ニューノーマル時代の問い合わせ応対を考える!チャットボットのメリット・デメリットって知ってますか?

ニューノーマル時代の問い合わせ応対を考える!チャットボットのメリット・デメリットって知ってますか?
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働き方改革やコロナ禍が影響を与える問い合わせ応対業務

働き方改革や新型コロナウイルス感染拡大の影響により、テレワークの導入を検討する企業が急増している。
そうした中、問い合わせ応対業務においても、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために、自粛期間中は電話受付を止め、メールや問い合わせフォームでの応対や対応時間の短縮化に踏み切るケースが増えている。
だが、応対手段を絞ったり対応時間を短縮した場合、ユーザーとの接点が減り、顧客満足度の低下を招いたり業務効率化の妨げとなる恐れもある。そこで、従業員や顧客からのさまざまな問い合わせに対して、プログラムが自動回答を行ってくれるチャットボットの導入がテレワーク推進の後押しとなっている。

問い合わせ応対業務で存在感を増すチャットボット

株式会社ジャストシステムが運営する、マーケティングリサーチに関する情報サイト「Marketing Research Camp(マーケティング・リサーチ・キャンプ)」の「人工知能(AI)&ロボット月次定点調査」[2019年4月~12月度]によると、チャットボットの認知率は全体の約7割、利用経験は全体の約2割であることがわかった(図1)。

(図1:チャットボットの認知率(ジャストシステム調べ))

まだまだチャットボットの普及は道半ばといったところだが、近年ではLINEがチャットボットサービス「LINE BOT」をリリースし、さまざまな企業がLINE BOTを利用したサービスを続々と展開している。また、FacebookやMicrosoftなどのチャットボットプラットフォーム公開を筆頭に、りらいあデジタル社の「バーチャルエージェント」、カラクリ社の「KARAKURI」など、新興企業によるチャットボットサービスも多数リリースされているほか、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、給付金の申請に関する質問の受付や、新型コロナウイルス関連の相談の回答に各自治体でチャットボットが導入されるなど、チャットボットを活用したさまざまなサービスがリリースされており、少しずつではあるがチャットボットは私たちにとってより身近な存在になってきている。

チャットボットは、ユーザーからの質問に対してプログラムが自動で回答するため、24時間365日対応が可能だ。対応するオペレーターの手間や負担を軽減できるメリットもあり、人件費の削減にも力を発揮する。
また、チャットボットは複数の問い合わせにも同時に回答でき、迅速な対応が可能となる。ユーザーがオペレーターとの接続を待つ必要もないため待ち時間もなくなり、オペレーターと直接会話しないため、ユーザーが気軽に質問できるようになるといった付加価値もある。

さらに、AIと連携してユーザーの質問を理解し、インテリジェントな回答ができるAIチャットボットも存在する。ここまで紹介したチャットボットのメリットに加え、ディープラーニングなどの自動学習テクノロジーを使用すれば、完璧な回答ができるわけではないが、ある程度は自動で回答内容を学習し、回答の精度を上げていける。回答の精度が上がれば単語やキーワードに限定されない回答ができ、顧客満足度の向上につながる可能性がある。

こうした理由から、チャットボットは企業の問い合わせ応対業務のテレワーク導入に有用なツールとして存在感を増している。

チャットボットの特性を理解することが肝要

チャットボットはあらかじめ設定された内容や、保有しているデータの範囲内での回答となる。そのため、簡単な質問への回答であれば効果が出やすいが、無人で対応できない内容であれば、メールや電話で別途問い合わせが必要となるケースもある。ユーザーにとっては二度手間になってしまい、満足度を下げてしまう可能性もある。
また、AIチャットボットの構築には数万~数十万からなる大量の教師データが必要になり、AIに学習させるにあたって教師データの整理も必要になるため、相応のコストを要するのが現状だ。

例えば「キャンセルしたい」「キャンセルしてほしい」など、意味はほとんど同じだが学習データの質問の表現が微妙に違う場合、質問者の表現によって回答内容にばらつきが出てしまう。正答率を上げるためには、こうした表現の統一など、地道なデータの整理も必要になる。

チャットボットから得られる回答の内容が乏しければ、ユーザーに「チャットボットでは問題が解決しない」といった印象を与えかねず、チャットボットに対する信頼がなくなってしまう。そうなると、ユーザーが従来の方法での問い合わせに戻ってしまうことは容易に想像できるだろう。

