躍進するAI&ロボット! これは救世主か、それとも・・・

躍進するAI&ロボット! これは救世主か、それとも・・・
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ヒトや犬の姿を模したものから、アプリまで。広がる「ロボット」の概念

「ロボット」・・・最近は略して「ボット」と呼ばれることもありますが、「ロボット」と聞いて、何を想像されるでしょうか。年配の方なら『鉄人28号』でしょうか。それとも『ドラえもん』? ホンダのASIMOやソフトバンクのペッパー、ソニーのAIBOもありましたね。これらは2足歩行する人間型のロボットだったり、ネコ型や犬型だったり、要するに機械や人工知能によって生き物を再現したものです。

大きな工場に行ったことがある方は、むしろ産業用ロボットを思い出すかもしれませんね。そういえば自我に目覚めた産業用ロボットを描いた、楳図かずおの『わたしは真悟』というマンガもありました。産業用であれヒト型であれ、ロボットが知能(AI)だけでなく「心」や「自我」まで持つというのは、私たち人間の永遠の夢(悪夢?)なのかもしれません。

しかし最近では具象化したロボットだけでなく、例えば「検索ロボット」など、ソフトやアプリの機能そのものを指す時もあり、ロボットの概念は広がりつつあります。今回は、このように広がってきた最近のロボットと、それにからめてAIやRPAの話をしてみたいと思います。

「AI」の第一次ブームは約30年程前から。現在は第二次ブーム?

さて、最初に「AI」の話から始めましょうか。数年前から頻繁に「AI」という言葉を耳にするようになりました。AIという言葉自体は、80年代後半から一部の電化製品などに搭載されるようになり、盛り上がりを見せていました。例えばパーソナルワープロでは、変換機能をアピールするために、「学習機能が付いたAI辞書搭載」などと謳っていたのです。その後、一時忘れられた言葉になったようですが、ここ何年かで見事に復活を遂げました。技術が飛躍的に進化し、数十年前とは比べ物にならないほど「賢く」進化したため、名実ともにAIと呼ぶにふさわしい機能に成長したのだと思います。

その反面、「AIの進化により、今後15年で今ある仕事の49%が消える」(野村総研)といった驚くべき予測が話題となりました。それにより「AIやロボットに仕事を奪われる」と、ちょっとした脅威を感じる人がいるかもしれません。念のため付け加えておきますと、筑波大准教授の落合陽一氏や雇用ジャーナリストの海老原嗣生氏など、「そんなに仕事は消えない」と異を唱える方も多く、まだまだ議論の余地があるのも事実です。

脅威かどうかは別にして、AIやロボットが私たち人間のある種の作業をラクにしてくれることは間違いありません。最近ではデスクワークを自動化するものとして、パソコンにインストールして使えるソフトウエア型ロボット「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)」に高い関心が寄せられています。

単純作業を自動化することで、人にゆとりを与える「RPA」

今大きな注目と期待を持たれているRPAですが、では一体どのようなものなのでしょうか。RPAでできることの一例を挙げると・・・

1)名簿から顧客の氏名、住所、電話番号等をコピーし、別の指示書に転記
2)地図ソフトを連動させ、顧客の住所の地図を指示書に貼り付け
3)指示書に新規保存し、担当者に発注

従来イメージで「ロボット化」というと、IT最前線の職種での革新技術のような印象が強いですが、上記でも分かる通り、RPAはITナレッジが少ない部門での業務自動化を推進することが期待されています。極めて単純な作業だけども、人、特にホワイトカラーにとっては煩雑で面倒に感じる作業があります。就業時間を過ぎてやっと外回りから帰って来たが、それから書類処理をしなければならない。結局、今日も残業・・・などといった種類の作業です。これらがRPAで自動化できるなら、残業の必要もなくなりゆとりができる。これはむしろ「働き方改革」に通じるものがあります。

一説によると、RPAの処理速度は人間の3倍といわれています。しかも人のように疲れず、また労働時間制限もありませんので、24時間365日、働き続けることが可能です。人の仕事を奪うものとして脅威に感じるのではなく、むしろ自分の能力を拡張させるもの、自分の分身に仕事をさせるという方向で考えるべきではないかと思います。

癒しのコミュニケーションは、ヒト型、犬型ロボットから与えられる時代に

ソフトウエアやアプリの機能まで「ロボット」とくくってしまえば、現在、オートメーションでできることも「ロボット」となってしまいます。例えば今、各社で開発競争となっている自動運転の自動車も、ひとつのロボットといえるでしょう。しかし「ロボット」というと、やはりヒト型で二足歩行する、そして何らかの「人格」を持ったものでないと、という方にとっては、「RPA」でさえロボットとは認めがたいものがあるでしょう。

ヒト型ロボットについては、試しにサーチエンジンで検索してみればよくわかりますが、数万円のものから数十万円まで、数多くのものが見られます。それらの機能の多くが、AIの学習機能によって、相手(持ち主となる人)との日常のコミュニケーション能力を上げて行くというものです。つまり「話し相手」として育てていくということになります。AIやロボットによる機能性よりも、話し相手や慰めといった副次的な価値を与えられているように思います。

一昨年あたりから、某回転寿司チェーンでは、来店客の対応をペッパーが務めています。座席の案内を受け持つのですが、それは胸に付けたタブレットで行うわけですから、別にタブレットだけ置いておけばいいわけです。しかし、あえてペッパーに接客させるというのは、来店客に対し何かしらのホスピタリティーを高めようという考えが根底にあるように思われます。

ロボットの進化と挫折。そこにまだまだ人間力が介在できる

近年、AIが格段の進化を遂げたことで、それを頭脳として搭載するロボットにも大きな影響をあたえるようになりました。作業を反復するだけでなく、ディープラーニング技術による画像認識や音声認識、言語処理能力によりロボット自身が多層的に学習し分析できるようになりました。SF小説やマンガの世界のお話だと思っていたことが、もう身近に迫っているのです。

その反面、先ごろこんなニュースが飛び込んできました。ヒト型や恐竜のロボットがフロント業務をこなすと大きな話題を集めていた「変なホテル」が、保有するロボットの半数をリストラしたとのニュースです。「変なホテル」では、全ての客室に「ちゅーりー」という小型のロボットが置いてあるのですが、これが宿泊客にとっては非常に煩わしい存在になっているとのことで、ついに撤去されたのです。

「変なホテル」でトライアルされていたロボットの技術は、確かに最先端のものであったといえますが、宿泊客へのサービス提供というインターフェースの部分では、まだ発展途上であったのでしょう。こういうところは、私たち人間たちがしっかりと考えて行かねばならない部分だと思います。そしてそれこそ、人間が、まだまだAIやロボットに負けないストロングポイントなのではないでしょうか。人とロボットのいい関係を模索することは、技術の進歩以上に、私たちにとって重要な仕事なのです。

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著者 OPTAGE for Business コラム編集部

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