マンション修繕なびコラム かんたん!組合会計の予算を作成する方法

2024.3.15

かんたん!組合会計の予算を作成する方法

管理組合会計の予算は管理会社が作るものだと思っていませんか?

管理組合の手で管理組合の予算を作成することは難しくありません。

この記事では、いくつかの注意ポイントを押さえながら、管理費会計(一般会計)の予算作成の方法を説明します。
管理組合の会計を理解し、予算立てが出来れば、組合財政の将来像について見通しを立てられるようになります。ぜひ挑戦してください。

作成前の確認事項

予算作成の前に、まず下記のポイントを確認します。

収入の部
・管理費改定の有無(管理費の値上げや、見直しがあるか?)
・各種使用料の改定有無(駐車場・駐輪場・専用庭使用料等の変更などがあるか?)

管理費と各種使用料の改定は、理事会決議の上、総会承認を経て確定します。予算作成時は総会承認前ですので、総会承認を得ることを前提に改定予定額を用いて算出します。

支出の部
・各種費用の値上げの有無(管理委託費・各種保守点検費用)
・火災保険更新の有無
・数年に一度発生する費用の有無(雑排水管清掃・特定建築物定期調査等)
・公共料金の大幅値上げの有無
・管理費会計から支出する修繕(長期修繕計画書に記載のないもの)で、すでに支出が予定されているものはないか

上記の価格改定や更新、業務の有無などを確認したのち、下記手順で予算欄に数値を入力します。

予算を策定する

収入の部
1,価格改定がなければ、前年度の最終月額×12ヶ月で算出した年額の数値を入力。
2,価格改定がある場合は、前年度実績額+値上げ額(或いは△値下げ額)を入力。価格改訂開始時期により、値上げ/値下げを反映すべき月数が変わるので要注意。
3,「雑収入」は前年度実績と同額、もしくは額が小さければ「0」を入力。

支出の部
1,価格改定や更新がない項目は、前年度実績の数値を丸めて(推奨千円単位)入力。 契約している各種業務管理費は端数まで入力する(管理委託費・〇●管理費など)。
2,価格改定が行われた項目は、前期実績額+値上げ額(或いは△値下げ額)を入力。価格改定開始時期により、値上げ/値下げを反映すべき月数が変わるので要注意。
3,来年度に費用が発生しない項目は、予算に「0」を記入するか項目を削除。発生する場合は、前回実績値(わかれば今回の値)を入力。
4,公共料金の大幅な値上げが予想される場合には、今年度実績を割り増しして数値を入力。
5,「修繕費」は、すでに支出されている額や支出が確定している額を計算し、その他の修繕費用分を加味して数値を入力。

なぜ、管理組合自らが予算を作成するのか?!

予算案は頼まなくても管理会社が作成してくるのにと思われるかたもいらっしゃるでしょう。組合自らわざわざ作成するのに、どんな意義があるのでしょうか。

それは、予算を作成することで管理組合の財政状況を具体的に理解・把握でき、組合財政の将来について見通しを持てるようになることです。

・管理組合の財務状況を把握できる。
・管理組合の財政について見通しを持てる。

もし赤字が続いたり、今後赤字発生が見込まれるようであれば、
管理費値上げが必要となりますが、
その際も組合員の皆さんに値上げの必要性を説明出来るようになります。
管理会社から説明されるよりも、組合員さんも納得することでしょう。

マンション管理
コンサルタント事務所
代表 大野 かな子
(マンション管理士)

国内メーカー勤務後、大手管理会社でマンション担当者として勤務。
これからのマンション管理には、“管理会社管理”や“自主管理”とは異なる第三の選択肢が必要と考え、マンション管理組合に対する管理ノウハウを提供し実務を支援する「ちいさな管理」を立ち上げる。
(株)ビル新聞社が発行する「ビル新聞」へマンション管理コラムを連載中。
マンション管理の専門家として、マンション管理に関する市場調査レポートを発表している。
ちいさな管理ホームページ:
https://s-kanri.com

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