クラウドの料金体系を把握し予算超過を防ぐ|コスト管理のポイント

クラウドの料金体系を把握し予算超過を防ぐ|コスト管理のポイント

クラウドサービスの利用が拡大するなか、コスト管理の難しさが浮き彫りになってきているのではないでしょうか?多くのクラウドサービスは従量課金を採用しており、利用量によってコストが変動するため、予算の予測が立てにくいものです。
主要なクラウドサービスは、リソース利用量、データ転送量、リージョン、オプションサービスなど、さまざまな要素が料金を決定する要因となっています。
本記事では、主要なクラウドサービスの料金体系の概要を説明し、コスト管理を容易にするためのポイントを解説します。

Contents

クラウドサービスのコストを左右する要素

クラウドサービスのコストを左右する要素

クラウドサービスのコストの増減を決める以下の4つの要素について解説します。

  • リソース利用量
  • データ転送量
  • リージョン
  • オプション

リソース利用量

クラウドサービスでは、CPU、メモリ、ストレージなどのリソースを利用者が使いやすい形にカスタマイズして利用でき、利用量に応じてコストが変動します。カスタマイズする際には、構成に応じて費用の目安が表示されたり、製品ページに料金表が掲載されていたりするため、それらを参考に検討を進めましょう。また、リソース利用量が増えるほど料金も高くなるため、適切なリソース配分と定期的なモニタリングによるコスト管理が重要です。

また、従量課金だけでなく、一定の利用量を含んだ料金設定のサービスもあるので、用途や規模に合わせて最適な料金体系を選択することが大切です。

データ転送量

クラウドサービスでは、データ転送量に応じたコストも発生します。同一クラウド内でのデータ通信は比較的安価ですが、クラウドサービスから外部のネットワークへデータを転送する場合(例えば、利用中のクラウドサービスからオンプレミスのサーバや他のクラウドサービスへのデータ転送)は、料金が高くなる傾向があります。

したがって、クラウドサービスを利用する際は、データ転送量を把握し、適切に管理することが重要です。不必要なデータ転送を減らしたり、大量のデータを転送する必要がある場合はデータを圧縮して転送量を最小限に抑えるなどで、コストを削減できます。

リージョン

クラウドサービスは、世界各地に設置されたデータセンターを通じて提供されています。これらのデータセンターを設置しているエリアは「リージョン」と呼ばれ、地理的に分散することで、耐障害性や冗長性を確保しています。

リージョンごとにクラウドサービス料金体系が異なります。これは、電力コストや人件費などの運用コストが地域によって異なるためです。

オプション

クラウドサービスには、基本的なインフラストラクチャに加えて、監視、ログ管理、バックアップなど、さまざまなオプションサービスが用意されています。これらのサービスを利用することで、システムの可用性や信頼性を高めることができます。ただし、オプションサービスを利用すると追加の費用が発生する場合があります。

主要クラウドサービスの料金体系

クラウドサービスの料金体系は、提供企業やサービスによって異なりますが、主要なクラウドサービスであるアマゾン ウェブ サービス (AWS)、Microsoft Azure(Azure)、Google Cloudには共通する料金モデルがあります。ここでは以下の3つの料金体系について解説します。

  • 従量課金
  • 予約購入割引
  • 未使用リソース割引

従量課金

従量課金は、利用した分だけ料金が発生する料金モデルです。必要な時に必要な分だけリソースを利用できるため、柔軟性が高いのが特徴です。

具体的には、インスタンスの実行時間に応じて、時間単位または秒単位で料金が発生します。長期契約や前払いは不要で、アプリケーションの使用頻度や稼働状況に合わせて構成を自在に調整できます。

従量課金は、短期的なプロジェクトや予測が難しいプロジェクト、急激な需要の変化に対応する必要があるアプリケーションに適しています。

予約購入割引

予約購入割引は、一定期間(通常1年または3年)の利用を前提とした料金モデルです。アマゾン ウェブ サービス 、Microsoft Azure、Google Cloudでは、それぞれリザーブドインスタンス、リザーブドVMインスタンス、確約利用割引と呼ばれています。

このモデルでは、従量課金と比べて大幅な割引が適用されるため、長期的に利用するワークロードに適しています。

ただし、割引が効くからと言って予約購入割引で過剰に購入すると、未使用のリソースに対して支払いが発生するため、コスト効率が悪化する可能性があります。

未使用リソース割引

未使用リソース割引は、クラウドサービスの未使用リソースを割引価格で利用できる料金モデルです。アマゾン ウェブ サービスではスポットインスタンス、Microsoft AzureではスポットVM、Google CloudではプリエンプティブルVMと呼ばれています。

このモデルでは、従量課金と比べて最大で90%程度の割引が適用されるため、コスト削減に非常に効果的です。ただし、リソースの需給バランスに応じて価格が変動し、リソースが中断される可能性があります。

