どんな仕事があるの?令和時代の副業図鑑

どんな仕事があるの?令和時代の副業図鑑
Contents

副業は「企業」「従業員」双方にWin-Winであること

2018年1月、厚生労働省は副業解禁に大きく舵を切りました。株式会社リクルートキャリアが実施した「兼業・副業に対する企業の意識調査」によると、「兼業・副業を推進、容認している」という企業は2018年が28.8%、2019年が30.9%と年々、着実に上昇しています。また、同社が実施した「兼業・副業に対する個人の意識調査」では、既に副業している従業員は31.9%、副業未経験者は61.3%となり、未経験者のうち「副業に興味はある」と回答した従業員が47.3%もいるなど、既に「副業」は企業にとっても従業員にとっても無視できない存在になっているのではないでしょうか。

以前の「副業」の印象は、給与収入などでは生計が成り立たないため、休日や夜中などに人目を忍んでアルバイトするといった暗いイメージがありました。それも今や昔の話で、副業を上手に活かしている人は、自分のキャリアアップにつなげる手段として利用しています。

それでは副業にはどんなメリットがあるのでしょうか。厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」によると、
企業側のメリットとしては
① 自社業務では得られない知識・スキルを、従業員自ら身につけてくれる
② 従業員の自律性、自主性を促すことができる
③ 優秀な人材の獲得や流出の防止ができ、競争力が向上する
④ 従業員が社外の新たな知識・情報や人脈を入れることで、事業機会の拡大につながる
といった点が挙げられます。

一方、従業員側のメリットは
① 会社に在籍したまま別の仕事のスキルが身につく
② 本業ではなかなか実現できない仕事に挑戦でき、モチベーションアップが図れる
③ 将来的な起業、独立へ向けた試験運転ができる
④ 所得が増加する
といった点が挙げられます。

注意すべきポイントとしては、労働時間の管理が自己裁量になるため、長時間や休日労働を重ねるおそれがあります。従業員個人はもちろん、企業も定期的に、社員の副業状態を把握するなどして、双方がWin-Winになれるようにする必要があります。

「実働型副業」の代表的パターン、アルバイトなどでの雇用

一概に副業といっても、その内容は多岐にわたります。まず大きく分けて「実働型」と「投資型」です。実働型は読んで字のごとく、「実際に働く」ことを意味します。それに対して投資型は株式投資やFX、不動産投資、仮想通貨などを運用し利益を上げることです。今回、投資型はひとまずおいておき、「実働型副業」についてご説明します。

実働型でも、いくつかのパターンがあります。例えばコンビニなどにパートタイムの店員として雇用され、本業と別の時間帯(夜間や休日など)に働くパターン。次に、「クラウドワーカー」としてマッチングサイトなどに登録し、フリーランスとして仕事を請け負うパターン。最後に、従業員でありながら起業に近い状態で個人事業を行うパターンです。

収入的に最も安定しているのは、雇用されるパターンです。シフトを決めて、その時間帯に就業先に赴き、指示された業務をこなせばいいのです。

このパターンの業種としては...

●コンビニ、飲食店 ●警備 ●引っ越し業者●24時間操業の工場 ●清掃

などが挙げられます。

コンビニであれ飲食店であれ、深夜は人手不足で、その分、時給がよいといわれています。ただ日中は本業、夜は副業となれば身体がもたず、体調不良を起こす危険性もあるため、身体に無理のない範囲でシフトを組んでいく必要があります。若いうちは無理が利いても年齢を重ねると自分が思っている以上に、身体に負担をかけることになりますので、十分、注意しましょう。

今、一番の注目は、マッチングサイトによるクラウドワーク

過去に本記事で「クラウドソーシング」を紹介したことがあります。その際は、企業の発注先という見方でご説明しましたが、クラウドソーシングを受注する側からの視点で捉えると、「副業」のための便利な働き方となります。

(参考記事:人手不足時代の切り札となるか、「クラウドソーシング」事始め

マッチングサイトやマッチングアプリで自分の得意なスキルを登録し、そのスキルを必要とする発注先と契約し、フリーランサーとして仕事を受注する方法です。現在、マッチングサイトでよく見られるスキルを挙げてみましょう。

