これからの企業を支えていく「Z世代」大研究

これからの企業を支えていく「Z世代」大研究
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X、Yに続く「Z世代」が、社会の主力となる時代に

「Z世代」あるいは「ジェネレーションZ」とも呼ばれる世代をご存じでしょうか。

「●●世代」というのは、以前からずっとありました。ある一定の期間に生まれた人たちの特徴を端的に表すワードとして用いられてきました。中でも「団塊の世代」は、最も有名かもしれません。1947年から49年までの3年間に生まれた、いわゆるベビーブーマーを、日本ではそう呼びました。

「Z世代」は、生まれた期間が団塊の世代ほど明確ではありませんが、おおよそ1990年代の半ばから2010年初頭に生まれた世代を指します。現在の年齢でいうと、10代前半から20代後半あたりの人たちになります。

20代後半の人と10代前半の人をひとつの世代として論じることに、多少の無理はあるかもしれませんが、彼らが育ってきた環境には共通するものがあり、それが「Z世代」として括られている所以かもしれません。

ところで20代後半というと、企業では新人からそろそろ独り立ちし、中堅社員になろうかというポジション。今後5年、10年という中長期の企業の将来的な発展を考えると、その原動力となるべき世代です。そして、現在10代前半の子どもたちも含まれているということは、あと10年は「Z世代」が新入社員として入社し続けてくるわけです。

そこで今回は、企業の未来を考える手立てのひとつとして、「Z世代」を研究してみたいと思います。

「Z世代」に先立つ、「X世代」と「Y世代(ミレニアル世代)」

「Z世代」を語る前に、それ以前のいくつかの世代についても説明したいと思います。「Z」という文字が使われていることからわかる通り、それ以前には「X」や「Y」の世代もありました。

「X世代」は、1960年代半ばから1980年代初頭に生まれ、現在、年齢が40代前半から50代後半の人々の世代をいいます。90年代の不景気な時代で、就職で苦労した者が多かった半面、インターネットの勃興による新しいビジネスの可能性にいち早く注目した世代でもあります。
Google創業者のラリー・ペイジ氏や、テスラCEOのイーロン・マスク氏がこの世代にあたります。ただ、生まれた時からデジタルやIT機器に囲まれていたわけではないため、「デジタルイミグラント(Digital Immigrants=デジタル移民)」とも呼ばれています。

それに対し「Y世代」は1980年代初頭から1990年代半ばに生まれた人々を指します。現在、年齢が20代後半から40代前半の人々です。この世代の特徴は、物心がつく頃には、すでにインターネットが身近な環境にあった点です。
そのため、デジタルイミグラントと呼ばれる「X世代」とは異なり、Y世代以降は「デジタルネイティブ(Digital Native=生まれながらのデジタル)」と呼ばれるようになります。
また別に「ミレニアル世代」と呼ばれることもあります。「ミレニアル(Millennial)」とは「千年紀」の意味で、この世代の人々が西暦2000年以降に成人を迎えることから、そう呼ばれました。現在、企業で主力として活躍している年代にあたります。

「Y世代」は、日本ではバブル崩壊後の長期低迷の時代に成長しており、就職氷河期で苦労した人も多数いました。そういう点では「X世代」と似ているかもしれませんが、「X世代」よりも保守的な側面が強く、リスクを背負って出世を目指すことを嫌う傾向が強いとされます。個人はもちろん他人の個性も尊重して静かに暮らすことを好み、不況の影響により「モノ」を買うという価値観よりも、「コト」を重視する価値観を持っているといわれています。「シェア(共有)」という言葉を重視し始めたのも、この「Y世代」からです。

◎各世代が生まれた年代区分については、研究家によって異なる見解があり、必ずしも確定されたものではありません。

スマホネイティブ、ソーシャルネイティブといわれる「Z世代」の特徴

同じデジタルネイティブでありながら、「Z世代」は「Y世代」とは決定的に異なっている点があります。1990年代半ば以降に生まれた彼らは、すでに携帯電話機やスマートフォンが身近にある環境の中で育ってきたということです。人によっては、幼い時からスマホを与えられ、自由自在に使いこなしています。
片手で器用にスマホのメールなどを高速入力している若い人を見かけますが、その姿こそ「Z世代」の真骨頂といえるかもしれません。そこからもわかる通り、彼らは新しいIT機器が登場してもすぐに適応できるのが特徴のひとつです。

