Excel管理の限界?経営管理業務を効率化し、タイムリーで確実な経営判断を

Excel管理の限界?経営管理業務を効率化し、タイムリーで確実な経営判断を
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経営・会計状況のデータ集約作業の効率化を図るべき理由

誰にでも簡単に使いこなせるツールとして親しまれているExcelは、集計表や各種レポートをはじめ、ありとあらゆる業務文書・帳票の作成に用いられていて、各現場、各部門の従業員が、統一されていないフォーマットで作業や管理を行い、そのデータは日々Excel上に蓄積されていく。そして、社内に点在したExcelデータは、結果的にその数や種類が膨大化・複雑化し続ける状況となる。こうした状況はExcelに依存し続けてきた背景が招くデメリットともいえるだろう。

経営企画部門や会計部門では、予算編成や予実管理、会計などのデータをもとに、経営指標となる管理会計や財務会計、開示会計を作成するために、関連する部署で作成した必要なデータを抽出して集約する。

さらに、経営層は、それらの集約されたデータを参考にして経営判断を行うため、膨大なデータからタイムリーな内容をスピーディに集約することが円滑な経営の「鍵」となる。

グローバルオペレーションにおけるデータ可視化の重要性

日本の国内外に事業を展開するグローバルカンパニーの例では、業務をグローバルで統一・標準化させ、業務の効率化や高度化の実現を図る「グローバルオペレーション」確立の必要性が高まっている。海外の拠点数が増えることで、販売から生産、製造、調達やそれに伴う機能が多様化するため、意思決定に必要な情報を集約するまでのプロセスが複雑化しがちである。また、会社の規模が拡大し、物理的に本社からの距離が離れた拠点が世界中に点在するようになれば、経営層が会社の経営状況をタイムリーに肌で感じることが難しくなる。

そのため、グローバルオペレーションを円滑に働かせるためには、経営インフラを見直すことが重要である。
経営インフラとは、グローバルマネジメントを推進するにあたって必要となる情報の収集、蓄積、分析に関わるインフラの全てを指す。経営インフラによって社内情報がグローバルレベルで一元管理できるようになれば、管理会計、管理連結など必要なデータのみをタイムリーに抽出・集約し、経営状況を可視化することができる。

ただし、既述のように目的に応じてデータを起こし可視化する過程では、社内の各部門の担当者が個別にExcelで運用し、管理用データを起こしている企業はまだ多く、各部門のバラバラのデータを集約するために、多くの時間とコストをかけているのが実状であろう。経営判断力を高めるために、いかに情報管理を行っていくべきか、改善の余地がある企業はまだ多く存在するはずである。

担当者を悩ませるExcelメタボの現状

ここからは、日々進捗し管理されているExcelデータを扱う各部門、現場の目線で、実務面での悩みを考えていきたい。
Excelメタボとは、シート間のリンクでの計算、ブック間リンク、マクロ機能の多数使用などにより、ブックの肥大化を引き起こしてしまった状態のことを指す。Excelが便利なツールである反面、データを保持するツールとしては適していないために生じる事態である。

管理会計を行っている会社は、経営企画部門や会計部門の担当者が部門別業績管理、業績評価、予算策定、予実管理、設備の投資計画・原価管理・予実管理などの経営管理データを、集約した情報から作成する。データを仕上げるまでの過程で、まず営業、購買、生産などの関連部署では、「基幹システムからデータを出力しExcelに転記する」「複雑な運用手順で複数ファイルの再計算を行う」などの作業が発生する。さらに各部門から予実データや関連するデータを受け取った担当者は、それらをマージする作業に追われることになる。このような手作業が入ると、当然どこかでミスも起こり得る(図1)。

(図1:よくあるExcel管理の悩み)

他にも複雑なマクロが組まれたExcelは属人性が強く、引き継いだ担当者が管理できなくなることも多い。「複数のファイルサーバにそれぞれ担当者がファイルを格納し、そのデータの多くはフォーマットも統一されていない」という状況はどこにでもあるケースだ。そうした山積みのデータから管理会計のデータを抽出して加工、集約を月次で実施することは、担当者の負担が大きいだけでなく非効率である。

