
【法人向け】IPv6とは?IPv4との違いや導入時の注意点をわかりやすく解説
- 公開日:2025年12月24日
IPv6という言葉を聞いたことはありますか?
これまでインターネットで使われてきたIPv4アドレスは、新たに割り当てられる数が世界的に不足し始めています。今後の業務でのネットワーク運用にも影響が出る可能性があるなか、その課題を補う次世代のインターネット規格として注目されているのが「IPv6」です。IPv6の普及が広がる時代に備えて、IPv6を導入する際の注意点やコストを事前に把握しておくとよいでしょう。
本記事では、IPv6とIPv4の違いや、導入前に知っておきたいポイントについて解説します。
- IPv6とは
- IPv6とIPv4の違い
- IPアドレスの数と長さ
- 主な接続方式
- 通信速度
- セキュリティ機能
- 対応機器
- 社内ネットワークにIPv6を導入するときの注意点
- IPv4とIPv6のアドレスには互換性がない
- 移行コストがかかる
- IPv6/IPv4を選ぶときのポイント
- まとめ
IPv6とは
IPv6とは、従来のIPv4に代わる次世代のインターネットプロトコル(規格)のことです。
IPアドレスは、インターネット上で機器を識別するための「住所」の役割を持っています。アドレスが割り当てられない環境では、機器が正しく通信を行うことができません。
インターネットの利用拡大により、これまで使用されてきたIPv4において、新規に割り当て可能なアドレスが不足してきました。こうした課題に対応するため、より多くのアドレスを扱える仕組みとしてIPv6が設計されました。IPv6ではアドレス長が128ビットに拡張され、32ビットだったIPv4よりも多くのアドレスを割り当てられるようになっています。
なお、IPv6が登場してもIPv4がすぐに使われなくなるわけではありません。新しいIPv4アドレスはほぼ枯渇していますが、既に割り当て済みのアドレスを返却・再利用する仕組みにより、今後もしばらくは併用が続く見込みです。
IPv6とIPv4の違い
IPv6とIPv4の一般的な違いは、以下のとおりです。
| 項目 | IPv6 | IPv4 |
|---|---|---|
| IPアドレスの数と長さ | IPアドレス数:約340澗(かん)個 アドレス長 :128ビット |
IPアドレス数:約43億個 アドレス長 :32ビット |
| 主な接続方式 | PPPoE方式 IPoE方式 |
PPPoE方式 |
| 通信速度 | 通信速度は接続方式や設備状況によって変わる (IPoE利用時のみ混雑の影響を受けにくい傾向にある) |
通信速度は接続方式や設備状況によって変わる (PPPoE方式のため網終端装置の混雑で低下する場合がある) |
| セキュリティ機能 | IPsecが標準装備されている | IPsecがオプションとなっていることが多い |
| 対応機器 | PPPoE方式であれば多くの現行機器が標準対応 IPoE方式であれば対応機器であることが必要 |
多くの現行機器が標準対応 |
それぞれの項目を詳しく見ていきましょう。
IPアドレスの数と長さ
IPv4とIPv6の代表的な違いとして挙げられるのが、IPアドレスの数と長さです。
IPv4のアドレスは、10進数で「192.168.1.1」のように、3桁までの数字を4つのブロックで表記しています。IPアドレスは0と1から構成され、IPv4の場合は32ビット(0と1でできた信号1つを1ビットとし、それを32桁並べる方式)で表現されます。その組み合わせは2の32乗(2を32回かけた数)、つまり4,294,967,296通りとなり、約43億個のアドレスを表現できます。
一方、IPv6のアドレスは「2001:0db8:0000:0000:0000:0000:0000:0001」のような形で、16進数で8つのブロックを組み合わせて表記されます。IPv6は128ビット(0と1でできた信号を128桁並べる方式)で構成され、表現できるアドレス数は2の128乗(2を128回かけた数)に相当します。これは約340澗(かん)通りの数となります。澗(かん)は「1億×1億×1億×1万億」にあたる非常に大きな単位であるため、32ビットで扱える約43億個とは比較できないほど多くのアドレスを表現できます。
