- 公開日:2024年07月11日
Webサイトのアクセス負荷を減らす|クラウド移行によるサーバ強化のすすめ
企業にとってWebサイトは重要な役割を担っており、アクセス負荷の管理が成長のカギを握っています。キャンペーンやセール中のアクセス集中でWebサイトが繋がりにくくなることは、ビジネスチャンスを逃す原因になります。
これを解決する効果的な方法のひとつがクラウドサービスへの移行です。クラウド移行により、アクセス負荷の問題を効果的に管理し、継続的なサービス提供を実現します。本記事では、Webサーバのクラウド移行のメリットや、移行のポイントを詳しく解説します。
ビジネスにおけるWebサイトの重要性
スマートフォンやパソコンでのインターネット利用、オンラインショッピングなど、インターネットが生活に欠かせないツールとなっている今、ビジネスにおいてもWebサイトは必要不可欠なものとなっています。
例えば、ビジネスでの主な利用方法として以下のようなケースがあります。
- 自社製品やサービスなどのメディア告知を含むWebマーケティング
- オウンドメディアなど集客のツールとして活用
- Webサイトの訪問者数やページビュー数などの取得と、それに紐づく販売戦略の策定
このようにビジネスに欠かせないツールとなっているWebサイトでは、「つながりやすさ」「アクセスの安定性」などの指標も重要なものとなっています。
オンプレミス環境のWebサーバにおける課題
従来、多くの企業でWebサーバといえば、自社内に物理サーバを設置して運用や保守をおこなう「オンプレミス型」が一般的でした。しかし、こうしたオンプレミスのWebサーバ運用には、いくつかの大きな課題があります。この章では、それらについて詳しく見ていきましょう。
アクセス集中がもたらすビジネス上の機会損失
オンプレミスのWebサーバではスペックや台数が固定されており、アクセスが一度に集中した場合にサーバが耐えきれず、レスポンスの低下やプロセスの停止などサービス障害につながってしまうケースがあります。
こうした問題を起こすWebサイトは、利用者から見ると「使いにくい」「問題があるサイト」と感じられることが多く、ユーザーエクスペリエンスの低下や、再訪問の可能性を低下させるなど、ビジネスチャンスを逃す可能性を含んでいます。
リソースの非効率性とコスト負担
アクセス集中の際にも確実にサーバを安定稼働させることは、Webサイトを運営するうえで非常に重要です。サーバを確実に安定稼働させるためには、アクセス量の変動を見越し十分なリソースを準備することが必要となります。
しかし、そのようなリソースを準備することは、以下のようなデメリットにもつながります。
- 通常時には余剰のリソースとなる
- 余剰のリソースは無駄なコストとなる
簡単にリソースの変更ができないオンプレミスの場合、常に不要なコストをかかえることになります。
運用体制における人的リソースの課題
オンプレミスの場合、サーバ自体のコストに加えて、以下のような運用における人的リソースの課題があります。
- 自社で保守やメンテナンスをおこなうため、人的コストがかかる
- 専門技術者の育成と確保が必要だが難しい
これらは、特に自社でIT人材を抱えていくことが難しい中小企業にとっては、大きな課題です。
クラウド移行がもたらすメリット
クラウドの利用は、Webサーバだけでなく、さまざまな分野で急速に拡大しています。クラウドに移行するとどのようなメリットがあるのでしょうか。
Webサーバのクラウドへの移行は、Webサイトへの過度なアクセス集中時にもサービスレベルを低下させない迅速かつ柔軟なリソース強化を可能にします。さらに、ビジネスの俊敏性を高める効果や、コスト最適化など、ビジネスに大きなメリットを与えます。
ここでは、それらの詳細について解説します。
高い拡張性と柔軟性
クラウドの大きなメリットが、以下のようなリソースの拡張性や柔軟性の高さです。
- CPUやメモリなどのリソースを柔軟に変更できる
- 導入や変更作業を迅速におこなうことができる
こうした特徴があるおかげで、アクセス集中などのケースでも、迅速に対応することができます。
TCOの最適化とコスト効率の向上
Webサーバをクラウドに移行させるもう一つのメリットが、「コストの最適化」です。
一般的に、こうしたコストの考え方でよく使われるのは「TCO(総保有コスト)」と呼ばれるものです。これは「Total Cost of Ownership」の略称で、企業がITシステムを導入する際に必要となる、ソフトウェア・ハードウェアの購入や維持管理に関わるすべての費用の総額を意味しています。つまり、購入から廃棄までの必要な支出がすべて含まれるもので、予算要求の際の大きなポイントとなります。
