- 公開日:2022年08月17日
- 更新日:2026年09月08日
データセンターの消費電力はなぜ増え続けるのか?背景と省エネ対策を紹介
近年、クラウドサービスやAI技術の発展に伴い、データセンターの重要性が急速に増しています。しかし、データセンターの増加は電力消費の増大という課題も生んでおり、持続可能な運営に向けた対策が求められています。
本記事では、データセンターの利用状況や消費電力問題、省エネ対策の取り組みについて紹介します。
データセンターの概要
ここでは、データセンターとその電力消費の現状について紹介します。
データセンターとは
データセンターは、サーバやネットワーク機器を安全かつ効率的に設置・管理するために設計された専用施設です。内部にはサーバラックや高速回線、冷却装置、大容量電源などが完備されています。
近年、クラウドサービスの普及や生成AIの発展に伴い、AI処理に特化した高性能GPUを備える「AIデータセンター」も登場しています。こうしたインターネット活用の拡大により、データセンターは企業のデジタル変革に欠かせない存在となっています。
データセンターの利用状況
世界各国でデータセンターの整備が進んでおり、総務省「令和7年版 情報通信白書」によると、2025年3月時点では米国に5,426カ所、日本には222カ所のデータセンターが存在しています。
国内のデータセンターサービス市場も拡大が続いています。総務省によると、市場規模(売上高)は2023年の2兆7,361億円から、2028年には5兆812億円まで拡大すると予測されています。
出典:「日本のデータセンターサービス市場規模(売上高)の推移及び予測」令和7年版 情報通信白書(総務省)
また、千葉県印西市や北海道石狩市といった地域では、電力供給の利点を活かした「データセンター集積都市」が形成されつつあり、データセンターの拠点として注目されています。
データセンターの消費電力が増えている理由
データセンターの増加に伴い、消費電力の高さが大きな課題となっています。IEA(国際エネルギー機関)の2026年の見通しによると、世界のデータセンターによる電力消費量は2025年の約485TWhから、2030年には約950TWhへほぼ倍増すると予測されています。2030年には、世界全体の電力需要の約3%をデータセンターが占める見通しです。
データセンターで電力を消費するのは、サーバだけではありません。サーバやストレージ、ネットワーク機器などのIT機器に加え、それらから発生する熱を処理する空調・冷却設備、UPS(無停電電源装置)などの電源設備にも電力が必要です。そのため、IT機器の高性能化・高密度化が進むほど、機器自体の消費電力だけでなく、冷却や電源設備を含めたデータセンター全体の消費電力も大きくなる傾向があります。
出典:IEA「Key Questions on Energy and AI」(2026年)
特に生成AIの普及に伴って利用が増えているGPUサーバは、高度な計算処理を高速で行える一方、消費電力や発熱量も大きくなる傾向があります。 IEAによると、AI向けデータセンターの電力消費量は2025年に前年比50%増加しており、2025年から2030年にかけて約3倍になると予測されています。 AI用途の拡大に伴い、データセンターにはより大きな電力供給能力に加え、高密度化したサーバを効率的に冷却できる設備も求められるようになっています。
AI処理に特化したデータセンターの仕組みや従来型データセンターとの違いについては、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:AIデータセンターとは?従来のデータセンターとの違いや仕組み、導入メリットを解説
データセンターの消費電力問題がもたらすリスク
このままデータセンターの消費電力の問題を放置すると、さまざまなリスクが発生する可能性があります。ここでは、そのリスクについて紹介します。
電力需要に対応できなくなる
今後、生成AIやロボットの活用をはじめとするデジタル化の進展により、データセンターの需要が増加し、電力需要が高まると予測されています。これにより、国内の電力供給に圧力がかかる懸念が高まっています。
出典:「需要電力量(全国合計)の想定」 資源エネルギー庁「デジタル化の進展等による電力需要」
電力広域的運営推進機関(OCCTO)の2026年度需要想定では、全国の需要電力量は2025年度の約8,034億kWhから、2035年度には約8,461億kWhへ約5%増加する見通しです。特に、AIやクラウドサービスの普及に伴うデータセンターの需要増加が、電力インフラに負担をかけ、将来的に電力不足に陥るリスクが指摘されています。
データセンターの建設が規制される
北欧諸国では、冷涼な気候を活かしてデータセンターの誘致を積極的に進めてきましたが、予想外の消費電力問題が浮上しています。
特にアイルランドでは、ハイパースケーラーやクラウド企業のデータセンター誘致を推進した結果、2030年には国内総電力の31%をデータセンターが消費すると予測されています。このため、アイルランド政府はデータセンター建設を制限する方向へ政策を転換しました。
日本でも、データセンターの増設に伴い、同様の電力供給の課題が生じる可能性が懸念されています。そのため、エネルギー効率の改善や安定した電力供給の仕組みづくりが必要とされています。
可用性の損失
データセンターでは、安定稼働を維持するためにさまざまな対策が講じられていますが、まれに電力障害が発生することもあります。
電力供給が一時的に途絶えると、サーバに保存されているデータの一部にアクセスできなくなる可能性があります。また、十分な電力が供給されない場合には、一部の機器が一時停止し、データセンターの稼働率を下げる要因になることもあります。
こうした状況を防ぐため、多くのデータセンターではバックアップ電源や冗長化構成が整備されており、可用性が維持されるよう配慮されています。
データセンターの省エネ対策とは?