主な接続方式
IPv4とIPv6では、利用できるインターネット接続方式に違いがあります。
IPv4では、多くの環境でPPPoE方式が用いられています。PPPoE(PPP over Ethernet)は、ユーザー認証やセッション管理を行うトンネル接続方式で、電話回線やISDNの技術をもとにした仕組みです。PPPoE方式では、網終端装置(回線事業者網とプロバイダー設備をつなぐ中継装置)を経由してインターネットに接続します。
一方、IPv6ではPPPoE方式だけでなく、IPoE(IP over Ethernet)方式を利用できる場合があります。IPoE方式はPPPoE方式のように網終端装置を経由せず、プロバイダーのネットワークへ直接接続する方式です。
このように、接続方式の違いによって回線が通る経路や装置の構造が異なります。これらの違いが、通信の安定性や速度に影響する要因となる場合もあります。
なお、IPv6でどちらの方式が利用できるかは、プロバイダーや契約プランによって異なるため、事前の確認が必要です。
通信速度
IPv4接続とIPv6接続の通信速度そのものに大きな差はありません。通信速度に影響を与える主な要因は、接続方式(PPPoE・IPoE)や、網終端装置の経由有無・混雑状況など、ネットワーク側の条件です。
IPv4で一般的に利用されているPPPoE方式の場合、回線事業者側の網終端装置にアクセスが集中しやすく、利用者が増える時間帯には速度が低下することがあります。
IPv6では、PPPoE方式に加えてIPoE方式を利用できる場合があります。IPoE方式は網終端装置を経由しないため、混雑の影響を受けにくい傾向があります。ただし、どちらの方式を利用できるかはプロバイダーや契約プランによって異なります。
実際の通信速度は、プロバイダーの設備状況やネットワーク機器の性能、契約内容などさまざまな要因で変わります。通信速度を重視する場合は、IPv4かIPv6かという観点に加えて、どの接続方式に対応しているかを確認することが大切です。
セキュリティ機能
IPv6には、IPsec(Internet Protocol Security:アイピーセック)と呼ばれるセキュリティ技術が標準で組み込まれています。通信の基盤となるネットワーク層に暗号化や認証といったセキュリティ機能を実装できますが、実際にどこまで強固に暗号化するかは、回線事業者や企業側のネットワーク設定に依存しています。
IPv4では、IPsecはオプション機能として扱われることが一般的です。そのため、セキュリティを強化するには、VPN(仮想プライベートネットワーク)やSSL/TLS通信(インターネット通信を暗号化する一般的な方式)といった別の設定や技術を組み合わせて対策を行うケースが多く見られます。
対応機器
パソコンやルータといった市場に出回っているほとんどのネットワーク機器は、IPv4に対応しています。そのため、IPv4のPPPoE方式でインターネットに接続する際は、対応機器を探す手間がほぼかかりません。
IPv6も多くの機器が対応していますが、利用する接続方式によっては必要な機器が変わる場合があります。特にIPoE方式を使う場合は、ルータやアクセスポイントなどがIPoEに対応している必要があります。
社内ネットワークにIPv6を導入するときの注意点
社内ネットワークにIPv6を導入する際は、以下の点に注意しましょう。
IPv4とIPv6のアドレスには互換性がない
移行コストがかかる
IPv6を社内ネットワークに導入する際は、アドレス体系や移行作業など、運用面で特に気を付けておきたいポイントがあります。環境によって発生し得る影響を踏まえ、具体的な注意点を見ていきましょう。
IPv4とIPv6のアドレスには互換性がない
アドレス形式が根本的に異なるIPv4とIPv6は、互換性がありません。既存の業務システムや外部の取引先がIPv4アドレスにしか対応していない場合は、IPv6へ切り替えることで通信が途絶するリスクが発生します。
このような問題を回避する手段としては、「IPv4 over IPv6」の導入が効果的です。IPv4 over IPv6は、IPv6のネットワーク上で、従来のIPv4のデータ通信をするためのカプセル化(トンネリング)を行う技術です。
