「ブラック企業」と呼ばれないために、必要なこと

「ブラック企業」と呼ばれないために、必要なこと
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人材サービス会社が、就活生・採用担当者にアンケート実施

「私が若手社員だった頃は、自分の知識やスキルアップのため、残業代なんて関係なく夜遅くまで仕事していたなぁ」「上司から毎晩、接待にかりだされ、弱かった酒がすっかり強くなったよ」・・・。遠い目をしながらそうつぶやくベテラン社員の姿を、あなたも会社でご覧になったことはありませんか?
昔なら当たり前だったことが今ではパワハラやアルハラ、セクハラとされ、結果として「あの会社は、ブラック企業」として槍玉にあげられることもあります。では、自社がそんな烙印を押されないようにするには、どうすればいいのでしょうか?
そのヒントとなるのが、昨年10月に就職情報会社の(株)ディスコが、就活生・採用担当者双方を対象に実施した「ブラック企業についての考え」調査。企業側は1,362社、学生側は1,225人にインターネットを使ってリサーチしたものです。詳細は、同社サイトでご覧いただくとして、特に注目すべき調査結果を何点かご紹介しましょう。

採用担当者の約1/3が「当社はブラックと思われているかも・・・」

まず注目すべきは、採用担当者に対して「自社をブラック企業と思う就活生がいるか?」という質問に対し全体で、「大勢いると思う」が2.9%、「大勢ではないが一定数いると思う」が何と28.0%、合計で30.9%と、約1/3弱の採用担当者が「ブラックと思われているのでは」という不安を持っているようです。
下のグラフ1をご覧いただければわかる通り、この傾向は従業員数の多い企業の方が顕著になっています。従業員の多い企業は世間的にも名の通った大企業であり、採用担当者も就活生からの厳しい視線を強く感じているのかもしれません。また、従業員が多くなることによるガバナンスの難しさも関係していると考えられます。

グラフ1:自社をブラック企業だと思う就活生の存在

グラフ1:自社をブラック企業だと思う就活生の存在

採用担当者と学生の「認識」のズレに、イメージ改善のポイント

さて、では何をもって、人は企業を「ブラック」だと感じるのでしょうか。下記のグラフ2は「ブラック企業と思う条件」を、ポイントの高い順に並べたグラフです。

グラフ2:ブラック企業だと思う条件

グラフ2:ブラック企業だと思う条件

「残業代が支払われない」「セクハラ、パワハラがある」「労働条件が過酷である」といった、今や「ブラック企業」の代名詞ともいえる項目は、就活生・採用担当者双方で非常に高いポイントとなっています。
全体的に見ると、就活生・採用担当者双方とも、同じような項目を「ブラック」だと感じており、そういう点では両者に認識のズレはあまりないともいえます。従って、皆さんが常識的に考える「この行為はブラックだろう」というものを、企業内で徹底して排除していくことが重要となります。
それよりもむしろ問題は、就活生と採用担当者の認識に、大きなズレがある項目ではないでしょうか。そこでグラフ2で、就活生・採用担当者の差が10ポイント以上あるものをピックアップしてみると・・・

(1)成果を出さないと精神的に追い込まれる
(2)給与金額が低すぎる
(3)離職率が高い
(4)残業が多い
(5)有給休暇を取りづらい風土がある
(6)労働組合がない
(7)ネット上で話題になっている

の7項目で、いずれも就活生が上回っています。特に(2)の「給与金額」と(4)の「残業が多い」、(5)の「有給休暇」は20ポイント以上の差がついています。
給与体系や就業規則、労働組合は、それぞれの企業が長年にわたり積み上げてきた結果ですので、就活生にただ媚びるのではなく、堂々と自社の立場を説明するのが得策かと思われます。
しかし「精神的に追い込まれる」や「風土」という項目については、はなはだイメージ的な要因であり、会社説明会等においてマイナスイメージを打ち消したり、OB訪問などを積極的に展開し、就活生にプラスイメージを与える必要があるでしょう。

ますます高まる、学生の「ブラック企業」に対する不安

今回の(株)ディスコの調査レポートには、「ブラック企業と思う条件」の2014年と2017年結果の比較も掲載されています。
就活生での比較では、グラフ2の項目のうち、「離職率」と「その他」の2項目のみがポイントを下げ、残り14項目で上がっていました。
対して採用担当者の比較では、ポイントが下がっているものが「セクハラ、パワハラ」「募集条件と著しく異なる」「労働条件が過酷」「離職率が高い」「ネットで話題」と5項目もありました。
2014年に比べ、就学生が持つ「ブラック企業」へのイメージに、企業側が追いついていないと考えられます。このような「認識」のズレに危機感を持つことが、これからの企業にとって非常に重要になるのではないでしょうか。

明確な"未来予想図"がブラックをホワイトに変える可能性も

現代では「ブラック企業」という言葉が独り歩きし、学生はもちろん一般の方までが、企業に何か不満があると、すぐ「ブラック」という烙印を押してしまいがちです。誤解や、あるいは根も葉もない噂で風評被害を受けることもありうるでしょう。だからといって、いたずらに恐れる必要はありません。
就活生が「ブラック企業」に不安を感じるのは、自分の将来に対する漠然とした不安が原因なのだと思います。「自分がこの企業で、どうなっていくのかが見えない」・・・この不明瞭さが、会社に向けては「ブラック企業への不安」という形になって表れるのではないでしょうか。
従って、就活生にとっての入社以後の"未来予想図"を、できるだけ具体的に示すことが重要です。着実なステップアップの道順を示し、「頑張れば次のステップに上れる」という確証を与えることが、「ブラック企業」と呼ばれないための、最も確実な方策です。
「きつい仕事もある」「残業も多い」ということを、「だからブラック企業だ」と思わせるのではなく、「きついし残業もあるけれど、それを乗り越えれば自分の成長と確かな未来がある」という手ごたえに変えられるようにしましょう。

その時代その時代における「ブラック企業」についての情報について、これから本メールマガジンでも適宜、お知らせしてまいります。ご一読いただき、皆さまの会社が「ホワイト企業」として認識され、優秀な学生を集めるための一助としてご活用いただければ幸いです。

(株)ディスコ「就活生・採用担当者に聞いた『ブラック企業』の基準」についての詳細はこちら

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著者 OPTAGE for Business コラム編集部

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