データセンターの消費電力問題に対処するため、日本では官民一体となってさまざまな取り組みが進められています。特に経済産業省は、2030年までに消費電力を40%削減する目標を掲げて対策を講じています。ここでは、その対策の一部をご紹介します。
ベンチマーク制度の導入
省エネ法の「ベンチマーク制度」に、2022年4月からデータセンター業が新たに対象業種として追加されました。この制度は、エネルギーを多く消費する事業者に省エネ目標を設定するもので、データセンター業界もその対象となり、消費電力削減への取り組みが求められています。
具体的には、エネルギー効率を示す指標「PUE」をベンチマークとし、目標値を1.4に設定しています。PUE(Power Usage Effectiveness)は、データセンター全体の消費電力をIT機器の消費電力で割って算出する指標です。上位15%の効率的な事業者が達成する水準を基準としており、数値が1.0に近いほど、空調や電源設備などIT機器以外で使用する電力が少なく、エネルギー効率の高いデータセンターであることを示します。
現在のベンチマーク制度では、データセンター事業者に対して2030年度までにPUE1.4以下を目指すことが求められています。さらに、2029年度以降に新設されるデータセンターについては、より高いエネルギー効率を求めるPUE1.3以下の基準も設定されています。
新たな技術の開発
データセンターの消費電力削減を目指して、さまざまな新技術が開発されています。注目されている技術の一つに「液浸冷却」があります。この技術は、サーバを冷却液に浸して冷却することで、従来の空冷方式に比べて熱効率を数十倍から千倍に向上させることが可能になります。また、省スペースでありながら消費電力を約40%削減する効果があり、大きな期待が寄せられています。
さらに、「光電融合技術」という技術も注目されています。これは電気配線を消費電力の少ない光配線に置き換えるもので、電気と光を組み合わせたハイブリッド方式として研究が進められており、エネルギー効率の向上が見込まれています。
これらの技術を組み合わせることで、将来的にはよりエネルギー効率の高いデータセンターが実現し、省エネとサービスの信頼性の向上が期待されています。
カーボンニュートラルの導入
カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量を相殺してゼロにすることを指し、排出削減だけでなく、吸収や除去も含めた総合的な対策が求められます。
その一例として、北海道美唄市の「ホワイトデータセンター」では、雪を活用した冷却システムにより二酸化炭素排出量ゼロを実現しています。この雪冷房システムのおかげで、夏場でもPUE値は国内平均の1.7を大幅に下回る1.04を達成。また、このデータセンターの利用によって、温室効果ガスの排出削減量や吸収量を「J-クレジット」として国から認証を受けることができ、グリーンエネルギー経営の証明にもつながります。
さらに美唄市は、再生可能エネルギーの活用を推進し、バイオガス発電所の建設も計画しており、持続可能な地域づくりに貢献しています。
立地や周辺環境の活用
データセンターのエネルギー効率向上と脱炭素電源の確保を目指し、立地や周辺環境を活用する取り組みが加速しています。
例えば、Googleはネバダ州にあるデータセンターに地熱発電を活用した電力網を導入し、安定的にクリーンエネルギーを供給しています。また、Amazonは原子力発電所直結のデータセンターを買収し、持続可能で安定した電力供給体制を確保する戦略を取っています。日本国内でも、再生可能エネルギーのみを使用したデータセンターが稼働し始めており、今後このような脱炭素型データセンターはさらに増える見通しです。
これらの事例は、環境負荷を軽減しつつ安定した運用を支えるモデルとして、他の地域や事業者にも影響を与えています。
電力の観点からデータセンターを選ぶ際のポイント
自社のサーバやIT機器をデータセンターへ設置する場合は、立地やセキュリティだけでなく、必要な電力を安定して供給できる設備が整っているかを確認することも重要です。特にサーバの高性能化・高密度化が進む現在では、将来的な機器増設も踏まえてデータセンターの電力・冷却性能を確認しておく必要があります。
確認ポイント① 必要な電力容量を確保できるか
設置予定のサーバやネットワーク機器に対して、十分な電力を供給できるか確認します。特に高性能なサーバを集約する場合は、1ラック当たりに供給できる電力量も重要になります。
確認ポイント② 電源設備が冗長化されているか
データセンターでは、停電や設備障害が発生してもサーバを継続して稼働できることが重要です。複数系統から電力を供給できる構成やUPS、非常用発電機など、電力供給を継続するための設備を確認します。
確認ポイント③ 高負荷な機器を冷却できるか
サーバの消費電力が増えるほど発熱量も増加するため、十分な冷却能力があるかも重要です。特にGPUサーバなど高負荷な機器を利用する場合は、電力供給能力とあわせて冷却設備を確認します。
確認ポイント④ 省エネ・再生可能エネルギーへの対応
PUEなどの電力効率に加え、再生可能エネルギーの利用状況も確認ポイントとなります。自社の脱炭素・CO2削減方針に応じて、環境負荷の低いデータセンターを選ぶことも重要です。
まとめ
本記事では、データセンターの利用状況や消費電力問題、省エネ対策の取り組みについて紹介しました。データセンターは現代のデジタルインフラの要ですが、消費電力の増加が課題となっています。
オプテージの「梅田北データセンター」では、関西電力グループの技術力を活かして、高品質な電力を安定供給しています。また、外気を活用した効率的な冷却システムを導入し、サーバを熱から守る工夫も施されています。さらに、最新の空調設備や太陽光発電の活用、レイアウトの最適化により、従来よりも省エネ効率が向上したデータセンターとなっています。
また、オプテージでは2026年1月に「曽根崎データセンター(OC1)」の運用を開始しています。OC1では、1ラック当たり8kVA以上の高負荷ラックに対応しているほか、電源系統の冗長化や、無給油で72時間以上の連続稼働が可能な非常用発電機を備えています。さらに、実質再生可能エネルギー100%の電力を利用するなど、安定した電力供給と環境負荷の低減の両面に配慮しています。
データセンター全般についてお悩みのことがありましたら、ぜひオプテージまでお気軽にご相談ください。
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