- 公開日:2023年09月27日
SOCとは?特徴や役割、CSIRT・MDRとの違いを解説
システム環境の複雑化にともなって、SOCの設置を検討している企業も多いでしょう。しかし、SOCの具体的な進め方がわからず、セキュリティ体制の構築が思うように進まない企業は少なくありません。
そこで、本記事ではSOCの特徴やメリット、構築方法をわかりやすく解説します。おすすめのセキュリティサービスも紹介しているので、SOCの設置を検討している企業やシステム担当者はぜひご覧ください。
SOCとは
SOC(ソック)とは、ネットワークやデバイスの監視・分析を行い、サイバー攻撃のリスクから企業を守るセキュリティ組織のことです。SOCはSecurity Operation Centerの略称で、いつ起こるかわからないサイバー攻撃やセキュリティの問題に備えて、24時間365日体制で対応します。
SOCの主な業務として挙げられるのは、ネットワークやデバイスの監視・分析などです。万が一セキュリティインシデントが発生した場合には、被害を最小限に留めるために適切に対処し、影響範囲の特定や再発防止施策の提案までトータルで実施する場合もあります。
SOCには高い専門性が求められるため、企業内に設置するには専門的な知識とスキルを持った人材の確保が必要です。とはいえ、人材を確保できないからといって設置を諦める必要はなく、SOCの業務は外部への委託も可能です。近年では、外部に自社のセキュリティ監視や運用を委託するケースが増加しています。
SOCが重要視されている理由
SOCの必要性が高まっている背景には、セキュリティインシデントが企業に与える影響が大きくなっていることがあります。ウイルス感染によって病院での診療ができなくなったり、自動車の製造が止まったりする事件をニュースで見かける機会が増えたと感じている方もいるのではないでしょうか。
SOCはこうした巧妙なサイバー攻撃やウイルスに24時間365日体制で対応し、企業の大切な情報資産やシステムを守ります。セキュリティ面に不安を感じている企業やシステム担当者は、早急にSOCの構築をはじめとする対策を講じるべきでしょう。
SOCと混同されがちな「CSIRT」「MDR」とは
ここからは、SOCについて説明するうえで欠かせないCSIRTとMDRの特徴や、SOCとの違いを解説します。
SOC・CSIRT・MDRのそれぞれの役割を理解し、自社に必要な組織を明確にしましょう。
CSIRTの特徴
CSIRT(シーサート)とは、セキュリティに関するインシデントが発生した際に司令塔となる組織のことです。CSIRTはComputer Security Incident Response Teamの略称で、セキュリティインシデントが発生しないように情報を収集し、適切な対策を導入したり、インシデント発生時の対応手順を策定したりとさまざまな業務を行います。
CSIRTが国内で注目を浴びたのは、2001年頃のことです。急速に進むブロードバンド化にともなってセキュリティインシデントへの対策が重要視されるようになり、CSIRTの設置が欠かせなくなりました。
SOCとCSIRTの違い
SOCとCSIRTの違いは、CSIRTはインシデントが発生した場合に適切な対応を実施する組織であるのに対し、SOCはインシデントが発生していないか常に監視し、ログ分析を行う組織であるという点です。
また、CSIRTがサイバー攻撃の手法の研究・分析、情報発信を担っているのに対し、SOCは企業に必要なセキュリティ対策について提言する役割を担っています。
どちらも重要な組織であり、インシデントが発生した場合には協力して問題に対処することになりますが、サイバー攻撃を未然に防いだりインシデント発生時の対応をスムーズに行うという意味では、CSIRTに先立ってSOCを設置する方がよいでしょう。
MDRの特徴
MDR(エムディーアール)とは、SOCやCSIRTの業務を代行するアウトソーシングサービスです。MDRはManaged Detection and Responseの略称で、専門的な知識とスキルを持った人材を確保できずにいる企業の外部委託先を指します。
MDRが注目されるようになった主な理由は、人材不足とサイバー攻撃時間の短縮化の2つです。サイバーセキュリティの知識とスキルを持つ人材は、圧倒的に不足しています。また、サイバー攻撃の際に攻撃者がデータを盗み出すまでにかかる時間はどんどん短くなっており、侵入から数時間で展開するケースもめずらしくありません。MDRは人材不足とサイバー攻撃時間の短縮化の2つの課題を解決できるサービスとして、多くの企業で重宝されています。
また、セキュリティ機器の監視・運用を行うサービスとして、MSS(マネージドセキュリティサービス)という名称が使われる場合も少なくありません。脅威が見つかった場合はただちに企業に通知してくれるため、セキュリティ対策として取り入れる企業が増えています。
SOCとMDRの違い
SOCとMDRの最大の違いは、企業内に設置されているかどうかです。SOCとMDRの業務内容は共通点が多いものの、アウトソーシングサービスのMDRを活用すれば脅威の除去支援から再発防止施策の支援まで、一連の作業を代行してもらえます。
自社の社員でSOCを構築・運用していくのが理想的ではありますが、専門の知識とスキルを有する人材を複数人確保するのは非常に困難です。SOCやCSIRTを構築するための人材確保が難しい場合は、積極的にMDRを活用しましょう。
SOCを構築するメリット
企業のセキュリティ対策において重要視されているSOCですが、組織構築によって得られるメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
ここからは、SOCを設置する主なメリットを2つご紹介します。以下のメリットに魅力を感じた場合は、SOCの編成を前向きに検討してみましょう。
セキュリティレベルが格段にアップする
SOCを編成する最大のメリットは、セキュリティレベルの向上です。専門的な知識とスキルを備えた専門家がネットワークやデバイスの監視・分析を行うことで、データの保護が強化され、サイバー攻撃のリスク軽減を実現できます。
