ペーパーレス化はどう進める?メリットや役立つツールを紹介
- 公開日:2024年10月2日
ペーパーレス化とは、紙媒体の文書をデジタル化して活用することです。業務の効率化や生産性の向上などが見込めることから、ペーパーレス化を推進する企業が増加しています。
一方で、自社にて思うようにペーパーレス化が進まないことに頭を抱えている担当者の方も少なくないでしょう。そこで本記事では、ペーパーレス化の進め方や役立つシステム・ツールを紹介します。
- ペーパーレス化とは
- なぜペーパーレス化が必要なのか
- ペーパーレス化の対象となる文書
- ペーパーレス化の対象外となる文書
- ペーパーレス化がもたらすメリット
- コストが削減できる
- 保管スペースや管理の手間が省ける
- 業務効率化・生産性向上につながる
- 多様な働き方に対応できる
- 企業イメージが向上する
- セキュリティの強化が図れる
- DX推進への基盤づくりができる
- ペーパーレス化の現状
- ペーパーレス化が進まない背景
- 一定のITリテラシーが求められる
- オペレーションが変更されることに抵抗感がある
- 紙媒体の保管や提出が規定になっているケースも残っている
- 導入コストがかかる
- ペーパーレス化を推進するポイント
- 自社のペーパーレス化の目標・ゴールを明確にする
- ペーパーレス化の対象範囲を洗い出し、まずは部分的に始める
- ITシステム・ツールを活用する
- 【目的・用途別】ペーパーレス化に役立つシステム・ツール
- 紙媒体を電子化したい
- 電子化した文書を適切に保管・管理したい
- 法令や専門業務に対応したい
- オンラインで契約を完結したい
- ペーパーレス化に役立つサービス
- まとめ
ペーパーレス化とは
ビジネスにおけるペーパーレス化とは、紙媒体の文書を電子化してデータとして活用・保存することで、紙の使用量を削減することです。ビジネスの枠にとらわれず広い意味で考える場合には、紙媒体の本・雑誌の電子書籍化や、紙媒体で運用していたチケットを電子発行に切り替える取り組みなどもペーパーレス化に含まれます。
なぜペーパーレス化が必要なのか
ビジネスにおけるペーパーレス化は、コストの削減や業務の効率化につながるため、企業にとって大きなメリットがあります。主なメリットについては、後ほど詳しく説明します。
また、ペーパーレス化は単に企業が自主的に取り組むものではなく、政府主導のもと、国家単位で推進されているものです。そのため、ペーパーレス化の推進のための法整備も進められています。
例えば、1998年施行の電子帳簿保存法は、2021年に「電子データで受領した帳票類は電子データのまま保存することが原則」と改正されました。さらに2004年には、商法や税法で保管が義務付けられている文書の電子保存を認めるe-文書法も施行されるなど、ペーパーレス化を進めやすい環境の整備が進められています。
ペーパーレス化の対象となる文書
企業でペーパーレス化の対象となる文書の代表例は、以下のとおりです。
提案書や契約書などのビジネス文書
会議資料
社内回覧物
パンフレット・カタログ・チラシ類
社内向けのものに留まらず、社外向けの文書もペーパーレス化が可能です。文章の持ち運びや郵送が不要になり、掲載内容のアップデートも容易になることで情報が最新の状態に保たれやすく、文書の受け取り手の利便性も高まります。
ペーパーレス化の対象外となる文書
政府によって推進されているからといって、全ての文書がペーパーレス化できるとは限りません。例えば、以下のようなものはペーパーレス化の対象外となります。
緊急時に即座に閲覧する必要がある文書(船舶に備え付ける手引書など)
現物を保有していることで効力を発揮する文書(免許証や許可証など)
上記に加えて、電子帳簿保存法の保存要件にも注意が必要です。
電子帳簿保存法では、真実性と可視性を確保するために「タイムスタンプの付与」や「すみやかに出力できること」などの細かい要件を定めています。それらの要件を満たすことが難しい場合は、紙媒体での保存が必要です。
ペーパーレス化がもたらすメリット
では、ペーパーレス化を推進するとどのような変化が起こるのでしょうか。ここでは、ペーパーレス化が企業にもたらすメリットを紹介します。
コストが削減できる
ペーパーレス化が実現すると、紙媒体の文書の作成や、管理で生じていた費用が不要になります。具体的には、以下のような費用が削減可能です。
印刷にかかる費用(紙代・インク代、プリンターの購入・リース代やメンテナンス代)
書類の配送・郵送や廃棄にかかる費用
保管スペースや管理の手間が省ける
業務の内容や規模にもよりますが、紙媒体で管理するとなると膨大な文書を抱えるケースが多いでしょう。その量を管理するためには、相応のスペースと、適切に管理するための人手が必要です。
文書の量が多くなった結果として、コア業務を担当すべき人材にも本来の業務以外の作業を求めることになりかねません。
ペーパーレス化を進めることで、今まで文書管理に使っていた人手やスペースが不要になります。
業務効率化・生産性向上につながる
電子データとして保管されている文書は、紙媒体のものに比べて情報の検索が容易です。キーワード検索や全文検索を活用すれば、書類を探す手間や時間を大幅に減らせるでしょう。また、欲しいデータのみを抽出し、任意の条件で分析する作業もスムーズに行えます。
