ネットワーク機器とは?機器の種類や選び方など、基礎知識を解説
- 公開日:2024年12月19日
ネットワーク機器とは、ネットワークを介してデータを送受信するために必要となるさまざまな機器の総称です。ケーブルやルータ、ファイアウォールといったネットワーク機器が相互に接続し、データを通信・共有したり、セキュリティを確保したりする役割を担っています。
本記事では、社内ネットワークの構築やネットワーク機器の整理を考えている企業の担当者さまに向けて、ネットワーク機器の種類や選び方などを解説します。
- ネットワーク機器とは
- ネットワーク機器の重要性
- ネットワークの階層と機器の種類
- 第1階層 物理層:ケーブルなど
- 第2階層 データリンク層:LANスイッチなど
- 第3階層 ネットワーク層:ルータ、VPNゲートウェイ、L3スイッチ
- 第4階層 トランスポート層:ファイアウォール、L4スイッチ
- 第5階層 セッション層:UTM
- 第6階層 プレゼンテーション層
- 第7階層 アプリケーション層
- 失敗しないネットワーク機器の選び方
- 必要な機能が搭載されているか確認する
- 機器のバージョンを確認する
- セキュリティ機能が充実しているか確認する
- 保守管理が容易な機器を選ぶ
- 適切なITインフラ事業者に相談する
- ネットワークの構築方法
- オフィスのネットワーク構築は専門家に相談
- まとめ
ネットワーク機器とは
ネットワーク機器とは、ネットワークを介してデータを送受信するために必要となるさまざまな機器の総称です。具体的には、ケーブルやルータ、ファイアウォールなどが該当します。
ネットワーク機器はデータ通信の基盤となり、セキュリティの確保、業務効率の向上、ITインフラの拡張などの役割も担います。
ネットワーク機器の重要性
ネットワーク機器は、データ通信の基盤としてデータの送受信を行う役割を担っています。そのため、ネットワーク機器の適切な運用は、業務効率や生産性のアップにもつながります。
また、ネットワーク機器はセキュリティ対策の観点でも重要です。例えば、ファイアウォールやUTM(統合脅威管理)もネットワーク機器に含まれ、外部からの攻撃を防ぎ、ネットワークの安全性を保っています。
このように、ネットワーク機器にはそれぞれ特定の機能があり、適切な機器を選択することで、ネットワークの効率や安全性を高められます。
ネットワークの階層と機器の種類
ネットワーク機器の役割は、各機器が動作するネットワーク階層と深く関係しています。そこでネットワークと機器の関わりについて、本章で説明します。
そもそもネットワークはOSI参照モデル※によって7つの階層に分けられ、階層数が小さい(低層)ほどハードウエアに近く、大きい(高層)ほどソフトウエアに近いと定義されています。
第1階層 | 物理層 |
---|---|
第2階層 | データリンク層 |
第3階層 | ネットワーク層 |
第4階層 | トランスポート層 |
第5階層 | セッション層 |
第6階層 | プレゼンテーション層 |
第7階層 | アプリケーション層 |
それでは7つの階層について、詳しく確認していきましょう。
第1階層 物理層:ケーブルなど
第1階層と最も低層に位置する物理層は、ハードウエアの領域です。この階層で動作する主な機器には「ケーブル」と「リピーター」があり、接続ケーブルの種類や、デジタルデータと電気信号の変換方式などが規定されています。
【ケーブル】
さまざまな種類があるが、ネットワーク関連でよく耳にするのは「LANケーブル※1」「光ファイバーケーブル※2」
【リピーター】
受信した電気信号を増幅・整形して送り出す、ケーブルでデータを伝送する際に中継機器の役割を果たす機器。弱くなった信号を整えて送り出す機能を持つ。現在、使用されるケースは少ない。
第2階層 データリンク層:LANスイッチなど
第2階層から第4階層までは、ネットワークの領域です。第2階層に位置するデータリンク層では、直接接続された機器同士の通信をネットワーク接続し、電気信号の伝送を実現する方法が規定されています。
この階層で動作する主な機器には、「LANスイッチ」や「ブリッジ」が挙げられます。
【LANスイッチ】
複数の機器同士をつなぐ機器。電気信号の制御先を制御する機能も持つ
「L2スイッチ」「スイッチングハブ」とも呼ばれる
【ブリッジ】
第1階層の物理層と第3階層のネットワーク層をつなぐ第2階層で、橋渡しを担う機器。現在、使用されるケースは少ない。
第3階層 ネットワーク層:ルータ、VPNゲートウェイ、L3スイッチ
