- 公開日:2024年01月24日
SaaS/PaaS/IaaSの違いとは? 特徴やメリット・デメリットを解説
今、テレワークやリモートワークといった場所や時間にとらわれない働き方が増えています。また、自然災害や感染症といった予期せぬ事態に備えて事業の継続性を確保する必要性も高まってきています。そのようななか、新しいビジネスツールとしてクラウドサービスの利用が注目されるようになりました。
クラウドサービスには大きく、SaaS、PaaS、IaaSの3つのサービスモデルがありますが、その特徴や違いについてあいまいな人も多いのではないでしょうか。
この記事ではSaaS、PaaS、IaaSの違いや、それぞれの特徴、メリット・デメリットを解説します。
SaaS PaaS IaaSとは
SaaS、PaaS、IaaSは、クラウドサービスの3つのサービスモデルです。 3つのサービスモデルはネットワーク経由で利用できる点で共通していますが、階層構造(レイヤー)で見ると、サービス提供者が管理する範囲によって分類できます。次の表で確認してみましょう。
次にSaaS、PaaS、IaaSそれぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
SaaSの特徴
SaaS(Software as a Service)とは、インターネット上でソフトウェアが利用できるサービスモデルのことです。SaaSのサービスとしてよく知られているものは、Microsoft 365などのグループウェアや、SalesforceのSales CloudのようなCRM、また会計ソフトなど さまざまな分野から多くのサービスが提供されています。インターネット環境があれば、ユーザーは場所や時間に関係なくブラウザやアプリからアクセスし、サービスを利用できます。
PaaSの特徴
PaaS(Platform as a Service)とは、インターネット上で開発プラットフォームが利用できるサービスモデルのことです。
ユーザーはプラットフォーム上で自社のアプリケーションやソフトウェアを開発・運用することができます。開発環境やミドルウェア、OSなどはサービス提供者が管理するため、ユーザーは開発に集中できる点がメリットです。
IaaSの特徴
IaaS(Infrastructure as a Service)とは、インターネット上でITインフラが利用できるサービスモデルのことです。仮想化されたサーバやストレージ、ネットワークなどのリソースを自由に利用・構成できるので、ユーザーはITインフラの設置や運用コストを削減できます。IaaSで有名なサービスにはAWS EC2やAzure Virtual Machines、Google Compute Engineなどがあります。
次の項では、オンプレミスも含めそれぞれと比較した場合、どのようなメリット・デメリットがあるのかを解説します。
SaaSのメリット・デメリット
SaaSの登場により、昨今ではソフトウェアの利用方法が広がってきています。ユーザーにとってSaaSを利用するメリットとデメリットを見ていきましょう。
SaaSのメリット
SaaSを利用する主なメリットは次の4点です。
● ソフトウェアの開発や導入が不要
SaaSではユーザーがソフトウェアを自社で開発・購入したり、インストールしたりする必要がありません。ソフトウェアの管理はサービス提供者が行うため、ユーザーはインターネットに接続してサービスにログインすれば、すぐにソフトウェアを利用できます。これにより、ユーザー側では開発コストや導入コスト、ライセンス料などの削減が期待できます。
●最新の機能・セキュリティが利用できる
SaaSでは、サービス提供者がソフトウェアのアップデートやバグを修正します。そのためユーザーは自身でソフトウェアを更新する必要がありません。また、サービス提供者はITに関して高度な知識や技術を保有しているので、自社で開発・運用をするよりも高いレベルの機能やセキュリティの適用が期待できるでしょう。クラウドを利用することで、ユーザーは、常に最新の機能やセキュリティ対策が施されたソフトウェアを利用できるのです。
● ユーザーの運用・保守の負担を軽減できる
SaaSでは、サービス提供者がソフトウェアの運用・保守を担います。ユーザーは自分でソフトウェアのバックアップや復元、障害対応などを行う必要がありません。ユーザー側では運用・保守の負担がないため、情報システムに係る人的リソースや時間的リソースを節約できます。
● インターネット環境があれば利用できる
ソフトウェアをインターネット上で提供するSaaSは、インターネット環境があればどこからでも利用できます。自宅や外出先といったリモートワーク時も場所や時間にとらわれずに仕事ができるため、業務効率の向上が期待できます
SaaSのデメリット
ユーザーにとって多くのメリットがあるSaaSですが、次のようなデメリットもあります。あらかじめデメリットを理解したうえで、導入を検討しましょう。
● 大幅なカスタマイズや機能拡張ができない
SaaSは、サービス提供者が仕様や機能を決定・構築したソフトウェアをユーザーが利用します。そのためユーザーの自社のニーズに合わせて大幅にカスタマイズしたり、独自の機能を追加したりすることはできないと考えておきましょう。また、サービス提供者が行うアップデートによっては、ユーザーの望まない変更が発生することもあります。
● データの移行が難しい
SaaSではサービス提供者が管理するサーバにデータを保存します。そのため、オンプレミスからの移行やサービスの変更・解約をする場合には、データの移行が必要です。しかし、データの形式や規格が異なる場合や、サービス提供者が移行を制限する場合もあるため、契約時にデータ移行の方法や制限についてしっかりと確認するようにしましょう。
● インターネット障害やサービス停止で利用できなくなることも