さらに、電子化した文書はクラウド上や社内ネットワーク上に保存できるようになります。「いつでも」「どこからでも」閲覧できることから、情報共有や承認スピードの向上も期待されます。
多様な働き方に対応できる
先ほど紹介したとおり、電子化されたデータはクラウド上で保管が可能なため、場所や時間を問わずアクセスが可能です。社外からでも文書の閲覧や編集ができ、オフィスでの印鑑による承認・決裁や、決裁後の文書ファイリングといった工程も不要なため、テレワークのような勤務形態にも活用しやすいでしょう。
多様な働き方に対応できれば、優秀な人材の確保や流出防止にもつながります。
企業イメージが向上する
紙の使用量を削減する取り組みは、近年注目を集めている地球環境の保護やSDGs(持続可能な開発目標)にも直結するものです。ペーパーレス化の推進に伴ってこれらの活動が評価されると、企業のイメージアップにもつながると考えられます。
セキュリティの強化が図れる
文書を電子化する際には、アクセス権限の設定が可能です。これにより、文書の不正持ち出しや改ざんなどのリスクを軽減できます。
つまり、ペーパーレス化は文書の紛失や盗難の防止にも有効だということです。さらに、紙媒体の文書で必要とされるような、物理的なセキュリティ対策も不要です。
DX推進への基盤づくりができる
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を取り入れることで企業全体の変革を図ることです。
ペーパーレス化は企業にとって比較的、検討しやすい取り組みであることから、DX推進の第一歩としやすいといわれています。「いきなりDXとなるとハードルが高い」と感じる企業でも、ペーパーレス化なら理解が得られやすいでしょう。
◎「DX」の詳しい解説はこちら
ペーパーレス化の現状
2023年2月にペーパーロジック株式会社が発表した『「ペーパーレス化に伴う2023年度予算」に関する調査』※によると、東京に本社を置く52.4%の企業が「2022年の1年間にペーパーレス化を推進した」と回答しています。このことから、すでに多くの企業がペーパーレス化への第一歩を踏み出していることがわかります。
一方で、見方を変えると「国を挙げてペーパーレス化を推奨しているにもかかわらず、まだ半数近くの企業は着手に至っていない」というのも事実です。次章にて、その背景を詳しく解説します。
ペーパーレス化が進まない背景
なぜ、日本ではペーパーレス化があまり進んでいないのでしょうか。ここでは、その背景を解説します。
一定のITリテラシーが求められる
社内の文書が電子化されることで、パソコンやタブレットといった情報端末を用いる機会が多くなるでしょう。そのため、従業員一人ひとりに対して、情報端末の取り扱いに関する最低限のITリテラシーが求められます。
ペーパーレス化の導入時には、社内研修の実施などITリテラシー向上のための活動が必要です。
オペレーションが変更されることに抵抗感がある
従来のオペレーションを切り替えるとなると、反発が起こることも予想されます。特にこれまで長い間紙媒体での業務に慣れ親しんできた企業では、いくら便利になるとはいえ、電子化された文書での新しい業務に抵抗を感じる人も少なくないかもしれません。
ペーパーレス化の意図・目的、メリットを根気強く周知し、従業員の理解を得ながら徐々に展開していくのが有効です。
紙媒体の保管や提出が規定になっているケースも残っている
いくら社内でペーパーレス化の推進に力を注いでいても、対外的業務で紙媒体での提出・保管・配布の規定が残っているケースもあるでしょう。これらは特に、行政サービスでよく見られる傾向です。
ただし、先にも述べたとおり、ペーパーレス化は現在政府が主導して推進する施策でもあるため、近年は行政サービスにおいても急速に電子化が進んでいます。
現状においては、できる範囲でペーパーレス対応を進めていきましょう。
導入コストがかかる
ペーパーレス化を導入する際には、以下のようなものが必要です。
書類をデジタル化するためのスキャナー
データを保管するためのファイルストレージ
書類を閲覧するためのパソコンやタブレット端末
セキュリティ対策のためのソフトウェア
これらは社内ネットワーク環境下で使用するものがほとんどですので、上記の導入までには社内ネットワーク環境を整備しておきましょう。
なお、記事後半では、上記のほかにペーパーレス化に役立つシステムやツール、サービスも紹介しています。
ペーパーレス化を推進するポイント
円滑にペーパーレス化を進めるためには、導入前からしっかりとプランを立てておく必要があります。ここで、ペーパーレス化を推進する際のポイントを確認しておきましょう。
自社のペーパーレス化の目標・ゴールを明確にする
まずは、ペーパーレス化によって自社が何を目指すのかを決めましょう。コストの削減や顧客満足度の向上、業務の効率化といったような目標やゴールを明確にしておきます。
あとで効果を測定することを考えると、ここで数値化した目標を設定しておくのがおすすめです。具体的な数値を掲げることで、進捗や達成率も把握しやすくなります。
ペーパーレス化の対象範囲を洗い出し、まずは部分的に始める
