BCP対策とは?策定時・導入後に企業が押さえるべきポイントについて

BCP対策とは?策定時・導入後に企業が押さえるべきポイントについて

近年、自然災害やサイバー攻撃の頻度が増加しており、企業のBCP(事業継続計画)の重要性はますます高まっています。BCPを策定することで、予期せぬ事態が発生しても、被害を最小限に抑え、事業の迅速な復旧が可能です。また、従業員の安全確保や信頼関係の維持にも大きな効果を発揮します。
この記事では、BCPを策定する際や、導入後に企業が留意すべきポイントについて解説します。

Contents

BCPの基本情報

BCPの基本情報

はじめに、BCPの定義やその必要性、さらにBCM(事業継続マネジメント)との違いについて紹介します。

BCPとは

BCP(事業継続計画)とは、自然災害や経済危機など企業が直面するさまざまなリスクが発生した際に、企業が事業を中断せずに継続するための計画です。1995年の阪神・淡路大震災をきっかけに、その重要性が広く認識されるようになりました。

BCPは、リスクが発生した際に企業活動を迅速かつ効率的に回復させることを目的としています。政府もBCPの重要性を認識しており、2013年には内閣官房が「国土強靭化政策大綱」を策定しました。同大綱では、災害時における企業の事業継続能力の向上や、サプライチェーンの強靭化が経済の持続的発展に不可欠であることが強調されています。さらに、企業文化としてBCPを根付かせることが、サプライチェーンの強化や競争力の向上にも大きく寄与すると述べられています。

BCP策定が重要な理由

BCPの策定が重要な理由は、企業を取り巻くリスクが増加しているためです。

自然災害、サイバー攻撃、経済危機などのリスクが発生した際、適切な計画がなければ、企業は深刻な損害を受ける可能性があります。しかし、BCPがあれば、緊急事態において従業員や資産を守り、事業の継続を確保するための対応力が高まります。

BCPを導入している企業は、顧客や取引先、株主からの信頼を得やすくなり、企業の信用度やブランドイメージの向上にもつながります。特にグローバル化が進む現代においては、国際基準に沿った危機管理が求められるため、BCPの策定は一層重要視されています。

BCM(事業継続マネジメント)との違い

BCM(事業継続マネジメント)は、よくBCPと混同されがちですが、それぞれ異なる役割を担っています。BCPは、具体的な事業継続のための計画を指し、BCMは、その計画を策定・維持・改善し、従業員の教育や訓練を通じて企業全体で事業継続を支えるマネジメント活動全般を意味します。

BCMには、BCPの実効性を高めるための継続的な改善、リソースや予算の確保、社員教育や訓練、さらに継続的な改善プロセスが含まれます。言い換えれば、BCPは「計画」に過ぎませんが、BCMはその計画を企業全体で確実に運用するための「仕組み」です。

企業が緊急時に事業の継続を確保するためには、BCPを策定するだけでなく、BCMを通じてその計画を運用・改善し続けることが不可欠です。

BCP策定における重要なポイント

BCP策定における重要なポイント

BCPを策定する際、どのようなポイントに重点を置くとよいのでしょうか。ここでは、押さえておくべきポイントを3つ紹介します。

基本方針や目的を確認する

まずは、「何のためにBCPを策定するのか」という基本方針を明確にすることが重要です。例えば、自然災害で交通が寸断され従業員が出社できない場合や、本社や工場が倒壊し、事業を継続するための資金繰りが困難になるといった具体的なケースを想定します。そこから、どのように対処すべきかを考え、計画を立てていきます。明確な目的を設定することで、将来的なビジョンを見据えた危機管理体制の構築が可能になります。

また、サプライチェーンや地域社会、従業員に与える影響も考慮しながら、事業の継続力の強化が求められます。これにより、自然災害や社会的な危機に直面しても、企業が社会的責任を果たし、被害を最小限に抑えることが可能となります。

リスクの洗い出しと評価

リスクを明確に把握し、それを具体的な言葉で表現することも非常に重要です。具体的な対策を考える前に、どのようなリスクが発生し得るかを洗い出し、そのリスクが「ヒト(人員)」「モノ(建物・設備・インフラ)」「カネ(資金)」「情報」にどのような影響を与えるかを評価する必要があります。例えば、災害が発生した場合では、従業員が出社できなくなったり、施設や設備が損傷したりするリスクが考えられます。

さらに、リスクが発生する確率や影響の深刻度を考慮し、優先順位をつけて対応を進めることも効果的です。これにより、限られたリソースを効果的に活用し、最も重要なリスクから対策を講じることで、企業全体のリスク管理を強化できます。

