
PBXとは?基礎知識と自社に合う選び方
- 公開日:2025年10月30日
 
			企業の通信環境において、「電話代が高い」「拠点間の連絡にコストがかかる」「外出先からオフィスの電話に対応できない」といった課題を解決する手段として、PBXが注目されています。PBXが通信コストの削減や業務効率化に有効であることは広く認識されていますが、具体的な仕組みや自社への適用方法について詳しく知りたい方も多いのではないでしょうか。
PBXは、複数拠点間の通信費削減、外線・内線の一元管理、スマートフォンを活用した柔軟な働き方への対応など、企業が抱えるさまざまな通信課題を解決できるシステムです。
本記事では、PBXの主な機能や、各PBXの特徴を紹介します。自社に最適なPBXを選ぶためのポイントも解説していますので、ぜひご活用ください。
- PBXとは
 - PBXとビジネスフォンの違い
 - PBXの主な機能
			  
- 発着信の制御
 - 内線電話
 - 転送機能
 - パーク保留
 
 - PBXの種類
			  
- レガシーPBX
 - IP-PBX
 - クラウドPBX
 
 - 自社に最適なPBXを選ぶポイント
			  
- 機能
 - コスト
 - 設置環境
 - セキュリティ
 
 - まとめ
 
PBXとは
PBX(Private Branch Exchange)とは、企業の電話システムを管理する交換機器です。外線と内線の接続や、内線同士の接続を管理しています。1本の電話回線を複数の電話機で共有するため、着信の振り分けや自動転送が可能になります。
従来型のPBXはオフィスに専用機器を設置する必要がありますが、現在は既存サーバにソフトウェアをインストールするタイプのIP-PBXや、専用機器が不要なクラウドPBXも普及しています。なお、IP-PBXにも専用機器を設置するタイプもあります。これらのインターネット技術を活用したPBXでは、従来型のPBXでは困難であったスマートフォンやタブレット、パソコンからの通話機能も利用可能です。
従来型のPBXは、電話回線を利用するため通話品質が比較的安定している利点があります。一方、IP-PBXやクラウドPBXは導入コストを抑えられることが多く、機能の拡張や変更が容易で、リモートワークにも対応しやすいという利点があります。
用語集
PBXとビジネスフォンの違い
			  企業向けの電話システムを導入する際、「ビジネスフォン」を検討する企業もあるでしょう。PBXとビジネスフォンは、どちらも企業向けの電話システムですが、接続可能台数、拠点間接続、および通話制御機能において大きな違いがあります。
ビジネスフォンは同じオフィスや拠点内での内線通話や連絡に適しており、複数の事業所をまたいだ内線接続はできません。これに対してPBXは、地理的に離れた複数拠点をひとつの内線ネットワークで結ぶことが可能です。
また、接続できる電話機の数にも違いがあります。ビジネスフォンの場合、電話システムの中核となる主装置の内線ユニットの処理能力とスロット数の制約により小規模タイプでは数十台、大規模タイプでは数百台まで接続可能であるのに対し、PBXでは数千台の接続が可能です。さらに、特にIP-PBXやクラウドPBXは、通話データの詳細分析など、より高機能なオプションも備えています。			
PBXの主な機能
PBXには基本的な通話機能から高度な通話制御まで、さまざまな機能が搭載されています。ここではPBXの代表的な機能と、それぞれがどのようなメリットがあるのかをご紹介します。
発着信の制御
			発着信の制御機能とは、契約している電話回線の親番号に複数の子番号を紐づけて個別の発着信を管理する機能です。
通常、PBXに接続されたすべての電話機は同一の番号で通信することになりますが、発着信の制御機能を活用することで、メインとなる外線番号に紐づけられた各部門専用の番号を設定できます。発信時には部門専用番号で発信可能で、着信時は番号に応じて各部門に着信が届きます。
例えば、営業部には営業専用番号、お客様窓口には相談専用番号を設定するなど、組織の構造に合わせた番号を割り当てられます。外部からの問い合わせが直接担当部署に届くため、業務の円滑化が図れます。
		  
内線電話
			内線電話は、社内の電話機同士で直接通信を行う仕組みです。外部の電話網を使用しないため、通話料は発生しません。また、スマートフォンを内線端末として設定している場合も同様に、内線化された端末同士になるので通話料はかかりません。
複数の事業所を持つ企業では、PBXにより地理的に離れた場所にいる社員同士でも無料の内線通話が可能です。企業の月々の電話代を圧縮することができ、特に頻繁に社内連絡を行う組織では大幅なコスト削減効果が期待できます。
		  