オンプレミスの場合は、機器の導入に多額の費用がかかります。これに加えて余剰リソースを確保しつつ運用をおこなう必要があり、最終的には廃棄コストも発生します。アクセス数の変化が大きいWebサーバでは、クラウドと比較してコスト効率が悪くなりやすいです。
クラウドの場合、サーバや周辺機器の導入が不要なため、設備費用や運用のための人件費などがかかりません。また、閑散期や繁忙期に合わせてサーバのスペックや台数を変更することができるため、無駄に費用がかさむ心配もありません。初期費用を抑えつつ必要な分だけを利用でき、適正なコスト効率を実現することが可能です。
クラウド移行を成功させるには
クラウド移行を確実に成功させるには、コストシミュレーション、ニーズの分析、目的の明確化など、入念な準備が必要です。ここでは、オンプレミスのWebサーバをクラウド移行する際のポイントを解説します。
綿密な移行計画の策定
まず、クラウドへ移行する際の重要なポイントの一つに「綿密な移行計画の策定」があります。
綿密な移行計画を作成するには、以下のようなポイントを念頭に置くことが重要です。
- 現行システムの分析:使用されているリソースやシステム間の依存関係などの詳細な調査
- リソースの評価と選択:クラウド環境に最適なリソースサイズとオプションの選定
- 移行手順の確立と作成:詳細な移行手順の計画とロールバック手順の作成、および責任者の承認
これらに加えて重要なのが「コストシミュレーション」です。予算や目的、必要なサーバ性能などに合わせた最適なプランやクラウドサービス事業者の選定が重要です。この際には、クラウドで主流の従量課金ではコストが変動することや、運用にかかる人件費なども念頭においたシミュレーションをおこなうことが大切です。
これらを確実におこなうことは、移行をスムーズにおこなうための大前提となります。
そのうえで、移行をおこなう際には、既存のオンプレミスWebサービスや、その他の業務システムに極力影響を与えないタイミングや手法を選択し、ユーザー影響を最小限にしましょう。
運用体制の整備
オンプレミスからクラウドへの移行後は、適切な運用のために以下のような取り組みが必要となります。
運用体制(責任を含む)の明確化
運用保守の体制を確立し、誰が何をおこない、誰が責任を持つのかということを明確にしておきましょう。
インシデント発生時の対応フロー等の整備
システム障害やセキュリティ事故などの発生時にどのような対応フローで進めるのかを明確にしておきましょう。
運用アウトソーシングの検討
自社でシステムを適切に運用していくノウハウや技術者の確保が困難な場合は、外部の専門業者へアウトソーシングすることも検討が必要です。
運用開始後の継続的改善
Webサーバをクラウドへ移行したあとも、安定運用のために継続的な取り組みが必要となります。
継続的な取り組みとしては、以下のような内容が挙げられます。
- 監視の対象や指標、監視方法などの継続的な見直し
- 運用体制の継続的な見直し
- 利用状況を踏まえたサーバのスケーリングや運用プランの見直し
まとめ
Webサイトは、企業がビジネス活動をしていくうえで、商品やサービスの広報、マーケティング、認知度の向上など、さまざまな役割を持っています。
こうしたWebサイトにとって、「つながりやすさ」「アクセスの安定性」は、ユーザーエクスペリエンスを高め、企業イメージのさらなる向上を実現するための大切な要素です。
オンプレミスのWebサーバに比べ、クラウドには負荷やリソース使用の変化に柔軟に対応できる拡張性や、コスト効率の高さといったメリットがあり、安定的なWebサイト運用のためにはクラウドの活用が効果的といえます。そして、クラウドへの移行を成功させるには、予算や目的、コストシミュレーションなどを踏まえた最適なサービスの選択、計画的な移行の実施、継続的な運用改善などが不可欠です。
オプテージでは、「AWS for OPTAGE」や「Azure for OPTAGE」などさまざまなクラウドサービスをご提供しています。また、24時間365日、監視・障害対応・運用保守に活用していただけるクラウドマネージドサービスもご用意しています。
Webサーバをはじめとしたサーバ運用や移行などについて、ご相談やお悩みがありましたら、ぜひオプテージにお気軽にお問い合わせください。お客さまのニーズや目的に合わせた移行をご提案させていただきます。