入力・資料作成関連:
●エクセルのデータ入力・設定 ●取材などのテープ起こし ●パワーポイント資料作成 など

IT関連:
●Web開発/ホームページ制作/Webデザイン ●アプリ等のプログラミング など

クリエイティブ関連:
●ロゴ作成 ●イラスト作成 ●名刺作成 ●チラシ作成 ●動画作成 など

ライティング関連:
●記事作成 ●ブログ記事作成 ●キャッチコピー作成 ●ネーミング作成 など

マーケティング関連:
●店頭覆面調査 ●アンケートモニター など

どの作業も、当然ながらスキルの高低により報酬は変わってきますが、スキルの高い人でも最初は低価格のものから請け負って、徐々に実績を積んでいく必要があります。IT関連やクリエイティブ関連は、技術はもちろん機材として高機能なパソコン、アプリが必要とされますので、それまで経験のない人がいきなりできる仕事ではありません。まずは入力系、それとライティング系あたりから挑戦する人が多いのではないかと思います。

そして、意外に難しいのはマーケティング関連。店頭覆面調査(専門用語でミステリーショッパーといいます)は、どんなポイントを見るのか、どんな質問を店員にするのかなど、むしろ経験に基づくある程度のスキルが必要な仕事といえます。

また、マッチングサイトで上記以外に最近よく目にするのが、「配達関連」ではないでしょうか。有名なものではUber Eatsや佐川急便、ヤマト運輸などの宅配サポーターがあります。ただ体力勝負であること、歩合制であること、仕事時間が昼間中心であることがポイントとなるでしょう。

卓越した技術力・専門知識があれば、事業として立ち上げも

長年にわたり専門家として従事し、その道における高度な技術と知識を保有しているなら、以下のような専門分野で個人事業主として副業することも可能です。例えば
●プログラマー ●Webデザイン ●アプリ開発 など、もともと高い技術力・専門性を求められる職業などがあげられます。

さらに高度な専門知識や基礎学力の高さを活かして、
●セミナーの講師 ●大学、専門学校の非常勤講師 ●学習塾講師/家庭教師 など。

また、
●アクセサリー制作 ●ハンドクラフト制作 ●陶芸

●YouTuber など、

かねてから趣味でやっていてプロも顔負けの作品が作れるという場合には、作品をネットで販売することも可能となるでしょう。

専門性が高く、それなりの需要が見込めるなら、個人事業として立ち上げ、将来的には起業も考えられます。

ただし個人事業として副業する場合、届出の提出や、確定申告時の手続きなども考慮する必要があります。まずは在籍している会社の総務・経理などにしっかりと相談しておくべきだと思います。

時代の急変にも対応できるよう、今から十分な検討を

最初にも書きましたが、副業の容認にあたっては、企業側と従業員側がWin-Winになれることが重要です。企業のメリットを十分に検討、把握した上で導入していただけたらと思います。

企業の副業容認は、「働き方改革」の一環として注目されはじめました。そして今年春先からの新型コロナウイルスの影響で、副業だけに限らず「働き方」そのものが一挙に転換点を迎えたように思えます。社会はみなさんが予想するよりも、素早く大きく変化しているかもしれません。容認するか反対するかは別にして、企業として今から「副業とどう付き合うのか」を検討しておく必要があります。

容認するなら、どのような副業を対象にするのか、さらにそのための社内体制をしっかり整えること。反対するなら、企業としてその理由を明確にしなければなりません。企業、従業員双方が納得できる結論を導き出すためには、さらなる議論や検討が必要だと思います。検討するためのひとつの資料として、今回の記事がお役に立てたらと考えます。

◎製品名、会社名等は、各社の商標または登録商標です。

著者画像

著者 OPTAGE for Business コラム編集部

ビジネスを成功に導くICTのお役立ち情報や、話題のビジネストレンドをご紹介しています。

SNSシェア