シングルサインオンとIDaaSで実現するクラウド時代のID管理|導入メリットを解説

シングルサインオンとIDaaSで実現するクラウド時代のID管理|導入メリットを解説

近年のクラウドサービスの普及がID管理を複雑化させています。この課題を解決するのがシングルサインオン(SSO)です。SSOは一度のログインで複数のサービスにアクセスできる効果的な手段を提供します。
さらに、このSSOを強化し、セキュリティを高める技術として注目されているのがIDaaS(Identity as a Service)です。本記事では、SSOとIDaaSの導入がもたらす業務効率の向上とセキュリティの強化、そしてゼロトラストセキュリティとの連携に焦点を当て、解説します。

Contents

シングルサインオン(SSO)とは

シングルサインオン(SSO)は、複数のアプリケーションやサービスに一度のログインでアクセスできる認証システムです。SSOは、さまざまなプラットフォームにおけるログイン手続きを簡素化し、安全で一貫したユーザーエクスペリエンスを提供します。クラウドサービスを多用する現代のビジネス環境において、SSOは業務の効率化とセキュリティの向上に貢献する欠かせない技術です。

single-sign-on-benefits_01.jpg

シングルサインオン(SSO)のメリット

SSOは、従業員の利便性を高めるだけでなく、管理者にもメリットをもたらします。SSOのメリットは以下の通りです。

不正アクセスと機密情報漏えいリスクの軽減

SSOは、従業員が複数のパスワードを管理する負担を軽減し、セキュリティを強化します。一元化された認証システムにより、パスワードの使い回しや簡易パスワードによるリスクが減少。これにより、不正アクセスの機会が減り、機密情報漏えいの可能性も低下します。

IT部門の負担軽減

SSOの導入により、IT部門は複数のアカウント管理の負担から解放されます。個々のアカウント設定やパスワードリセットなどに要する作業時間が減少し、業務効率が向上します。結果として、IT部門はセキュリティシステムの強化や新技術の導入など、より重要な戦略的タスクに注力できます。

ユーザーエクスペリエンスの向上

SSOを導入することで、ユーザーエクスペリエンスが向上します。異なるアプリケーションやサービス間でシームレスな移行が可能となり、ユーザーは一度のログインで必要なサービスに簡単かつ迅速にアクセスできます。また、ユーザーの満足度も向上し、日々の作業におけるストレスが減少します。

シングルサインオン(SSO)のデメリット

多くのメリットをもたらすSSOですが、一方でデメリットもあります。デメリットは以下の通りです。

不正アクセス時の被害拡大

SSOのデメリットは、不正アクセス時に被害が拡大する可能性があることです。もしSSOシステムが攻撃されると、連携されたすべてのシステムが侵害されるリスクが生じます。この危険性を抑制するためには、多要素認証や追加のセキュリティ対策を取り入れることが効果的です。これにより、セキュリティ侵害から生じるリスクを最小限に抑え、より安全な環境を維持することが可能です。

認証システムへの依存

SSOのデメリットとして次に挙げられるのが、認証システムへの依存です。SSOシステムがダウンすると、連携しているすべてのシステムへのアクセスが遮断され、業務の停滞や事業継続性に重大な影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクを軽減するためには、トラブル発生時の迅速な対応計画や事業継続計画をあらかじめ策定し、準備しておくことが重要です。

シングルサインオン(SSO)対応に伴う追加コスト

SSOは万能ではなく、すべてのシステムやWebサービスがSSOに対応している訳ではありません。一部のシステムでは、SSO対応のために追加コストが必要になるケースもあります。そのため、多様なシステムを管理する際には、すべてのシステムをSSOに統合するのではなく、認証回数を減らすための柔軟な検討が必要です。コストと効率のバランスを考慮しながら、システム管理の最適化を図ります。

シングルサインオン(SSO)の5つの方式と仕組み

SSOを実現するための認証方式は、技術の進化に伴いさまざまな形で進化してきました。SSOの方式は、社内認証や社外クラウドサービスへの対応など、利用方法によって異なります。ここで、それぞれの認証方式について紹介します。