ネットワーク層は、ネットワーク上のデータ伝送における司令塔のような階層です。ここではネットワーク上にある機器へのアドレスの割り当てや管理、データの伝送ルート、パケットサイズの変換などが規定されており、第1階層・第2階層は、この階層で決定したルートに従うことで適切に電気信号の伝送を行っています。
この階層で動作する主な機器は、「ルータ」「VPNゲートウェイ」「L3スイッチ」です。
【ルータ】
複数の異なるネットワークを接続するための機器。例えば、社内ネットワーク(LAN)とインターネット(WAN)は、ルータを介して接続される。
【VPN※ゲートウェイ】
データの暗号化・復号を担う機器
VPN環境を作る上で重要とされている
社内LANとインターネットのあいだに設置されるのが一般的
◎「VPN」の詳しい解説はこちら
用語集
【L3スイッチ】
LANスイッチとルータを合わせたような機能を持つ機器
ルータ同様、適切な場所に信号を送るための中継器だが、スイッチはルータよりも処理速度が速いという点で異なる
第4階層 トランスポート層:ファイアウォール、L4スイッチ
第4階層に位置するトランスポート層は、低層と高層を仲介するような階層です。ここでは、データ転送時の信頼性を確保することが規定とされています。
この階層で動作する主な機器は、「ファイアウォール」と「L4スイッチ」です。
【ファイアウォール】
外部からネットワークへの不正アクセスを防ぐ機器
日本語で「防火壁」という意味を持つ
IPアドレスなどからパケット通信の可否を判断する「パケットフィルタリング型」、データ内容から通信の可否を判断する「アプリケーションゲートウェイ型」、パケットフィルタリング型の機能+コネクション単位で通信の可否を判断する「サーキットレベルゲートウェイ」の3種類がある
【L4スイッチ】
機能はL3スイッチと大差がないが、トランスポート層に対応しているスイッチ
スイッチングの際にL3スイッチはIPアドレスを参照するが、L4スイッチはIPアドレスとTCP※1、UDP※2ポート情報を参照する
「ロードバランサー」とも呼ばれる
第5階層 セッション層:UTM
日本語で「ひと続き」の意味を持つセッション層は、ユーザーの通信開始から維持、切断までの一連の手順が管理される階層です。第4階層から第6階層までのスムーズな通信を目的としています。
この階層で動作する主な機器には、「UTM」があります。
【UTM】
1台でファイアウォールやアンチウイルス、Webフィルタリングなどのセキュリティを提供する機器
Unified Threat Managementの略で、「統合脅威管理」と訳される
第6階層 プレゼンテーション層
第6層のプレゼンテーション層は、ネットワーク間でやり取りするデータの表現形式を規定し、整合・統一する階層です。例えば、データの文字コードや暗号形式が通信先と異なると文字化けしてしまうため、この層でデータ形式を変換し正しく表示できるようにします。
第7階層 アプリケーション層
ネットワークの全7階層のなかで最高層に位置するアプリケーション層は、アプリケーションの仕様や通信手順、データ形式といった具体的な機能が規定されている階層です。ユーザーが入力する情報をアプリケーションやソフトウエアに応じたプロトコルへと変換することで、データ通信を可能にします。
失敗しないネットワーク機器の選び方
ここからは、企業がネットワーク構築で失敗しないための機器選定方法を紹介します。
必要な機能が搭載されているか確認する
ネットワーク機器を選ぶ際にまず着目したいのは、「自社が求める機能が搭載されているかどうか」という点です。必要な機能は企業や業務内容によって異なるため、ネットワークの各階層で必要な機能を事前にしっかりと確認し、正確に把握しておく必要があります。
ネットワーク機器では、似たような機能をもつ製品でも、メーカーによって製品名や呼称が違うケースが少なくありません。そのため、製品名だけで判断せず、機能を詳細に確認することが重要です。可能であれば、実際に動作検証してみるとよいでしょう。
また、ネットワーク機器の仕様を確認し、必要なレベルのパフォーマンスを期待できるかを調べておくことも大切です。カタログでスペックを確認する際には、特に「スループット値」と「セッション数」に着目してみてください。
スループット値は、単位時間あたりのデータ送受信量を示す数値です。数値が高いほど1秒あたりに転送できるデータ量が増加し、通信速度が速まることを意味します。
セッション数は、その機器が処理できる数を示す数値です。スループット値を確保していてもセッション数が限界だと、期待していたほどのパフォーマンスが得られない可能性があるため、双方併せて確認しておきましょう。