そのため、チャットボットを効果的に運用するには、何でもかんでもチャットボットに回答させようとしないことが重要だ。どのような質問に回答させたいのか目的を定め、目的の質問に対する回答ができるようにデータを登録していくことが必要になる。
例えばスーパーマーケットで、メンバーズカードに加入する手続きや、手続き内容についてのよくある質問に対応させるチャットボットなどは効果的な事例といえるだろう。
チャットボットの導入に失敗する原因は、大抵の場合、チャットボットの特性を理解していないことにある。このことはしっかりと肝に銘じておきたい。

有人チャットが無人対応のチャットボットに勝る場合も

ここまでチャットボットについて説明してきたが、チャットボットは人が対応するチャットと比較されることがある。
その理由は、人が対応する有人チャットには、チャットボットにないメリットが存在するからだ。
例えば接客要素を含む対応の場合。ユーザーが共感してほしい、悩みを聞いてほしいといったケースでは、特に有人チャットが効果を発揮する。

また、ITリテラシーが低かったりチャットボットをうまく使えないユーザーに対して、臨機応変に対応するには有人チャットが向いている。
問い合わせが多岐に渡る業務についても、きめ細かな対応を行い、ユーザーの要望に寄り添っていける点が有人チャットの魅力といえる。

しかしながら、有人チャットにはチャットボットのメリットを裏返したようなデメリットが存在する。

当たり前の話だが、有人チャットを運用するにはチャットからの問い合わせに対応するオペレーターを配置する必要がある。チャットは電話やメールと比較して気軽に質問しやすいため、質問件数は多くなる傾向にある。また、チャットの回答にはリアルタイム性が求められるため、素早い回答を実現するには専任のオペレーターが必須となる。即時の回答ができなければユーザーの満足度は低下し、有人チャットの利用者減少を招く可能性があるだろう。

そこで、ユーザーに迅速で正確な回答をするために、オペレーターにはある程度経験が豊富な人員を選定する必要があるが、そうすると人件費がかさむことになる。このため、有人チャットでは、チャットボットに可能な24時間365日の対応は難しい場合が多い。

チャットツールの導入で失敗しないためにどうすべきか?

ここまで見てきたように、チャットによるユーザー対応には、無人対応にも有人対応にも少なからずいくつかのデメリットが存在する。では、無人対応と有人対応のどちらを選ぶべきなのか。
その答えは、自社の置かれたケースによって異なる。そのため、無人対応と有人対応の特性を理解し、それぞれのメリットとデメリットを知った上で、自社の課題にあったチャットツールの導入を検討すべきだ。

たとえば、「人手が足りていない」「24時間対応を可能にしたい」「簡単な内容の問い合わせが多い」といった課題を抱える企業であれば、無人対応のチャットツールを導入するのが良いだろう。同じような問い合わせをオペレーターに対応させ続けると、オペレーターが疲弊してしまい、ひいては顧客満足度の低下にも繋がってしまう。似た質問が多い、または24時間365日の対応を要する問い合わせ応対業務であれば、チャットボットの導入は効果的な場合が多い。チャットボットは一から開発することも可能だが、開発には専門の知識が必要でコストや時間もかかるため、各社からリリースされているチャットボットサービスを使うのが良いだろう。

一方、「人員を確保できるリソースがある」「対応の質を上げたい」といった課題を抱えている場合は、有人対応のチャットサービスを導入したほうが良い。ユーザーに対してきめ細やかな対応が求められる場合や、ITに慣れていないユーザーが多い場合には、有人対応が有効だ。ただし、素早くきめ細やかな回答のためには専任のオペレーターを配置する必要がある。そのため、有人チャットについては、経験豊富なオペレーターを要する外注へシフトし、コストを抑えることも検討していくと良いだろう。

(図2:無人対応と有人対応、適しているケース)

また、有人対応と無人対応を併用する「ハイブリッド型」という選択肢もある。まずAIチャットで対応し、解決しない場合は有人チャットに誘導しオペレーターが対応するという流れならば、問い合わせ応対業務は効率化していける可能性が高く、かつさまざまな形態の問い合わせ応対業務に適用していけるだろう。

働き方改革や新型コロナウイルスの影響により、私たちの生活は大きな変革の時期を迎えており、企業とユーザーの向き合い方も変わりつつある。新たな時代の問い合わせ応対ツールとして、チャットボットが主要な手法になるのは間違いない。自社の問い合わせ業務の特性も理解し、チャットボットを有効に活用していきたい。

◎製品名、会社名等は、各社の商標または登録商標です。

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著者 OPTAGE for Business コラム編集部

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