SIM内蔵「2in1タブレットPC」と「ノートPC」、どちらを選ぶか?

SIM内蔵「2in1タブレットPC」と「ノートPC」、どちらを選ぶか?
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2in1タブレットPCは、経費削減の救世主になりえるか?

今やお仕事に、IT機器が欠かせない時代になりました。あなたの会社でもICT化を進めるにあたり、社員の皆さまにさまざまな機器を貸与されていると思います。スマートフォンや携帯電話、デスクトップPCやノートPC、さらにはタブレット端末まで、枚挙に暇がありませんね。会社の経費も相当、大きくなっているのではないかと思います。

ビジネスを加速させるために、一人の社員が複数の機器を使いこなすのも珍しい光景ではありません。例えば、デスクではデスクトップPCをフル活用し、外出時にはノートPCで作業、また得意先などとの打ち合わせにはタブレット端末を使い、会社との連絡にはスマートフォン・・・。しかし、会社の経営的な立場からみると、「可能ならひとつにまとめて、経費削減を」という考え方が出てきても不思議ではありません。特に「2in1タブレットPC」が出始めてから、そのような考えが強くなったように思えます。

ちなみに「2in1タブレットPC」を端的にいえば、タブレット端末とノートPCのハイブリッド版といえるでしょう。通常はノートPCのような形状でノートPCとして使いますが、画面を本体から分離したり回転させたりすることで、タブレット端末のようにして使えるわけです。つまり、1台あればノートPCにもタブレット端末にもなるのだから、経費削減にもつながるかもしれません。

しかし断言しましょう。「タブレット端末」と「ノートPC」にはそれぞれに長所・短所があり、2in1といえども、この両者とは全くの別モノであるということを。今月は、そんな両者の違いをご説明しながら、どちらを選ぶべきかを、少し考えてみたいと思います。

それぞれが異なった先祖を持ち、異なった進化を遂げてきた

ノートPCといえば、以前は外出先でネットに接続するには、モバイルWi-Fiルーターなど外部の通信端末を使うことが一般的でしたが、近頃はSIM内蔵で4GLTEに対応し、本体のみで高速通信が可能なモデルが人気を博しており、ノートPCも通信機器としてタブレット端末に近い領域に入って来ました。そういう意味では両者は極めて近い存在になったといえるでしょう。ますます差がないように思えます。しかし、ここでそれぞれの「進化の系統」を考えてみる必要があります。

ノートPCは、パーソナルコンピューターの進化の本流を進んできたものです。基本ソフトウェアがWindowsであれMacOSであれ、それぞれバージョンアップごとに洗練され、また使い勝手を高めながら、今や私たちの暮らしのかなりの部分を担っている存在です。そんなPCの中で、携帯性を追求して開発されたのがノートPCですが、いかに携帯性を高めたといえど、基本はコンピューターであることに変わりありません。

一方のタブレット端末の先祖は、いうまでもなくスマートフォンです。タブレット端末の代表格であるアップルの「iPad」は、明らかに「iPhone」の子孫であり、「iPhone」と同様「iOS」で動きます。
それ以外のタブレット端末は、グーグルが開発した「Android」を基本OSとしていることから分かる通り、こちらもスマートフォンが先祖です。この違いが、実に大きな違いになっているのです。

2in1タブレットPCの評価をひと言でいうと、「PCとタブレット端末のイイとこ取り」と思うか、「中途半端」と思うかに関わってきます。そして、どちらと思うかの大きなポイントになるのが、「進化系統」の違いだと考えます。

2in1タブレットPCを「タブレット端末」として使った場合の操作性を、どう評価するか

スマートフォンはそもそも「携帯電話機」ですので、そのための独自の操作性を発展させてきました。例えば「フリック入力」(右写真参照)など、タッチスクリーン(画面)上で指を素早くスライドさせてササッと入力できるように作られています。従って通話はもちろんメールやSNS、Webのブラウザー、動画・静止画撮影など、思い立ったらすぐできるような操作性を持っています。そして先の章でOSについて書きましたが、スマートフォン専用のiOSもAndroidも、その操作性を高める方向で進化しています。

