「これってカスタマーハラスメント?」コールセンター運営に欠かせない対策とは

「これってカスタマーハラスメント?」コールセンター運営に欠かせない対策とは

顧客満足度やサービス品質を向上させるためにコールセンターを設置し、顧客からの声に向き合っている企業は少なくありません。しかし、近年は顧客からの理不尽な要求や暴言を受けることも増え、「カスタマーハラスメント」として社会的な問題となっています。
今回は、コールセンターの品質向上やオペレーターの離職防止などにもつながる、カスタマーハラスメント対策について解説します。

Contents

カスタマーハラスメント(カスハラ)とは?

カスタマーハラスメント(カスハラ)とは?

「カスハラ」とも略されるカスタマーハラスメントとは、顧客や取引先などから理不尽な要求をされたり、サービスなどに対して不当な言いがかりをつけられたりする迷惑行為のことです。

商品やサービスに関係のない暴言や暴行、過剰な謝罪の強要、金銭・物品の要求などもカスタマーハラスメントに該当します。

コールセンターの場では直接的に暴行を受けることはありませんが、電話越しに顧客から恫喝されたり不当な怒りをぶつけられたりといった被害も少なくありません。

クレームとの違い

クレームは、商品やサービスの至らない点を指摘し、良品との交換や追加サービスの提供を求めることです。
商品・サービスに対する不平や不満などがクレームに含まれるケースもあり、カスタマーハラスメントとの違いが曖昧な部分もあります。しかし、あまりにも行き過ぎたクレームによって企業や従業員が被害に遭う可能性もあるため、十分な注意が必要です。

カスタマーハラスメントの判断基準は、業種や業態、企業文化などによって異なる場合もありますが、以下の2点はどの企業にも共通する基準となります。

  • 顧客等の要求内容に妥当性があるか
  • 要求を実現するための手段・態様が社会通念に照らして相当な範囲か

引用:厚生労働省「カスタマーハラスメント対策 企業マニュアル」

カスタマーハラスメントへの対策を講じるうえでクレームとの違いを理解しておくことが前提となるため、上記2点を参考にしてみるのもおすすめです。

カスハラが増える背景

2022年に厚生労働省が公表した「カスタマーハラスメント対策 企業マニュアル」によると、過去3年間のハラスメント相談件数の傾向で「カスタマーハラスメントの件数が増加している」と答えた割合が、「減少している」より高いという結果が出ています。

この調査は全国の企業・団体に勤務する労働者が対象となっていますが、コールセンターへのカスタマーハラスメントも例外ではないでしょう。近年はECサイトなどの普及に伴い実店舗を持たない事業者も増え、実店舗の減少によってコールセンターに問い合わせが集中している傾向があります。また、電話での問い合わせは場所を選ばず、顔を合わせることなく手軽にできるため、コールセンターはカスタマーハラスメントの被害を受けやすい部署ともいえるでしょう。

コールセンター運営でカスハラ対策が必要な理由

顧客からのカスタマーハラスメントは、企業にとってさまざまなリスクがあります。例えば、以下の表にまとめたように「企業・従業員・その他の顧客」それぞれにマイナスの影響を与える可能性があります。

カスハラがもたらすリスク
企業 ・不当なクレームに対応する時間的損失
・弁護士など外部への相談にかかる金銭的損失
・被害を受けたオペレーターの離職による人手不足
・SNS拡散によるブランドイメージの低下 など
従業員 ・カスハラ対応による業務パフォーマンスの低下
・ストレスによる心身の不調や休職・離職 など
その他の顧客 ・電話がつながりにくくなり、「問い合せ・疑問解消ができない」「企業やサービスへのストレスや不信感が募る」 など

カスタマーハラスメントによる被害は多岐にわたりますが、人手不足が問題となっている昨今、コールセンターの離職率増加などにつながることは企業にとって大きなデメリットとなります。

従業員や取引先といったステークホルダーのためにも、企業はカスタマーハラスメント対策に取り組む必要があります。

コールセンターでのカスハラ対策

コールセンターでのカスハラ対策

ここからは、コールセンターで取り組めるカスタマーハラスメント対策を6つ紹介します。これらの対策は、日常の対応品質の向上にもつながるので、ぜひ参考にしてみてください。

マニュアルの作成

カスタマーハラスメント対策のマニュアルが整備されていない場合、オペレーターは具体的な対応策やエスカレーションのタイミングがわからず、長時間の拘束に疲弊するかもしれません。そのため、オペレーターが不当なクレームを受けた場合でも一定の水準以上の応対をおこなえるようカスタマーハラスメント対策マニュアルを準備しましょう。

