- 公開日:2023年12月20日
- 更新日:2025年06月17日
データセンターの基礎知識|自社サーバとの違い・選び方・導入メリットを解説

近年、企業のITインフラを支える手段として、データセンターの利用が広がっています。
本記事では、データセンターの基本知識に加え、自社サーバとの違いやデータセンターの選び方、導入のメリットについて紹介します。データセンター選定の際に、ぜひ参考にしてください。
データセンターとは

データセンターとは、サーバやネットワーク機器を安全かつ効率的に設置・運用するために、専用に設計された施設です。内部には、サーバを収容するラックが整然と並び、高速インターネット回線や冷却装置、大容量の電源設備といったインフラが完備されています。
また、多くのデータセンターでは、厳重なセキュリティ対策や災害対策が施されており、万が一トラブルが発生した場合でも被害を最小限に抑える工夫がされています。こうした背景から、近年では多くの企業がデータセンターの利用を進めています。
データセンターで提供される主なサービス

データセンターにはさまざまなサービス形態があり、目的や運用方針によって選択肢が分かれます。なかでも、企業のニーズに応じて多く利用されているのが「ハウジング」と「ホスティング」です。
ここでは、それぞれのサービスの特徴や違いについて解説します。
ハウジング
ハウジングとは、データセンター内のラックや電源を貸し出し、利用者が自社のサーバやネットワーク機器を自由に設置できるサービスです。カスタマイズ性を重視する企業に適しており、企業の要件に応じた柔軟なシステム構成が可能です。
またデータセンターによっては、機器の監視やトラブル時の復旧支援を含む「マネージドサービス」を提供している施設もあるため、緊急時などにおいても安心して利用できます。
ホスティング
ホスティングとは、データセンター内に設置されたサーバやルータなどのネットワーク機器を貸し出すサービスです。レンタルサーバとも呼ばれ、自社で機器を購入・管理する手間を省きながら、高性能なIT環境を手軽に利用できます。
さらに、多くの事業者ではシステム環境の設計から構築、運用まで一貫したサポートが可能です。専門知識がない企業でも安心して利用でき、自社負担の軽減につなげられます。
データセンターの利用にかかる料金の内訳

データセンターの導入を検討する際、費用感がつかみにくいと感じる方も多いのではないでしょうか。実際、初期費用や月額の利用料金、回線や電力といったランニングコストは、サービス内容や契約形態によって大きく異なります。
ハウジングサービスを前提に、データセンター利用時に発生する主な費用項目とその内訳について、以下で詳しく解説します。コスト面での比較検討を進める際の参考にしてください。
初期費用
データセンターを利用する際には、初期費用として数万円から20万円程度が必要になる場合があります。標準プランにはラックや電源の基本利用料が含まれていますが、電源容量の増設や、自社専用ラックの搬入を希望する場合には、追加で工事費が発生することもあります。
なお、こうした追加費用は施設ごとに異なるため、利用を開始する前に、施設の担当者に詳細を確認しておくと安心です。
ラック使用料金
サーバを設置する際に利用するラックの使用料金は、ラックの大きさや電力容量によって異なります。また、施設の新旧によって設備の性能や提供できる電力にも差があり、料金に幅が出るのが一般的です。
預けるサーバ機器に対して過剰なスペックを選んでしまうとコストが無駄になるため、必要十分な設備を備えたデータセンターを選ぶことが、コストを抑えるポイントとなります。
電気代
データセンターでは、サーバの冷却や機器の稼働に大量の電力を消費するため、電気代は重要なコスト要素です。電気代は契約電力量に応じて変動し、月額料金に電気代を含むケースもあれば、ラック使用料とは別に電気代が請求される場合もあります。
また、実際の使用量に応じて課金する従量制を採用している事業者もあり、契約形態によって料金体系が大きく異なります。
回線使用料金
データセンターを利用する際には、回線の種類によって使用料金が異なります。回線は大きく「ベストエフォート型」と「帯域確保型」の2つに分類され、ベストエフォート型は通信速度の最大値のみが保証される仕組みです。一方、帯域確保型では、事業者があらかじめ一定の通信帯域を確保します。
用途や求める通信品質、企業のニーズに応じて最適な回線タイプを選ぶことで、自社に適した通信の導入が可能です。
ベストエフォートや帯域確保、帯域保証については以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:【法人向け回線】ベストエフォート・帯域確保・帯域保証の違いとは?
オプション料金
データセンターによっては、基本料金とは別に、さまざまなオプションサービスを提供していることがあります。例えば、より高度なセキュリティ対策や、サーバ機器のレンタルサービスなどがあります。
オプションの内容や費用は事業者ごとに異なるため、自社の運用方針やニーズに応じて、慎重に導入を検討することが重要です。
データセンターと自社サーバの違い

