- 公開日:2024年07月26日
SaaSデータのバックアップ、とれていますか?必要性と導入のポイントを解説!
リモートワークの浸透などによりオフィスアプリをSaaSに移行する企業が増加しています。ビジネスにおいてSaaSの重要性が高まるなか、多くの人が「クラウドのデータはクラウド事業者によって保護されている」と思いがちです。
SaaSを利用する際には、万が一のデータ損失に備えて、データのバックアップをユーザー自身の責任で行う必要があります。
本記事では、SaaSバックアップが注目されている背景や重要性、導入のポイントなどについて解説します。
SaaSバックアップが注目されている背景とは
昨今、SaaSバックアップが注目されています。その背景には、どのような理由があるのでしょうか。
SaaSとは
まずSaaSとはどのようなものか触れておきましょう。
SaaSは、「Software as a Service」の略称で、必要な機能を必要な分だけサービスとして利用できるようにしたソフトウェアのことで、基本的にはインターネット経由でのクラウドサービスとして提供されます。
クラウドサービスは、ほかにもインターネット上でITインフラが利用できるIaaS(Infrastructure as a Service)や開発プラットフォームが利用できるPaaS(Platform as a Service)などがあります。
SaaS、PaaS、IaaSに関して、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
>>SaaS/PaaS/IaaSの違いとは? 特徴やメリット・デメリットを解説
SaaSの利用拡大にともなうセキュリティやデータ消失のリスクの高まり
SaaSバックアップが注目されている背景として、メールやグループウェアといったオフィスアプリのクラウド移行の増加が挙げられます。特に、新型コロナウイルス感染症の蔓延以降、ビジネスを取り巻く環境が大きく変化し、多くの企業でクラウド利用が活発化しました。
クラウド利用の拡大とともに、マルウェアによるセキュリティ被害をはじめ、ユーザーの誤操作によるデータ消失、クラウド上のデータの損傷などといったように、SaaS上のデータをめぐるトラブルも増加しています。
オンプレミスの場合は、自社においてインフラ構築を行うため、バックアップ環境を考慮したインフラ構成が採用されてきました。一方SaaSの場合は、インフラ部分の構築・運用はクラウド事業者の責任範囲のため、ユーザー側では、バックアップについては検討対象外として見落とされている可能性が高いのです。
クラウドでは責任範囲が明確化されており、多くのSaaS事業者では、利用規約に「責任共有モデル」を制定しています。次項で「責任共有モデル」について確認してみましょう。
SaaSの「責任共有モデル」とは
「責任共有モデル」とは、クラウドサービスを利用する際にクラウド事業者とユーザーの責任範囲を明確化し、それぞれの責任を取り決めることを指します。管理主体がどちらなのか、各々がその範囲内の責任を持ち、お互いで共有するというモデルです。SaaSの場合、クラウド事業者の責任範囲はネットワークからアプリケーションまで、ユーザーの責任範囲は保存データと明示されています。クラウド事業者は、インフラ障害・アプリ障害に対して責任を負いますが、保存データについては範囲外です。
例えば多くの企業で使われているMicrosoft 365の場合、保持されるデータは、データ処理標準ポリシーに基づき一定期間保存されますが、退職や誤操作等でアカウント自体を削除した場合、定められた保存期間ののちにMicrosoft 365のサービスから完全に削除されます。この場合、社員の退職後に監査作業や証拠の収集が必要となった場合、証跡確認が困難となります。
つまり、SaaSの保存データの保護の責任はユーザー側にあり、保存データのバックアップはユーザーの責任範囲として実施する必要があるのです。
複雑なオフィスアプリのバックアップ
SaaSのなかでも、Microsoft 365のようなオフィスアプリは、さまざまなアプリの統合製品のため、バックアップ・リストアの際に留意が必要となります。例えば、Teamsで扱うデータは、Exchange OnlineやSharepoint Onlineなどの他のアプリを基盤として動作しており、データ形式やデータ保持の仕組みがとても複雑です。情報システムの担当者でも、オフィスアプリのなかで必要なデータを特定し、データ形式や特性を理解したうえで、自らバックアップ・リストア環境を設計・構築することは非常に難易度が高い作業といえます。
これらの背景により、今、SaaSバックアップが注目されているのです。
SaaSバックアップ導入のポイント
最近では、SaaSバックアップの手段として、バックアップベンダーが提供しているバックアップソフトを利用するケースが主流となってきました。さまざまなベンダーからSaaSバックアップに適したサービスが提供されています。本章では、こうしたSaaSバックアップを導入する際に留意すべき点やポイントについて解説します。
ポイント1.バックアップソフトの選定
1つ目のポイントとして、バックアップソフトの選定が挙げられます。先述のとおり、さまざまなバックアップベンダーから多くのバックアップソフトが提供されています。オフィスアプリの場合は、自社で利用しているオフィスアプリに対応するバックアップソフトがあるか、また、ユーザーインターフェイスやリカバリの速さ、リストアの単位、リストア権限といった機能面について詳しくチェックしてみてください。
