ビジネスフォンの買い替え時期は?交換・選び方のポイントを解説
- 公開日:2024年11月20日
ビジネスフォンの買い替えは、構成要素となる「電話機端末」と「主装置」両方の観点で検討することが重要です。それぞれに耐用年数が設定されており、現在耐用年数を大きく上回っていながら問題なく使用できていたとしても、ある日突然故障する可能性があります。また、耐用年数内であったとしても、さまざまな理由で電話機の買い替えについて検討するケースもあるでしょう。
本記事では、ビジネスフォンの買い替えのタイミングや、買い替えをする前に確認したいポイント、そして買い替える際の手順を紹介します。
さらに、ビジネスフォンの買い替えは、企業の「通信費」を見直すきっかけでもあります。ビジネスフォンを含め、企業の通信環境を包括的に見直せば経費削減にもつながるでしょう。本記事では、ビジネスフォンの買い替えによるコスト削減についても解説しています。
- ビジネスフォンの買い替え時期やタイミングはいつ?
- 電話機の耐用年数は6年
- 電話機の調子が悪い
- ビジネスフォンの機能が不足している
- リース契約の更新が近い
- 固定費を見直したい
- オフィスの移転やレイアウト変更
- ビジネスフォンを買い替えないリスク
- ビジネスフォンを買い替えるときに検討すべきこと
- 電話機の増減が必要か
- 必要な電話機能の洗い出し
- 購入とリースのどちらを選ぶか
- 新品と中古のどちらを選ぶか
- 導入コストと維持費
- 主装置・PBXの種類を選択する
主装置
レガシーPBX
IP-PBX
クラウドPBX
- ビジネスフォンを買い替える手順
- 専門事業者に見積もりを依頼する
- 工事が必要な場合は工事期間を確認する
- 電話機のみの交換は電話線の差し替えだけで交換できる
- 電話回線も見直して通信費削減
- まとめ
ビジネスフォンの買い替え時期やタイミングはいつ?
「ビジネスフォンの適切な買い替え時期やタイミングが分からない」「今使用しているビジネスフォンは変えるべきなのか」と迷われている場合は、ここで紹介する6つのタイミングを参考にしてみてください。
電話機の耐用年数は6年
耐用年数とは「通常の維持補修を加える場合にその減価償却資産の本来の用途用法により通常予定される効果をあげることができる年数」と定義されており、建物や設備、機器などの固定資産の価値が、法的に消失するまでの期間のことです。
ビジネスフォンにおいては、電話機・主装置いずれも、耐用年数は「6年」※と定められています。また、一般的に寿命は10年程度といわれており、寿命が近づくと故障や不具合のリスクが高くなります。
なお、耐用年数はあくまでも経理上の資産価値を示すものであり、耐用年数と実際の寿命は異なります。耐用年数が経過しても機器や設備が正常に作動する場合は、そのまま使用し続けても問題ありません。
ただし、耐用年数を超えると、一般的なメーカーでは補修用部品の保有期間が終了してしまいます。つまり、故障した場合自身で修理に必要な部品を取り寄せなければならず、すぐに修理を受けることができません。
故障や不具合が起こってからでは業務に支障が生じる恐れがあるため、耐用年数が近づいてきたら買い替えを検討し始めるのもよいでしょう。
電話機の調子が悪い
音が途切れる・電話機のボタンの反応が悪い・液晶画面が見づらくなったなどの不具合が起こり、業務に支障が出たら買い替えのタイミングです。
なお、ビジネスフォンは主装置と電話機がつながって動いているため、電話利用時に不具合を感じた場合、電話機だけでなく主装置の故障も疑う必要があります。電話機だけでなく主装置の使用年数も確認し、同時に交換することも視野に入れましょう。
ビジネスフォンの機能が不足している
購入した当時は最新の機能が搭載されており、使いやすいと感じていたビジネスフォンでも、「さらにこんな機能があったら、もっと業務効率が上がるかも……」ということはありませんか?
