リソース増減が激しいオンプレサーバのサイジングの最適解とは?

リソース増減が激しいオンプレサーバのサイジングの最適解とは?

サーバのサイジングは、システムの安定稼働とパフォーマンスを確保するうえで極めて重要です。しかし、将来の需要を正確に予測することは難しく、特にWebサーバやECサーバ、ファイルサーバなど、リソースの増減が激しいサーバや、将来的な拡張が見込みづらいサーバの適切なサイジングは、システム担当者にとって大きな課題です。
本記事では、オンプレミス環境におけるサイジングの課題や、クラウド活用でのポイントを解説します。

Contents

サイジングとは

システム設計におけるサイジングとは、システム利用のピーク時を想定し、必要となる性能や容量を適正に見積もることを指します。

サイジングの見積もりを見誤ると、重大な問題を引き起こす原因となります。
例えば、サーバのスペックが実際の負荷に対して不足している場合、パフォーマンスの劣化やシステムダウンが発生することがあります。例えばそれがECサイトであれば、顧客満足度の低下だけでなくビジネスの機会損失につながることになりかねません。

システムのサイジングは、安定したシステム稼働を実現するための非常に重要な工程の1つです。適切なサイジングを行うことで、システムの安定性とパフォーマンスを確保し、ビジネスの成長を支えることができます。

オンプレミス環境でのサイジングの課題

オンプレミス環境でのサイジングには、リソース需要の変動や予測の難しさといった多くの課題があります。では、実際にどのようなものがあるのか見ていきましょう。

ファイルサーバの場合

現在、多くの企業がファイルサーバを活用しています。ファイルサーバのサイジングのポイントは、ストレージ容量の見積もりです。

リプレイスの場合、過去のデータ量の増加率を参考におおよそのストレージ容量を見積もることができますが、ここ数年で扱うデータがテキストだけでなく写真や動画も加わり、データ容量が大幅に増大しています。また、DXの進展によりビジネスにおけるデータの重要性が高まり、将来的にどのようなデータをどれだけ保存する必要があるのかを現時点で見極めるのは難しいでしょう。

ファイルサーバの容量不足が発生した場合、ストレージの追加や構成の見直しが必要となります。特にファイルサーバを多拠点で運用している企業では、サーバ更新に多くの工数とコストがかかります。また、各拠点のサーバ更新に伴うダウンタイムやデータ移行の手間も無視できません。

ECサイトの場合

オンプレミス環境でのサイジングは、一般的に余裕を持った構成で行われます。特にECサイトのようにトラフィックのピークが変動し、システムダウンによりビジネスに大きな影響を与えるシステムでは、急なトラフィック増に対応できるよう、ピークを大きく見込んでサイジングを行う傾向にあります。

また、不測の事態に対応するために、ハードウェアやネットワークの冗長化も考慮しなければなりません。これにより調達費用や維持コストが増加しがちとなり、経済的な負担が大きくなります。

このように、ECサイトのサイジングは最大のトラフィックピークに備えた余裕のあるリソースの見積もりが必要ですが、それに伴うコストが課題となります。効率的な運用を目指すためには、システムダウンを回避できるギリギリのラインを見極め、サイジングを行う必要があります。

サイジングにおけるクラウドのメリット

一方、システム基盤にクラウドを選定した場合でも、ある程度のサイジングは必要となります。ただし、クラウドの特長として必要に応じてリソースの追加・削除が柔軟に行えるといった点があり、この点が従来のサイジングの課題に有効と考えられています。

ここでは、サイジングにおけるクラウドのメリットについて見ていきましょう。

スモールスタートが可能

クラウドは、新規サービスの提供時やサーバ負荷・ストレージ容量が予測困難なシステムの基盤に適しています。例えば、ファイルサーバのように必要となるリソースが漸増するシステムの場合、最小限のリソースから利用を開始できるため、不要なリソースへのコストがかかりません。初期投資を抑えながら、ビジネスの成長に合わせて柔軟にリソースを追加できます。これにより、オンプレミス環境と比較しスモールスタートが可能です。

コストの最適化

クラウドでは、使用したリソースに対してのみ課金されるため、不要なリソースに費用がかかりません。

オンプレミス環境では、システム運用当初から最大値を見込んだリソース分のコストがかかりますが、クラウドの場合は必要なタイミングでリソースの増減が可能です。そのため、必要最小限のコストで運用することができます。

