プロジェクトストーリー
PROJECT STORY
PROJECT STORY
2025年4月から10月まで、大阪の夢洲で開催される「大阪・関西万博」。
この国際的なビッグイベントに欠かせないもののひとつが、盤石な通信インフラだ。
夢洲内に光ファイバーネットワークを引き込み、本部や各パビリオンへと繋いでいく。
専門分野の知識を持ち寄り、プロジェクト成功に向けてひた走る、オプテージ「大阪・関西万博」チームの軌跡を追った。
2020年
2020年12月
万博協会に対する提案開始
2022年
2022年2月
入札公告
STAGE.01 | 提案・入札
ソリューション営業戦略部
ソリューション営業計画チーム
チームマネージャー
商学部卒 / 1997年入社
ソリューション営業戦略部
ソリューション営業計画チーム
経済学部卒 / 2015年入社
「大阪万博の開催に向けて、インフラ(光ファイバー)を整備したいので、協力をしてほしい」。2020年12月、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会※(以下 万博協会)からの連絡で、社内はにわかに沸き立った。「ついに来たか」。国を挙げた一大イベントが関西で行なわれると決まった時点で、オプテージが何らかの形で関わることは予想できていた。だが、まさか自分が担当者の一人になろうとは。酒井は胸を膨らませた。
酒井が所属するソリューション営業計画チームは、チームマネージャーの山本が指揮を取り、営業戦略の立案・実行、採算判断などを主要業務としている。通常、営業計画チームがクライアントに直接提案を行うことはないが、今回は予算も規模も大きいため、先に採算判断を兼ねて同チームが話を進めるというイレギュラーな流れとなった。
そんな通常とは異なるフローで提案準備を進める中、万博協会から会場内への光ファイバールートに関する検討依頼を受ける。それは既に構築している光ファイバールートに加えて、万博協会がより安全性を高めるために取り組んでいる別ルートでの光ファイバー開通の検討に協力してほしいというものだった。
会場となる夢洲には複数のルートから光ファイバーを引き込んでおり、どちらかのルートで障害が発生しても対応できる状態を作り安全性を高めたいという万博協会の想いを聞き、酒井は「開催地である関西を地盤とする企業として、この万博の成功に貢献したい。」と依頼を受けた。
そして万博協会の想いを実現するべく、酒井は山本のアドバイスを受けながら万博協会と共に検討を重ねていった。その甲斐もあり、約1年を経てついに、検討していた新規ルートでの光ファイバー開通が予算化され、2022年2月に入札公告の運びとなった。
正式な公告がなされれば、その仕様書をクリアするサービスを提供できる通信事業者なら、自由に入札できる。そしてシンプルに、入札額が最も低い事業者が落札となる仕組みだ。まさに一発勝負。
ここからは、すべての神経を入札額の検討に注ぎ込んだ。古巣である公共営業部のメンバーに協力を仰ぎ、入札金額を導き出し、そして社長に決裁判断を仰いだ。
しかし…万博開催はたった半年。社長の顔は渋い。酒井と山本は、大阪万博を成功させ、当社が万博に関わった事例を世界に発信したいと熱弁した。最終的には社長も納得。あとは結果を待つのみだ。
2022年3月、オンラインでの開札。固唾をのんで待っていると、聞こえたのは「落札者は、株式会社オプテージです」というアナウンス。「ありがとうございます」平静を装いながら画面を切ったが、当然、酒井は心の底から喜びに震えていた。すぐさま山本、社長をはじめ、落札のために協力してくれた社内メンバーに報告し、ともに喜びを分かち合う。社内はひととき、お祝いムードに包まれた。
2022年3月
落札・受注
STAGE.02 | 事前調査・工事
技術本部光・アクセス計画部
計画運営チーム
電気工学科卒 / 2009年入社
技術本部 光・アクセス工事部
法人工事第1チーム
工学研究科卒 / 2013年入社
少し時を遡る。酒井と山本が仕様書の提案や入札額の決定に奔走していたころ、裏で動いていたメンバーがいた。川村や平川ら、技術本部の担当者だ。川村はソリューション営業計画チームが必要となる技術面の情報を揃えたり、質問に答えたりと、技術本部の窓口としてサポート。平川はそれらの情報提供をする役割だ。
本当に新規ルートで光ファイバーが引けるのか、引けたとするとどのような設計・工事になるのか、工事費はいくらになるのか、どのような体制で進めるのか。ソリューション営業計画チームの提案や入札価格決定にあたり、必要となる細かい部分の詰めは主にこの2人が担当していたのだった。