例えば新しい機種には、ビジネスフォンの着信をパソコンやスマホに転送し、どこにいても電話対応が可能となる機能が搭載されているものがあります。この機能を備えたビジネスフォンを導入すれば、オフィスに電話番となるスタッフを常駐させる必要がなくなるでしょう。
市場に出回っている電話機の機能と比較して「機能が不足している」と感じたときは、買い替えのタイミングといえます。
リース契約の更新が近い
電話機をリース契約している場合は、契約が終了するタイミングで最新の電話機に切り替えるのもおすすめです。
また、このタイミングで契約プランの見直しを行うのもよいでしょう。今現在、自社に必要なチャネル数(同時通話可能な数)に変更したり、不要な機能を解約したりすることで、無駄のない運用につながります。
◎「チャネル数」の詳しい解説はこちら
固定費を見直したい
ビジネスフォンを利用する場合、リース代や回線使用料、主装置のメンテナンス費用などの固定費が必ず発生します。固定費を見直して経費を削減したい場合は、電話回線をリーズナブルなものに乗り換えるのが効率的です。
電話回線ではなくインターネット回線を利用するビジネスフォンでは、電話機や物理的な主装置をスマートフォンやクラウドPBXに置き換えることも可能なため、全体的な費用削減につながります。
なお、回線事業者が乗り換えキャンペーンを展開している場合は、キャンペーンの適用でさらに費用を節約できるでしょう。
ビジネスフォンの種類や回線との関係性については、後の章で紹介していますのでぜひご確認ください。
オフィスの移転やレイアウト変更
オフィスの移転やレイアウトの変更を行うタイミングも、ビジネスフォンを買い替えるきっかけといえるでしょう。
例えば、電話機を既存位置より離れた別室や移転先オフィスで利用する際には、設置や配線の作業費がかかります。古い電話機を継続して使用すると「移転したばかりなのに電話機が故障した」という事態が起こらないとは限りません。そうなると、移転時の設置や配線作業費に加えて、新しい電話機の設置・配線作業費が必要になります。
古いビジネスフォンをお使いの場合は、オフィスの移転やレイアウト変更のタイミングで買い替えを検討しましょう。
ビジネスフォンを買い替えないリスク
耐用年数である6年を過ぎていても、故障の症状が見られない場合は使用し続けることが可能です。
しかし、一見不具合がないように見える電話機でも、長年使用した場合、寿命がいつ訪れるかはわからないため突発的な故障などのリスクが伴います。
さらに、長く使用してきた電話機が故障した場合は、事業者に修理を依頼しても当日対応できないケースもあるでしょう。結果、顧客や取引先と連絡が取れず、業務に支障が出る恐れがあります。
リスクヘッジのためにも、適切なタイミングでビジネスフォンの買い替えを検討しましょう。
ビジネスフォンを買い替えるときに検討すべきこと
ここからは、ビジネスフォンを買い替える際に検討すべきポイントを解説します。6つの項目がありますので、一つずつご確認いただき、自社に適したビジネスフォンの導入にお役立てください。
電話機の増減が必要か
ビジネスフォンを買い替える際は、将来的に電話機の増減があるかどうかを検討しましょう。今後会社がさらに大きくなり人員を増やす可能性がないか、キャンペーンやイベントの際に顧客対応が増えるケースがないかなど、自社で起こりうるケースを想定してみてください。
ビジネスフォンを設置する際は、主装置と電話機を電話線でつなぎますが、このとき、必要な箇所に必要な本数の回線を配線していきます。設置工事が完了したのちに電話機が足りないことに気づくと、配線からやり直しになる可能性があります。
配線のやり直しは追加料金がかかる恐れがあるため、買い替えのタイミングで将来を見越した台数を検討しましょう。
必要な電話機能の洗い出し
不要な機能が搭載されていると、その分無駄なコストがかかる恐れがあるため、自社に必要な機能の洗い出しは大切です。
最近のビジネスフォンには、全通話を録音しつつ音声をテキストに変換したり、着信時に顧客のデータベースが表示されたりと、さまざまな機能が搭載されています。このほか、スマートフォンをビジネスフォンの子機として使用できたり、着信をスマホに転送したりと、ビジネスフォンの機能は多岐にわたります。
業務を効率化したり不要なコストを省いたりするには、自社のニーズにマッチした機能が搭載されているかどうかが大切であり、「最新機種であれば間違いない」というわけではありません。
