- 公開日:2018年05月30日
見えるから、わかる!最新防犯・監視カメラ事情
今やニュースは、防犯・監視カメラによる事件現場の映像が当たり前の時代に
昨今のテレビやネットのニュースを見て、一番驚くのは"現場映像"の多さではないでしょうか。「現場から逃げる容疑者」「事件直前、歩いている被害者」とか、あるいは「事件の真っ最中の映像」までも。そして「街角で遭遇した面白シーン」といった映像も、多くのアクセス数を稼いでいます。これはひとえに防犯・監視カメラの設置数が増えてきたからにほかなりません。
他にも、スマホや携帯のカメラ、車のドライブレコーダーが普及したことも、リアルで迫力ある「現場映像」が多くなった要因だと思います。
防犯・監視カメラは、その名前の通り犯罪や事故を事前に防止するため、あるいは起こってしまった場合、なぜ起こってしまったのか、誰が起こしたのかといった原因を究明するために設置されているカメラです。
そういう意味では、ちょっとネガティブで重苦しいイメージを持つ設備ですが、最近ではすっかり身近になったこれらのカメラをポジティブに活用しようとする例も見られます。
今回は、これらの例をご紹介しながら、現在の防犯・監視カメラ事情をレポートします。
1号店と2号店、双方の状況を確認することで、サービス力をアップ
もともと防犯対策として導入された監視カメラを、商売に役立たせている例としてご紹介したいのは、東京で今人気のあるワインバー「東京オーブン」。
人気の高まりとともに、お店からそう遠くない場所に2号店をオープンしました。人気店ゆえに、週末などはすぐ満席になります。満席はいいのですが、結果としてお客さまを待たせたり、逃げられてしまったり、せっかくの商機を逃す結果にもなっていました。それを解決したのが、防犯用に付けたカメラ。
オーナーは1号店、2号店両方に設置したカメラの映像を、双方のお店でいつでも見られるようにしました。店が混雑してお客様が入れなさそうな時は、もう一方の店の状況を確認して、空いていればそちらに誘導するなどしています。お店にとってはお客さま(商機)を逃さないというメリットがありますし、お客さまの立場からすると「待たなくていい」「別の店を探さなくていい」ということになり、結果として店のサービス向上につながったそうです。
訪問先でのスタッフの不安を解消。訪問保育会社の監視カメラ活用法
障がい児訪問保育を行うアニー(運営:認定NPO法人フローレンス)では、障がいを持つお子さまのいるご家庭にスタッフを派遣し、マンツーマンの保育を行うサービスを展開しています。その際、訪問先のご家庭に監視カメラを設置し、保育サービス中の状況をチェックするようにしています。「保育スタッフがしっかり働いているか、監視する装置なの?」という声もあがりそうですが、実は全く違います。
保育スタッフは一人で訪問先を訪れ、保護者の代わりにマンツーマン保育をしているため、何か問題があった場合、非常に不安になるそうです。かつては電話やメールでやり取りしていたそうですが、言葉や文字だけで伝えきれないこともあり、スムーズな処理ができないこともあったとのこと。
しかしカメラを訪問先に設置し、映像を通して本部のスタッフと緊密に連絡できるようなったので、保育スタッフ自身が安心して保育できるようになったといいます。代表者の方は「スタッフを管理するのではなく、スタッフを守るためのカメラだ」と語っています。
またカメラ映像は記録されており、帰宅された保護者に「今日はこんなことがあった」と映像を見せながら報告することで、保護者の安心感も高まるというメリットも得られました。
「見える」ということの特性を活かし、業務の質の向上を図った成功例だと思われます。
訪問先でのカメラ映像は、パソコンはもちろん、タブレット端末やスマホでも見られます。
さまざまなスタッフが瞬時に映像情報を共有でき、問題解決にあたれます。
IoTの活用が、防犯・監視カメラの活用度を大きく広げた
これだけカメラ映像が気軽に活用できるようになった理由は、カメラそのものが低価格になったからだと考えられます。先にも書いた通り、みなさんが持っているスマホや携帯、パソコンやタブレット端末にも、カメラがあるのは当たり前の時代になりました。しかしそれ以上に普及を加速させたのは、カメラをIoTデバイスとして活用できる環境が整ったからではないでしょうか。
どこかの様子が離れた場所で高画質で見られるのも、ネットあるいはクラウド環境が整備されたためです。そして、ここにカメラのIoTデバイスとしての進化が相まって、今まででは考えられなかったような便利な使い方が可能となったわけです。
例えば、豪雨による水害の危険を示すものとして、川の様子を映し出す映像をしばしば目にしますが、某市ではこれをさらに一歩進め、水位計とカメラを連動させ、異常水位になると市役所管理室のモニターにその状況を自動で映し出すようにし、危険の早期発見に努めるようにしました。
いくら映像があっても、見なければ映していないも同然。人間の「見逃しミス」を防ぐための賢明な措置といえますが、これもIoTデバイスとして進化した防犯・監視カメラならではの活用法のひとつだといえます。
■ネットワークを使ったカメラ映像活用イメージの一例
便利なだけに、「セキュリティ」に対する信頼性の確保に充分な注意を
ご紹介した通り、今やカメラは防犯や監視のためだけにあるのではなく、さまざまな活用が可能なデバイスとして進化しています。しかし、人が何かをしているところを映すことはプライバシー侵害と紙一重であり、仕事中の様子を撮影して見られることの「監視感」が、企業にブラックな印象を与える可能性があることには、充分、留意しておく必要があるでしょう。
また、お客さまに相対するビジネスの場合、お客さまが映った映像が漏れてしまうと、企業(お店)にとって致命的なトラブルにつながる恐れもあります。
担当する部署のスタッフ一人ひとりが映像の取り扱いに充分な注意を払うことは当たり前のことですが、コンプライアンスが最重要視される現在においては、もうひとつ注意しなければならないことがあります。それは、ネットで映像をやり取りする際の、情報漏洩の問題です。
そこで、例えば以前紹介した「閉域モバイルサービス」を使い、インターネットを経由せず、防犯・監視カメラ映像をデータ伝送し、自社のサーバやプライベートクラウドにデータを保存するなど、強固なセキュリティ体制を考えて見られるのも一考です。
【参考記事】
損をしないための「モバイルPC&データ通信」選択ガイド
防犯・監視カメラを有効に使うことで、新しいサービスの展開、現行サービスの質的向上が図れることを、これまでご紹介してきました。
しかしそれは単にカメラを設置すれば済む、という話ではありません。カメラがIoTデバイスとして有効になるシステム、情報を安全に伝達できる通信網があって初めて成り立つといっても過言ではありません。
カメラ映像を活用される際は、ぜひ専門家のアドバイスに耳を傾け、安全堅実なシステムを構築するように心がけてください。
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