Windows 10サポート終了は2025年10月、駆け込み対応の思わぬ落とし穴とは?

Windows 10サポート終了は2025年10月、駆け込み対応の思わぬ落とし穴とは?

Windows 10を使い続けている企業はご用心!「OSのサポート期限は2025年10月まであるから、終了間際に乗り換えすればいいや」なんて考えていると、思わぬ落とし穴に足をすくわれ業務に支障をきたすことに。見落としがちな要注意事項と、効果的な解決策をご紹介します!

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Windows 10を使い続けるユーザーは7割も!11が普及しない理由は?

Windows OSの最新バージョン「Windows 11」がリリースされたのは2021年10月のこと。1年以上経つのだから、かなり普及が進んだのでは?と考えがちですが、実際はまだWindows 10を使い続けているユーザーが7割近くを占めています。

Web 分析サービスのStatcounterが公開した調査結果によると、2022年12月時点での日本国内におけるWindows OSの市場シェアは、Windows 10が68.85%であるのに対し、Windows 11は22.57%に留まっています。数値は一般個人ユーザーも含めた平均値ですが、企業のPCのアップグレードは個人のPCに比べてハードルが高いため、Windows 10の使用率はもっと高いと想定されます。
企業で、Windows 11の普及が進まない理由はいくつかありますが、主なものを列記します。

企業の独自システムや接続機器、アプリケーション等の互換性の問題

企業のITシステムに求められる最も重要なことは、トラブルなく安定してシステムが稼働することです。企業内には、独自の情報システムやアプリケーション、さまざまな接続端末が運用されており、これら全てが安定して使えることが検証されなければ、OSのアップグレードはできません。新OSに乗り換えてトラブルが多発するくらいなら、安定運用できる旧バージョンのままでいる方が得策です。そのため、サポートが継続している当面の間は、Windows 10を使い続けている企業が多いのです。

アップグレードするメリットが、コストや作業負荷に比べて少ない

大企業には、数百、数千台というPC端末が保有されており、それらに接続されているIT機器は膨大な数に上ります。大量のPCのOSを、業務に支障なくアップグレードするためには、綿密な移行計画を立案し、計画を実行する人員と予算を確保しなければなりません。企業規模が大きくなるほど、こうした負担は大きなものになります。
Windows 11に移行することで、コミュニケーション機能の強化などのメリットも得られますが、それよりもアップグレード対応の負荷が大きい――いわゆる投資対効果の観点から、Windows 11への移行を保留にしているわけです。

Windows 11に必要な高性能のシステム要件がネックになっている

保有するPCが比較的少ない中小企業では、アップグレードはさほど大きな負担にはならず、最新バージョンに乗り換えようと考えていたユーザーは多いのですが、アップグレードに必要なPC端末のシステム要件が公開されて、Windows 11への移行を断念する企業が相次ぎました。アップグレードに必要なハードスペックの要件が、予想以上に高かったからです。
Lansweeperが発表した2022年10月の調査によると、約6万の組織で使われている推計3,000万台のWindows端末のうち、Windows 11にアップグレードできない端末が全体の4割余りを占めていることがわかりました。最も大きなネックはCPUの性能で、要件を満たすものは57.26%にとどまり、42.74%は要件を満たしていません。IT先進国のアメリカでさえこの数値ですから、日本の場合はさらに厳しい状況だと考えられます。多くの企業が、PCがリプレースされるまでWindows 10を使い続けようとするのは、こうした理由があるからです。

Windows 10は2025年10月まで利用できる

ここまで述べてきたように、Windows 11への移行を困難にしている理由は種々あります。いずれも、企業にとってはシビアな問題であり、簡単に解決できるものではありません。ならば当面の妥協案として、サポートが終了する2025年10月まではWindows 10を使い続けよう、その間にWindows 11へのアップグレード計画を立案・実行すればいいのでは・・・・・・といった様子見をする企業が多いようです。

Windows 10のサポート終了までに、企業が準備すべき対策は?

新OSへのアップグレードは、PCを大量に保有している企業にとっては一大イベントであり、コスト的にも作業負担的にも、多大な負荷がかかります。サポート終了の間際になって、慌てて実施できるものではありません。
かと言って、サポートが終了したOSを使い続けることはもっと危険です。サポート切れのOSは運用に支障をきたすだけでなく、ウイルス対策等のアップデートが配信されなくなり、セキュリティの脆弱性をついたサイバー攻撃の格好の標的となるからです。サポート終了期限までに、Windows 11への乗り換えを滞りなく済ませることが、企業存続の観点からも必須のミッションといえます。

ではここからは、Windows 10のサポート終了までに企業は何をすべきか――。業務に支障をきたさないための注意点と、必要な対応策をまとめていきます。

まず、Windows 11への移行をスムーズに実行するための大まかな流れを見ていきます。

<新OS移行計画の流れ>

はじめに、Windows 11への移行によって得られるメリットを明らかにし、目的と目標を明確にすることが重要です。次に、目的達成のために必要な概算予算と移行計画を策定し、このマスタープランに沿ってプロジェクトを進めていく体制を整えます。
移行計画と概算予算書が整ったら経営陣に提出し、承認を得る必要があります。予算額によっては、承認に手間取ることも考えられますので、費用対効果の説明も重要です。

次に、自社が保有する全PCをチェックして、一覧化する棚卸を実施します。Windows 11はPC端末のハード面に求められるシステム要件がかなり高いので、この段階でアップグレードができないPCが判明します。この問題にどう対処するのか?ここが移行計画における一番のポイントと言えます。この問題については、後ほど詳しくご説明します。