企業のITインフラを支える方法には、データセンターのほかに自社内にサーバルームを設置する方法があります。この2つの違いは以下の表のとおりです。
項目 | 自社サーバ | データセンター |
---|---|---|
セキュリティ | 導入コストや技術力の制限から対策が限定的になりがち | すでに準備されている高度なセキュリティ対策をデフォルトで利用できる |
災害対策 | 一般的なオフィスビルのため、データセンターと比較して耐震性に限界 | 免震構造や非常用電源を完備し、地震や停電に強い |
空調と 火災対策 |
空調は一般用。火災時は水による被害の可能性 | サーバ専用空調&ガス消火で機器や人にやさしい |
運用サポート | 社員が手動で対応。夜間・休日は不在のことも | 24時間365日、専門スタッフが代行対応することも可能 |
情報保護と 信頼性 |
社員次第になるため、個人情報や機密データの管理に不安が残る | 高いセキュリティ水準で、安心してデータを保管できる |
コスト | 初期費用や電気代・回線費用などの管理・運用コストを自社で負担 | 費用が明確になっており、目的に応じて調整が可能 |
自社サーバは、セキュリティ対策や災害対策、運用体制において限界があり、コストやリスク、管理の手間もかかりがちです。一方、データセンターでは、高度なセキュリティ対策、免震構造や非常用電源といった災害対策、さらに24時間365日のサポート体制が前もって整備されており、料金も用途に応じて最適化しやすい設計となっています。
こうした点から、データセンターは自社サーバに比べて、より高い安全性と運用の安定性、そしてコストの予測しやすさを実現できる選択肢となっています。
自社サーバと比較したデータセンターのメリット
データセンターを導入するかどうかを判断するうえで、多くの企業が気にするのが「自社サーバとの違い」です。とくに、セキュリティや災害対策、運用のしやすさ、コスト面でどのような優位性があるのかを明確にすることは、導入検討において欠かせない視点といえるでしょう。
ここでは、自社サーバと比較したときに、データセンターが持つ具体的なメリットについて詳しく解説します。
強固なセキュリティ体制
多くのデータセンターでは、有人による入退室管理や、顔認証をはじめとした生体認証、フラッパーゲートによる二重三重のチェック体制を整備し、不正な侵入を防いでいます。これにより、機密情報や重要なシステムを高い安全性のもとで保護することが可能です。
また、施設自体も免震構造や非常用発電機、耐火設備などを備え、地震や火災といった自然災害への備えが万全に施されています。万が一のトラブルが発生しても、中核事業を止めずに運営を続けられる環境が整っており、BCP(事業継続計画)対策にも有効です。
さらに、本社から地理的に離れた場所にデータセンターを設置することで、広域災害に対するリスク分散を図ることができ、より強固な事業基盤の構築につながります。
BCPについては以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:BCP対策とは?策定時・導入後に企業が押さえるべきポイントについて
安定した電力とインフラ環境
近年、サーバの処理能力向上や小型化に伴い、1ラックあたりに必要な電力は年々増加しています。こうした背景から、データセンターでは大容量の電源設備を確保し、余裕を持ったサーバ構成を実現できる環境が整えられています。
さらに、停電や災害に備え、UPS(無停電電源装置)や非常用発電機も完備されており、万が一の際にもサーバ稼働を継続できる体制が整っています。安定した電力供給と堅牢なインフラ環境により、ビジネスの中断リスクを最小限に抑えることが可能です。
運用負荷の軽減と業務効率化
自社内でサーバを運用する場合、障害対応やメンテナンスに備えて、平日・休日を問わず人員を確保しておく必要があります。しかし、データセンターを活用すれば、専門的な技術サポートを受けられるため、社内の運用負担を大幅に軽減できます。
さらに、24時間365日体制での監視や保守業務を委託できるため、自社で夜間や休日のシフトを組む必要がなくなり、人的リソースをより効率的に活用することが可能です。これにより、運用コストの削減と業務効率の向上を同時に実現でき、企業全体の生産性アップにもつながります。
データセンター選定時に確認すべき5つのポイント