  • クレームとカスタマーハラスメントの見分け方
  • エスカレーションの基準
  • カスタマーハラスメントへの対応フロー

このように、カスタマーハラスメントへの対応方法やフローを社内で整理し、具体的なトークフローに落とし込むことで適切な対応がしやすくなります。

マニュアル完成後はオペレーターに周知し、現場で使いやすものかどうかをヒアリングするとより精度があがるでしょう。必要に応じて修正や追記を行い、再現性の高いカスタマーハラスメント対策マニュアルを作成しましょう。

研修の実施

カスタマーハラスメントからの被害は多岐にわたるため、マニュアルを用意するだけでは十分に対応できない場合もあります。通常のクレームやカスタマーハラスメントに適切に対応できるよう、オペレーターを対象に研修を実施するのも一つの手です。

研修では、カスタマーハラスメントの基礎知識や見極め方といった講座をはじめ、カスタマーハラスメントを想定したロールプレイングなどを行います。また、コールセンターの若手・中堅・管理者のように階層ごとに合わせた対応研修を行っても良いでしょう。

音声テキスト化や検知システムの導入

近年はカスタマーハラスメントに対処するためのサービスも展開されています。特にコールセンターは規模が大きくなるほど人による監視が難しくなるため、網羅的かつ効率的にモニタリングと検知が可能なシステムの導入を検討してみましょう。

例えば、お客さまとのやり取りをリアルタイムでテキスト化できれば、モニタリングを効率的に行うことができます。また、事前に登録した要注意ワードを管理者に通知する機能があれば、検知効率をさらに高めることが可能です。

カスハラ対応専門の窓口設置

カスタマーハラスメントはオペレーターだけでは解決できない場合もあり、無理に任せたままにすると大きな問題に発展することも考えられます。そこで検討してもらいたいのが、カスタマーハラスメント対応専門の窓口を設置することです。

いざという時の相談窓口があることで、カスタマーハラスメントへの応対をスムーズに進められるほか、対応ノウハウの蓄積も図れます。このほか、社内でカスタマーハラスメント対策に取り組んでいることを周知し、窓口に相談するタイミングなどをマニュアルに記載しておけば、応対するオペレーターの心理的負担も軽減するでしょう。

従業員のケア

カスタマーハラスメントは従業員に大きなストレスを与えることもあります。コールセンターの離職率増加の一因にもなりかねないため、被害を受けた従業員の心のケアが必要です。定期的なストレスチェックや面談を実施するほか、悪質なクレームには複数人で対応したり応対後のメンタルケアを徹底したりと、組織的な対策を講じましょう。

また、先述のカスタマーハラスメント専門の相談窓口を活用し、顧客への対応だけでなく従業員のケアについても対応できる体制を整備するのもおすすめです。

専門機関に相談する

カスタマーハラスメントの被害に遭った場合は、社内で解決しようとせず、弁護士や警察、行政への相談も検討しましょう。違法性が高い行為に対しては、法的手段を考えることも必要になるため、事前に相談相手を把握しておくことが望ましいです。

まとめ

まとめ

近年、コールセンターをはじめ多くの企業を悩ませているカスタマーハラスメント。対応の仕方を誤れば企業イメージを損なうだけでなく、従業員の離職にもつながるかもしれません。

しかし、この記事で紹介したカスタマーハラスメント対策によって、オペレーターの負担軽減や応対品質の向上が期待できるため、ぜひ一つずつ実践してみましょう。

オプテージでは、オペレーター支援やAIチャットボットなどコールセンター向けのサービスを多数展開しています。中でもオペレーター支援サービスの「Enour CallAssistant(エナー コールアシスタント)」は、カスタマーハラスメントの検知に役立つ機能を備えています。リアルタイム音声テキスト化により複数の応対を併行してチェックできる「リアルモニタリング機能」や、事前設定した「要注意ワードのアラート通知機能」などを活用すれば、トラブルが深刻化する前に素早く対処できます。またFAQレコメンドや自動要約などにより、オペレーターが行う応対の効率化を図ることも可能です。

カスタマーハラスメントへの対策だけでなく、応対品質の向上や後処理の効率化など、お客様のご要望に合わせたご提案もさせていただきます。オプテージが提供するコンタクトセンター向け業務効率化ソリューションについて詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。


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著者 OPTAGE for Business コラム編集部

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