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中小企業のゼロトラスト入門|無理なく始める対策の第一歩

中小企業のゼロトラスト入門|無理なく始める対策の第一歩

ゼロトラストは「社内からのアクセスだから安全」と決めつけず、利用者や端末、アクセス権限を継続的に確認しながら、必要なアクセスだけを許可するセキュリティの考え方です。クラウド利用や在宅勤務の広がりにより通信経路が多様化しているなか、ファイアウォールやVPNなど既存のセキュリティ対策を補完する新たな考え方として注目されています。

本記事では、中小企業でゼロトラストの重要性が増す背景と、段階的に取り組める基本対策、回線・ネットワーク環境を見直す際の考え方を解説します。

  1. ゼロトラストとは?「信頼しない・常に検証」を前提とするセキュリティの考え方
    1. 境界型セキュリティとゼロトラストの違い
  2. 中小企業でもネットワーク見直しとともにゼロトラストが重要になる背景
    1. テレワークやSaaSの普及で社内外の境界と通信の流れが変化
    2. 報告されたランサムウェア被害の約6割が中小企業
    3. VPNや本社経由の構成に負荷やリスクが集中しやすい
    4. 中小企業ならではの運用・人材面の事情も
  3. 中小企業が取り組みたいゼロトラストの4つの基本対策
    1. 1. 多要素認証(MFA)の設定
    2. 2. アクセス権限の最小化
    3. 3. 端末(エンドポイント)の保護
    4. 4. ネットワーク機器の見直し
  4. 回線・ネットワーク環境の見直しが、ゼロトラストの土台に
    1. ネットワーク構成の見直しでゼロトラストの必要性が高まる理由
    2. 通信環境とセキュリティ対策をまとめて相談できる事業者を選ぶ
  5. 中小企業のゼロトラスト対策の第一歩に「オフィスeo光」
  6. まとめ

ゼロトラストとは?「信頼しない・常に検証」を前提とするセキュリティの考え方

ゼロトラストとは、「社内からのアクセスだから安全」といった暗黙の信頼を置かず、利用者や端末の状態、アクセス権限を、アクセス時だけでなく利用中・接続中も含めて継続的に確認・検証するセキュリティの考え方です。クラウドサービスやテレワーク利用の広がりといったネットワーク環境の変化を背景に、必要性が高まっています。

また、この考え方は、特定の製品やサービスを指すものではなく、認証、アクセス制御、端末保護、ログの確認、ネットワーク対策など複数の対策を組み合わせる形で実現していくものとなっています。「これを導入すれば完了」というひとつの仕組みがあるわけではなく、自社の業務やリスクに応じて、どの対策をどう組み合わせるかを検討していくことになります。

境界型セキュリティとゼロトラストの違い

図解1_中小企業 ゼロトラスト

境界型セキュリティは、ファイアウォールやVPNなどを使い、社内ネットワークと外部(インターネット)との境界、つまり出入り口を守る考え方です。本社や拠点に通信を集めて管理する環境では、現在も重要な役割を担います。一方で、境界の内側は基本的に信頼する考え方のため、いったん内部に入られると、その後の被害を防ぎにくい面があります。

これに対してゼロトラストは、ネットワークの内側・外側を区別せず、全てのアクセスを都度検証します。両者の違いは「何を信頼の前提とするか」です。

近年はクラウドや在宅勤務の広がりによって、守りたいデータや業務システムが社内にあるとは限らなくなり、利用する人や端末も境界の内側に揃わなくなってきました。こうした状況の変化を受け、ファイアウォールやVPNによる境界対策に、ゼロトラストの継続的な確認や権限管理などを組み合わせていくことが求められています。

中小企業でもネットワーク見直しとともにゼロトラストが重要になる背景

クラウド利用や働き方の変化は企業規模を問わず進んでおり、ネットワーク構成の見直しが必要になる場面は中小企業でも増えています。その見直しを進めるなかで、従来の境界防御だけに頼らないゼロトラストの考え方が重要になります。