続いて、企業内で運用している全てのITシステムに対して、Windows 11が支障なく対応できるのかをテストし、合否の検証をする必要があります。部署ごとに独自のシステムややり方があるでしょうから、情報システム担当部門だけでなく、全部署のキーマンに参加してもらうことが重要です。運用テストと並行して実行予算を精査し、必要経費を確保します。

最後に、実際のアップグレード作業をどのように進めるのか、綿密な実施プログラムを立案します。運 用に支障が生じた場合は、旧OSに復帰できるリカバリー策も用意しておく必要があります。同時に、アップグレード作業を実際に遂行するスタッフを編成し、責任者の統括でスムーズに作業を実行できる計画を用意しておきます。
準備が整ったら、日常業務にできるだけ支障をきたさないように、移行作業を実施します。

思わぬ落とし穴となるのが、保有PCのハードスペック不足

一連の流れの中で思わぬ落とし穴となるのが、保有PCのハードスペック不足です。Windows 11のハードウエア要件はかなり厳しく、要件に適合せずアップグレードできない場合があります。

最もネックとなるのが、CPUの性能とセキュリティを高めるTPM 2.0に対応しているかどうかです。Microsoftでは、「過去5年間に出荷されたほとんどのPCには、TPM 2.0を実行する機能がある」とアナウンスしていますが、コンシューマ向けの廉価な量産品PCの場合、数年前に購入したものでも非対応というケースがあります。
企業が保有する全PCを棚卸すると、こうしたハードスペック不足の端末が相当数見つかるものです。少なくとも全従業員分のPCは確保しなければならないのに、リプレースしたくても予算は限られています。限られた予算で、どう対応するのか? サポート終了間際になってこうしたトラブルに直面すると、企業活動に大きな支障が生じます。
「2025年10月までにはまだ間があるし、社内のPCはそれまでにリプレースされるだろう」と油断していると、潜んでいたリスクに足元をすくわれることも。Windows 11への移行予定が決まったら、まずは企業内の全PCを棚卸するのがポイントです。

クラウドDXでアップグレード問題を解決

さて、ここまで述べてきたアップグレード問題は、PC端末やOSなどのIT資産を保有してオンプレミス環境で運用している企業を想定したものです。そのままオンプレ環境を維持し続けるのであれば、Windows 11への移行に伴い、IT機器やアプリケーションの更新が必須となり、大きなコスト負担となります。
ところが、近年のクラウドサービスの充実により、パブリッククラウドを活用することでこうした問題を一気に解消し、DXを達成する企業が続々と現れています。とりわけ、膨大なIT資産を抱えてきた大企業で、クラウドDXは急速に進んでいます。

パブリッククラウドの特長は、従来企業が所有してきたIT資産に代わる、ハードウエアリソースやソフトウエアをクラウドプロバイダーが所有し、ユーザーはインターネットを介してそれを利用する点にあります。OSがクラウド上に構築されているのでWindows 11への移行も、従業員の端末を1台ずつアップグレードする作業は不要。OSはクラウド上で機能するため、ローカル端末のハードスペック要件がネックになることもなく、Windows 10のサポート終了問題を解消できます。しかもクラウド上のマスターOSは常に最新の状態が維持されるため、セキュリティ体制も厳重になります。

企業にとってクラウド環境への移行は、コスト的にも大きなメリットです。IT資産を自前で持たずクラウドプロバイダーに任せることで、自社で保有するPCのアップグレード業務の負担、ハードウエアの保守管理費を一気に軽減でき、コスト削減をはじめIT資産管理の合理化、運用負荷軽減などさまざまな効果が生まれます。

仮想デスクトップを導入する企業が急増中

このように、データセンターのサーバ上に構築されたデスクトップ環境を、従業員の保有するローカル端末で呼び出して利用する「仮想デスクトップ(VDI)」は、クラウドサービスが登場する以前の企業では、オンプレミスの自社サーバに構築していました。しかしテレワークの普及に伴い、VPN接続による自社サーバ運用のVDIは、アクセス集中時の速度問題や情報システム部署の業務負担等の課題が指摘されるようになりました。
その解決策として多くの企業が採用したのが、パブリッククラウドのVDIです。ネット環境さえあれば最新のデスクトップ環境が利用できる通称「クラウドPC」は、テレワークの日常化に伴い急速に企業の間で普及しています。PCはもちろんスマートデバイスからでも、社内・社外問わずセキュアにアクセスすることが可能。しかも、ローカル端末には一切データが残らないため、情報漏えいリスクも低減されます。
これに、クラウド上で利用できるアプリケーションサービスのSaaS(Software as a Service)をセットにすれば、従業員はテレワークでも快適に仕事ができます。まさに、ハイブリッドワーク時代に最適なITシステムと言えます。市場の成熟化により、中小企業や個人事業者向けに普及価格帯のサービスが増えており、これからの時代は企業規模を問わず、クラウドPCが賢い選択と言われています。

IT資産を自前で保有しオンプレミス環境を運用してきた企業にとって、Windows 10のサポート終了は頭の痛い問題です。しかし、これをチャンスと捉えクラウド環境へと移行することで、効果的な企業DXを推進する企業が増えています。サポート終了間際まで問題を先送りにして、思わぬ落とし穴に捕まらないように早めに準備しておきたいものです。

◎製品名、会社名等は、各社の商標または登録商標です。

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著者 OPTAGE for Business コラム編集部

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