- 公開日:2024年02月29日
EPPとEDRの違いとは?エンドポイントのセキュリティ対策も解説
サイバーセキュリティの分野では、絶えず進化する脅威に対応するため、革新的な対策が求められています。EPP(エンドポイント保護プラットフォーム)とEDR(エンドポイント検出・対応)は、マルウェア対策という共通の目標を持ちながら、機能面で異なる特徴を持っており、サイバー攻撃の脅威に対する重要な役割を果たします。
本記事では、これら2つのサービスがどのように連携し、サイバー攻撃に効果的に対処するかを詳しく解説します。
EPP(エンドポイント保護プラットフォーム)とは
EPP(Endpoint Protection Platform)は、マルウェア感染のリスクを未然に防ぐことに特化したセキュリティソリューションです。このプラットフォームは、組織内へのマルウェア侵入を検知し、「自動的に排除する」「実行を阻止する」機能を備えています。ウイルス対策ソフトはEPPの代表的な例であり、長年にわたり基本的なセキュリティ対策として機能してきました。
従来のウイルス対策ソフトは、パターンマッチング方式を用いて既知のマルウェアを識別することが一般的でした。しかし、昨今のEPP製品は、機械学習や振る舞い解析などの先進的な技術を活用し、新種や亜種を含む未知のマルウェアの検出も可能です。近年のEPPは進化し、より洗練された脅威に対しても効果的な防御を実現します。
EDR(エンドポイント検出対応)とは
EDR(Endpoint Detection and Response)は、エンドポイントデバイス(パソコン、サーバ、スマートフォンなど)のセキュリティを強化するために設計された先進的なシステムです。このシステムの主要な目的は、エンドポイントデバイスで発生するサイバー攻撃や異常行動をリアルタイムで検出し、迅速に対応することにあります。
EDRの主要な機能は、ユーザー操作や自動実行されるプロセスといったデバイスの活動ログを継続的に監視することです。対象デバイスに設置された「エージェント」や「センサー」は、クラウドベースの管理サーバと連携して、デバイスの活動をリアルタイムで追跡。この監視プロセスにより、EDRシステムはマルウェアの通信、攻撃の拡散、データの不正な持ち出しといった多様な脅威を検知し、これらの問題に素早く対処します。
EDRは単独で運用するよりも、SOC(Security Operation Center)と呼ばれる専門家チームと連携することで、能力をより発揮します。異常が検知された際には、SOCチームが分析と対処を担い、迅速かつ効果的なセキュリティ対応が実現可能です。
EPPとEDRの違いは「侵入前の予防」と「侵入後の対応」
EPPとEDRは、パソコンやスマートフォンなどのセキュリティを守るために、それぞれ異なる役割を果たします。EPPは、マルウェア感染の予防に焦点を当て、既知および未知の脅威からエンドポイントを保護するための予防策を提供します。
一方でEDRは、マルウェアがEPPをすり抜けた場合など、エンドポイントのセキュリティ侵害が発生したあとの状況に対応します。EDRはエンドポイントデバイスの詳細な活動を監視し、通常の運用から逸脱する行動をリアルタイムで検知します。そのため、EDRは侵害の兆候を早期にとらえ、迅速な対応により被害を最小限に抑える能力を持っています。
EDRが注目される背景
近年、EDRを始めとするエンドポイントセキュリティ製品市場は、顕著な成長を遂げています。EDRが注目される背景には、以下の理由があります。
テレワーク時代のネットワーク利用の変化
新型コロナウイルス感染症の影響により、リモートワークが急速に普及し、業務のネットワーク利用パターンに顕著な変化がもたらされました。オフィス中心の業務から脱却し、在宅や移動中など、多様な場所での「社外ネットワークの利用」が新たな標準となりました。
この変化により、企業はセキュリティ戦略の再考を迫られています。従来の「社内ネットワークは安全、社外ネットワークは危険」とする考え方から、エンドポイントを中心とした保護へのシフトが必要になりました。この変革に適応するため、EDRが、リモートワーク環境におけるセキュリティの強化に重要な役割を果たします。
セキュリティに対する考え方の変化:ゼロトラストの重要性
セキュリティに対する考え方の変化は、EDRへの関心を高める重要な要因となっています。AIやテクノロジーの進展は、サイバー攻撃者にも利用され、マルウェア攻撃の高度化と多様化も進んでいます。既知のマルウェアをもとに新たな未知のマルウェアを容易に作成できるようになり、従来のウイルス対策ソフトウェアだけでは対応が困難な状況です。このような状況において、侵入を完全に防ぐという従来のアプローチに加え、侵入を前提とした対策と被害を最小限に抑えるための戦略が重要視されています。
ここで、ゼロトラストのセキュリティモデルが重要な役割を果たします。ゼロトラストは、従来の「信頼された内部ネットワーク」という概念を排除し、すべてのネットワークトラフィックとアクセスを疑うアプローチを採用。これにより、内部や外部を問わず、すべてのアクセスを検証し、必要最小限のアクセスのみを許可することでセキュリティを強化します。EDRはこの新しいセキュリティモデルにおいて、侵入されたあとの対応として「最後の砦」となり、組織のセキュリティ体制を強化する要となります。
EPPとEDRの組み合わせ:予防と侵入対応の包括的なセキュリティ対策
エンドポイントセキュリティにおいて、EPPとEDRの組み合わせは、効果的なセキュリティ対策を実現します。この2つのソリューションが重要な理由は、それぞれが提供する保護の範囲と機能が異なるためです。EPPは、マルウェアの侵入を未然に防ぐ予防的な防御に特化しており、既知および未知の脅威からエンドポイントを守ります。これにより、セキュリティ侵害の発生確率を低減させることが可能です。
一方で、EDRはすでに侵入されたあとの状況に対応し、迅速な検出と対応をおこないます。リモートワークの増加にともない、セキュリティの焦点は従来の境界型からエンドポイントへと移行しました。この変化に対応するため、EDRは特に重要な役割を担います。EDRが侵入後に迅速な検出と効果的な対応をおこなうことで、セキュリティ侵害のリスクを最小限に抑えます。
このEPPとEDRを組み合わせることで、「予防」と「侵入後対応」の両面からセキュリティの強化が可能です。EPPがエンドポイントを保護する最初の防御線として機能し、EDRが万が一の侵入に対して迅速に対処することで、セキュリティの全体的な強度が向上します。
まとめ
本記事では、EPPとEDRがエンドポイントセキュリティにおいてどのように連携し、サイバー攻撃の脅威に対抗できるかを掘り下げました。テレワークが日常化するなか、EPPとEDRを組み合わせることは、安全なテレワーク環境構築のために不可欠です。また、EPPとEDRの組み合わせにより、ゼロトラストモデルを支えるセキュリティ基盤を構築できます。
オプテージのマネージドセキュリティサービス は、テレワークにともなう多様な課題に対応するための包括的なソリューションを提供します。エンドポイントの監視からEDRソリューションの提供、ゼロトラストモデルの採用に至るまで、多角的なアプローチでテレワークの安全性を向上させます。
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