ところが、2in1タブレットPCの場合、多くはOSがWindowsとなっています。Windowsは基本的にキーボードとマウスで入力することを前提としており、PCをタブレット仕様にしてもそれは変わりません。前の章で書いたように、そもそも「コンピューター」として進化してきたものを、ある意味無理矢理(?)「通信機器」として進化してきたタブレット仕様にしているともいえます。

だから、タブレット端末としての軽快な操作性を望む人にとっては、2in1タブレットPCの操作性にはちょっとストレスを感じるかもしれません。

これが2in1タブレットPCを「中途半端」と思ってしまう、大きな理由です。

タブレット端末に迫る通信機能と軽さを誇るSIM内蔵ノートPC

一方、SIM内蔵のノートPCは4GLTEに対応し、ネット接続においてはタブレット端末やスマートフォンに優るとも劣らない性能を獲得しています。スカイプなどのサービスやLINEなどのアプリを使えば通話も可能となりました。それ以上に驚くのは、軽量化。

以前の記事『損をしないための「モバイルPC&データ通信」選択ガイド』でも何機種か紹介しましたが、1kgに満たない重量のものもあり、持ち運びにもそう苦労はしません。またCPUをはじめノートPCとしての基本性能、インターフェイスなどの拡張性、見やすい大きな画面など、これ1台であらゆる作業に対応する高機能が魅力です。こうなるとタブレット端末を使う必要もなくなるのではないか・・・とさえ思えます。

そして今、ぜひ注目していただきたいのは、SIM内蔵ノートPCに、2in1タイプが登場してきていることです。ノートPCとしての性能的にも充分満足できるレベルにあり、さらに「タブレット的」な機能を付加したノートPCといえるでしょう。

ただし、「タブレット的」と書いたことからもお分かりいただけるかもしれませんが、あくまでタブレット端末として使うならば、iPadはじめ純粋なタブレット専用機の方がやはり優れているといえるでしょう。

また、2in1タイプになると、タブレット機能を活かすために本体にディスクドライブがないなど、多機能ノートPCと比べて機能的にやや劣るところもあります(クラウド化の時代、もはやディスクメディアは必要なくなるとも考えられますが・・・)。

「あれもこれも」というゼネラリストには2in1タブレットPCは「買い」かも

比較的、2in1タブレットPCに厳しめの評価を行ってきた今回のレポートですが、それでもなお、通常のノートPCでありながら、タブレット的にも使えるという1台2役は魅力ですし、ビジネスツールとしての選択肢に含まれるべきだと思います。最終的にどんな機種がよいかは、日頃の業務においてそれぞれどんな業務が多いかで決まるでしょう。

デスクや社内中心で、エクセルでの集計作業、あるいはパワーポイントでのレポートや企画書の作成・・・といった業務が主になるなら、タブレット機能のない「4GLTE対応ノートPC」がおすすめです。

外出や出張が多く、いつも社外を飛び回っている、あるいはお客さまに素早く資料などを見せ、自社製品やサービスをアピールする・・・といった方には、閲覧におけるスピーディーさに優れた「タブレット端末」が適しているでしょう。

社内作業も、得意先回り&交渉も、時には総務的な作業も行う、いわばゼネラリストなビジネスマンには、「SIM内蔵の2in1タブレットPC」が良いかもしれません。

パソコン、タブレット類のタスクをマッピングすれば、このようなイメージになります。

まずは各社のサイトを見て商品を知り、社員の皆さまとも話し合った上で、あなたの会社の業務を加速させるに足りる機種を見つけていただければと思います。

◎製品名、会社名等は、各社の商標または登録商標です。

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著者 OPTAGE for Business コラム編集部

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