オフィス移転で電話移設が決まったら。ポイントや流れを確認
- 公開日:2024年9月9日
オフィス移転の際、通信インフラの観点で重要になるのが電話の移設です。移転後の業務のスムーズな再開には、電話の移設に関する適切な計画とスケジュール管理が欠かせません。
そこで本記事では、オフィスの移転に伴って電話を移設する際の、確認事項や流れなどを解説します。
円滑な電話移設の実現に向け、ぜひお役立てください。
- オフィス移転にて電話を移設する際の確認事項
- 移転先の回線事業者・ビジネスフォン事業者の選定
- 現在契約中の回線事業者と電話事業者
- 現在使用している機器と台数
- 移転先の電話利用環境やオフィスレイアウト
- 電話番号変更の有無
- PBX(交換機)設置の必要性
- オフィスの移転に伴う電話移設の流れ
- 移転先の回線事業者・ビジネスフォン事業者の選定
回線事業者・ビジネスフォン事業者を選ぶポイント - 事業者とのスケジュール調整や打ち合わせ
- 回線事業者による電話回線引き込み工事
- ビジネスフォン事業者による電話設置工事
- 最終確認
- オフィスの移転や電話番号変更の通知
- 移転先の回線事業者・ビジネスフォン事業者の選定
- オフィスの移転で電話を移設する際の工事費用の目安
- 回線事業者に支払う工事費用の目安
- ビジネスフォン事業者に支払う主な工事費用項目
- 【電話回線の種類別】電話移設対応のポイント
- 固定電話回線
- IP電話回線
- 電話番号を変えたくない場合は「電話番号ポータビリティ」を活用
- 「オフィスeo光電話」ならコストや使い勝手のお悩みを解決可能!
- まとめ
オフィス移転にて電話を移設する際の確認事項
はじめに、オフィスの移転に伴い電話を移設することが決まった際の確認事項を紹介します。
確認事項は、主に以下の6点です。
申し込みからオフィス移転までのスケジュール
現在契約中の回線事業者と電話事業者
現在使用している機器と台数
移転先のネットワーク環境やレイアウト
電話番号変更の有無
PBX(交換機)設置の必要性
それぞれ詳しく解説します。
申し込みからオフィス移転までのスケジュール
電話の移設が決まったらまず確認したいのは、「いつ工事を開始したいのか」「いつまでに電話移設を完了させたいのか」です。なぜなら、適切な手続き開始時期や工事の申し込み時期は、希望工事日から逆算することで見えてくるためです。
オフィスを移転する際には、さまざまな事業者との手続きや調整が生じます。なかでも電話回線の移設にフォーカスを当てると、回線事業者とビジネスフォン事業者双方との手続きや契約、調整が必要です。
電話移設の手続きや工事の申し込みは、希望工事日の2カ月ほど前から余裕を持って始めるのが理想とされています。そのため、まずは新オフィスの稼働日から希望工事日を割り出すところから着手するとよいでしょう。
現在契約中の回線事業者と電話事業者
電話移設の手続きを始める前に把握しておかなければならないのは、自社の現在の電話契約状況です。
電話移設工事を申し込む際には、現在契約中の事業者に問い合わせる必要があるため、事前に確認しておきましょう。事業者名と連絡先は、契約書や料金明細などに記載されています。
また、事務所の移転は企業にとって通信インフラを見直すチャンスです。移転後の通信環境や希望費用などを想定し、移転しても現在の契約を継続するのか、新規事業者と契約するのかを検討してみましょう。
現在使用している機器と台数
現在の電話契約状況に加えて、使用状況や機器の在庫も整理しておく必要があります。現在の使用数・在庫数と併せて、既存の機器のうち移転先でも使用可能なものがあるかどうかも確認しておきましょう。
既存の機器が古くなってしまっている場合は、新規機器の購入を検討するとよいかもしれません。古い機器だと、処理能力が追いついていなかったり、部品がないために余計な保守コストがかかったりするケースも考えられます。
移転先の電話利用環境やオフィスレイアウト
現状の把握ができたら、移転先での電話利用環境やオフィスのレイアウトも大まかに想定しておきましょう。
移転後にどのような電話環境を構築すればよいのかがわかれば、現状と比較して新規に購入する機器数を割り出したり、どのような契約が最適かを検討したりすることが可能です。新規の購入・契約にかかるコストや、必要な工事日数なども予測できるしょう。
事業者に相談する前に自社ニーズを明確にすることで、事業者とイメージの共有もしやすくなります。
電話番号変更の有無
「近所への移転なら、電話番号は変わらないだろう」と思っている人は多いかもしれません。しかし、NTTの電話番号はNTT収容局ごとに管理されており、移転先が近所であっても、NTTの収容局が異なれば現在の番号は使えないため注意が必要です。
特に企業が多いエリアでは、同じ町内でも2つの収容局に分かれていることがあります。また、町内に大型幹線道路が通っている場合には、幹線道路の両側で収容局が分かれるケースも少なくありません。
