- 公開日:2024年06月10日
デジタルリテラシーとは?求められる背景や向上させる方法を紹介
デジタル技術を理解し、適切に活用するにはデジタルリテラシーが必要です。デジタルリテラシーが欠如していると、組織の生産性が向上しないばかりか、深刻なセキュリティインシデントが発生する可能性もあります。
そこで本記事では、デジタルリテラシーが求められる背景や、デジタルリテラシーを向上させるメリットから方法までわかりやすく紹介します。
デジタルリテラシーとは
デジタルリテラシーとは、デジタル技術について十分に理解し、適切に活用できる能力のことです。具体的には、デバイス操作や情報の検索および評価、セキュリティの管理などが含まれます。
ITリテラシーやDXリテラシーとの違い
デジタルリテラシーと似た用語に、ITリテラシーとDXリテラシーがあります。ITリテラシーとはコンピューターやソフトウェアの操作など、主に情報技術に関する能力のことです。一方で、DXリテラシーはデジタルリテラシーと同様に、ITを含むデジタル技術全般を包括しています。
ただし、これらの用語に明確な違いや決まりはなく、同じような意味で用いられることも少なくありません。
デジタルリテラシーが求められる背景
デジタルリテラシーが重視されるようになった背景には、いくつかの要因があります。ここでは、デジタルリテラシーが注目され始めた3つの要因を紹介します。
デジタル化の進展
デジタルリテラシーが求められるようになった背景には、社会全体のデジタル化の進展があります。近年、ビジネスシーンはもちろん日常生活においてもデジタル化が進んでおり、デジタル技術への理解と適切な活用スキルが必須となりました。なかでもデジタルリテラシーの必要性が叫ばれるようになったのは、テレワークの普及が深く関係しています。
DX化の推進に必要
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用し、業務や日々の生活を変革する取り組みを指します。DX化の推進には社員のデジタルリテラシーが重要となり、デジタルリテラシーが身についていれば最新のテクノロジーを導入したり、プロセスを最適化したりすることが可能です。
セキュリティインシデントの脅威
セキュリティインシデント発生リスクの高まりも、デジタルリテラシーに注目が集まることとなった一因です。セキュリティインシデントとは、情報セキュリティに関する重大な事件や事故が発生した状態を指し、不正アクセスやサイバー攻撃、天災による設備故障なども原因としてあげられます。
総務省が発表した「第3節 インターネット上での偽・誤情報の拡散等」によると、近年インターネット上でフェイクニュースに接触する機会が世界的に増加していることがわかります。とくにディープラーニングを活用して画像や動画を部分的に交換するディープフェイクによって、詐欺や偽情報の拡散など企業の脅威となるケースがみられるようになりました。
【ディープフェイクによる被害例】
ディープフェイクはさまざまな分野で活用が期待されている技術ではありますが、一方で有名人や政治家へのなりすまし詐欺や情報操作、サイバー攻撃など、重大な被害例も発生しています。
ディープフェイクが企業に与える被害も甚大であり、これまでに詐欺やソーシャルエンジニアリング、不正認証、偽広告といった被害が報告されているのが現状です。
デジタルリテラシーを向上させる3つのメリット
デジタル化が進む現代に必要なスキルとして注目されているデジタルリテラシーですが、デジタルリテラシーの向上にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
ここからは、デジタルリテラシーを向上させるメリットを3つ紹介します。
組織の生産性が向上する
デジタルリテラシーを向上させることで、デバイス操作をはじめとするデジタル技術への理解度やスキルの習熟度が高まり、結果として組織の生産性向上につながります。
例えば、タスクの自動化やデータの効率的な管理を実現できれば、入力ミスや無駄な作業時間が減り、優先すべき業務に集中して取り組む時間を増やせるでしょう。
DX化を推進できる
デジタルリテラシーを向上させるメリットの2つ目として、DX化の推進が挙げられます。デジタルリテラシーが欠如していると、最新のITツールを導入したとしても適切な運用がなされない可能性があります。また、データやデジタル技術を活用した新しいビジネスの発想や戦略も生まれないでしょう。
DX化の推進に向けた具体的な取り組みを模索している企業は、後ほど解説する方法で社員のデジタルリテラシーを向上させることから始めてみましょう。
セキュリティを強化できる
デジタルリテラシーが高まると、フィッシングやデータ漏えいなどのセキュリティ脅威に対する理解が増し、安全性の低いWebサイトへの不用意なアクセスを避けられるようになります。その結果、有効なセキュリティ対策を講じられるようになり、組織全体のセキュリティ強化を図れるでしょう。
デジタルリテラシーを高める方法を4ステップで解説
ここからは、デジタルリテラシーを高める方法をわかりやすく解説します。以下の4ステップを実践し、デジタルリテラシーの向上を図りましょう。
1.目的を明確にする
まずは、デジタルリテラシーを高める目的を明確にします。例えば、テレワークの推進やセキュリティの強化など、さまざまな目的があるでしょう。
また、目的は組織全体の戦略にも個人の業務目標にもなり得る、具体的なものを掲げてください。
2.業務に必要な知識やスキルを洗い出す
次に、部署ごとに求められる知識やスキルを洗い出し、業務に必要なデジタルリテラシーを整理します。例えば、営業部のように顧客名簿や販売マニュアルなどの営業秘密を取り扱う部署の場合は、情報セキュリティの知識が必須です。
社員のデジタルリテラシーを効率よく高めるためにも、各部署に応じたデジタルスキルの周知・浸透に努めましょう。
3.研修を実施する
続いて、社員研修を実施してデジタルリテラシーの目的や必要なスキルをシェアしましょう。社員研修ではデジタルツールの使い方やセキュリティ管理の方法など、より具体的な説明や指導を心がけてください。また、社員研修は一度きりで終わらせるのではなく、定期的に継続して実施することが大切です。
現時点での社員のデジタルリテラシーのレベルを確認するには、ITに関する基礎的な知識を証明できる国家試験「ITパスポート試験」の過去問を活用する方法があります。さらに、データサイエンスの知識を問う試験「データサイエンティスト検定 リテラシーレベル」や、AI・データの知識を問う試験「G検定」の活用もおすすめです。
4.ナレッジマネジメントを導入する
ナレッジマネジメントとは、個人がもつ知識を組織で共有し、業務効率化を図る経営手法です。ナレッジマネジメントを導入することで社員個人のデジタルリテラシーを共有でき、企業全体のデジタルリテラシーを高められます。
ナレッジマネジメントには代表的な手法が4つあり、自社に合う適切な手法を選ぶことが大切です。ナレッジマネジメントの詳細は、こちらの記事でご確認ください。
>>ナレッジマネジメントとは?重要性や代表的な手法、導入方法を解説
まとめ
社会全体のデジタル化の進展や、ディープフェイクをはじめとする深刻なセキュリティインシデントの発生によって注目されるようになったデジタルリテラシーは、企業のDX化の推進にも求められる能力です。社員のデジタルリテラシーを高めることができれば、組織の生産性の向上やセキュリティの強化にも役立ちます。
デジタルリテラシーを高めるためには、目的の明確化や部署ごとに求められる知識およびスキルの洗い出しが必須です。デジタルリテラシーの向上を目指し、4つのステップに沿って実践してみましょう。
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