続いて、設定した目標やゴールまでの道のりを明確にするために、自社の現状を把握します。社内には紙文書がどのくらいあり、どのくらい利用しているのか、といったことを確認していきましょう。
何から手をつけるべきか迷う場合には、やりやすいところから部分的に始めるのがおすすめです。まずは小さく始めて、徐々に拡大していくとよいでしょう。
ITシステム・ツールを活用する
スムーズにペーパーレス化を進めるためには、ITシステム・ツールの活用は避けて通れないでしょう。
システム・ツールを選ぶ際にはどうしても機能が豊富なものに目が行きがちですが、ペーパーレス化の目的や文書の用途から選ぶのがおすすめです。また、セキュリティ対策の機能を十分に備えているか、サポートは充実しているかといった点にも注目しましょう。
それぞれの目的や用途別に適するシステム・ツールは、次の章にて紹介します。
【目的・用途別】ペーパーレス化に役立つシステム・ツール
ここからは、ペーパーレス化を推進するうえでおすすめのシステム・ツールを紹介します。ペーパーレス化の目的や書類の用途別に分けて取り上げますので、自社のニーズと照らし合わせながらチェックしてみてください。
紙媒体を電子化したい
紙媒体の電子化におすすめのシステム・ツールは、主に以下のようなものがあります。
OCR/AI OCR
スキャニングサービス
ペーパーレスFAX
名刺管理ツール
OCRとは、紙媒体に記載された文字を画像データとして取り込み、コンピューターが利用できるデジタル文字コードに変換する技術です。“Optical Character Recognition(またはReader)”の略で、光学的文字認識とも呼ばれます。機械学習を取り入れたAI OCRであれば、OCRでは判別できなかった手書き文書の読み取りも可能です。
大量の文書をスキャナーで読み取る場合には、作業を代行するスキャニングサービスを利用すると効率的でしょう。また、FAXや名刺など、特定の用途に特化したツールも存在します。
電子化した文書を適切に保管・管理したい
電子化した文書の保管・管理におすすめなのは、以下の3つのシステム・ツールです。
文書管理システム
ワークフローシステム
クラウドストレージ
文書管理システムは、電子化したデータをインターネット上に保管・管理するシステムです。さまざまな端末からアクセスでき、複数名でデータを共有できます。
ワークフローシステムは、社内手続きを電子化するシステムです。稟議や各種申請において、申請から承認までのフローがシステム上で完結します。
クラウドストレージは、さまざまなファイルをクラウド上で保管・管理できるシステムです。なかには、共同編集や文書管理といった機能を兼ね備えるものもあります。
用語集
法令や専門業務に対応したい
法対応や専門業務に対応するシステムの代表例は、以下の2つです。
勤怠管理システム
電子帳票システム
従業員の勤怠管理や、請求書や見積書などの帳票管理といった専門業務に特化したシステムを導入することで、ペーパーレス化とともに業務効率も高められます。システムは、法改正に合わせて対応がアップデートされるものを選んでおくとよいでしょう。
オンラインで契約を完結したい
これまで紙媒体で行われることが通例とされてきた契約プロセスも、オンラインで行うことが可能です。電子契約システムでは、タイムスタンプや電子署名といった技術を活用することで、ペーパーレス化を実現しつつ、書面の契約書と同等の法的効力も有しています。
ペーパーレス化に役立つサービス
最後に、ペーパーレス化に役立つサービスを紹介します。
【Microsoft 365】
Microsoft 365は、Microsoft社が提供するソリューションパッケージです。Microsoft 365 / Office 365があれば、従業員はどこからでも、オフィスにいるときと同じように業務を行えます。例えば、オンラインによる音声・ビデオ会議、ファイル共有、情報・文書の一元化などが可能です。
さらに、「マイクロソフトソリューションパートナー」であるオプテージであれば、ライセンスの販売だけでなく、導入から導入後のサポートまで、お客さまの環境におけるMicrosoft 365の活用を一貫して支援可能です。
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【CLOUDSIGN】
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まとめ
ペーパーレス化は、コストの削減や業務の効率化など、企業に大きなメリットをもたらす取り組みです。政府も企業のペーパーレス化を後押しするために、法改正などを行っています。
いきなりDXを導入するとなると「ハードルが高い」と感じる企業でも、ペーパーレス化であれば社内の理解も得られやすいでしょう。
なお、ペーパーレス化の推進にあたっては、社内におけるネットワーク環境の整備が不可欠といえます。ペーパーレス化を進めていくにつれクラウドサービスの利用も増えるため、並行してインターネット環境の見直しを行うのもおすすめです。
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