今からでも遅くない!インバウンド需要獲得大作戦!

今からでも遅くない!インバウンド需要獲得大作戦!
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衰えることを知らないインバウンド需要。その最先端ビジネスは?

今更ながら、「インバウンド」の話題です。考えてみると「インバウンド」という言葉が一般化して、かなり経ちますね。日本を訪れる外国の方々が年々増加し、大阪でもキタやミナミといった繁華街は、さまざまな外国語が飛び交うインターナショナルな一画に変貌しています。「もう下火ではないか」と言われながらも、まだこの流れは衰えることがなさそうです。

今後も外国人観光客がますます増えることが予想されます。現在立候補中の2025年大阪万博が決定すれば、しばらくインバウンド需要が継続することは間違いないでしょう。では、これをどうビジネスチャンスにつなげるか?すでに取り組んでいる企業や自治体もあります。今回は、そんな一例をご紹介しましょう。

人気のサイクルツーリズムを、IoT技術でもっと便利に楽しく

自転車で観光地を巡る「サイクルツーリズム」は、特に外国人観光客が好むアクティビティと言えますが、これを新ビジネスに結び付けているのが、青森県にある株式会社フォルテ。同社では多言語音声ガイド「ナビチャリ」を活用し、インバウンド観光の活性化を図ろうとしています。

具体的には、電動アシストのレンタサイクルにガイド端末と骨伝導ヘッドセットを装備。ガイド端末で位置情報を取得し、それに合わせてヘッドセットから観光名所への道案内や解説を伝えるというものです。

自転車運転時はハンドルから手が離せませんが、これなら手はハンドルを持ったまま対応できます。またヘッドセットは骨伝導で音声を伝える方式で、一般のイヤホンのように耳をふさがないため、自動車など周囲の音も聞き逃さず安全性にも配慮されています。音声ガイドは日本語・英語・中国語・韓国語の4カ国語に対応。

すでに高知県の四万十市など複数の自治体で導入が進んでおり、やがて日本中の観光地で目にするようになるかもしれませんね。
IoT技術を使い、インバウンド需要を獲得しようとする、絶好の事例だといえるでしょう。

言葉の壁を打ち破る?「クラウド通訳」

外国人観光客を相手にする場合、一番問題となるのが言語でしょう。そのために外国人を雇用し、接客させる企業やお店も増えています。しかし一方で人材不足の状況もあり、外国人雇用といってもそう簡単にいく訳ではありません。

ICT技術の活用でそんな状況を打破しようとした例が、全国でPARCOなどの商業施設を展開する株式会社パルコです。
同社が利用したのは、「クラウド通訳」というシステム。スマホやタブレットの画面上に「通訳さん」を呼び出し、インターネット上で語学に堪能な「通訳さん」が外国人観光客との会話をサポートするという仕組みになっています。
外国人観光客の多いPARCO札幌店では、2017年5月よりインフォメーションカウンターに「クラウド通訳」を設置。テナント店舗からヘルプ要請があれば、スタッフが「クラウド通訳」端末を店まで持って行き、外国人のお客さまに対応するようにしました。

外国人観光客は、友人とPARCOなど商業施設で待ち合わせすることなどが多く、出会えずに困っていることが多かったそうですが、外国語での館内アナウンスを「クラウド通訳」に任せられるようにもなり、顧客サービスにつながったそうです。
また、紛失物の早期発見も可能になるなど、「クラウド通訳」はお店、観光客双方にとって、大きなベネフィットを生み出すことに成功しました。

(「クラウド通訳」のサービスイメージ)

国をあげての取り組み「IoTおもてなしクラウド」

さて、みなさんは滝川クリステルさんの「お・も・て・な・し」というスピーチを覚えていらっしゃるでしょうか。この「おもてなし」の心を、ICTを活用して実現するのが「IoTおもてなしクラウド」です。

「IoTおもてなしクラウド」は総務省が進めている事業で、訪日した外国人観光客が空港や駅などでスムーズに移動したり、気軽に買い物や飲食が楽しめるようにしようというプロジェクトです。複数の民間事業者が共通クラウド基盤を活用し、多彩なサービスを提供することを目指しています。

「IoTおもてなしクラウド」を活用すると、外国人観光客は自国語でさまざまなサービスが受けられたり、レストランで自分たちの禁忌情報(食べられない食材など)を伝えたり、ホテルや競技施設等にスムーズに入れたりといったことが可能になります。
まだ実証実験が続いているようですが、外国人観光客にとってストレスなく過ごせる環境を整えることで、日本ファンもぐんと増えるのではないでしょうか。期待したいですね。

「IoTおもてなしクラウド」のサービス概要はこちら (PDF:1,018KB)

いいことずくめのインバウンド需要獲得大作戦。でも注意点もお忘れなく

IoT活用によって、インバウンド需要を取り込む大きなチャンスが生まれることを、実例を挙げてご紹介しました。ここで覚えておいていただきたいのは、これらのサービスが外国人観光客に対し高品質なサービスを提供するだけのものではなく、外国人観光客が来日中に行った行動を膨大なマーケティングデータ(ビッグデータ)として活用できる点にもあります。

つまり、これからインバウンド市場において新たなビジネスを創出しようとお考えなら、よりよいサービスの提供により、外国人観光客の行動を把握できるビッグデータの入手というメリットを同時に実現することができるわけです。これをお読みの企業さまでも、ぜひ取り組まれてみてはいかがでしょうか。

ただ、その中には重大な落とし穴がありますので、ご注意ください。ビッグデータはすなわち、外国人観光客のプライバシー情報でもあるということです。観光客自身は、全く自覚のないまま自分のプライベートな情報を提供していることになります。以前に「監視・防犯カメラ」の記事でも取り上げましたが、個人情報の扱いについては極めて厳重な注意が必要です。扱う人間の自覚はもちろんですが、ビッグデータをやり取りする情報網については、例えばセキュアなモバイルネットワークを利用するなど、情報漏洩対策も万全に行うようにしましょう。

【参考記事】
見えるから、わかる!最新防犯・監視カメラ事情

いずれにせよ、サービス展開の際には、通信事業者など専門家に相談されますよう、お願いいたします。

◎製品名、会社名等は、各社の商標または登録商標です。

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著者 OPTAGE for Business コラム編集部

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