機器のバージョンを確認する
ネットワーク機器選びでは、機器のソフトウエアのバーション確認も欠かせません。なぜなら、ソフトムウエアのバージョンが古い場合、正常に動作しなかったり、動作が遅かったりする恐れがあるためです。
また、ソフトウエアのバージョンに応じてメーカーのサポート期限が異なるケースも見られます。メーカーサポートの有効期限が切れたあとは補償などが受けられない可能性が高いため、長く安全に使用するためにも、できるだけ最新バージョンのソフトウエアが搭載された機器を選ぶようにしましょう。
セキュリティ機能が充実しているか確認する
重要なデータの流出を防ぐためには、セキュリティ性能が高いネットワーク機器を選ぶことが重要です。サイバー攻撃が増加している今、特に個人情報や機密情報を扱う機会の多い企業では、高いセキュリティ性が求められます。
具体的には、通信時の暗号化機能や、ファイアウォール機能などが搭載されているかどうか確認しておきましょう。
◎「情報漏洩対策」の詳しい解説はこちら
保守管理が容易な機器を選ぶ
運用や保守が容易なネットワーク機器を導入しておけば、その後のランニングコストや手間が削減できるでしょう。例えば、リモート管理機能を備えた機器なら遠隔地からでも対応できるため、現地まで足を運ぶ手間や交通費、人件費などを抑えられます。
低コストで、トラブル発生時にも迅速に対応できるかどうかにも注目しながら検討するとよいでしょう。
適切なITインフラ事業者に相談する
効率的に自社に適したネットワーク環境を構築したい場合は、ITインフラを専門とする事業者への相談が有効です。ネットワーク環境の構築を専門事業者に任せることで、リソースをコア業務に集中させられるでしょう。
また、ネットワーク運用開始後のアフターフォローや運用サポートの充実度合いは、自社業務をスムーズに行うための重要ポイントです。特にサポート面では、運用中に問題が発生した場合のサポート体制のチェックは欠かせません。24時間365日サポートが受けられるか、専門知識を持つスタッフが対応してくれるか、といった点に着目しておきましょう。
ネットワークの構築方法
最後に、ネットワークの構築方法についても簡単に解説しておきます。
ネットワークを構築するにあたり、まずは現地調査を実施しましょう。これは社内のネットワーク環境の現状を把握するための作業です。
現地調査の結果をもとに、続いて行うのはシステム設計です。ネットワーク機器の種類や設置場所、台数、セキュリティ対策の内容などを検討しつつシステム設計を進め、今度はその設計をもとに実際にネットワークを構築していきます。
ネットワーク構築が完了したら、ネットワーク環境を管理するマニュアルを作成し、トラブルに備えておきましょう。
◎「ネットワーク構築」の詳しい解説はこちら
オフィスのネットワーク構築は専門家に相談
先ほども紹介しましたが、自社に最適なネットワークを効率的に構築するためには、ITインフラの専門家への相談が有効です。
関西の法人さま向けに光ファイバーネットワークを提供する「オフィスeo光」では、インターネットへの接続環境や、社内のWi-Fi環境の構築からセキュリティ対策まで幅広いサポートを実施しています。
例えば、オフィス内のどこにいても途切れないWi-Fi環境が必要な場合、「Wi-Fiルータレンタルサービス」の活用がおすすめです。AIメッシュWi-Fiで快適なオフィス環境の構築を実現します。
また、外部からの不正な通信や攻撃、内部からの不正サイトなどへのアクセスを検知し、ブロックするために有効なのは、「SDネットワークサービス(Cisco Meraki)」です。専用BOXを設置することでネットワークセキュリティ対策を強化するだけでなく、面倒な設定変更などの対応をオプテージが代行し、お客さまの負担を軽減します。
ネットワークの構築をご検討中なら、ぜひお気軽にご相談ください。
まとめ
ネットワーク機器は、ネットワークの7つの階層においてそれぞれの役割を果たしながら、互いにデータを通信・共有し合って業務効率を向上させたり、セキュリティを確保したりしています。デジタル化が進む中、ネットワーク環境の重要性も増しているといえるでしょう。
そのような状況のなかで自社に適したネットワーク環境を構築・維持するためには、ITインフラの専門家への相談が有効です。ネットワークの構築でお悩みの際は、ぜひ関西の法人さま向けに光ファイバーネットワークを提供する「オフィスeo光」にお気軽にご相談ください。
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