データセンターを導入する際は、設備や立地、セキュリティなど、事前に確認しておくべき重要なポイントがあります。
ここでは、選定時に特に注目したい5つのポイントを解説します。
災害に強い設計・構造であるか
データセンターは、BCP(事業継続計画)対策の一環として導入する企業も多く、耐震性や免震性を強化した施設であることが一般的です。地震や火災、浸水といった自然災害のリスクを最小限に抑えるため、建物の構造や設備の多くでは細心の配慮が施されています。
そのため、選定時には「耐震構造が万全か」「消火設備がIT機器に影響を与えないか」「浸水対策が十分か」といったポイントを踏まえて確認し、安心して長期運用できる環境が整っているかの見極めが必要です。
電源供給がしっかり整えられているか
災害による停電時でも、サーバを安全に稼働させ続けるためには、電源供給体制の信頼性が非常に重要です。データセンター選定の際は、非常用発電機やUPS(無停電電源装置)が導入されているか、また停電発生後にどのくらいの時間連続運転が可能かを必ず確認しましょう。
加えて、停電中でも適切な温度管理を維持できる空調設備が整っているかも重要なチェックポイントです。十分な電源と空調の備えがある施設を選ぶことで、災害時のシステム停止リスクを最小限に抑えることができます。
回線の帯域・冗長性が確保されているか
データセンター上のサーバは、基本的にリモート接続によって管理・運用されるため、回線の帯域幅や通信速度の安定性は非常に重要な選定ポイントです。通信回線が冗長化されていれば、万一障害が発生しても別ルートで接続を維持でき、業務への影響を最小限に抑えることが可能になります。
また、データセンター内の重要データを外部から確実に守るために、不正アクセス対策や、ファイアウォールなどのセキュリティ設備がしっかり整備されているかも併せて確認しておくと安心です。
物理セキュリティ体制が万全であるか
データセンターでは、ネットワーク経由の攻撃だけでなく、機器の破壊やデータ盗難といった物理的な脅威への対策も欠かせません。そのため、選定時には、関係者以外の立ち入りを厳しく制限する入退室管理が徹底されているかを確認することも重要なポイントです。
例えば、施設への立ち入りに事前申請が必要な運用ルールや、指紋認証・顔認証といった生体認証システムの有無は、重要な確認ポイントとなります。これらの対策により、大切な情報資産を堅実に保護できます。
利用企業にとって最適な立地か
データセンターを選定する際は、立地条件も重要な検討ポイントです。物理障害や機器交換の際には現地へ赴く必要があるため、自社からアクセスしやすい場所にあると迅速な対応が可能になります。
一方で、地震や洪水といった大規模災害のリスクを考慮し、あえて自社拠点から離れた地域や、地震リスクの低い海外データセンターを選ぶという選択肢もあります。運用の利便性と災害リスクのバランスを踏まえ、自社の運用環境に最適な立地を選択することが重要です。
まとめ

データセンターは、自社サーバと比べて強固なセキュリティ体制、災害に強い設計、安定した電力・通信インフラを備えており、企業のITインフラを安全に支える重要な存在です。選定時には、施設の立地や設備、運用体制、災害対策レベルなどを総合的にチェックし、自社に最適な環境を選ぶことが大切です。
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