- 公開日:2024年03月29日
海外拠点のネットワーク課題と解決策|グローバル展開のための実践的ガイド
新型コロナウイルス感染症の影響が緩和するにともない、多くの企業がグローバルビジネスの展開を加速させています。この取り組みのなかで、海外拠点との通信ネットワークが、企業の国際的な活動における重要な役割を担うことになります。
一方で海外でのネットワーク構築は、異なる国々の規制や技術基準の適用、セキュリティリスクの管理、コストバランスの確保といった多くの課題に直面するでしょう。本記事では、これらの課題に対処するための、最先端の技術を活用した効果的な解決策を紹介します。
海外ネットワーク導入時に押さえるべきポイント
海外拠点とのネットワーク構築にあたっては、海外特有の課題が生じやすくなります。海外でのネットワーク設計と展開を成功させるためには、次のポイントに注意を払いましょう。
ネットワークの品質確保のための事前調整
海外拠点でのネットワーク品質を確実に確保するためには、事前の緻密な調整が欠かせません。国内では容易に解決可能な問題も、海外では予期せぬ障害の原因となることがあります。例えば、日本では容易に入手できるネットワーク機器が海外では入手困難である場合や、地域によってファームウェアの違いが存在し、同じ機器でも使用できないケースもあります。
また、海外のネットワークプロバイダーと契約する際は、保守サービスや保証条件の詳細を徹底して確認しましょう。国内での契約と同様に、サービス内容や保証範囲を確認する必要がありますが、海外ではさらに注意が必要です。海外では契約の条項がより厳格に適用されるため、契約内容に記載されていないサービスや保証を期待することは避けるべきです。期待するサービス品質を確実に受けるために、契約書の条文を精査し、必要に応じて明確化しましょう。
海外独特のスケジュール管理に対する対応
海外でのITプロジェクトでは、ネットワーク構築が計画通りに進行しないことはよくある問題です。通信キャリアからの情報提供の遅れや設備の納期遅延は、頻繁に起こりえます。このため、現地スタッフは、継続的な確認と調整作業にかなりの時間と労力を費やす必要があります。
これらの課題を乗り越えるためには、日本本社、現地法人、施設管理会社、そして現地キャリアとの間で密接な連携が重要です。計画の初期段階で詳細な調整をおこない、進行中の状況に応じて柔軟に対応できる体制を整えることが、遅延や誤解を未然に防ぐ鍵となります。
海外ネットワーク構築における課題と対策
海外ネットワークを構築する際、グローバルビジネスを成功させるためには避けられないいくつかの課題が存在します。主に、次の3つの課題が挙げられます。
利用可能なネットワークの違いと法規制への対応
海外でネットワークを構築する際は、国ごとに異なる通信規制や技術基準に対応しなければなりません。技術的な課題の克服はもちろん、異なる文化を持つ国々とのコミュニケーションや政策への深い理解も重要です。さらに、国別の通信キャリアとの交渉では、契約条件やサービスの質の違いにも、柔軟に対応する必要があります。
また、EUの一般データ保護規則(GDPR)のような厳格なプライバシー保護法規への準拠は、国際的な事業展開をおこなう企業にとって細心の注意が必要です。これらの規制を遵守するには、十分な準備と適切な手順を踏むことが求められます。
セキュリティリスク
海外拠点のネットワークセキュリティは、多数の国や地域を経由するデータ転送にともなう課題に直面しています。特に、セキュリティ対策が不十分なデータ転送など、転送手段に潜在するセキュリティ上の弱点は、データ漏えいやサイバー攻撃のリスクを高める主な要因です。国境を越えるデータ転送は、セキュリティ基準や法規制が異なる複数の国々を経由するため、攻撃者にとって狙われやすい状況を生み出します。経由する国や拠点の数が増えるほど、セキュリティリスクも高まる傾向にあります。
そのため企業は、ISO/IEC 27001などの情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の認証取得や、NIST SP 800-53などのセキュリティ管理策の導入のような国際基準に準拠したセキュリティポリシーを策定し、セキュリティ強化を図る必要があります。また、遠隔地の拠点でも、一貫したデータ保護レベルの確保が求められます。全拠点で統一されたアクセス制御、暗号化、ログ管理などのセキュリティ対策を実施することが重要です。
コストと効率のバランス
海外ネットワーク構築では、企業は高品質な通信環境の実現と同時に、厳格なコスト管理が求められます。特に、遠隔地におけるインフラの設置と維持管理には、予想を超える高額な投資が必要になることが多いです。
安定した通信を保証するための高速な専用線の確保や、地域ごとの法規制に準拠したセキュリティ対策の実装などが、コスト上昇の主な要因になりえます。異なる地域でのネットワーク運用を効率化するには、クラウド技術や仮想化技術の導入、地域ごとのニーズに合わせたリソース配分の最適化が必要です。
ゼロトラストとSASEによる海外ネットワーク構築課題の解決策
海外拠点のネットワーク構築は、セキュリティリスクやコストバランスなどの課題があるものの、ゼロトラストとSASE(Secure Access Service Edge)の組み合わせで、これらの課題を効果的に解決できます。ゼロトラストは、ネットワーク内のすべてのユーザー、デバイス、アプリケーションに対して信頼を置かず、常に厳格なアクセス管理とセキュリティポリシーを実施する考え方です。ゼロトラストを採用することで、遠隔地や海外拠点のセキュリティが強化され、不正アクセスやデータ漏えいのリスクを軽減できます。
SASEは、ネットワークとセキュリティ機能をクラウドベースで統合した新しいアーキテクチャです。高額な海外専用線網の代わりにSASEとインターネット回線への切り替えにより、コスト削減を図りつつ運用の柔軟性とセキュリティを強化できます。海外でのネットワーク構築の困難さがセキュリティレベルの低下を招き、セキュリティ事故を引き起こす可能性があるなか、SASEの活用により日本での運用と同様のセキュリティポリシーを適用し、同等のセキュリティレベルでの運用が容易に実現できます。
このようにゼロトラストとSASEを併用することで、企業は海外拠点のネットワーク接続をより安全かつ柔軟に管理し、グローバルビジネス展開を支える強固なIT基盤を構築できます。
まとめ
海外での事業展開やネットワーク構築は、予期せぬ課題やトラブルに直面する可能性が高いため、本記事で紹介したポイントへの対応と、入念な事前準備をおこないましょう。オプテージが提案するゼロトラストソリューションは、海外ネットワーク構築にともなう課題への効果的な対策を提供します。オプテージが提供するゼロトラストとSASEフレームワークを組み合わせることで、企業は海外拠点のネットワーク接続を、より安全かつ効率的に管理することが可能です。
海外への事業展開やビジネス推進にあたってネットワーク構築をされる際に、セキュリティやコストバランスの課題解決のサポートが必要な際は、ぜひオプテージにご相談ください。
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