未使用リソース割引は、中断の影響を受けても問題ないような使い方に適しています。例えば、テストや開発、データ解析などのジョブが該当します。

コスト管理のための実践的なノウハウ

クラウドサービスのコスト管理を適切におこなうことで、予算の無駄を省き、ビジネスの効率化を図ることができます。ここでは、クラウドのコスト管理のための実践的なノウハウをご紹介します。

利用状況の可視化と分析

クラウドのコストを適切に管理するには、コスト可視化ツールを活用して利用状況を可視化し、分析することが重要です。ツールを使用することで、サービスごとやプロジェクトごとのコストの内訳を詳細に把握することができます。

コスト可視化ツールから得られたデータを分析することで、将来のコスト予測や最適化のための意思決定に役立てることができます。例えば、不要なリソースや過剰なリソース配分を特定し、最適化につなげられます。

不要なリソースの削減

クラウドサービスを利用していると、気づかないうちに不要なリソースが発生しがちです。例えば、開発が終了したプロジェクトのインスタンスを停止し忘れたり、一時的なテストのために作成したリソースを削除し忘れたりすることがあります。

これらの不要なリソースがないか、定期的にリソースの利用状況を見直し、不要なものは速やかに削除することが重要です。

アラートの設定と対応

クラウドサービスの利用コストが予算を超過しそうになった場合、速やかに対応するためにアラート機能を活用することが重要です。クラウドサービスが提供するツールがある場合は活用し、予算超過アラートを設定しておきましょう。

アラートが発生したら、まずアラートの内容を確認し、コストが増大している原因を特定します。例えば、以下のような点を確認します。

  • 予期せぬトラフィックの増加によるリソース利用量の増大
  • 不要なリソースの放置や過剰なリソース配分
  • 高額なサービスやインスタンスタイプの選択ミス

原因が特定できたら、速やかに対策を実施します。

コスト管理のしやすさに役立つ「定額プラン」と「国産クラウド」の活用

クラウドサービスの料金体系は従量課金が主流ですが、コスト管理のしやすさという観点から、定額のプランや国産クラウドの活用も検討すると良いかもしれません。ここでは、それぞれの特徴とメリットについて解説します。

シンプルな定額プランの活用

従量課金をメインの料金体系とするクラウドサービスが多いですが、予約購入割引のようなサービスの長期契約による料金の定額化や、月額課金が選択可能なクラウドサービスを活用することで、コスト管理がシンプルになり、予算超過のリスクを回避しやすくなります。

一方で、定額プランは従量課金のサービスに比べ柔軟性が下がる点やキャンセルできないなどのデメリットもあります。

また、利用状況によっては従量課金よりも割高になる可能性があります。自社の利用状況を十分に分析したうえで、最適なプランを選択することが重要です。

国産クラウドの選択

海外のクラウドサービスを利用すると、為替リスクが問題となることがあります。為替変動によって、利用料金が予期せず高額になる可能性があるのです。このような問題を回避するために、国産クラウドサービスを選択することも有効な選択肢のひとつです。

国産クラウドサービスは、円建てで料金が設定されており、短期的な為替変動の影響を受けません。そのため、安定したコスト管理が可能になります。

また、日本の法令や規制に準拠しており、コンプライアンス面での安心感があります。日本語でのサポートも充実しているため、トラブル発生時の対応もスムーズです。

ただし、海外の大手クラウドサービスに比べて、提供されるサービスやリージョンが限定的な場合があります。自社のニーズに合ったサービスが提供されているか、十分に検討することが重要です。

まとめ

クラウドサービスの料金体系を理解し、適切なコスト管理をおこなうことは、ビジネスの競争力を高めるうえで欠かせない重要な課題です。リソース利用量、データ転送量、リージョン、オプションサービスなど、さまざまな要素がコストに影響を与えるため、それぞれの特徴を把握し、最適化を図る必要があります。

さらに、コスト管理のしやすさを実現するには、「定額プラン」や「国産クラウド」の活用が有効な解決策となります。シンプルな料金体系やきめ細かなサポートを提供するこれらのサービスは、コスト管理の負荷を軽減し、予算超過のリスクを回避するうえで有効です。

オプテージでは、「ユーティリティ クラウド」「オプテージ コネクティビティ クラウド・ストレージ(OCCS)」をご提供しています。どちらも日本国内のデータセンターで提供する国産クラウドで、円建てでの定額メニューや日本語でのサポートにより安心してご利用いただけます。月ごとの価格変動で予算策定がしづらいとお悩みの方は、ぜひオプテージにご相談ください。

◎製品名、会社名等は、各社の商標または登録商標です。

関連サービスのご紹介

著者画像

著者 OPTAGE for Business コラム編集部

ビジネスを成功に導くICTのお役立ち情報や、話題のビジネストレンドをご紹介しています。

SNSシェア