Excelのみの管理はデメリットだらけ!?経営管理業務を効率化する方法

Excelのみの管理はデメリットだらけ!?経営管理業務を効率化する方法
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経営管理で"脱Excel"を図るべき理由

Excelは、集計表や各種レポートをはじめ、ありとあらゆる業務文書・帳票の作成に用いられている表計算ソフトのデファクトスタンダードである。企業規模にかかわらず、多くの企業では、各現場、各部門で日々データをExcel上に蓄積し、それらのデータをそれぞれのフォーマットで管理し、そこから経営層や会計部門、バックオフィス部門などが必要に応じてデータを抽出し、集約していることだろう。

しかしながら、表計算ソフトとして多方面で使用されているExcelにも、「経営管理」に用いることを考えると、現実にはいくつかのデメリットが存在している。

◆入力可能なデータ数が限られている

Excelはシートとよばれる表にデータを入力していくが、行数と列数は最大値が決まっており、1つのシートには最大値以上のデータを入力できない。Excelで入力可能な行数は1,048,576、列数は16,384となっている。
これだけの行数と列数があれば十分に思えるが、例えば顧客データなどを扱う場合、数百万行以上のデータを管理するケースもあるだろう。入力可能なデータ数が限定されているExcelは、そのような大容量のデータ管理には向いていないと言える。

◆データの増加によって処理能力が落ちる

Excelはあくまで表計算ソフトである。そのため、データベースソフトのような処理能力は備わっていない。Excelはデータの件数が増えれば増えるほど、ファイルを開くための時間を要するようになり、処理のスピードも遅くなっていく。パソコンのスペックが十分になければ、何か操作をするたびにExcelがフリーズしてしまう場合も往々にしてある。

◆ファイル管理が属人化しやすい

Excelは目的に合わせた柔軟なデータ処理が可能だが、処理の内容が属人化しやすいという一面も持っている。例えば、複数セルを複雑に連携させた関数を組まれてしまうと、誰も仕組みが分からなくなってしまう可能性がある。Excel管理を実施していた要員が十分な引継ぎのないまま退職してしまうと、目も当てられない状態になる。

◆同時編集によるデータ損失が発生しやすい

データベースでは厳密なトランザクション管理により、複数人が平行して編集することができる。例えば、レコードを更新する場合にはレコードをロックし、更新の競合を防ぐ。また、更新後は直ちに対象のレコードを開放するため、ほぼ同時編集が可能といえる。
しかし、Excelはあくまで個人用の表計算ソフトのため、トランザクションまでは管理できない。Excelファイルを共同で編集できる機能はあるが、同時編集した場合に残すデータを誤ると、重要な更新を失ってしまう可能性がある。

◆バージョン管理が煩雑化しやすい

Excelには厳密なバージョン管理の機能はない。そのため、ファイル名への追記など独自のバージョン管理が必要になる。ファイル名へのバージョンの追記だけであれば簡単に対応できると考える人もいるだろう。しかしながら、更新メンバー全員がルールを守るとは限らない。ルールを守らない人が出てくると、最新版の所在はすぐに不明になる。誤って上書きをしてしまうなどのトラブルも起こりやすい。

◆リアルタイムのデータ更新ができない

Excelはあくまで表計算ソフトであるため、入力したいデータをリアルタイムで反映していくことはほぼ不可能である。VBAを駆使すれば可能な場合もあるが、いずれにしろ取り込むデータは手動で作成しなければならない。さらに、データのフォーマットが合わないと取り込みエラーが発生し、対応に余計な時間を取られてしまう。無理にVBAなどでリアルタイム性を持たせることは非現実的だろう。

(図1:よくあるExcel管理の悩み)

このように、あらゆる業務で活躍し、一見使い勝手が良さそうにみえるExcelも決して万能とはいえない。しかし、これらのExcelのデメリットを理解しつつも、依然として多くの企業で経営管理にExcelが利用され続けているのが実情だろう。Excelは多くの場合、全ての社員のパソコンにインストールされており、社員全員が使用できる。また、処理能力の限界はあるものの、さまざまなフォーマットに対応可能である。さらには他に有効な手立てがなく、止むを得ず経営管理をExcelで実施している場合もあるはずだ。