転送機能
			転送機能は、外部からの着信を適切な担当者の電話機へ転送する機能です。取引先からの問い合わせを直接担当者につないだり、不在時には代理の電話機に自動で転送したりできます。
PBXには多様な転送機能が備わっており、転送のタイミングや方法によって大きく「自動転送」と「手動転送」に分けられます。主な転送機能は以下のとおりです。
		  
| 分類 | 転送機能 | 概要 | 利用シーン | 
|---|---|---|---|
| 自動転送 | 不在転送 | 担当者が席を離れている際など、あらかじめ指定した電話機に自動で転送する | 担当者が外出中や離席時でも、指定の電話で受ける場合 | 
| 着信選択転送 | 特定の発信者からの着信のみを指定した電話機に転送する | 重要な取引先からの電話のみを特定の担当者に直接つなぐ場 | |
| 手動転送 | 話中転送 (通話転送)  | 
              通話中に、別の担当者の電話機へ手動で転送する | 顧客からの問い合わせを担当部門に引き継ぐ場合 | 
| 保留転送 | 一度応答した後、保留状態で他の担当者に転送する | 適切な担当者に対応を依頼したい場合 | 
パーク保留
			パーク保留は、保留中の通話をPBXネットワーク内のどの電話機からでも引き継ぎ可能にする機能です。従来の保留機能では、最初に応答した電話機のみが保留状態を管理するため、担当者へつなぐには転送操作が必要でした。しかし、パーク保留では保留された通話がPBXに接続された端末で共有され、接続されているすべての電話機から応答できるようになります。
パーク保留は、どの担当者が対応すべきかすぐに判断できない場面で特に有効です。外線を受けた社員がパーク保留にして問い合わせ内容を社内に声をかければ、対応可能な社員が自席から通話を受け取れます。 どの社員でも簡単に保留中の通話を引き継げる利便性の高い機能です。
		
PBXの種類
PBXには大きく分けて3つの種類があり、導入方法や運用方法が大きく異なります。それぞれの仕組みとメリット・デメリットを解説します。
レガシーPBX
			  従来型であるレガシーPBXは、電話回線を活用したオンプレミス型のPBXです。オフィス内に専用の機器を配置し、電話線で各端末を接続します。インターネット環境に依存しないため、ネットワーク障害やサーバトラブルの影響を受けずに安定した通話が可能です。既存の電話回線インフラを有効活用できます。
ただし、導入時には電気通信工事担任者の資格を持つ専門業者による工事が必要で、複数拠点がある場合は各拠点に専用機器を設置しなければならないため、初期投資が高額になりやすい点に注意が必要です。
			  
用語集
IP-PBX
			  IP-PBXは、インターネットプロトコルを基盤としたオンプレミス型のPBXで、従来の電話回線に代わってIPネットワークを通じて音声通信を行います。IP電話機やスマートフォンなどのさまざまな端末を内線として利用できます。専用交換機を社内に設置するタイプと、既存サーバにソフトウェアをインストールするタイプの2種類があります。
レガシーPBXとは異なり、電話線の敷設工事は不要ですが社内LANの構築が必要です。インターネット経由により地理的に離れた複数の事業所を内線ネットワークで統合可能です。拠点間の内線通話が無料になるため、通信費用を大幅に削減できます。ただし、インターネット回線の品質により通話品質が左右されるため、ネットワーク環境の安定性が重要となります。
			  
用語集
クラウドPBX
クラウドPBXは、インターネットを通じてクラウド上に構築されたPBXです。社内に物理的な交換機を設置する必要がないため、初期導入費用を大幅に抑制でき、オフィス移転や事業拡張の際も柔軟に対応できます。IP-PBX同様に、スマートフォンなどさまざまな端末をビジネス電話として活用できます。
システムの保守運用は提供業者が行うため、自社での管理負担や専門人材の確保が不要です。さらに、海外を含む遠隔地の拠点でも内線化が可能です。ただし、クラウドPBXは外部のインターネット環境とクラウドサーバへの接続に依存するため、社内LAN環境を活用するIP-PBXと比較して音声品質が不安定になる可能性があります。
用語集
自社に最適なPBXを選ぶポイント
自社に最適なPBXを選ぶには、複数の観点から総合的に検討する必要があります。ここでは、PBX選定時に押さえておくべき4つの重要なポイントについて、具体的な判断基準とともに詳しく解説します。
機能
自社の業務実態や導入目的を踏まえ、必要な機能や性能要件を導入検討の初期段階で明確にしておくことが大切です。以下の表では、企業の主なニーズに応じて最適なPBXの種類を示しています。
| 重視するポイント | おすすめのPBX | 理由 | 
|---|---|---|
| 費用をかけても通話品質の安定を最優先したい | レガシーPBX/IP-PBX | 固定回線使用により通話品質が安定 | 
| 運用管理の負担を軽減したい | クラウドPBX | メンテナンスを事業者に委託可能 | 
| 将来的な事業規模の変動に対応したい | クラウドPBX | 回線数や機能の変更が容易 | 
| 海外拠点との内線通話を実現したい | クラウドPBX | 専用機器の海外設置が不要 | 
コスト
			多くの企業がコスト削減を目的としてPBXを導入するため、初期投資だけでなく運用期間中の維持費用も含めた総合的な費用計算が不可欠です。導入時の費用が安価でも、運用時に高額な維持費用が発生すれば、期待していた経費削減効果を得られない場合があります。
以下では、PBX導入にかかる初期費用、通信費、運用費用について詳しく解説します。
			