この章では、その背景を順に整理します。

テレワークやSaaSの普及で社内外の境界と通信の流れが変化

近年、働き方と業務システムの変化として、次のような動きが広がっています。

テレワークの普及により、自宅や外出先から社内システムへアクセスする機会が増えた
クラウドストレージをはじめとするSaaS(インターネット経由で利用する業務サービス)が広がり、業務データをクラウド上に保存・共有する企業が増えた
パソコンやスマートフォンなど、業務に使う端末やネットワークが多様になった

これまで、多くの企業では「各拠点や自宅からの通信をいったんVPNを通じて本社やデータセンターなどのセンター拠点へ集め、センター拠点1か所からインターネットへ接続する」構成が使われてきました。しかし、クラウドやSaaSの利用が増えるほど、VPNを経由する通信が増え、センター拠点のVPNアクセス回線やインターネット回線に負荷が集中しやすくなります。また、在宅勤務や外出先からの利用では、VPNや本社経由の通信が、速度や使い勝手の面で負担になるケースもあります。

その結果、ネットワーク構成の見直しが必要になり、あわせて、従来の境界防御だけに頼らないゼロトラストの考え方も求められるようになっているのです。

報告されたランサムウェア被害の約6割が中小企業

警察庁の公表資料によると、令和7年(2025年)のランサムウェア(データを暗号化するなどして金銭を要求するサイバー攻撃)の被害報告件数は、全体で226件でした。この226件について被害企業・団体等の規模別に見ると、中小企業が約6割を占めています。

また、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が公表した「情報セキュリティ10大脅威 2026」でも、「ランサム攻撃による被害」が組織向け脅威の1位に挙げられています。前述の被害割合とあわせて考えると、中小企業にとってランサムウェアは無視できない脅威だといえます。

ランサムウェアの攻撃者は、企業の規模や知名度だけでターゲットを選んでいるわけではなく、侵入しやすいセキュリティ上の隙を探しているといわれています。規模の大小にかかわらず、隙をつくらないための基本的な対策や見直しが求められているといえるでしょう。

用語集

「中小企業がランサムウェアに狙われる理由」の詳しい解説をみる

出典:警察庁「令和7年における サイバー空間をめぐる脅威の情勢等について
IPA「情報セキュリティ10大脅威 2026

VPNや本社経由の構成に負荷やリスクが集中しやすい

リモートアクセスVPNは、社外から社内ネットワークへ安全に接続するための仕組みであり、テレワークを支える有効な手段です。一方で、通信を社内や本社に集める構成には、課題もあります。この構成では、社外からのアクセスは、VPN機器やリモートデスクトップ(社外から社内のパソコンを遠隔操作する仕組み)などの限られた入り口を通りますが、ランサムウェアの侵入経路も、この入り口に集中しています。前述の警察庁資料によると侵入経路はVPN機器が6割以上を占め、リモートデスクトップとあわせると8割以上とされています。

この入り口が狙われやすくなるかどうかは、管理の状態に大きく左右されます。機器の更新漏れや、推測されやすいパスワードの使用、不要なアカウントの放置など、管理・認証に隙があると、外部からの入り口として狙われやすくなってしまいます。
そして、境界の内側を基本的に信頼する構成では、いったん侵入されると内部での動きに気付きにくく、被害が広がりやすい面があります。

また、クラウド利用や在宅勤務が広がると、通信が集まることによる負荷がかかりやすくなります。クラウド利用の増加でインターネット通信の輻輳(ふくそう)が発生したり、在宅勤務の普及で通信経路が遠回りになったりする場合もあるためです。利用環境の変化によって、従来の構成のままでは回線に負担が大きくなる可能性が出てきた、といえます。