Excelのみの管理を脱却、効率的な運用を可能とする経営管理ツール

そこで、Excelによる経営管理において発生するデメリットを補えるのが経営管理ツールといわれるものである。独自にERPやCRM、SFAといった基幹システムを構築するには諸費用がかさみ、億単位のコストとなる場合もある。また、自社に情シス部門があればよいが、情シス部門どころかシステム要員すらいない、という企業もあるだろう。そのような場合、パッケージやSaaSのツールを活用すれば、要員の問題や費用を抑えてこれらの仕組みを導入することが可能となる。

SaaSの経営管理ツールは、SaaSの運営元がメンテナンスやプログラムのアップデートを実施するため、経営管理ツールの運用に手間がかからない。その分、費用も割高となる傾向にあり、パッケージ版の2倍程度の費用になることもあるが、自社で同等の機能を持つ基幹システムを構築することを考えれば、割安なのは間違いない。

また、パッケージの経営管理ツールは、SaaSに比べると初期投資を抑えられる。プログラムのアップデートやバグ情報を定期的にチェックし、アップデートの適用も独自に実施する必要があり、サーバにインストールして運用する場合は、当然サーバの初期費用や運用費用も必要になってくるが、少人数で使用するだけなら、作業用パソコンにパッケージをインストールするだけで手軽に導入できる。

昨今では、さまざまな経営管理ツールが各社からリリースされており、ほとんどの経営管理ツールがデータベースを活用している。当然だが、表計算ツールのExcelよりもデータベースを用いた経営管理ツールの方が処理は高速である。パッケージ版であってもデータベースソフトを含んだものもあるため、Excelよりも処理の高速化が期待でき、余計なフリーズなども発生しなくなる。
また、経営管理ツールは、多くの場合データベースを用いたトランザクション管理がなされているため、多数の人員がリアルタイムにデータを更新でき、情報を一箇所に集めやすい。最新の情報を常に表示でき、かつデータのフォーマットがバラバラにならずに済むのもメリットだ。

この他にも、例えば、「売上予算が未達の場合に、具体的にどの部署の売上が未達なのかを確認する」「想定外の経費支出が発生した際に、どの伝票が原因なのかを調べる」など、詳細なデータへのドリルダウンをスムーズに実施できる。ドリルダウンのための設定も経営管理ツールならば簡単だ。

また、経営管理のプロセスに参画する部署や人員は多岐に渡ることが多いが、異なる部署や人員の連携をスムーズにするために、ワークフロー機能を備えている経営管理ツールもある。担当部分の入力が完了したら、次の担当者に回付できるため、どの部署の誰に依頼をするのかが明確である。加えて、ワークフロー上で、現在どの部署が作業中なのかも把握できる。

このように、冒頭で挙げたExcelによる経営管理のデメリットは、経営管理ツールを活用することで解決できるケースが多い。価格帯も、廉価で使いやすいシンプルなサービスから、高価だが手厚いツールまで多種多様であり、自社の経営課題に合わせた経営管理ツールを選択することができる。

Excelと経営管理ツールを上手に共存させる道も

ただし、Excelによる経営管理が長年続いており、簡単には経営管理ツールを導入できないという場合も少なくない。そこでおすすめなのが、Excel連携機能を持つ経営管理ツールだ。

Excel連携機能を使えば、既存のExcelと経営管理ツールのデータを連携させられる。さらに、もう一歩機能が進んだツールならば、Excelデータをそのまま経営管理ツールにインポートすることも可能だ。長年使用されているExcelのレイアウトはそのままに、経営管理ツールへインポート・エクスポートができる。シートの行や列を挿入・削除した場合でも、経営管理ツールが追随して情報修正をするインテリジェントな経営管理ツールもある。
自社の課題解決に合致したツールがないか、時間をかけてしっかりと吟味することが重要だ。

(図2:経営管理ツールとExcelの共存)

経営管理ツールを用いて効率的な経営管理を

Excelは、ほとんどの日本企業で導入されており、コストがかからずに使用できるようにみえる。しかし、実態はデータの増加により遅延する処理や版数管理の煩雑化など見えないコストが発生している。経営管理ツールを導入することにより、見えないコストも削減していけるだろう。

しかし、長年Excelでの経営管理を続けている企業にとって、経営管理ツールの導入は困難を極めるだろう。そこで、Excelデータと連携が可能な経営管理ツールなら、既存のExcel運用も共存できるため、導入・運用のハードルは大きく下げられる。経営管理ツール導入を支援するシステムインテグレーターも活用すると、さらに導入のハードルは下がるだろう。自社に最適な経営管理ツールを見極め、データを効率よく管理していきたい。

◎製品名、会社名等は、各社の商標または登録商標です。

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著者 OPTAGE for Business コラム編集部

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