| PBXの種類 | 初期費用 | 回線費・通信費 | 運用費用 | 
|---|---|---|---|
| レガシーPBX | 交換機器の購入 設置費 電話線配線工事費  | 
				電話回線使用料 インターネット回線利用料 外線通話料  | 
				システム保守の人的費用 メンテナンス費用 設備更新費  | 
			  
| IP-PBX | 交換機器の購入 設置費またはソフトウェア導入費 LAN環境の構築費  | 
				電話回線使用料 インターネット回線利用料 外線通話料  | 
				システム保守の人的費用 メンテナンス費用 設備更新費  | 
			  
| クラウドPBX | 初期設定費(ソフトウェア構築など) | インターネット回線利用料 外線通話料  | 
				月額基本料 オプション利用料(利用時)  | 
			  
初期費用
			初期費用は各PBXで大きく異なります。レガシーPBXは交換機器の購入や電話線の配線工事が必要なため、高額になる傾向があります。IP-PBXは専用装置またはソフトウェアの導入費に加えて社内LAN環境の構築費がかかります。
一方、クラウドPBXは物理的な機器が不要なため、初期費用を抑えやすいのが特徴です。ただし、システムの初期設定費が発生する場合があります。
なお、光回線を未導入の場合で、光電話を利用するためには、PBXの種類に関わらず新規契約時の光回線の開通工事費が発生します。クラウドPBXでは、既存環境や利用用途によって初期費用は変わります。例えば、クラウドPBXでスマートフォンのみを使用する場合は新たな回線工事費用は不要です。
			
通信費
通信費の体系は各PBXで異なります。レガシーPBXは従来の電話回線料金で距離課金が基本となり、遠距離通話ほど高額になります。IP-PBXとクラウドPBXはインターネット回線を活用するため距離に関係なく一律料金が適用され、国際通話も大幅に安価です。特にクラウドPBXではスマートフォンを内線化できるため、社外での通話コストも抑制できます。ただし、クラウドPBXのサービスによっては利用量に応じた従量課金であるケースがあります。
運用費用
レガシーPBXとIP-PBXは共通して、システム保守を行う人的費用やメンテナンス料、設備更新費が継続的に発生します。一方、クラウドPBXは自社での保守管理が不要で月額基本料金が中心となり、通話録音機能などのオプション機能は別途料金で利用できます。
設置環境
PBXの導入を検討する際は、自社のオフィス環境や既存インフラに適合するかを事前に確認することが大切です。各PBXによって必要な回線環境や導入要件が異なります。以下の導入要件を参考に自社の状況と照らしあわせて検討しましょう。
| PBX種類 | 導入要件 | 
|---|---|
| レガシーPBX | 既存の電話回線設備、交換機・配線設備用の物理スペース | 
| IP-PBX | インターネット回線・社内LAN、専用機器用の物理スペース(ソフトウェア版は不要) | 
| クラウドPBX | インターネット回線のみ、物理スペース不要 | 
セキュリティ
			PBXの種類によってセキュリティリスクとセキュリティ対策の範囲が異なるため、自社の管理体制に合わせた選択が重要です。レガシーPBXはインターネットに接続しないため、外部攻撃のリスクが比較的低いといえるでしょう。一方、IP-PBXやクラウドPBXはインターネットを使用するため、通話データや顧客情報の漏えいリスクがあります。
オンプレミス型IP-PBXはシステムを自社で運用するため、ファイアウォールの設定やアクセス制御など、すべてのセキュリティ対策を自社で管理する必要があります。一方、クラウドPBXはシステムがベンダーのサーバ上で運用されることから、ベンダーのセキュリティ対策に依存することになり、信頼できる提供会社の選定が重要です。
			
まとめ
			  PBXは企業の通信環境を大幅に改善できるツールですが、自社のニーズや環境に最適なものを選ぶためには、機能要件、コスト、設置環境、セキュリティなどの観点から判断することが重要です。特にコスト面では、初期費用だけでなく運用費用も含めた長期的な視点での検討が欠かせません。
PBX導入と合わせて通信環境全体の見直しをお考えの場合は、光回線サービスの活用がおすすめです。オプテージが提供する「オフィスeo光」は、独自の光回線網を活用した高品質で低価格なインターネットサービスです。
さらに、インターネット月額利用料に1,700円(税抜)から追加できる「オフィスeo光電話」なら、同じオプテージのIP電話間の通話料が無料となるため、通信費を大幅に削減できます。複数拠点を持つ企業では、拠点間を内線化することで、より快適な通信環境の構築が可能です。
通信環境の見直しをご検討中の方は、ぜひお気軽にご相談ください。
			  
◎製品名、会社名等は、各社の商標または登録商標です。
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