業務に必要な機能を洗い出し、自社の電話窓口としてぴったりのビジネスフォンを選択しましょう。
購入とリースのどちらを選ぶか
ビジネスフォンの利用には、ランニングコストがかかります。長期的な視野で考えた場合、購入とリースのどちらが自社に合っているかを検討しましょう。
以下に、購入とリースのメリット・デメリットと、それぞれがどのようなケースに向いているかをまとめました。
購入の場合 | リースの場合 | |
---|---|---|
メリット |
|
|
デメリット |
|
|
向いているケース |
|
|
リースは長い目で見た場合コスト面では不利といえますが、初期費用の捻出が難しい場合でも、最新機種の導入が可能です。一方、購入の場合は導入費用が高額になるものの、ビジネスフォンが自社の資産となります。
企業によって、それぞれのデメリットが問題にならないケースがあるため、長期的な視野を持ってご検討ください。
新品と中古のどちらを選ぶか
ビジネスフォンの機器を購入する場合、新品か中古かという選択肢もあります。
安さを重視するなら、自社に必要な機能さえ備わっていれば中古でも全く問題ないでしょう。中古とはいえ、新品と比べて遜色ない状態で販売されている機器もあります。
一方で、搭載されている機能については、最新のものと比較すると劣る可能性があるでしょう。また、一般的にメーカー保証は1年とされているため、中古品は保証期限が切れているケースが大半です。もし故障した場合、修理費用が高額になるといったことが考えられます。ただし、販売店による保証がついている可能性があるため、購入の際に確認しましょう。
機能の充実や、修理保証などのサービスを重視する場合は、新品を選ぶのがおすすめです。なぜなら、新品であれば故障や不具合などのリスクが低く、万一不具合があっても、初期不良として交換してもらえる可能性が高いからです。
懸念点として、新品は掲載機能によって中古より高額になる可能性があります。留意しましょう。
導入コストと維持費
ビジネスフォンを導入する際は機材購入や回線工事などの初期費用がかかり、リースの場合も毎月のリース費用が発生します。
以下に、それぞれにかかる費用をまとめました。
購入 | リース | |
---|---|---|
初期費用 (イニシャルコスト) |
|
|
維持費 (ランニングコスト) |
|
|
なお、導入費用や維持費は、利用する回線や契約プラン、ビジネスフォンの種類によっても異なります。クラウドPBXを含め、ビジネスフォンの種類については次の章で解説します。
◎「オフィス移転時の電話移設」の詳しい解説はこちら
主装置・PBXの種類を選択する
ビジネスフォンの機能のほとんどが搭載されているのは、主装置・PBXです。そのため、必要な機能を導入するにはどの主装置またはPBXを選ぶかが大切になります。
必要な接続台数、機能、費用を踏まえて選択しましょう。
用語集
主装置
主装置は50台程度までの電話機の接続が可能で、電話機での発着信を便利にする機能が備わっています。
主装置は、電話機の設置台数と電話回線の収容可能数によって、Sクラス・Mクラス・Lクラスの3つに分かれます。
Sクラス・・・電話機の設置台数は10台、電話回線の収容数は4チャンネル(ISDN2回線、アナログ4回線)
Mクラス・・・電話機の設置台数は30台、電話回線の収容数は12チャンネル(ISDN6回線、アナログ12回線)
Lクラス・・・電話機の設置台数は80台、電話回線の収容数は24チャンネル(ISDN12回線、アナログ24回線)
なお、Lクラスは主装置の増設も可能です。
レガシーPBX
レガシーPBXは電話回線を使用したPBXで、物理的な主装置を社内に設置して使用する「オンプレミス型」のサービスです。
主なメリットとして、通話品質の信頼性が高いこと、インターネット回線を使用しないため回線乗っ取りやマルウェア配布などのサイバー攻撃を受けないこと、停電の影響を受けないことが挙げられます。
一方、機器の設置場所を確保しなければならず、保守費用の負担も必要となります。※
IP-PBX
IP-PBXは、インターネット回線を使用するオンプレミス型のPBXです。
インターネットに接続できる環境であればどこでも利用可能で、スマートフォンやパソコンを電話機として使用できます。また、物理的に離れた場所にいても無料で内線通話ができる点は大きなメリットといえます。