また、Excelはあくまで個人用の表計算ソフトのため、トランザクションまでは管理できない。Excelファイルを共同で編集できる機能はあるが、同時編集した場合に残すデータを誤ると、重要な更新を失ってしまう可能性もある。このように個別のExcelファイルの肥大化と、ファイル自体の数量増加により、もはやどこに何があるか分からない状態になると、管理会計としてデータを集約し一元化するだけでも膨大な手間がかかってしまう。

またExcelメタボ以外にも、「データへのアクセス権限を細かく設定できない」、「データ復旧の仕組みが不十分」、「データの持ち出しが容易で情報漏えいの可能性がある」などのデメリットが挙げられる。

こうした背景から、各企業の社内データ管理の改善ニーズをくみ取った、経営管理ツールを導入するケースが増えているのである。

Excelのみの管理を脱却、効率的な運用を可能とする経営管理ツール

Excelによる経営管理のデメリットを補えるのが経営管理ツールと言われるものである。独自にERPやCRM、SFAといった基幹システムを構築するには億単位のコストが必要となる場合もあるが、パッケージやクラウド型のSaaSを活用すれば、要員の問題や、費用を抑えてこれらの仕組みを導入することが可能となる。

昨今では、さまざまな経営管理ツールが各社からリリースされている。ほとんどの経営管理ツールがデータベースを活用しているため、多数の人員がリアルタイムにデータを更新でき、情報を一箇所に集めやすい。さらに最新の情報を常に表示できる他、データのフォーマットがバラバラにならずに済むのもメリットだ。
価格帯も、廉価で使いやすいシンプルなサービスから、高価だが手厚いツールまで多種多様であり、自社の経営課題に合わせた経営管理ツールを選択することができる。

Excelと経営管理ツールを上手に共存させる道も

Excelによる経営管理、プロジェクト管理といった集計や分析作業は、基本的に手作業で行わなければならず、対象とするデータの抽出も手作業となる。このようなプロセスでは効率が悪く、分析結果を出すために時間がかかる。経営管理ツールを導入すれば、データ収集、蓄積、分析さらに可視化まで自動で行うことができるようになるため、業務の生産性が向上し、従来なら専門的なスキルが必要であった分析作業を、それほどの知識を持たない社員が行うこともできるようになる。

ただし、Excelによる経営管理が長年続いており、簡単には経営管理ツールを導入できないという場合も少なくない。そこでおすすめなのが、Excel連携機能を持つ経営管理ツールだ。

Excel連携機能を使えば、既存のExcelと経営管理ツールのデータを連携させられる。さらに、もう一歩機能が進んだツールならば、Excelデータをそのまま経営管理ツールにインポートすることも可能だ。長年使用されているExcelのレイアウトはそのままに、経営管理ツールへインポート・エクスポートができる。シートの行や列を挿入・削除した場合でも、経営管理ツールが追随して情報修正をするインテリジェントな経営管理ツールもある。
自社の課題解決に合致したツールがないか、時間をかけてしっかりと吟味することが重要だ。

(図2:経営管理ツールとExcelの共存)

経営管理ツールを用いて効率的な経営管理を

Excelは、ほとんどの企業で導入されており、一見するとコストがかからずに使用できるようにみえる。しかし、実態はデータの増加により、遅延する処理や版数管理の煩雑化など、見えないコストが発生している。経営管理ツールを導入することにより、こうした見えないコストも削減していけるだろう。

しかし、長年Excelを選び続けている企業にとって、経営管理ツールの導入は困難を極めるだろう。そこで、Excelデータと連携が可能な経営管理ツールなら、既存のExcel運用とも共存できるため、導入・運用のハードルは大きく下げられる。さらに、経営管理ツールを支援するシステムインテグレーターの活用により、Excelを含んだ個別のシステムを1つにまとめ上げるなど会社独自のニーズに寄り添ったシステムを構築する選択肢もある。これらを視野に入れて、自社に最適な経営管理ツールを見極め、データを効率よく管理していきたい。

◎製品名、会社名等は、各社の商標または登録商標です。

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著者 OPTAGE for Business コラム編集部

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