ITで変わる小売・飲食業界。個人店舗も高度情報化の時代へ

ITで変わる小売・飲食業界。個人店舗も高度情報化の時代へ
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チェーンに比べIT化が遅れる個人経営の店舗。生き残れる道は?

ひと口に「小売業」「飲食業」と言っても、大きなところでは国内・海外も含め何百もの店舗をチェーン展開している巨大企業から、家族だけで経営している小規模なお店まで、さまざまです。

大規模なチェーンは高度なIT技術を導入し、それを武器にマーケティングやサプライチェーン・マネジメントなどに活かしていくことで、非常に効率的な経営を実行しています。さらに「クリック(EC)&モルタル(実店舗)」という、ネット通販と店舗の融合が進み、「小売」という業態が著しく変化していく過程の中にあります。

また飲食業界においてはネットでの予約受け付けやクーポン発行など、集客力を高めるための施策が次々と展開されています。

一方、個人経営の店舗は、どうしても売り上げ規模が小さいため、そもそもIT化を図るための設備投資ができない状況にありました。また高齢化社会の進行とともに、経営者の高齢化も進みIT化への適応が難しい面もあったのです。

しかし、ここ最近のIT技術の進化によって、その潮目が少しずつ変わりはじめています。

レジスターの世界にも、クラウドサービスが!

小規模な個人経営の小売業や飲食店でもIT化が推進できるようになった理由として、大きくは以下の2点に分けられると思います。

第一の理由として、機器自体が低価格となり、購入しやすくなってきたこと。これは主としてパソコンが主役となるわけですが、パソコン自体が十数万円ほどで購入でき、それにソフトウエアをプラスすることで、自店の目的にあった業務が推進できるようになりました。

もうひとつの理由としては、高速ネット回線の整備などによってクラウドを利用した業務を推進してくれる、新しいサービスが次々と生まれてきたことが挙げられます。

具体的な例で説明しましょう。

店舗にとって欠かせない機器は、売り上げを管理する「レジスター」ではないでしょうか。当初レジスターは、その機器のみで売り上げ管理を行うスタンドアロンな機器でした。パソコンが一般化すると、レジスターの情報をパソコンに取り込み販売管理や経理に活かせるようになりました。そして現在ではタブレットやスマートフォンを使い、いつでも詳細な販売状況が把握できるクラウド型レジスター「クラウドPOS」が登場しました。従来では大規模店舗でしか導入できなかったPOSシステムに匹敵する業務がこなせるようになっているのです。

比較的低価格なサービスでも、効果的なPOSシステムの構築が可能に

「クラウドPOS」の一番のメリットは、タブレットやスマートフォンを端末に使用するため、現在お使いの機器がそのまま使用できることにあります。従って初期費用を抑えられる点が魅力といえるでしょう。

ではクラウドPOSなら、具体的にどんなことができるのでしょうか。

一番のメリットは、非常に簡単な操作性で誰でも使え、集計などのミスがないということです。自店にもお客さまにも、信頼できる業務処理が推進できる点です。

次に、売り上げなどがひと目でわかる点。売り上げ一覧、推移、商品別売り上げなどをグラフとして表示できますので、確認がすぐにできます。それにより在庫ロスや機会損失を減少させることが可能となります。

さらに自店独自のポイントサービスを設定することができ、顧客満足度を向上させるなど、お店の付加価値を高めるサービスを簡単にスタートできるので、積極的なビジネス展開には不可欠だといえるでしょう。

また顧客情報を入力できるようにしておけばCRMが展開でき、積極的なマーケティング戦略が展開できるようになります。自分の商売を大きく飛躍させたいと思う人にとっては、わずかな出資で大きなチャンスを得ることができるというわけです。

アナログ的な手法で店のIT化が推進できる、キャッシュレス決済

「個人経営の店舗のIT化」ということで、まずはお店に高度なIT機器が入ることを前提にお話ししてきました。確かに、パソコンやタブレット、スマートフォンといったお手持ちの機器が、そのまま優れたPOSシステムとして機能することが、小規模な店舗に光明をもたらすことは間違いありません。しかし、「個人経営の店舗のIT化」の本質は、なにも店側がIT武装する必要もなく、アナログ的な方法でIT化が推進できる点に本質的な魅力があるといえます。それは、「キャッシュレス決済」の分野。

ほんの数年前まで、キャッシュレス決済しようと思えば、ほぼ「クレジットカード」しか方法はありませんでした。しかし、クレジットカード対応しようと思えば、決して小さくない年会費。そしてカード情報をやり取りする端末の導入・・・なかなか大変な作業でした。これでクレジット決済をあきらめたというお店は、結構、多いのではないでしょうか。

それを大きく変えたのが、最近流行の「スマホ決済」です。

あるスマホ決済では、特別な端末も不要。お店には、その店を特定するQRコードだけが支給されます。必要な端末はお客さまが持っているスマートフォン。決済の際、お客さまは自分のスマートフォン(アプリが必要)で店のQRコードを読み取り、そこに使った料金を入力するだけ。それだけで自動的に決済できるのです。

キャッシュレス決済を行う端末は店が用意する必要なく、お客さまがお持ちの「スマホ」で行うという、まさに新発想かつ究極の「IT化」だといえるのではないでしょうか。

現在、政府は消費税増税の対策として「キャッシュレス決済によるポイント還元」を行っています(2020年6月30日まで)。スマホ決済の導入は、「ポイント還元」による集客力アップにも貢献できると考えられます。

◎お店がポイント還元事業に参加するには、加盟店登録が必要です。

Eコマースへのチャレンジで、「オムニチャネル」への一歩を

ネット通販、つまりECサイトも小規模店舗にとっては、大きな壁のある分野でした。なぜならセキュリティ的に安全なECシステムを構築するには多大な資本が必要でした。それに対して最近では、いわゆる「ECカート」が低価格で利用できるようになり、比較的簡単にECサイトが展開できるようになりました。

個人情報管理、決済管理という最もナイーブで難しい分野を専門業者に任せられ、自分は物品送付に専念できるのです。ネット販売に大きく乗り出す契機とできるでしょう。

これにより個人商店であっても、お客さまに買いやすい状況を提供できる「オムニチャネル」を展開できることで、他店との差別化も図れるようになるわけです。

「IT化」といっても、つまりは道具にすぎません。最も大事なことは道具をフルに使いこなす「発想」。従来は道具の時点で大きな障壁があったのが、ITの進化で誰にでも使用可能な身近なツールになりました。そんなツールを活かして、新しいビジネスにチャレンジするのもいいかもしれませんね!

◎製品名、会社名等は、各社の商標または登録商標です。

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著者 OPTAGE for Business コラム編集部

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