そして、「Z世代」の主要な情報収集源がSNSです。テレビや新聞といった従来型のマスメディアを全く必要としない人も多く、さまざまなツール、ルートを活用した多角的な情報収集力を持っています。また過剰な情報の中で育ってきているため情報の取捨選択力に秀でており、多様性(ダイバーシティ)に対する価値観が強いともいわれています。同時に自らが情報発信者となり、情報を拡散させることもあります。

またSNSやネットゲームを通じて知り合った友達・・・時には海外の友達、自分に共感してもらえる仲間と濃厚なコミュニティを作ることにためらいがないことも特徴のひとつと捉えられます。先行する「Y世代」が「シェア(共有)」を重視したのに対し、「Z世代」は「共感」を重視しているともいえます。

一方で自分の発言や投稿映像・画像が生涯ついてまわる、いわゆる「デジタルタトゥー」などインターネット、SNSの危険性も十分理解しており、非常に高度なネットリテラシーを身に付けている世代でもあります。

多様性に寛容で、個性を尊重し競争を好まない特性

すでに社会人として数年の経験を積んだ者もいる「Z世代」ですが、共に働く仲間として、どのように接していけばよいのでしょうか。

BIGLOBEが2022年の2月に、全国の18歳~25歳の男女600人を対象に、「Z世代の意識調査」を発表しています(調査は同年1月)。その結果から「Z世代」の特性と思われる意識、考え方を検討してみましょう。

●多様性(ダイバーシティ)に対し寛容で、いじめやハラスメントには忌避感が強い。
●人と競争するのが苦手。
●SDGsへの関心が高く、社会貢献できる仕事をしたいと考える人が多い。
●その一方で、バリバリ働いて稼ぐよりもマイペースを重んじる。
●副業にも高い関心を持っている。

参考:BIGLOBE「プレスルーム2022年2月8日」より

「Y世代」あたりから、仕事よりもプライベートを重視する傾向が強まってきましたが、「Z世代」では、その流れがますます強まっていくものと考えられます。
注目すべきは「多様性に寛容」であるという点です。他者の個性を尊重するという姿勢は、逆に考えれば、自分の個性を尊重してくれることを求めていることに他なりません。互いの個性や志向を尊重しあうことが、「Z世代」には重要なこととなります。だからこそ、個性を競い合うような「競争」が好きではないのだといえます。

「Z世代」と一緒に働く時に、心掛けておきたいこと

令和になった現在、若い社員を押さえつけ自分の思うままに動かそうとする上司などいないと信じたいですが、特に「Z世代」に対しては、彼らの個性を尊重し自発的に動けるような環境を作ることが必要です。

BIGLOBEのアンケートで、「バリバリ働いて稼ぐよりマイペースを重んじる」という結果がありましたが、それは仕事を疎かにしているということではありません。むしろ「社会貢献」に対する意欲などを考えると、企業の中で自分が存在する意義を説き、企業の発展に欠かせない存在であること、つまり仕事の意義を伝え達成した際の成果を十分に説明しておく必要があります。

またソーシャルネイティブでSNSを使い、活発にコミュニケーションを取ってきた世代であることから、オープンなコミュニケーションを求める傾向が強いと考えられます。「新人は黙って言うことを聞いていればいい」という姿勢ではなく、共に協力しあって挑む「チーム」としての姿勢を強く打ち出すことで、彼らの共感を得ることができ、仕事により一層邁進できると考えられます。

上記のような態度は、よくよく考えれば「Z世代」に対するものだけでなく、どんな人への対応としても共通するものです。個人を尊重し、共に働く仲間として尊重しあい、共に仕事に対するモチベーションを高め合っていく・・・。労働の基本となる姿勢は、昭和的なモラルが幅を利かせていた時代では、「部下は上司に絶対服従」として表面に現れにくいものでした。令和となって、それが異様なことであると明確に突き付けてきたのが、「Z世代」なのかもしれませんね。

◎製品名、会社名等は、各社の商標または登録商標です。

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著者 OPTAGE for Business コラム編集部

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