市場動向から見るデータセンターの未来|業界の展望と予測

市場動向から見るデータセンターの未来|業界の展望と予測

デジタル変革が進む現代において、データセンターは企業活動と私たちの生活に欠かせない存在となっています。効率的なデータ管理、強固なセキュリティ、迅速なアクセスの重要性が増しているなかで、データセンターは単なるデータ保管場所を超え、価値を生み出す基盤へと進化しています。本記事では、データセンターが現在直面している課題と将来の展望について詳しく解説します。

Contents

データセンター業界の現状

データセンター業界は絶えず変化し、新たな課題と機会に直面しています。公開データに基づき、データセンター業界が現在どのような状況にあるかを見ていきましょう。

インターネットの普及とデータ量の増加

デジタルエコノミーの成長は、インターネットの普及と密接に関連しています。スマートデバイスの普及、ソーシャルメディアの活用、オンラインビジネスの拡大がインターネットトラフィックの増加を推進し、データセンターの需要を高めています。特に、ビデオストリーミング、クラウドサービス、オンラインゲーム、IoTデバイスからのデータ収集が、需要増加の主な要因です。

2020年に、全世界で生成されたデータ量は64.2ゼタバイトに到達し、2025年には180ゼタバイトを超えると予測されています。日本でもICTの発展と新たなビジネスモデルの導入が電気通信市場の構造を変化させ、国内のデータ量増加に影響を及ぼしています。データの効率的な処理、分析、保管には高度なインフラが必要であり、データセンターの役割がより重要になっています。

出典: Statista 「2010年~2020年 世界で生成、取得、複製、消費されるデータ/情報の量および2021年~2025年までの予測値(単位:ゼタバイト)」

日本と世界のデータセンター市場規模

日本のデータセンター市場は、技術革新とデジタル化の推進により、大きな成長を遂げています。2021年には、前年比で11.6%増の1兆7,341億円に達しました。この成長はクラウドコンピューティングの普及、ビッグデータ分析の需要増加、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)の加速に起因しています。国内では災害耐性が高いデータセンターへの需要も高まり、ビジネスの継続性を確保するうえで重要な役割を果たしています。

日本と世界のデータセンター市場規模

グローバル市場においても、データセンターの需要は増加の一途をたどっています。特にアジア太平洋地域では、経済の成長とデジタル化の推進がデータセンター投資を加速させています。市場調査によると、世界のデータセンター市場は2027年までに年平均約11%成長する見込みで、新たな技術の導入とデータ量の増大が成長を牽引しています。

出典 : 総務省「データセンター市場の動向 第2部情報通信分野の現状と課題 第6節 国内外におけるサービス・アプリケーションの動向」
出典:株式会社データリソース「データセンタIT設備投資の5年予測レポート」

データセンターにおける技術革新とエネルギー効率化

技術革新は、データセンターの発展にとって欠かせない要素です。これらの革新がデータセンターにもたらす影響は広範囲にわたります。以下に、その具体的な影響を紹介します。

データセンターにおける新技術の影響

データセンター業界はAI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)、クラウドコンピューティングといった最新技術の導入により、劇的な変化を遂げています。これらの技術がデータセンターの運営、構造、業務遂行方法に大きな革新をもたらし、効率性とパフォーマンスを飛躍的に向上させています。特に、AIと機械学習を活用した予測分析は、サーバ負荷の効率的な管理とエネルギー消費の最適化を実現し、運用効率の大幅な改善を可能にしています。

IoT技術は監視システムを進化させ、温度、湿度、電力使用量のリアルタイム監視により運用の効率化を実現しています。また、IoTデバイスから収集されるデータは、ビッグデータ分析に不可欠な情報源です。クラウドコンピューティングの普及は、オンプレミス設備の制約を超えた柔軟性と拡張性を提供し、データセンターの運営方法に革命を起こしました。これらの技術革新により、データセンターはコスト効率と運営効率の向上を実現し、業界全体の変革を加速しています。

エネルギー効率と持続可能性への取り組み

データセンターの運用では、増加するエネルギー消費が大きな課題の一つです。技術革新はこの問題に対処し、エネルギー効率の向上と持続可能性の追求を可能にしています。具体的には、「再生可能エネルギーの利用拡大」や「効率的な冷却システム」、「環境に配慮した建築設計」により、エネルギー消費と環境負荷を減少させています。また、AIとIoTの技術によるエネルギー管理の自動化も、運用の効率化に貢献しています。

これらの取り組みは、エネルギー使用の最適化と環境負荷の最小化を通じて持続可能なデータセンターを実現し、業界の成長を支えています。データセンター業界は技術革新を利用して環境責任を果たし、ビジネスの持続可能性を追求しています。

市場動向:クラウド移行とオンプレ回帰

現在の市場においては、クラウドへの移行(クラウドリフト)とオンプレミスへの回帰(オンプレ回帰)という、並行する二つのトレンドが見られます。これらは企業が戦略やニーズに応じて検討し、選択をしています。クラウド移行とオンプレ回帰という異なる市場の動きについて、詳細を説明していきます。