IPv4のデータをIPv6のパケットに包んで届ける仕組みで、いわば「IPv4の荷物をIPv6のトラックに載せて運ぶ」イメージです。この方式を使えば、IPv6/IPoE方式を利用しつつ、終端でIPv4データとして利用できます。業務環境においてIPv4しか扱えない機器やサービスが混在していても、互換性の課題をカバーすることができます。
なお、IPv4 over IPv6 を利用するには、プロバイダーや契約プランが対応している必要があります。技術的には接続方式を問わず利用できますが、国内のサービスでは多くの場合、IPv6のIPoE方式を前提に提供されています。環境によっては利用できない場合もあるため、対応状況を事前に確認しておきましょう。IPv4 over IPv6を導入すれば、互換性の課題を解決しながら安定した通信を維持できます。
移行コストがかかる
IPv6に移行する場合、プロバイダーの契約変更だけでなく、機器の買い替えや設定作業にともなうコストが発生します。IPv6を利用するときは、ルータやファイアウォールなどのネットワーク機器がIPv6アドレスに対応しているかどうかを事前に確認しておく必要があります。また、IPv4専用の機種を使っている場合は、機器の入れ替えが必要となる場合があります。
あわせて、利用する接続方式ごとに必要となる機能についても事前に把握しておくことが求められます。
IPv6でPPPoE方式を使う場合:IPv6 PPPoEに対応していること
IPoE方式を使う場合:IPv6 IPoEまたはIPv4 over IPv6方式に対応していること
ネットワークの切り替えや機器設定、既存システムとの接続検証には、情報システム担当者や外部業者の工数が発生します。加えて、プロバイダーのオプション加入や契約変更がともなうケースもあるので、どれほどの費用や工数がかかるのかを事前に計算しておくことをおすすめします。
IPv6/IPv4を選ぶときのポイント
IPv6とIPv4のどちらを選ぶか検討する際は、両者の仕組みと回線品質の違いを理解しておくことが必要です。通信速度は、プロトコルの違いではなく、接続方式(PPPoE・IPoE)や網終端装置の有無、混雑状況などが影響します。そのため、IPv4をIPv6に切り替えたからといって通信速度が向上するとは限りません。
IPv4からIPv6に切り替える際は、利用中のシステムや取引先環境がIPv6に対応しているかを事前に確認することが重要です。もし一部のシステムがIPv6に対応していない場合は、必要に応じて「IPv4 over IPv6」など、IPv4通信を併用できる仕組みを利用する方法もあります。
IPv6に対応しているプロバイダーのなかには、PPPoE方式で提供しているところもあります。PPPoE方式は時間帯により混雑する場合があるとされていますが、回線事業者側で設備増強をして回線品質を高めているサービスも存在します。そのため、PPPoE方式だからといって通信品質が低くなるとは限りません。
近年はクラウドサービスや社内向けシステムでもIPv6対応が進んでいるため、将来的な互換性や今後の運用を見据え、IPv6に対応した接続方式や機器を今のうちに確認しておくと、いざという時に安心です。
まとめ
オフィスで安定した通信環境を構築するためには、IPv4とIPv6のどちらを利用する場合でも、回線の接続方式やプロバイダーの設備状況など、品質面を事前に確認することが大切です。また、IPv6の場合は、既存システムや取引先がIPv6に対応しているか、通信に影響が出ないかを事前に把握しておく必要があります。これらのポイントを踏まえて、自社に適した回線サービスを選びましょう。
オフィスeo光では、IPv4とIPv6の両方に対応しています。光回線とプロバイダーを一体型で提供しているため、手続きや月額料金の管理、トラブル時の問い合わせ窓口をまとめられ、運用負荷を軽減できます。
通信環境の見直しを進める際には、オフィスeo光をぜひご検討ください。
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◎製品名、会社名等は、各社の商標または登録商標です。
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