インターネットに接続して利用するSaaSは、インターネットが使えなくなるとサービスも利用できなくなります。自社のネットワークやインターネットプロバイダーの障害やサイバー攻撃などでインターネットにアクセスできなくなると、サービスを利用できず、業務そのものが停止してしまうかもしれません。そのほかにも、サーバの故障やアップデート、セキュリティ対策などが原因で、SaaSが一時的に利用できなくなることもあります。これはクラウドサービス全般に言えることで、PaaSやIaaSも同様です。クラウドサービスを利用する際はこの点を事前に踏まえておきましょう。
PaaSのメリット・デメリット
PaaSはアプリケーション開発に必要なプラットフォームをクラウドで利用できるサービスです。
アプリケーションを開発する際に、オンプレミスやIaaSではなくPaaSを利用する場合にどのようなメリットとデメリットがあるのかを見ていきましょう。
PaaSのメリット
PaaSを利用するメリットは次の2点です。
● すぐ開発に取りかかれる
PaaSではサービス提供者がサーバやOS、ミドルウェアなどのITインフラ環境を用意しているので、自社でITインフラ環境を構築する必要がありません。そのためアプリケーション開発者はITインフラの設定や管理に時間や労力をかけることなく、すぐにアプリケーションの開発をはじめられます。開発ツールやライブラリなどもクラウド上で利用でき、開発環境の準備も効率よく進められます。
● ITインフラの設計や管理が不要
PaaSは、ITインフラ環境のスケールアップやバックアップ、セキュリティ対策などのITインフラ設計や管理をサービス提供者が行います。ユーザーであるアプリケーション開発者はそれらの手間をかける必要がありません。
PaaSのデメリット
アプリケーション開発においてPaaSを採用する場合は、次の2点がデメリットといえるでしょう。
● 自由度・柔軟性が低い
PaaSはサービス提供者が提供するプラットフォームをそのまま利用するため、IaaSやオンプレミスのように、プラットフォームの設定や構成の変更を柔軟に行うことができません。
CPUやストレージ、ミドルウェアは自由に選ぶことができず、使用可能なプログラミング言語やフレームワークも限定されていることがあります。より自由度の高い開発環境を求める場合は、IaaSなど別のサービスが必要になるでしょう。
● システム設定やデータの管理はユーザーで実施
サービス提供者がITインフラやミドルウェアなどを管理してくれるPaaSですが、アプリケーションはユーザーが管理しなくてはなりません。
アプリケーションの設計や開発、テスト、デプロイ、更新などの作業はユーザーの責任です。また、アプリケーションで利用するデータのバックアップや復元、移行などの管理もユーザーが行う必要があります。
IaaSのメリット・デメリット
インターネット上でITインフラを利用できるIaaSですが、アプリケーション開発においてオンプレミスではなくIaaSを採用した場合どのようなメリットとデメリットがあるかを見ていきましょう。
IaaSのメリット
IaaSのメリットは主に次の2点です。
● パフォーマンスとコストの最適化が可能
IaaSは仮想マシンやストレージ、ネットワークなどのITインフラリソースを必要な分だけ利用することができます。利用量に応じてリソースの拡張や縮小を自由に行えるため、パフォーマンスの最適化とコストの最適化ができるのが特徴です。
● BCP対策になる
ITインフラリソースをクラウド上に保存するIaaSは、自社の設備に依存しません。そのため、自社の所在地において自然災害などの予期せぬ事態が起きても、システムがダウンすることなく事業を継続することができBCP対策に有効です。また、二重化やバックアップといったITインフラの耐障害性を高める対策をサービス提供者が行ってくれるので、可用性の確保が期待できます。
IaaSのデメリット
IaaSを採用する場合は、オンプレミスと同様、ITインフラに関する知識を保有する人材の確保が必須となります。詳しく見ていきましょう。
● 利用するクラウドに応じた構築・運用体制、人材確保が必要
サービス提供者がハードウェアや設備などのITインフラレイヤーを管理してくれるIaaSですが、仮想マシンやOSなどはユーザーが管理しなければなりません。OSのインストールやアップデート、パッチの適用、セキュリティ対策などの作業はユーザーの責任です。また、アプリケーションの設計や開発、テスト、デプロイ、更新などの作業もユーザーが行う必要があります。
このような作業には、専門的な知識やスキルが求められるため、運用体制の構築やITインフラ人材の確保が必須となります。
● セキュリティポリシーやルールの設定はユーザーで実施
IaaSでは、仮想マシンやOSのセキュリティ対策はユーザー自身で行う必要があります。ファイアウォールやアンチウイルスソフトの設定、パスワードやアクセス権の管理、データの暗号化やバックアップなどの作業はユーザーの責任となります。
また、自社のセキュリティポリシーやルールをクラウド環境に適用することも欠かせません。セキュリティのリスクやコンプライアンスの要件を十分に理解した人材の確保も必要となるでしょう。
まとめ
SaaS、PaaS、IaaSはクラウドサービスの主要なサービスモデルです。これらはインターネット環境があれば利用でき、初期コストや開発・運用コストを下げられるなど多くの点で共通点もありますが、ユーザーとサービス提供者が管理するレイヤーに違いがあります。クラウドサービスの導入を検討している方は、自社のニーズや目的に合わせて、最適なクラウドサービスを選択しましょう。
オプテージでは、クラウドサービス導入の検討からネットワーク環境の構築・運用、セキュリティの導入まで幅広くサポートしています。専門のエンジニアに監視・障害対応・保守運用を任せられるため、クラウドサービスの運用に慣れていない場合やアウトソーシングしたい場合にもおすすめです。
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