クラウド移行のメリットと課題、データセンター業界に与える影響

クラウドコンピューティングが企業のITインフラ管理に大きな変革をもたらし、柔軟性の向上やコストの削減、スケーラビリティの強化を実現しました。企業は市場の変化に迅速に対応し、新しいサービスの開発を加速できるようになりました。一方で、クラウドへの移行には「セキュリティリスク」、「データ移行の難しさ」、「クラウドサービスプロバイダーへの依存増加」などの課題が伴います。これらは、クラウド導入を検討する際に考慮すべき重要な要素です。

クラウドサービスへの需要拡大が、データセンター業界に大きな影響を及ぼしています。これにより、セキュリティの更なる強化、運用のエネルギー効率化、そして迅速な対応を可能にするインフラ環境の重要性が高まっています。

また、クラウドサービスプロバイダーの増加により、企業はサービス品質、コスト効率、立地の便利さを基準に最適なパートナーを選択できるようになりました。これにより業界の競争が激化し、市場の成長と進化が促進されています。

オンプレミス回帰の背景と業界への影響

クラウドへの移行が多くの企業に利益をもたらしている一方で、一部の企業はオンプレミスへの回帰を選択しています。これは、すべてのビジネスモデルや運用がクラウド環境に最適とは限らないためです。企業がオンプレミスを選ぶ主な理由は、「セキュリティ上の懸念」や「特定アプリケーションのパフォーマンス要件」、「運用コストの予測可能性」が挙げられます。さらに、データ量や転送量が多くなると、予想以上にコストが高額になる点も見逃せません。これらの要因は、データセンター業界において、オンプレミスソリューションの持続的な価値と、クラウドサービスを補完する柔軟な対応策が求められていることを示唆しています。

また、オンプレミスへの回帰は、セキュリティ強化への意識と、企業が自身のデータを完全に管理したいという願望を反映しています。この願望は、プライバシーとデータ主権を重視する現代社会で、より重要性を増しています。この動向を踏まえ、業界はオンプレミスとクラウドの長所を組み合わせた「ハイブリッドモデル」の導入を推進しています。同時に、ITベンダーは、これらの環境をシームレスに統合するソリューションの開発に注力しています。

データセンターの地理的分布の変化と大阪の役割

データセンターの地理的分布に注目すると、大阪の重要性が明確に増加していることが分かります。日本のデータセンター市場は、東京だけでなく大阪においても急激に成長を遂げています。大阪がこの分野でキーとなる理由は、地理的な利点、経済的な活力、さらには災害リスクを分散する能力にあります。東京に続く経済圏である大阪は、地域内外でのビジネス展開における重要な拠点となっており、データセンターへの需要が急速に高まっています。また、自然災害への備えとしても、大阪はデータセンター立地の選択肢として優れており、災害発生時のデータバックアップやリカバリーサイトとして、重要な役割を果たしています。

この背景のもと、日本マイクロソフトが西日本リージョンに新たに複数のデータセンターを設置し、Microsoft Azureサービスの展開を行ったことは注目に値します。このサービスの展開により、西日本リージョンでのクラウドサービス需要に対応するための容量が大幅に増加しました。大阪のデータセンター市場の成長と、Microsoft Azureの西日本リージョンへの投資は、日本におけるデータセンターの地理的配置変化と大阪の役割拡大を象徴しています。大阪は国内だけでなく、国際的なデータセンター業界においても、その重要性を強めていくことでしょう。

出典 : Microsoft Azure 西日本リージョンを拡大し、高まるクラウド需要に対応。国内データセンターへの追加投資により日本のデジタルトランスフォーメーションを支援

まとめ:データセンター業界の未来展望

データセンター業界は、デジタル変革の速度、データ量の大幅な増加、新技術の登場により、大きな成長と変化を遂げています。クラウドコンピューティングやAI、Iotの発展が、データセンターの設計や運用、サービス提供方法を根本的に変え、業界の進化を加速しています。将来的にデータセンターは、ただのデータ保管場所を超えてデータを活用し価値を生み出す、活動的なプラットフォームに進化することが期待されています。

一方でデータセンター業界は、エネルギー消費の最適化、持続可能性の推進、セキュリティリスクの管理、技術革新に迅速に対応するという複数の課題に直面しています。これらの課題に取り組むためには、エネルギー効率を高める施策、再生可能エネルギーへの転換、強力なセキュリティ対策の実装、新技術への適応性が求められます。また、国際的に事業を展開するデータセンターは、データプライバシーとデータ主権に関する法的要件への遵守も不可欠です。

オプテージは、先進的な技術とサービスによって、データセンター業界への貢献を目指しています。エネルギー効率の高い設計、セキュリティおよびプライバシー保護のための先進ソリューション、クラウドとエッジコンピューティングの統合を通じて、オプテージは業界の持続可能な発展に貢献し、お客さまのデジタルトランスフォーメーションを支援します。20年にわたるデータセンター運用で培ったノウハウとスケールメリットを活かし、お客さまの多様なニーズにお応えいたします。

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著者 OPTAGE for Business コラム編集部

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