電話番号変更の有無は、NTTの窓口に問い合わせることで事前に把握できます。3桁番号サービス「116」にて、現在の電話番号が移転先でも利用できるかを確認することが可能です。
PBX(交換機)設置の必要性
これまでは家庭用電話機を利用していたが、事務所移転を機にビジネスフォンに変更する場合や、ボイスメールや自動応答などの機能を取り入れる場合など、PBXの設置が必要になる場合があります。
PBXとは、内外線の接続・統制を行う機器です。PBXを設置することで、1つの電話回線契約で複数の電話機が使用できるようになります。
PBXの仕様は内線電話の設置最大数によって変わるため、自社の内線電話使用人数を事前に把握しておくことが重要です。
また、電話機同様、PBXも高機能なものが登場しているため、オフィス移転を機にPBXを見直してみるのもよいでしょう。
例えば、近年主流になりつつあるのは、インターネットを介して利用する「クラウドPBX」です。クラウドPBXでは、電話回線工事や機器の設置が不要なため初期費用が抑えられます。さらに、スマホでも会社電話番号の発着信ができるなど、豊富な機能で業務効率化も図れます。
これからPBXを導入する場合は、クラウドPBXが主要な選択肢となってくるでしょう。
オフィスの移転に伴う電話移設の流れ
続いて、オフィスの移転に伴って電話を移設する際の大まかな流れを紹介します。
電話移設の流れは、以下の6段階に分けられます。
移転先の回線事業者・ビジネスフォン事業者の選定
事業者とのスケジュール調整や打ち合わせ
回線事業者による電話回線引き込み工事
ビジネスフォン事業者による電話設置工事
最終確認
オフィスの移転や電話番号変更の通知
それでは、段階ごとに詳しく確認していきましょう。
移転先の回線事業者・ビジネスフォン事業者の選定
事業者の選定は、移転先の通信環境の利便性やコストを左右するポイントです。例えば、光回線を敷設すれば電話とインターネットをまとめて利用できるため、コストダウンにつながることもあります。
以下のポイントを参考にしながら、選定時にしっかりと比較検討しておきましょう。
回線事業者・ビジネスフォン事業者を選ぶポイント
導入費用
導入後のサポート体制
チャネル数
月額費用だけでなく、導入費用も業者によって異なるため、比較検討したいところです。また、安心して長く利用するためには、導入後のサポート体制の充実度も見逃せないチェックポイントでしょう。
外線の発着信が多いなら、チャネル数の多い光回線がおすすめです。
◎「光回線」の詳しい解説はこちら
事業者とのスケジュール調整や打ち合わせ
電話が通信インフラの中心的役割を果たしている企業にとって、「電話がつながらない期間」はビジネスの機会損失につながりかねない時間です。そのため、電話がつながらない期間が最短になるように電話移設のスケジュールを組まなければなりません。
効率的なレイアウトを実現するためには、事業者とともに移転先の下見に行き、細かくPBXの配置や配線を打ち合わせるとよいでしょう。ただし、工事だけでなく、下見にも事業者とのスケジュール調整が必要になる点には注意が必要です。
また、企業の場合は土・日・祝日や長期休暇中の工事を希望するケースが多いため、休日工事を検討している場合は早めにスケジュール調整に着手するようにしましょう。
なお、クラウドPBXを利用する場合は電話工事が不要となりますが、インターネット回線を通じて接続するため、移転先のインターネット環境は整備しておく必要があります。
回線事業者による電話回線引き込み工事
回線事業者の工事担当範囲は、回線終端装置の設置と屋内の配線工事です。そしてこの工事は、電話回線引き込み工事と呼ばれています。
電話回線引き込み工事は移転先のオフィス内にも立ち入る工事であるため、自社担当者の立ち会いが必要です。
ビジネスフォン事業者による電話設置工事
ビジネスフォン事業者の工事担当範囲は、PBXとオフィス内の配線、オフィス内の必要箇所への電話線の敷設、それぞれの電話機の設定などです。この工事は、電話設置工事と呼ばれます。
それぞれの電話機で内線・外線を利用できるようにするために欠かせない工事です。電話設置工事も、電話回線引き込み工事と同様に自社担当者の立ち会いを要します。
最終確認
すべての工事が完了したら、必ず最終確認を行いましょう。ほとんどの場合、工事を担当した事業者によって行われますが、自社でも確認することが大切です。
電話機や周辺機器の配置や配線などに不都合や不具合はないかをチェックし、通話テストを実施します。不具合が見つかった場合には事業者による修繕工事が必要なケースもあるため、早めに確認しましょう。
オフィスの移転や電話番号変更の通知
少なくとも新オフィスの開設日までには、住所や電話番号の変更を顧客に通知します。以前は書面やはがきで通知することが多い傾向にありましたが、最近は、ホームページでの告知掲載が増えてきています。
