SDGs時代に欠かせない!「パーパス経営」を知っておこう。

SDGs時代に欠かせない!「パーパス経営」を知っておこう。
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「SDGs経営」「ESG経営」に続く、「パーパス経営」とは?

「●●経営」という言葉を、時々耳にします。企業経営の指針として、その時代時代に話題となったキーワードを冠せられることがよくあります。本コラムでも今年の3月に「ESG経営」をご紹介しました。そのコラムでは「SDGs経営」についてもあわせて説明しています。

>> これからの企業成長戦略、「ESG経営」とは? 

「SDGs」については、もはや説明するまでもないでしょう。「ESG」は、「環境・社会・ガバナンス」の頭文字をとったもので、環境問題や社会のあり方に対し責任を持った経営方針を持つことを表したものです。いわば「SDGs」を補う概念ともいえます。

これらに加え、今注目を集めているのが、「パーパス経営」という理念です。

「パーパス」とは英語「purpose」のことで、一般的には「目的・意図・決意」などと訳されます。従って「パーパス経営」を単純に訳せば、「目的を持った経営」ということになります。そこから現在では「志」や「存在意義」という意味に捉えられるようになってきました。つまり企業として高い志を持ち、社会に対して存在意義を明確に打ち出すことが、「パーパス経営」の役割です。

それではこれからの経営モデルといわれる「パーパス経営」について、ご説明していきましょう。

2018年の「書簡」からはじまった、経営における「パーパス」の重要性

「パーパス」が経営にとって重要な意味を持つキーワードとして語られ始めたのは、2018年のこと。世界的投資会社である米ブラックロック社の会長兼CEO、ラリー・フィンク氏が、投資先企業のCEOに送った年次書簡「A Sense of Purpose」からだとされています。

この書簡の中で、フィンク氏は「Without a sense of purpose, no company, either public or private, can achieve its full potential. It will ultimately lose the license to operate from key stakeholders. (上場企業、非上場企業のいずれも、確固たる理念を持たなければ、持てる力を十分発揮することができず、主要なステークホルダーから、その存続自体を問われることになるでしょう)」と述べ、ここから「パーパス経営」という考え方が広まっていったのです。フィンク氏は2019年以降の年次書簡においても、度々、「パーパス経営」に触れており、今年1月に送った2022年版でも、「企業経営者が一貫した主張、明確なパーパス、理路整然とした戦略、長期的な視点を持つことが今ほど求められている時はないでしょう」と主張しています。

(※)日本語訳は、ブラックロック・ジャパン株式会社のサイト掲載文より。
2018年版 2022年版

ブラックロック・ジャパンのサイトに掲載された翻訳が、「purpose」を2018年版では「理念」と訳していたのに、2022年版では「パーパス」としている点を見ても、このワードがいかに広く受け入れられたことがわかると思います。

社会における課題解決に向けた意識と行動を明確に訴える

「経営理念」や「企業理念」は、かなり以前から存在します。それらと「パーパス」が異なる点は、社会全体へコミットする姿勢を明確にしていることです。

かつては利益を着実に上げ、会社を大きくすることが企業の存在意義であり、経営者は自社を大きくする「志」を持って会社を運営してきました。企業が大きく成長すると賃金も株価も上がり、従業員や株主も潤うことで最終的に社会にも貢献していたのです。ところが、今はそれだけでは済まない時代になっています。

企業活動の中でも、自然環境や人間社会への悪影響を及ぼすもの、あるいは自社だけの利益を追求する企業姿勢に対して、厳しい目が向けられるようになったのです。コンプライアンスやガバナンスが重視されはじめ、企業として生き延びるには、地球環境や社会における課題を解決する意識を、明確に主張する必要が出てきました。この「地球環境や社会における課題を解決する意識」が、「パーパス」に他ならないのです。

さらには課題を解決する意識だけでなく、それを具体的な活動として実行する姿勢を見せる必要があります。
「パーパス経営」の展開方法としては・・・

(1)企業それぞれに応じた「パーパス」を検討する。
(2)「パーパス」を具体的な言葉で表し、全社で共有する。
(3)サイトや会社案内などに「パーパス」を記載し、広く社会に発信する。
(4)「パーパス」を具体的に実現する活動を推進――たとえば売り上げの一部を寄付/環境破壊などを行っている企業、地域との取引を禁止/多様性を反映した雇用の推進

・・・などが考えられます。

ただし、せっかく「パーパス」を明確に主張しても、それが実現できなければ社会から失望され、かえって企業の立場を危うくすることもあります。自社としてどんな「パーパス」を掲げ、どんな活動を推進するか、実現可能なものからじっくりと検討していかなければなりません。

「パーパス経営」に取り組むことのメリット

以前、このコラムでも紹介したZ世代や、それに先立つY世代(ミレニアル世代)の特徴として、「多様性に対して寛容」「SDGsへの関心が高く、社会貢献できる仕事を好む」といった点を紹介しました。

>> これからの企業を支えていく「Z世代」大研究

このことからもわかる通り、環境問題や多様性などに対し明確な「パーパス」を訴える企業は、Z世代やY世代など若い人々から好意的に受け止めてもらえる、つまり企業のロイヤルティーを高めることができます。

社外においてはステークホルダーからの支持が期待でき、最終的に売り上げアップにつながります。社内においては、従業員のエンゲージメントを高めることに役立ちます。つまり「自分の仕事は社会や環境を良くすることに貢献している」という意識を持ってもらえるようになり、やる気や愛社精神の向上が見込めます。従業員のエンゲージメントが向上すると、企業の活力が高まり、一層の成長が見込めるようになるのです。

「パーパス経営」は「SDGs経営」や「ESG経営」を支える柱だ!

今や「SDGs」という言葉を見ない日はありません。多くの企業でも自社のSDGs活動についてアピールを行っています。それ自体は、何ら問題はありません。SDGsによって、多くの人が社会の抱える課題に関心を持ち、その解決に向けた活動を行うことは非常に意義のあることです。

一方で自社の営業活動を無理やり17のゴールに結びつけ、表面的にSDGs活動に取り組んでいるようにアピールする、いわゆる「SDGsウォッシング」の企業も見受けられます。そのような点から、SDGs自体を怪しげに感じる人も、少ないながら存在します。

「パーパス経営」は、そのような形骸化する活動に対し、あらためて原点となる「企業の存在意義」を確認する作業でもあります。企業サイトや企業案内にSDGsロゴやアイコンを貼って「よし」とするのではなく、その行動の裏にある意思を常に問い続けること、それが「パーパス経営」の本質ではないかと思います。つまり「パーパス経営」とは、「SDGs経営」や「ESG経営」を支える柱にもなりうる経営理念といえるでしょう。

企業が将来、大きく飛躍するためにも、今回のコラムをきっかけに、「パーパス経営」について考えてみていただければと思います。

◎製品名、会社名等は、各社の商標または登録商標です。

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著者 OPTAGE for Business コラム編集部

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