また、最近では、ランサムウェア対策として、保存されたデータを書き換え不可とする「イミュータブルバックアップ」が注目されており、多くのベンダーからも提供されています。自社で必要な機能や要件をしっかり検討したうえで、自社に合ったソフトを選定しましょう。
ポイント2.バックアップデータの保存先の選定
SaaSバックアップを検討するにあたって、バックアップデータの保存先の選定も重要なポイントの1つです。バックアップ先としては、大きく、ストレージやテープといった機器や媒体、あるいはデータセンターを利用する場合と、クラウドを利用する場合がありますが、最近では、BCP対策やランサムウェア対策という観点で、クラウドへのバックアップが注目されています。
大手パブリッククラウドであれば信頼性の高さに加えPaaSといったサービスが充実しており、バックアップ環境を構築しやすいといった利点がある反面、レイテンシなどの性能面、また利用料金やデータ転送料といったコスト面で不安を持つ人もいるかもしれません。
バックアップデータの保存先の選定においては、大容量のデータを安価に保存できるストレージサービスの有無、データ転送料の有無といったコスト面に加え、英語が不慣れな場合は、日本語でのサポートの有無も重要なポイントです。さらに、データの所在地が心配な場合はデータが国内に保管されるクラウドを選定するという選択もあります。
ポイント3.BaaSでの導入
最近では、バックアップベンダーをはじめ、クラウド事業者やSI事業者などから、バックアップ機能をクラウド上で提供する「BaaS(Backup as a Service)」とよばれるサービスが提供されています。バックアップ環境とバックアップデータの保存先を1つのクラウドサービスとして提供しているもので、システム設計やシステム構築が不要なため、スピーディにバックアップ環境の構築が可能です。BaaSのメリットは、オールインワンで導入が容易な点が挙げられますが、サービス全体がベンダーに依存されるため、サービス品質の低下や予期せぬサービス停止というリスクが伴います。
また、バックアップデータの保存先として、外資系パブリッククラウドを採用しているところも多く、その場合、データ転送料といったコスト面での懸念、データの保存先がどこの国なのかといった懸念も生じます。
SaaSバックアップのベストプラクティスとは
これまで見てきたとおり、オフィスアプリは多くの企業でビジネスを推進するためのツールとして必要不可欠なものとなっています。また、そこで扱うデータの消失や損傷は、ビジネスの継続や推進を阻害する恐れがあり、データのバックアップが非常に重要となります。
データのバックアップについては、今、災害対策やランサムウェア対策といった点から、クラウドへのバックアップが注目されています。その1つとして、BaaSのようなサービスも登場してきました。しかし、BaaSでは、保存先が外資系クラウドに限定されているサービスが多い点やカスタマイズがしづらいといった点、またコスト面といった懸念もあります。
最適なSaaSバックアップを実現するためには、自社が利用するオフィスアプリに対応したバックアップソフトの選定と合わせて、バックアップデータの保存先の選定がポイントとなります。バックアップ先を選定するポイントとしては、データ転送料がかからない、コストパフォーマンスの高いクラウドサービスを選定することがベストプラクティスといえるでしょう。
まとめ
SaaSバックアップの重要性と導入のポイント、またそのベストプラクティスについて解説しました。
オプテージでは、SaaSバックアップのご提案の1つとして、「Veeam Backup for Microsoft 365」と「オプテージ コネクティビティ クラウド・ストレージ(OCCS)」の組み合わせをおすすめしています。
「Veeam Backup for Microsoft 365」は、Microsoft 365に特化した専用のバックアップソフトです。インストールも容易で、バックアップ対象を細かく設定でき、小規模から大規模の導入まで対応可能です。また、バックアップデータの改ざん防止やランサムウェア予兆検知といったランサムウェア対策機能も備えています。
また「オプテージ コネクティビティ クラウド・ストレージ(OCCS)」は、日本国内のオプテージのデータセンターで提供している国産クラウドです。ストレージやネットワークに強みを持ち、円建てでの定額メニュー、データ転送料無料といった日本の企業風土にあったコスト体系でご提供しています。また、日本語サポートなどきめ細やかなサービスも特長です。
この組み合わせにより、最適なSaaSバックアップ環境を構築することが可能です。万が一データの消失が発生した場合でもコストを抑え復旧することで事業継続性に寄与します。
さらに、オプテージでは「Microsoft 365」の導入に合わせて、既存環境からの移行支援をはじめ、ライセンスのご提供、バックアップ環境構築、運用保守までトータルでご支援が可能です。
SaaSバックアップについて、ご相談やお悩みがありましたら、ぜひオプテージにお気軽にお問い合わせください。
◎製品名、会社名等は、各社の商標または登録商標です。