パンフレットや名刺など、紙媒体の修正も必要です。
先にも触れましたが、連絡が取れない時間が生じると、ビジネスの機会損失にもつながりかねません。移転の事前・直前・直後と折に触れて通知するよう意識しておきましょう。
オフィスの移転で電話を移設する際の工事費用の目安
ここでは、オフィスの移転で電話移設工事を行う際の費用目安を紹介します。見積もり時の参考としてご活用ください。
回線事業者に支払う工事費用の目安
回線事業者に支払う工事費用は、事業者や移転先の状況などによって異なります。
NTTの場合を例に挙げると、オフィスへの訪問が不要な工事(NTT局内の工事)の場合は3,300円(税込)程度、オフィスへの訪問工事が必要な場合は22,000円(税込)程度です。訪問工事の費用には、基本工事費とPBXの工事費、屋内配線工事費が含まれます。
ビジネスフォン事業者に支払う主な工事費用項目
ビジネスフォン事業者に支払う電話工事の費用には、以下のような項目があります。
人件費(派遣費)
PBX設置費
電話機設置費
屋内配線費
FAX接続費
諸経費
電話工事の総額は4万円からといわれていますが、事業者によって個別見積もりが実施されるため、あくまでも目安の金額と捉えておくとよいでしょう。
【電話回線の種類別】電話移設対応のポイント
最後に、電話移設対応のポイントを電話回線の種類別に解説します。併せてそれぞれの電話回線の特徴も紹介しますので、自社のニーズと比較しながら確認してみてください。
固定電話回線
固定電話回線とは、主にアナログ回線、ISDN回線(デジタル回線)のことです。アナログ回線は銅線ケーブルを通じて相手に音声を伝える回線で、広く一般家庭で利用されてきました。また、アナログ回線は停電時でも利用できることから、緊急対応が求められる企業や部署でもよく利用されています。
一方のISDN回線は、アナログ回線と同じく銅線を使用するものの、音声はデジタル信号に変換してやり取りする回線です。ISDN回線はアナログ回線よりも雑音が入りにくいため、音声がよりクリアに聞こえます。なお、ISDN回線は2024年8月31日をもってサービスの新規販売は終了しており、2028年12月31日をもってサービス終了と発表されています。※
固定電話回線の手続きは回線事業者とのあいだのみで済みますが、複数の電話回線を利用している場合は、すべての電話回線に対して手続きが必要です。また、設置の際は屋内配線工事が発生します。
IP電話回線
IP電話とは、Internet Protocol(インターネットプロトコル)という通信方式を利用した電話サービスのことです。IP電話はさまざまな事業者から提供されており、代表的なものには光ファイバーケーブルを活用した光電話が挙げられます。固定電話回線に比べて利用料金が安価な場合が多く、コストを抑えたい場合におすすめです。
光電話はインターネット回線を利用したサービスで、インターネット回線の移転に伴う手続きの一部に含まれます。物理的な工事は、インターネット回線の配線工事と、ビジネスフォン事業者による電話機の設置工事が発生します。
電話番号を変えたくない場合は「電話番号ポータビリティ」を活用
電話番号ポータビリティとは、電話回線の契約事業者を乗り換えても現在の電話番号をそのまま利用できる制度です。
市外局番が異なるエリアに移転する場合など、一部条件下では利用できない場合もあるものの、既存の固定電話番号をIP電話に移行することも可能です。
すでに認知されている電話番号を変更することによって、顧客の混乱を招きたくない企業も多いでしょう。企業にとって、電話番号ポータビリティは魅力的な制度だといえます。
「オフィスeo光電話」ならコストや使い勝手のお悩みを解決可能!
関西でオフィス移転をお考えの方には、基本料無料のおトクなIP電話サービス「オフィスeo光電話」がおすすめです。電話番号ポータビリティが利用可能で、現在お使いの電話番号をそのままご利用いただくか、新たに発番するかも選べます。
加えて、1つの電話番号に対して複数の外線を着信させられる「代表電話サービス」や、PBXに接続された内線電話機などに特定の電話番号を直接着信させられる「ダイヤルインサービス」、1番号につき月額100円(税抜)で電話番号を追加できる「追加番号サービス」など、企業運営に役立つサービスを豊富にご用意しています。
まとめ
オフィスの移転は大きなプロジェクトですが、なかでも早くから取りかかりたいのが電話の移転です。企業にとって重要な通信インフラである電話を新オフィスの開設日までに用意するためには、計画的な進行が求められます。
一方で、オフィスの移転は自社の電話環境を見直すチャンスと言えます。この機会に、より自社ニーズに適したサービスを探すのもひとつの手です。
いずれにしても、オフィスの移転が決定した際には、優先的に電話の移設に着手するようにしましょう。
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