 OPTAGE for Business コラム編集部

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