こうした点を踏まえると、内側・外側を問わずアクセスを確認するゼロトラストの考え方を取り入れる意義が見えてきます。

出典:警察庁「令和7年における サイバー空間をめぐる脅威の情勢等について

用語集

VPN

中小企業ならではの運用・人材面の事情も

中小企業では、専任の情報システム担当者を置かず、経営者や総務担当者がほかの業務と兼任しているケースが少なくありません。日々の業務に追われる中で、機器の更新やセキュリティ設定の見直しに手が回らない場合があり、結果として隙が生まれる可能性があります。

だからこそ、一度に全てを整えようとせず、取り組みやすい対策から順に進める視点が大切です。自社だけで判断しにくい場合は、現在のネットワーク構成とセキュリティ対策をまとめて確認できる支援先を活用する方法もあります。

中小企業が取り組みたいゼロトラストの4つの基本対策

ゼロトラストは特定の製品ではなく考え方であるため、一度に全ての環境を整えられなくても、段階的に取り組むことで一定の効果を見込めます。ここでは、中小企業でも着手しやすく、ゼロトラストの考え方に沿った4つの基本対策を紹介します。

1. 多要素認証(MFA)の設定

多要素認証(MFA)とは、IDとパスワードに加えて、スマートフォンアプリでの承認やワンタイムコードなど、複数の要素を組み合わせて本人確認を行う仕組みです。仮にパスワードが漏えいしても、それだけでは不正なログインが成立しにくくなります。

まずは影響の大きい管理者アカウントや、メールやクラウドサービス、VPNなど外部から利用できるアカウントから優先的に設定するとよいでしょう。

用語集

2. アクセス権限の最小化

業務上必要な範囲にだけアクセスできるよう、権限を設定する取り組みです。対象はデータに限らず、業務システムやその管理機能、共有フォルダ、クラウドサービスのアカウントなども含めて、「誰が・どこまで使えるか」を見直します。

例えば、退職者のアカウントが残っていないか、全員が管理者権限を持つ状態になっていないか、といった点は確認しやすいポイントです。権限が整理されていれば、万が一アカウントが不正に使われた場合にも、影響の範囲を抑えやすくなります。部署や役割に合わせて権限を設定し、異動や退職、担当変更の際に見直せる手順を決めておくと、不要な権限が残ることを防ぎやすくなるでしょう。共用アカウントは利用者を特定しにくいため、必要性を確認し、可能な範囲で個人ごとのアカウントへ切り替えるのも有効です。

3. 端末(エンドポイント)の保護

パソコンやスマートフォンなど、業務で使う全ての端末にセキュリティソフトを導入し、OSやソフトウェアを最新の状態に保つ取り組みです。社外に持ち出す端末が増えるほど、端末自体を守る対策の重要性は増します。

更新プログラムの適用漏れは攻撃の入り口になりやすいため、更新のタイミングや担当をあらかじめ決めておくと、抜け漏れを防ぎやすくなります。紛失や退職時に備え、画面ロックの設定、データの保管場所、端末の返却や利用停止の手順も整理しておきましょう。

4. ネットワーク機器の見直し

社内とインターネットの出入り口にあたるルータやVPN機器などのネットワーク機器も、見直しの対象です。メーカーのサポートが終了した古い機器や、更新プログラムが適用されていない機器は外部から狙われる隙になりやすいため、状態を確認し、計画的な更新を検討しましょう。外部から接続できる設定、管理画面の認証、不要な通信の制限、ログの保管方法も確認項目です。

ネットワーク機器の見直しは、それだけでゼロトラストが実現するものではなく、認証やアクセス制御といった各対策を安定して機能させるための土台を整える役割を持ちます。多要素認証、権限管理、端末保護などの対策は、このネットワーク環境の見直しを補いながら、利用者・端末・通信のそれぞれの面を守る要素として、あわせて取り組んでいくものです。