近年、中小企業を狙ったサプライチェーン攻撃が増加傾向です。SOCは大企業に設置されているセキュリティ組織というイメージを持つ方も多くいますが、企業規模に関わらずより高度なセキュリティ対策を講じる必要があります。
業務の効率化が進む
SOCを設置すると、セキュリティに関する幅広い業務をSOCに一任できます。これまでセキュリティに関する業務を兼任していた社員がメイン業務に集中できるようになると、自ずと業務の効率化が進み、社員の負担も軽減されるでしょう。
SOCを構築する方法を3ステップで解説
SOCの設置にはセキュリティレベルの向上や、業務効率化といったメリットがありますが、SOCを構築する具体的な方法がわからず困っている企業もあるでしょう。
そこで、ここからはSOCを構築する方法を3ステップでわかりやすく解説します。
1. SOCの業務内容や責任範囲を決める
まずはSOCが担当する業務内容や責任範囲など、SOCの役割を明確にしましょう。最初にSOCの在り方や定義づけを行っておくと、運用にあたって疑問や不満が生じた場合にも適切に対処できます。
SOCの業務内容や責任範囲が決まったら、業務のマニュアル作成がおすすめです。基本的な業務をマニュアル化しておけば、業務の属人化を防止できます。また、マニュアルは業務内容を見直す土台となるので、定期的に更新していくことでより質の高い業務の実現が可能です。
2. 人材を確保する
次に、SOCの専門的な業務をこなせる人材を確保しましょう。専門性の高い知識とスキルを持った人材を見つけられなかった場合は、アウトソーシングサービスの活用を検討します。
3. どのようなツールを導入するか検討する
SOCを構築するには、監視システムやログ分析システムなどの専門のセキュリティツールが必要です。導入するべきセキュリティツールは業務内容や責任範囲、予算をもとに検討し、目的に合った使い勝手のよいものを選びましょう。
自社でSOCを構築するのが難しい場合はMDRの利用がおすすめ
SOCを構築するとなると、専門的な知識とスキルを持った人材を確保しなければなりません。SOCに適した人材の確保は難しく、人材を採用するためのコスト負担が大きくなってしまうため、SOCのアウトソーシングサービスであるMDRの利用を検討してみましょう。
MDRサービスを選ぶポイント
MDRは自社でSOCを構築できない場合におすすめのサービスです。しかし一方で、企業に適していないサービスを選んでしまうと、運用し続けることが困難になったり、セキュリティレベルの向上を実感できなかったりする可能性があります。
ここではMDRを選ぶポイントを4つお伝えしますので、MDRの利用を考えている企業やシステム担当者はぜひ参考にしてみてください。
費用
セキュリティレベルやサポート体制の充実度によって、MDRの費用は大きく変わります。求める機能や導入したいツールなどを洗い出し、あらかじめ予算を立てたうえで各事業者に相談・見積もりを依頼するのがおすすめです。
MDRの費用の詳細は、基本的には公開されていません。相談・見積もりは無料で対応している事業者が多いので、気軽に問い合わせてみましょう。
サービス内容
ひと口にMDRと言っても、提供する事業者によってサービスの内容や範囲が異なります。そのため、契約前には必ずサービス内容の詳細を確認し、自社に合ったものを採用するようにしましょう。
EPP・EDR製品の品質
MDRを選ぶ際は、EPPやEDR製品の品質を確認しましょう。EPPとはアンチウイルスソフトを代替する製品で、サイバー攻撃を未然に防ぐことを目的としています。EDRとはEPPが見逃した脅威を特定し、適切に対処する製品です。
サイバー攻撃はどんどん巧妙化しており、100%侵入を防ぐことは困難になりつつあります。そこで活躍するのがEPPやEDR製品ですが、これらの製品の品質が悪ければ高度化している攻撃手法に対処できません。自社に適したMDRを探している方は、費用やサービス内容とともに、どのようなEPP・EDR製品を使用しているのか把握しておきましょう。
カスタマーサポートの充実度
カスタマーサポートが充実したMDRを選ぶことで、企業内のセキュリティチームと連携して対策を進めることが可能になります。また、疑問や不安が生じたときにすぐ相談できるサービスを選んでおけば、なんらかのセキュリティインシデントが発生した場合にも安心です。
なお、MDRのなかにはセキュリティインシデント検知後に対応内容をレポートにまとめて、報告をしてくれるサービスもあります。カスタマーサポートが充実している信頼性の高いMDRを選び、セキュリティレベルの向上を実現しましょう。
まとめ
サイバー攻撃のリスクから企業を守るSOCは、システム環境の複雑化にともなって重要視されるようになりました。大切な情報資産を守るために必要なSOCですが、サイバーセキュリティに関する専門的な知識とスキルを持った人材の確保は容易ではありません。
オプテージではセキュリティ製品のご提案だけでなく、「エンドポイント監視」「ゲートウェイ監視」の2つのマネージドセキュリティサービスを提供しています。
エンドポイント監視とは、ヴイエムウェアが提供するEDR「VMware Carbon Black Cloud Endpoint(SaaS)」を活用したサービスで、エンドポイント脅威対策を導入から運用までトータルで提供します。またゲートウェイ監視は、情報セキュリティ専門部隊がオプテージの提供するクラウドサービス(SaaS)「ユーティリティ クラウド」の対象サービスを24時間365日体制で監視・分析するサービスであり、侵入検知はもちろん、インシデント検知後の対応内容をレポートにまとめて提出するサービスも基本メニューとして提供しています。
各サービスについて、詳しくは以下のページをご覧ください。
マネージドセキュリティサービス【エンドポイント監視】
マネージドセキュリティサービス
【ゲートウェイ監視】
◎製品名、会社名等は、各社の商標または登録商標です。