例えば、アクセスが集中するピーク時にはリソースを増やし、通常時にはリソースを減らすことで、効率的にコストを抑えることができます。これにより、ビジネスの成長に応じた柔軟なリソース管理が可能となり、予算の最適な配分が実現します。

リソース変更が容易

クラウドの最大のメリットの1つは、リソースの変更が容易である点です。多くのクラウド事業者はWebブラウザで操作できるコントロールパネルを提供しており、これを通じてサーバの構築やリソースの管理ができます。コントロールパネルでクラウドサーバのリソース使用状況やパフォーマンスを確認し、必要に応じてリソース変更が容易に行えます。また、クラウドはインターネットを利用するため、在宅勤務時や外出先といった場合も会社外から操作が可能です。

リソースの変更が容易なクラウドでは、パフォーマンス状況を見ながらさまざまなサイジングパターンを試すことができます。試行錯誤を繰り返してシステムの特性に最も適した構成を見つけ出し、パフォーマンスとコストのバランスを取ることで、システムを最適化することができます。

適切なサイジングが行えるクラウド選定のポイントとは?

適切なサイジングが行えるクラウドを選ぶには、どのようなポイントに着目すればよいのでしょうか?ここでは4つのポイントを紹介します。

  • 自社でリソース管理・変更が行える
  • オートスケール機能がある
  • コントロールパネルの使いやすさ
  • リソース監視サービスの活用

自社でリソース管理・変更が行える


まず、自社でリソース管理・変更が行えるクラウドを選びましょう。特に、従量課金制を採用しているサービスは、必要なリソースだけにコストをかけることができるため、効率的なコスト管理が可能です。
また、契約リソース内で要求スペックに応じたサーバを自由に作成できるようなサービスもあるため、企業で想定される使い方や予算に合わせて選択するとよいでしょう。

オートスケール機能がある

次に、WebサーバやECサイトのようなトラフィックピークの変動が多いサーバの場合は、オートスケール機能を持つクラウドに注目しましょう。オートスケール機能により、システムの負荷が増減する際に自動的にリソースを調整することができるため、過剰なリソースを常時確保する必要がなくなります。これにより、コストの最適化とシステムの安定運用が実現します。

コントロールパネルの使いやすさ

さらに、コントロールパネルの使いやすさも重要な選定ポイントです。直感的で使いやすいコントロールパネルを持つクラウドサービスは、管理作業の効率を大幅に向上させます。操作が簡単であれば、専門知識がなくてもリソースの管理や変更がスムーズに行えます。

リソース監視サービスの活用

最後に、クラウドに最適なIT人材の確保が難しい場合は、外部のクラウド監視サービスや運用代行サービスの活用も検討してみましょう。多くのクラウド事業者からクラウドマネージドサービスが提供されています。こうしたサービスを利用すれば、システムのパフォーマンスやリソース使用状況を常に把握することができ、問題が発生した際に迅速に対応できます。これにより、システムの安定性と信頼性が向上します。

これらのポイントを押さえて、適切なサイジングが行えるクラウドサービスを選定することで、効率的かつ効果的なサーバ運用が可能となるでしょう。

まとめ

本記事では、オンプレミス環境におけるサイジングの課題と、クラウド活用でのポイントについて解説しました。

従来のオンプレミス環境では、サーバの容量や性能の見積もりが難しく、過剰投資やリソース不足といった問題が発生しがちです。しかし、クラウドを活用することで、必要なだけリソースを増減できるため、効率的な運用を実現することが可能になります。

オプテージでは、さまざまなクラウドサービスを展開しています。オプテージ独自クラウドの「オプテージ コネクティビティ クラウド・ストレージ」では、使いやすいコントロールパネルを採用し、契約したリソース内で自由にサーバの追加・削除が可能です。また、「AWS for OPTAGE 」「Azure for OPTAGE」では、オートスケール機能を活用したサーバ構築が可能です。それぞれ24時間365日対応可能のマネージドサービスもご用意しています。

サーバのサイジングについてお悩みのことがありましたら、ぜひオプテージにお気軽にご相談ください。お客さまのサーバの用途やご要件に合わせて、最適なクラウドサービスやマネージドサービスのご提案をさせていただきます。

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著者 OPTAGE for Business コラム編集部

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