落札し無事に契約(受注)が決まると、2人は設計・工事に関する詳細をさらに詰めていく工程に入る。川村は設計チームと工事チームの業務統括。平川は工事チームの代表として何度も現地に足を運び、工程や施工方法についての計画を具体的に練り上げていった。その現地調査のなかで発覚したのが、地中区間に光ファイバーを通す工事が想定以上に難航しそうだということだった。さらに地中区間には既存の通信ケーブルが多数敷設されている箇所もあり、今回の光ケーブルの敷設が困難な箇所があることも明らかになった。川村は諦めることなく、すぐに打開策を検討し、敷設困難箇所について幾度もルートの設計変更を行った。また、地中管路敷設に使用する資材についても、これまで使用していたものから視野を広げ、今回のケースにより適した資材を見つけ出し採用するなど、あらゆる手段を尽くした。結果、敷設困難であった区間の課題をクリア。川村はほっと胸をなでおろした。
同じ時期、平川も大きく頭を悩ませていた。夢洲内に引き込んだ光ファイバーケーブルは、最終的にパビリオン等で利用されることになる。ただ、利用用途によって使用する装置、情報拠点となる通信局舎も異なるので、本来なら利用者に用途を確認した上で構築する必要がある。しかし、開催までまだ3年近くあり、参加国も含めて詳細がほとんど決まっていない状況となると、予測するしかない。セキュリティーシステム、監視カメラ、各パビリオン内での映像放映……。あらゆる情報を調べながら、構築の見通しを立てていく。前回の愛知万博の資料を参考にしたのはもちろん、1970年の大阪万博で工事を担当した社員からもさまざまな話を聞き、情報を集めた。「3年後、満足していただくためにできる最大限のことをしていこう」。お客様の期待に応えるべく本部や各パビリオンでのサービス提供がはじまるまで直前でも柔軟に対応できるような工夫を続けている。開催まで刺激的な日々を過ごすことになりそうだ。
2022年5月
光ファイバー構築工事開始
2023年
2023年1月
回線提供事業者としてサプライヤー登録
STAGE.03 | 引き渡し・サービス提供
公共営業部
自治体営業チーム
商学部卒 / 2009年入社
契約(受注)を機に、酒井と山本から業務を引き継いだのが、自治体営業チームの牧野だ。普段は地方公共団体に向けて、ネットワーク構築やクラウド化、AI化などの営業をしている。今回のプロジェクトにおいて、牧野のミッションは2つあった。
まず1つ目は、光ファイバー構築・引き渡しまでのフロント業務だ。万博協会からのご要望や状況に合わせて、技術部門の川村や平川と連携しながら工程を調整するとともに、工事の進捗を報告。さらに、万博協会に対して、各パビリオンまでの開通・サービス提供のためにどのような手順でお申し込みいただくか、開通・サービス提供をどう進めていくか、サービス運用後に障害が発生したときのサポート体制等について話を詰めていった。安全にサービスを提供できるような仕組みづくりにはかなり細かい調整が必要となった。
そして2つ目は、サプライヤー事業者としてのサービス提供までの準備だ。オプテージは実際に回線サービスを提供する通信事業者としても万博への参加を別の公募を経て承認されていた。今回参加する通信事業者は複数事業者が存在する。通信速度やサービスで差異化を図り、多くの参加国・企業にお申し込みいただけるよう、牧野はオプテージが提供できるサービスや価格の一覧、問い合わせ窓口のリスト、パンフレットなどを制作した。「お会いしたことがなくニーズが不明なお客さまに対して、何をアピールすればいいのだろう」。牧野は手探りながらも、インターネットやモバイルなど需要の多そうなサービスを調整したり、参加者向け説明会の相談ブースで商談をしたりと準備を進めていく。
最も大変だったのが、お客さまのほとんどが海外の国・機関であるため、あらゆるものに英語対応が必要なことだった。他部署の英語が堪能なメンバーに協力してもらい、申込書やサービス内容をすべて翻訳。海外との契約における法律的な問題の調整は、法務部と連携して進めた。また申し込みやサポート体制に関する調整もそれぞれの部署に協力を仰ぎ、さらに全体を通しては酒井と山本とも連携しながら進めていった。
「ひとりでは到底できなかった」
牧野は社内に心強い協力体制があることを今回のプロジェクトを通じて再認識し、感謝した。
2024年
2024年2月
万博協会への通信サービスの提案
2024年10月
光ファイバーの構築完了見込み
2024年10月
回線サービス開通工事順次開始
2025年
2025年4月~10月
「大阪・関西万博」開催
国際的なビッグイベントである「大阪・関西万博」。過去に類を見ないほどの規模の大きさ、タイトなスケジュール。通常の案件とは何もかも異なるものであり、プロジェクトメンバーは多くの決断を迫られ、大いに悩むこともある。しかし「自分の知識だけではどうにもならないようなことでも、誰かに聞けば解決する」「快く協力してくれる社内メンバーがたくさんいる」「社長を含め、あらゆる関係者から直接意見を聞くこともできる」そんな安心感や、部署や年次による壁を意識することのないチームワークのよさが、5人の挑戦を力強く後押ししてくれている。
「オプテージの本社がある大阪で開催される万博を成功させるため、ひとつでも多く協力したい」そんな思いで、オプテージチームは今日も万博に向けて動き続けている。