実行不可能な戦略、目標が設定されている

BCPは、企業ごとの特性やリスクに合わせてオーダーメイドで策定することも重要です。

「時間がないから」「策定が面倒だから」といって、他社のBCPをそのまま流用したり、一般的な対策を適用したりするだけでは、緊急時に実際に機能しない可能性があります。企業ごとに異なる業務内容やリスクがあるため、企業の事業環境に合わせた現実的な目標や対策を設定することが求められます。

具体的で実行可能なBCPを策定することで、緊急事態が発生した際にもスムーズに対応でき、事業の早期再開が可能になります。

BCP導入後に押さえるべき注意ポイント

BCP導入後に押さえるべき注意ポイント

BCPは策定だけでなく、導入後の適切な運用と管理も重要です。ここでは、BCP導入後に注意すべきポイントについて紹介します。

初動対応の定着

BCPは策定するだけでは不十分で、実際に機能させるためには企業全体で初動対応を定着させることが重要です。緊急事態に直面した際の初動対応が迅速であるほど、被害を最小限に抑えることができます。そのためには、定期的に訓練やシミュレーションを実施し、従業員が緊急時の手順を体で覚えることで、実際の危機に直面しても冷静に対応できます。これにより、混乱や対応の遅れを防ぐことが可能になるでしょう。

さらに、初動対応の手順をマニュアル化し、全従業員が共有することで、迅速かつ効果的な初動対応が可能になります。役割分担がはっきりしていれば、責任の所在が不明確になり対応が遅れるといった事態を避けられるためです。

BCPを単なる計画にとどめず、実際に機能する体制を整えることで、企業全体の事業継続性が高まり、長期的な安定を確保できるようになります。

PDCAサイクルを繰り返す

BCP導入後も、定期的にPDCAサイクルを繰り返すことが大切です。

実際に計画を運用し、訓練をする過程で問題点を発見し、その都度見直しと改善を行うことで、より実践的で効果的なBCPへと進化させられます。

中小企業庁も「中小企業BCP策定運用指針」のなかで、必要に応じて定期的なBCPの見直しが重要であると強調しており、改善が企業のリスク管理において不可欠であると指摘しています。

見直しの際には、「RTO(目標復旧時間)」や「RLO(目標復旧レベル)」といった指標に基づいて、復旧までの時間や事業再開時の具体的なレベルを設定することで、より確実な事業継続を目指すことが可能です。

環境や状況の変化に合わせて見直す

企業の現状に合わせてBCPが策定されたとしても、時代の変化や企業環境の進展に対応できていなければ、緊急時に有効に機能しません。

例えば、技術の進化、事業拡大、サプライチェーンの変化、新たなリスク要因の出現など、企業を取り巻く状況は変動し続けます。こうした変化に対応できるよう、BCPも定期的な見直しや更新が不可欠です。具体的な対策として、数年に一度、BCPの内容を再評価し、必要に応じて改定するためのスケジュールや規定を設けるとよいでしょう。常に最新の状況に適応できる計画を維持できます。

このように定期的に更新することで、企業は変化に強く、柔軟に対応できる組織を構築でき、事業継続性を高められます。

従業員に周知や教育を行う

BCPを導入後は、従業員や経営層への周知や教育の徹底が非常に重要です。

特に情報管理の分野では、従業員や経営層が「IT部門がなんとかしてくれるだろう」と考えてしまうことが少なくなく、当事者意識が希薄になりやすいです。しかし、BCPは企業全体の課題であり、全従業員が自分の役割を理解し、積極的に関わることが求められます。

そのため、定期的なトレーニングや教育を行い、従業員の理解を深め、緊急時の対応力を高めることが必要です。これにより、企業はリスクに強い組織へと成長でき、BCPの実効性も最大化されます。従業員一人ひとりの意識向上が、BCPの成功と事業継続の鍵となるのです。

周知や教育を通じて、従業員がBCPの重要性を理解し、自発的に行動できる体制を築くことが、企業の持続的な成長と安定に寄与します。

まとめ

まとめ

この記事では、BCPを策定する際や導入後に企業が押さえるべきポイントについて解説しました。

BCPは、災害やインシデントが発生しても被害を最小限に抑えるために欠かせない計画です。そのためには、リスクを洗い出し、定期的にPDCAサイクルを繰り返しながら、適切な対策を講じることが重要になります。

災害時におけるデータやシステムの保護は、BCPにおける重要なリスク管理のひとつであり、強固なデータセンターは企業の事業継続を支える柱となります。

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著者 OPTAGE for Business コラム編集部

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