- 公開日:2024年11月18日
IT人材不足の深刻化にどう立ち向かう?企業が直面する課題と解決策
IT業界の急速な発展に伴い、システム開発やセキュリティ対策を担うIT人材の需要は年々高まっています。しかし、それと同時に深刻な人材不足に直面しており、企業がその影響を受けるリスクは避けられません。
本記事では、IT人材不足の現状と企業が直面する課題、そして解決策について解説します。
IT業界における人材不足の現状について
まずは、IT人材の定義と、現在の人材不足の状況について詳しく見ていきます。
IT人材とは
2023年にIPA(独立行政法人情報処理推進機構)が発表した「DX白書2023」によると、IT人材はITを活用して事業の新たな価値を生み出したり、製品・サービスの付加価値を高めたり、業務のQCD(品質・コスト・納期)向上を推進する全ての人々が「IT人材」として定義されています。
これは、ITベンダーやネットビジネス企業、一般企業の情報システム部門で働くITエンジニアだけに限らず、幅広い業種・職種の人々も含まれます。
IT人材の量も質も足りない|深刻な現状とは?
IT人材に対する「量」と「質」の不足感は、年々深刻さを増しています。
経済産業省の報告によると、IT人材の不足は今後ますます深刻化することが予測されており、2030年には最大で約79万人の不足が見込まれています。さらに、IPAが2021年度に実施した調査によると、IT企業の8割以上が「IT人材の量が不足している」と回答しており、2020年度の結果とほぼ同様の傾向が続いています。特に「大幅に不足している」と答えた企業は25.3%に達し、前年より増加していることから、その問題の深刻さがうかがえます。
「質」の不足感は「量」よりもさらに大きく、2021年度には「大幅に不足している」と答えた企業が25.6%に上り、2020年度の22.4%から増加しています。
出典:「IT企業のIT人材の「量」に対する過不足感と「質」に対する不足感(経年)」DX白書2023(IPA(独立行政法人情報処理推進機構))
理由としては、特にサイバーセキュリティ、AI、ビッグデータなどの先端技術に対応できる高度なスキルを持つ人材の不足があげられます。加えて、第4次産業革命が進展するなかで、従来のIT技術では対応しきれない新技術が次々と登場しています。その結果、スキルギャップがさらに広がり続けている状況です。
なぜIT業界で人材不足が進んでいるのか
IT業界で人材不足が進んでいる背景には、いくつかの理由があります。ここでは、その理由を4つ紹介します。
デジタル技術の急速な発展に伴う需要拡大
AI、IoT、ビッグデータ、クラウド技術など、新しい技術が次々と登場し、それに対する需要が急速に拡大しています。また、IT業界だけでなく、農業、林業、漁業といった一次産業や、製造業、物流、金融業界など、多くの分野でITの活用が欠かせなくなっており、重要度も日々増しています。
そのため、各業界でアプリケーションやシステム、ツールなどの導入が進み、それに対応可能な知識や技術を持つ人材が不可欠になっています。
一方で、従来のITスキルでは急速に進化する最新技術への対応が難しく、特に高度なスキルを持つ人材の不足が顕著となっています。そのため、高度な人材の育成は、IT業界全体の急務です。
少子化による人口減少
日本では、少子高齢化が急速に進んでおり、人口減少の一途をたどっています。総務省の報告によると、2004年の約1.3億人をピークに減少が始まり、2030年には約1.2億人、さらに2050年には1億人を下回ると推定されています。特に、生産年齢人口の減少が顕著となっており、2005年には8,500万人いた生産年齢人口が、2050年には5,000万人を下回るとの予測です。
出典:「我が国における総人口の推移(年齢3区分別)」市町村合併の推進状況について (総務省)
このため、企業が必要とするIT人材の確保はますます困難になっている状況です。結果として技術革新が遅れるなど、企業の競争力の低下が懸念されています。
急速に進化するIT技術への対応の難しさ
IT業界では、新しい技術が日々急速に進化しています。AIやクラウド、データ分析などの新技術に対応するためには、これまで以上に高度なスキルが求められますが、そのスピードに追いつけていないのが現状です。
現在は、高度なスキルを持つ人材が不足しており、特に情報セキュリティやアジャイル開発など、高度かつ新しい分野に対応できる人材の育成が急務となっています。しかし、人材の育成に必要な指導者や教育にかける時間の不足も課題となっており、人材育成は思うように進んでいません。これらのことから、IT人材は質・量ともに不足しているという深刻な課題を抱えています。
業務過多などによる長時間労働
IT業界では、長時間労働が長年にわたり問題視されています。業界団体や政府による働き方改革の推進で多少の改善は見られたものの、依然として高い水準です。
主な原因として、突発的なトラブル対応やタスクの多さが挙げられます。このような状況から緊急対応が日常化しているため、長時間労働が問題となっています。この業務負担は、肉体的・精神的な疲労を引き起こし、退職者の増加につながる恐れもあります。
IT人材不足を解決するための方法は?
これまで、IT人材が不足している理由について説明してきましたが、解決策はあるのでしょうか。ここでは、その方法を3つ紹介します。
就労環境の多様化
ITを活用した新しい働き方や、場所や時間にとらわれない就労環境の多角化も解決策のひとつです。リモートワークの導入により、仕事とプライベートのバランスを重視する人材や、地方に住む優秀な人材の採用が可能になります。また、フレックスタイムや時差出勤といった柔軟な働き方を取り入れることで、自分のペースで仕事を進められる環境を整えられます。
このような環境改善は、働きやすさを向上させ、モチベーションアップや離職率の低下にもつながります。さらに、働き方に合った新しいツールや技術の導入は、業務効率を向上させ、リソースに余裕を持たせるうえでも非常に有効な方法です。
従業員への教育
既存の従業員へのリスキリングや研修などの教育も非常に有効な手段です。新たな人材の採用が難しい場合でも、既存の従業員に適切な教育を提供することで、即戦力として活躍できる人材を育成できます。そのためには、明確な学習目標を設定し、必要なスキルや知識を段階的に習得できる教育制度の整備が重要です。
例えば、独自の研修プログラムの開発や、先輩社員によるOJT、社内勉強会を活用することで、従業員が効率的に成長できる環境を整えられます。これにより、企業は人材育成を通じて、IT人材不足への対応が可能になります。
マネージドサービスの活用
企業で人員を採用するなどの対応が難しい場合には、「マネージドサービス」の活用も有効な手段のひとつです。マネージドサービスとは、企業のクラウドやネットワーク、セキュリティの監視や運用など、ITに関わる業務を外部の専門業者に委託するサービスのことです。セキュリティ監視やインフラの運用支援など企業の保有するリソースで対応するのが難しい業務を外部に任せることで、企業は内部のリソースを効率的に使い、従業員が本来の重要な業務に集中できる環境を整えられます。
また、ITの専門知識が不足している分野や、日々の運用に負担がかかっている企業にとって、マネージドサービスは業務負荷の軽減や運用の安定化に役立ちます。これにより、IT人材の不足による影響を最小限に抑え、企業全体の運営を円滑に進めることが可能になるでしょう。
まとめ
本記事では、IT人材不足の現状と企業が直面する課題、そして解決策について解説しました。今後も新しいITサービスや技術が次々と開発される一方で、人材不足の問題の解決は容易ではなく、さらなる悪化が予想されています。
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これにより、サイバーセキュリティに関する専門知識がなくても、企業はリスク軽減を図り、限られた人材を効率的に活用できるでしょう。
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