ただし、社内LANが整備されていない場合は設置コストがかかったり、機能性の高い機器やソフトウェアを導入する場合は初期費用が高額になったりする点には注意が必要です。また、レガシーPBX同様、機器の設置場所の確保と保守費用の負担が必要です。※
クラウドPBX
クラウドPBXはインターネット上にPBXを構築したもので、物理的な装置ではありません。
クラウドPBXでは、ビジネスフォン専用の電話機端末は不要です。IP-PBXと同様、スマートフォンやパソコンなどのデバイスが電話機となり、インターネット接続できる場所ならどこでも発着信が可能です。
クラウドPBXは機器を社内に設置する必要がないためスペースを取らず、導入費用が抑えられるというメリットがあります。デメリットとしては、契約内容によっては月額のランニングコストが高額になる点、また、インターネットの環境によっては音質が低下する恐れがある点が挙げられます。
主装置およびPBXに求める信頼性や安定性、音質、および維持コストなどを考慮した上で、ビジネスフォンの種類を検討してみてください。
ビジネスフォンを買い替える手順
ここからは、ビジネスフォンを買い替える際の手順を解説します。事前にご確認いただき、スムーズな買い替えにお役立てください。
専門事業者に見積もりを依頼する
インターネットでビジネスフォンについて検索すると、多くの事業者がヒットするでしょう。導入費用や利用料金、アフターサービスなどを確認した上で、めぼしい事業者をいくつかピックアップしてください。
見積もりを依頼する際、交換する機種の性能や、自社に適切な電話台数などを相談できます。オフィスの広さ、設置する機器や必要な機能、台数などを説明しましょう。
なお、適正な金額であるかどうかを判断するため、複数の事業者に見積もり依頼することをおすすめします。
工事が必要な場合は工事期間を確認する
ビジネスフォンの入れ替えの工事が必要な場合、電話機の設置台数やオフィスの規模・状況によって、工事にかかる時間は変動します。
目安としては、3台程度の電話機の取り付けであれば約2時間、20台程度の電話機であれば工事は一日を要するといわれています。
なお、終日工事が行われる場合であっても、電話が繋がっている状態で工事を進めることは可能です。電話が止まるのは、切り替え作業時の15分程度となります。
自社の規模ではどのくらいの工事時間がかかるのか、事前にスケジュールを擦り合わせておくと安心です。
電話機のみの交換は電話線の差し替えだけで交換できる
主装置には問題がなく、電話機本体だけが故障してしまった場合は、本体の取り替えのみで済むケースがあります。故障した電話機から、新しい電話機に電話線を差し替えるだけで利用可能です。
ただし、電話機は同一機種でなければ使用できません。もし、専門事業者に同一機種の取り扱いがなければ、主装置を含めたビジネスフォン全体の入れ替えが必要です。
電話機が故障しているのか主装置に問題があるのか判断できない場合は、専門事業者に故障と思われる症状を伝えた上で、入れ替えが必要かどうか相談することをおすすめします。
電話回線も見直して通信費削減
ビジネスフォンの買い替えのタイミングは、通信費を削減するチャンスです。
本記事の「主装置・PBXの種類を選択する」の章で解説したように、IP-PBXおよびクラウドPBXはインターネット回線を利用したビジネスフォンですが、これらのビジネスフォンへの切り替えを検討しつつ自社のインターネット環境を見直すと、通信費の削減につなげることが可能です。
また、電話回線をアナログ回線から光回線に乗り換えることで、NTT回線が不要となるため、基本料が無料となるケースがあります。社内のネットワーク環境も光回線にまとめると、お得な料金で利用することができ、コスト削減につながるでしょう。
ビジネスフォン買い替えのタイミングで、ぜひ社内のネットワーク環境も見直してみてください。
用語集
まとめ
ビジネスフォンを買い替える際には、初期費用や通話品質のほか、リース契約満了後はどうするか、ランニングコストはどれくらいかかるかといった長期的な視野を持って検討することが大切です。
ビジネスフォンの買い替えをきっかけとして、「電話回線」と「インターネット環境」を併せて見直せば、通信費の削減にもつながるでしょう。
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