ここまでの4つの対策は、いずれも基本的なセキュリティ対策であり、その一部はランサムウェア対策と共通するとともに、ゼロトラストを進めるための基礎となります。

用語集

「古いルータを使い続けるセキュリティリスク」の詳しい解説をみる

回線・ネットワーク環境の見直しが、ゼロトラストの土台に

前章で紹介した4つの対策を支える土台となるのが、回線およびネットワーク環境です。この章では、なぜネットワーク環境がゼロトラストの土台になるのか、また、見直しの際に何を確認すればよいのかを説明します。

ネットワーク構成の見直しでゼロトラストの必要性が高まる理由

回線やネットワーク構成を見直すにあたっては、まず、自社の今の使い方の整理が必要です。従業員が自宅や外出先から接続したり、業務でクラウドサービスを使ったり、複数の拠点から通信したりする場面が増えている場合は、従来のように1か所の出入り口をまとめて守る方法だけでは、全体を管理しにくくなるといえます。

そこで求められるのが、「誰が、どの端末で、どの権限でアクセスしているか」を継続的に確認・検証するゼロトラストの考え方です。

また、クラウドの活用、認証やアクセスの確認、通信の監視といったゼロトラストに沿った対策は、いずれも安定したネットワーク環境の上で機能するものです。回線の新設・見直しのタイミングは、UTMなどの出入り口対策や端末保護を、あわせて整備しやすい機会でもあります。法人向け回線サービスであれば、帯域や必要に応じた固定IPアドレス、サポート体制など、業務利用を前提とした環境を整えやすいでしょう。

用語集

UTM

通信環境とセキュリティ対策をまとめて相談できる事業者を選ぶ

社内に専門知識を持つ人材がいない場合、回線、ネットワーク機器、セキュリティ対策を別々の事業者に相談すると、比較や調整の負担が大きくなりがちです。とくに担当者が兼任している企業や、いわゆる「ひとり情シス」の企業では、この負担が見直しの足かせになることもあります。

回線事業者がセキュリティサービスもあわせて提供していれば、ネットワークの見直しとセキュリティ対策を一緒に相談でき、導入から運用までの窓口をまとめやすくなります。相談先を比較する際は、セキュリティサービスの種類だけでなく、「現在の構成を確認してもらえるか」「設計・初期設定・運用のどこまで支援を受けられるか」「障害やセキュリティ上の問題が起きたときの窓口は明確か」を確認しましょう。自社で行う作業と支援を受ける作業をあらかじめ分けておくと、導入後の運用も整理しやすくなります。

中小企業のゼロトラスト対策の第一歩に「オフィスeo光」

オプテージが提供する「オフィスeo光」は、大容量・低価格を特長とする法人向け光回線です。ゆとりのある通信環境は、クラウドの活用や拠点間通信、在宅勤務への対応に加えて、今後のセキュリティ見直しを進めやすくすることにもつながる可能性があります。

また、オプテージでは各デバイスを保護する「クライアントセキュリティサービス(ESET)」や、ネットワークの出入り口で脅威をブロックする「SDネットワークサービス」といったセキュリティサービスも提供しています。回線とセキュリティを同じ窓口で相談できるため、専任の担当者がいない企業でも、ネットワークの見直しとあわせて、ゼロトラストの考え方に沿った対策を進めやすくなるでしょう。

まとめ

ゼロトラストは、特定の製品ではなく、利用者や端末、アクセス権限を継続的に確認する考え方です。クラウド利用や働き方の変化が企業規模を問わず進む中で、中小企業にとっても無縁のテーマではなくなっています。

自社の業務への影響と運用体制を踏まえ、多要素認証、権限管理、端末保護、ネットワーク機器の見直しに優先順位を付けて進めましょう。回線・ネットワーク環境はゼロトラストを支える要素のひとつです。ネットワークの見直しとセキュリティをまとめて相談できるパートナーを選ぶことも、無理なく対策を続けるうえで有効な方法になるでしょう。

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