ケルベロス方式

ケルベロス方式は、WindowsのActive Directoryによく用いられる認証方式で、ドメイン内の複数サーバ間でSSOを実現します。この方式では、認証に成功したユーザーに特定のチケットが発行され、各サーバはこのチケットをもとにユーザーのアクセスを許可します。

エージェント方式

エージェント方式は、Webアプリケーションサーバに特定の認証機能を持つ「エージェント」ソフトウェアを導入します。この方式の仕組みは、ユーザーが認証に成功すると、認証サーバから認証済みCookieがエージェントに対して発行されます。このCookieを利用して、ユーザーはその後のアクセスで繰り返し認証する必要なく、認証状態を維持することが可能です。

リバースプロキシ方式

リバースプロキシ方式では、すべてのアクセスがリバースプロキシサーバを介して行われ、認証処理もこのサーバが担当します。ユーザーがリバースプロキシで正しく認証されると、認証情報が連携先のサーバに伝達され、ユーザーはログイン状態を維持できます。

代理認証方式

代理認証方式は端末にエージェントソフトウェアを導入し、ユーザーが複数のサーバへアクセスを試みる際に、このエージェントが認証手続きを代行します。このアプローチにより、ユーザーは一度のログインで複数のシステムにアクセスでき、操作の手間が軽減されます。

フェデレーション方式

フェデレーション方式は、異なるシステムやWebサービス間で認証情報を共有するためのプロトコルやデータ規格を標準化した方法です。この方式では、IDプロバイダーと呼ばれるユーザー認証を管理するサービスと連携し、その認証結果を基に、ユーザーが対象サービスへのアクセスを許可します。

SAML(Security Assertion Markup Language)やOpenID Connectといったプロトコルが一般的に使用され、異なるドメイン間での認証や属性情報の共有が可能です。

シングルサインオン(SSO)導入に伴うゼロトラストの重要性

SSO導入時、ゼロトラストモデルが大きな役割を果たします。ゼロトラストは、ネットワーク内外のすべてのアクセス要求に対して疑念を持つという原則に基づいています。このモデルをSSOに組み込むことで、ユーザーの使い勝手を維持しつつ、不正アクセスやデータ漏えいのリスクを最小限に抑制します。SSOの便利さとゼロトラストの厳格なセキュリティ措置を融合することにより、企業はセキュリティを強化し、効率と安全性を両立させることが可能です。

新しいシングルサインオン(SSO)の技術として期待されるIDaaSとは?

IDaaS(Identity as a Service)は、クラウドサービスとリモートワークの普及に伴い、企業のID管理の効率化に役立つ新しいSSO技術として注目されています。IDaaSは、社内外のIDをクラウド上で一元化し、システム間のスムーズな連携を実現します。多要素認証やアクセス権管理、オンプレミスシステムとクラウドベースのサービスの間でのシングルサインオン(SSO)を実現し、シームレスなユーザーエクスペリエンスを提供します。IDaaSは、IT部門がより戦略的なタスクに集中し、テレワーク環境でのセキュリティニーズにも対応する手助けとなります。

まとめ

組織のデジタル化が進むなかで、SSOの導入は企業の業務効率化とセキュリティ強化のために欠かせない要素です。SSOを導入する場合には、自社のビジネス環境に応じた細やかな計画が求められます。オプテージのIDaaSソリューションは、SSOのメリットを最大化し、セキュリティリスクを低減すると同時に、ゼロトラストモデルとの統合によりセキュリティと効率性のバランスを実現します。

SSOの導入から運用、セキュリティ強化までの総合的なサポートが必要な場合は、ぜひオプテージにご相談ください。総合的なサポートで、お客さまの安全かつ効率的な業務を支援いたします。

◎製品名、会社名等は、各社の商標または登録商標です。

関連サービスのご紹介

  • IDaaS(Identity as a Service)

    IDaaS(Identity as a Service)

    クラウドをはじめとする各種システムへのログイン自動化や二要素認証などにより、クラウド時代に必要な利便性向上とセキュリティ強化を同時に実現するID管理サービスです。

    詳しくはこちら
著者画像

著者 OPTAGE for Business コラム編集部

ビジネスを成功に導くICTのお役立ち情報や、話題のビジネストレンドをご紹介しています。

SNSシェア